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仕方なく起き上がって使用人が運んで来た夕食に手を付ける。
空腹は全く感じていなかったのだが、食べた瞬間に自分が空腹であったことに気づく。食器は瞬く間に空になっていった。
最近はあちこちに出掛けて忙しくてお昼を食べ損ねたりしていたから暫く食べなくてもお腹が空かなくなっているのではと勝手に思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。
…あんなに私の幸せを祈ってくれているお父様とお母様、そしてルナは…私が婚約破棄をしたと知ったらどんな反応をするのかしら。
アーグレンに至っては全く想像がつかない。親友についていた悪い虫が取れたと考えるのか、それとも…。
いや、考えても仕方ないわね。彼らがどう思おうと私のやるべきことは変わらないんだから…。
……そういえば私、何気に町に出たことがないのよね。公爵家の治めてる領域に全く足を踏み入れたことがないわ。
本当にただの箱入り娘ね。折角転生したことだし、ちょっとだけ町を見ておこうかな。
…いや、その前に私…出れるのかしら?
出掛ける度に両親に泣きつかれてる気がするんだけど…かといって家でただじっとしてるとのはなんとなく落ち着かないのよね。
私はベッドから降りると、食べ終わった食器を台に乗せて部屋の外へ置いておく。
ここに置いておけば使用人が気づいて片付けてくれるであろう。
お嬢様は本当に自分でやることが少ないのね。自分で食器を下げようとしたら逆に怒られちゃうくらいなんだから…。
何が良くて何が悪いのかまるで分からないわね。
確かお父様の執務室はこっちの方だったはず…。
微かな記憶に頼りながら私は屋敷を進んでいく。途中、何人かの使用人とすれ違ったが彼らが私に声をかける様子はない。
未だに様子見をしているのだろう。
まぁ無理もないわ。長年いじめられてきたでしょうからね…。
でも普通は夕食の場に出なかったお嬢様が廊下をうろうろしてたら心配して声をかけるべきなんじゃないかとは思わなくもない。だがリティシアに対してはそんなこと言ってられないわよね。
間違いなく貴女の行いが悪いんだから…もう何も言えないわ。
数ある部屋の中からなんとか執務室を見つけると、扉を軽くノックする。
なんとなく、中に人の気配を感じた。
「お父様?入っても宜しいですか?」
「この屋敷に君が入ってはいけない場所はないよ、リティ。さぁ早く中へおいで」
いくら月日が経てどこの溺愛っぷりには慣れないわね。そして慣れる気もしない。
ただただ恥ずかしいわ。
「…夕食はちゃんと食べたようだね。安心したよ」
私が部屋を開くと、そんな言葉を口にする。何故分かったんだろうか。
「ご心配おかけしてすみません。とても美味しかったです。」
「親が子供を心配するのは当然だ。気にする必要はない。君が元気なら何よりだよ。」
そういうものなのかしら…。
私が戸惑いの視線を向けても、お父様は微笑みを崩さない。よく見るとお父様の机には山のように資料が積み重なっていた。
この時間まで作業があるとは…公爵も大変だ。私が公爵を継ぐなんてとてもできそうにない。
はっ、ちょっと待って、婚約破棄したら私が時期公爵…?
いやそれはちゃんと断ればいいわね。うん、そうしよう。
「はい…。ところでお父様、明日は一人で出掛けてもいいですか?」
「一人で…お出掛けだと…!?そんなの絶対にダメだ!危ないじゃないか!」
「で、でもちょっと町を見て回るだけですし、それに…」
「…アーグレン君がいないから一人で外に出れるだろうと思ったんだろう?」
「まぁ…そうですけど…明日は予定も特にありませんしたまには町に出たいなって思いまして…」
やっぱり一人でってところが気になったみたいね。可愛い可愛い愛娘を一人で町に出したくない気持ちは分かるけどリティシアはとっくに一人で動ける年齢なのに…。
これだけ過保護に育てられたら逆に窮屈だったでしょうね…。
「はぁ、一人で外出させてあげたいのはやまやまだが前にも言ったように王がリティをどう思っているかが全く読めないんだ。例え王が何もしてこなかったとしても、もし、もしリティが途中で攫われて酷い目に合わされたなんて聞いたら私は…」
…落ち込んでいるところ悪いけれど私は悪役令嬢ですよ?お父様。
大抵の人間なら一瞬で灰にできます。
って言って一発で解決してあげたいところだけどそうもいかないわよね。
「心配しすぎですよ、お父様。大丈夫です。私はもう自分で自分の身を守れますから」
小説史上最悪の悪役令嬢をなめてもらっちゃ困るわ。
「…分かった。じゃぁ条件付きで外出を許そう」
「本当ですか!?」
「あぁ、勿論。そんなに出掛けたいなら止められないよ。でも一人っていう条件は見直させてもらうけどね」
「え…?」
「リティ。仲直りする準備はできてるかい?」
「へっ?」
まず最初にお父様が提示した条件が…明日はお母様とお父様と一日ゆっくり過ごすことだった。そうよ、ここまではいいの。なんの問題もない。
でもまさか外出に彼を連れて行く事が第二の条件だったなんて…私は思いもしなかったわ…。
空腹は全く感じていなかったのだが、食べた瞬間に自分が空腹であったことに気づく。食器は瞬く間に空になっていった。
最近はあちこちに出掛けて忙しくてお昼を食べ損ねたりしていたから暫く食べなくてもお腹が空かなくなっているのではと勝手に思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。
…あんなに私の幸せを祈ってくれているお父様とお母様、そしてルナは…私が婚約破棄をしたと知ったらどんな反応をするのかしら。
アーグレンに至っては全く想像がつかない。親友についていた悪い虫が取れたと考えるのか、それとも…。
いや、考えても仕方ないわね。彼らがどう思おうと私のやるべきことは変わらないんだから…。
……そういえば私、何気に町に出たことがないのよね。公爵家の治めてる領域に全く足を踏み入れたことがないわ。
本当にただの箱入り娘ね。折角転生したことだし、ちょっとだけ町を見ておこうかな。
…いや、その前に私…出れるのかしら?
