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準備
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あっさり許されたと思ったら護衛としてアレクシスを連れて行く事が条件だったなんて…王子様をなんだと思ってるのよ…。
どう考えても護衛するなら彼じゃなくて私でしょ。
たまたま仕事が一段落してたから良かったものの…またアレクに仕事を溜め込ませてしまうところだったじゃない。
ちなみに私が貴方なんて嫌い!とか言ったから奇跡的に断ってくれたりしないかなと期待したのだがあっさり裏切られた。
悲しいことに普通に承諾されたのである。
普通断るでしょ!嫌いとか言ってきた相手から誘われたら!どうして受け入れちゃったのよ…。
お父様はリティに誘われたらいついかなる時でも一緒に出掛けられるような男じゃないといけない!って言ってたけど…そんな教育を受けていたら確かに我儘にもなるわね。
このままでは私も地球は自分中心に回っていると勘違いしてしまいそうだわ。
そして翌日、お母様やお父様と何も考えずに過ごすと、あっという間に時が過ぎていった。
本当の両親ではないが心から娘を愛してくれる彼らの側は心地が良く、このまま何もかも忘れてしまいたいとさえ思った。
初めから何も手にしなければ欲張ることなどなかったのに。何かを手に入れた瞬間人は手放すのを嫌がるだけでなく、欲張りになってしまう。
この際欲張りでもいいわ。
手放すのは最小限だけにするように上手に動けばいい話だもの。
最悪の処刑エンドを避けられれば私はそれで満足よ…。
それ以上を求めるから辛いの。
だったら求めなければいい。無駄な希望はすぐにでも捨てなければ。
そして更に時が過ぎ、成り行きで決まってしまったアレクシスとのお出かけの日がやって来た。
「これってもしかしてデートなのでは!?」とルナがなんとも余計な一言を発したせいで私は無駄に緊張する羽目になった。
デートだなんて言われたら変に意識しちゃうでしょ。そもそもそんなんじゃないんだってば…。
普通に考えたら悪役令嬢と男主人公のデートだなんて主人公の命がどれだけあっても足りないイベントよね…。
「お嬢様、今日は美しく綺麗に着飾って最高のお嬢様に仕上げますね!」
「それじゃ動きにくいでしょ。最小限でいいわよ」
「そんな…お嬢様…せっかくのデートなのに…」
「だからデートじゃないってば。」
何度否定しても彼女は全く聞き耳を持たずに鼻歌を歌いながら私の髪を慎重に整えていく。そして私はふと疑問に思ったことを口にする。
「ねぇルナ、嫌いって言ってきた人からのデートを承諾する男ってどう思う?」
「……え?もしかして殿下のことを言ってるんですか?」
「そうよ。私彼に嫌いって言っちゃったの」
「そりゃまた大層な嘘をつきましたね。どう見てもお嬢様は殿下が大好きなのに」
「…そんなに私って分かりやすい?」
「分かりやすいですよ。殿下の話をしてる時が一番楽しそうですもん」
そうなんだ…それは初耳だわ。人から見た自分って分からないものね。
そもそもそんなに話してるつもりもなかったのに…ルナの前で悪役を演じる必要がなかったからつい気が緩んでいたのかもね。
「お嬢様を幸せにしてくれるのは殿下しかいないでしょうね。まぁそもそもお嬢様に釣り合うお方も殿下くらいしかいないでしょうけど」
この家の人は皆私を姫か何かだと思ってるの…?いくら愛されるにしても限度ってものがあるでしょ…。
「じゃぁ殿下を…アレクシスを幸せにしてくれる人は誰だと思う?」
「それはもちろんお嬢様しかいませんよ」
「…それが、残念ながら違うのよね」
「え、そ、それはどこのご令嬢ですか!?恐れ多くもお嬢様の婚約者に手を出すなんて…!この私が成敗してあげます!」
「ちょ、ちょっとそういうことじゃないわよ。今はいないけど…これから出てくるのよ。」
「なんでそんなことが分かるんですか?」
「…予知夢。予知夢を見たのよ」
「お嬢様の夢の話はカステラが無限に出てくる話しか聞いたことありませんよ?それなのに突然予知夢なんて見るようになったんですか…?あっ、もしかしてカステラが予知夢」
「一体何の話をしてるの!?そういうことじゃないわよ…」
カステラが沢山出てくる夢って何…?悪役令嬢はそんなにカステラに飢えていたの…?
ちょっと私の中のリティシアのイメージが崩れたわ…。
「それにしても…お嬢様の目の腫れがちゃんと引いてよかったですね。やっぱりすぐ処置したのがよかったようです」
「完全に忘れてたから暫く経ってからやったってことは言わないでおくわね。」
「お嬢様!?忘れてたんですか!」
「仕方ないでしょ、色々考え事してたら忘れちゃうわよ」
「お嬢様…お嬢様はとってもお美しいんですからお手入れを忘れないで下さい…お願いします…」
「それは…ルナの役目じゃない」
「さっきはそんなに着飾る必要はないって言ってたのに…こんな時だけ侍女扱いですか?」
「…分かったわよ。次からは気をつける。」
確かにリティシアは美しいからね…私のせいで可愛さが半減するのは勿体ないわ。
ちゃんと気をつけないと。
どう考えても護衛するなら彼じゃなくて私でしょ。
たまたま仕事が一段落してたから良かったものの…またアレクに仕事を溜め込ませてしまうところだったじゃない。
ちなみに私が貴方なんて嫌い!とか言ったから奇跡的に断ってくれたりしないかなと期待したのだがあっさり裏切られた。
悲しいことに普通に承諾されたのである。
普通断るでしょ!嫌いとか言ってきた相手から誘われたら!どうして受け入れちゃったのよ…。
お父様はリティに誘われたらいついかなる時でも一緒に出掛けられるような男じゃないといけない!って言ってたけど…そんな教育を受けていたら確かに我儘にもなるわね。
このままでは私も地球は自分中心に回っていると勘違いしてしまいそうだわ。
そして翌日、お母様やお父様と何も考えずに過ごすと、あっという間に時が過ぎていった。
本当の両親ではないが心から娘を愛してくれる彼らの側は心地が良く、このまま何もかも忘れてしまいたいとさえ思った。
初めから何も手にしなければ欲張ることなどなかったのに。何かを手に入れた瞬間人は手放すのを嫌がるだけでなく、欲張りになってしまう。
この際欲張りでもいいわ。
手放すのは最小限だけにするように上手に動けばいい話だもの。
最悪の処刑エンドを避けられれば私はそれで満足よ…。
それ以上を求めるから辛いの。
だったら求めなければいい。無駄な希望はすぐにでも捨てなければ。
そして更に時が過ぎ、成り行きで決まってしまったアレクシスとのお出かけの日がやって来た。
「これってもしかしてデートなのでは!?」とルナがなんとも余計な一言を発したせいで私は無駄に緊張する羽目になった。
デートだなんて言われたら変に意識しちゃうでしょ。そもそもそんなんじゃないんだってば…。
普通に考えたら悪役令嬢と男主人公のデートだなんて主人公の命がどれだけあっても足りないイベントよね…。
「お嬢様、今日は美しく綺麗に着飾って最高のお嬢様に仕上げますね!」
「それじゃ動きにくいでしょ。最小限でいいわよ」
「そんな…お嬢様…せっかくのデートなのに…」
「だからデートじゃないってば。」
何度否定しても彼女は全く聞き耳を持たずに鼻歌を歌いながら私の髪を慎重に整えていく。そして私はふと疑問に思ったことを口