出掛ける度に両親に泣きつかれてる気がするんだけど…かといって家でただじっとしてるとのはなんとなく落ち着かないのよね。
私はベッドから降りると、食べ終わった食器を台に乗せて部屋の外へ置いておく。
ここに置いておけば使用人が気づいて片付けてくれるであろう。
お嬢様は本当に自分でやることが少ないのね。自分で食器を下げようとしたら逆に怒られちゃうくらいなんだから…。
何が良くて何が悪いのかまるで分からないわね。
確かお父様の執務室はこっちの方だったはず…。
微かな記憶に頼りながら私は屋敷を進んでいく。途中、何人かの使用人とすれ違ったが彼らが私に声をかける様子はない。
未だに様子見をしているのだろう。
まぁ無理もないわ。長年いじめられてきたでしょうからね…。
でも普通は夕食の場に出なかったお嬢様が廊下をうろうろしてたら心配して声をかけるべきなんじゃないかとは思わなくもない。だがリティシアに対してはそんなこと言ってられないわよね。
間違いなく貴女の行いが悪いんだから…もう何も言えないわ。
数ある部屋の中からなんとか執務室を見つけると、扉を軽くノックする。
なんとなく、中に人の気配を感じた。
「お父様?入っても宜しいですか?」
「この屋敷に君が入ってはいけない場所はないよ、リティ。さぁ早く中へおいで」
いくら月日が経てどこの溺愛っぷりには慣れないわね。そして慣れる気もしない。
ただただ恥ずかしいわ。
「…夕食はちゃんと食べたようだね。安心したよ」
私が部屋を開くと、そんな言葉を口にする。何故分かったんだろうか。
「ご心配おかけしてすみません。とても美味しかったです。」
「親が子供を心配するのは当然だ。気にする必要はない。君が元気なら何よりだよ。」
そういうものなのかしら…。
私が戸惑いの視線を向けても、お父様は微笑みを崩さない。よく見るとお父様の机には山のように資料が積み重なっていた。
この時間まで作業があるとは…公爵も大変だ。私が公爵を継ぐなんてとてもできそうにない。
はっ、ちょっと待って、婚約破棄したら私が時期公爵…?
いやそれはちゃんと断ればいいわね。うん、そうしよう。
「はい…。ところでお父様、明日は一人で出掛けてもいいですか?」
「一人で…お出掛けだと…!?そんなの絶対にダメだ!危ないじゃないか!」
「で、でもちょっと町を見て回るだけですし、それに…」
「…アーグレン君がいないから一人で外に出れるだろうと思ったんだろう?」
「まぁ…そうですけど…明日は予定も特にありませんしたまには町に出たいなって思いまして…」
やっぱり一人でってところが気になったみたいね。可愛い可愛い愛娘を一人で町に出したくない気持ちは分かるけどリティシアはとっくに一人で動ける年齢なのに…。
これだけ過保護に育てられたら逆に窮屈だったでしょうね…。
「はぁ、一人で外出させてあげたいのはやまやまだが前にも言ったように王がリティをどう思っているかが全く読めないんだ。例え王が何もしてこなかったとしても、もし、もしリティが途中で攫われて酷い目に合わされたなんて聞いたら私は…」
…落ち込んでいるところ悪いけれど私は悪役令嬢ですよ?お父様。
大抵の人間なら一瞬で灰にできます。
って言って一発で解決してあげたいところだけどそうもいかないわよね。
「心配しすぎですよ、お父様。大丈夫です。私はもう自分で自分の身を守れますから」
小説史上最悪の悪役令嬢をなめてもらっちゃ困るわ。
「…分かった。じゃぁ条件付きで外出を許そう」
「本当ですか!?」
「あぁ、勿論。そんなに出掛けたいなら止められないよ。でも一人っていう条件は見直させてもらうけどね」
「え…?」
「リティ。仲直りする準備はできてるかい?」
「へっ?」
まず最初にお父様が提示した条件が…明日はお母様とお父様と一日ゆっくり過ごすことだった。そうよ、ここまではいいの。なんの問題もない。
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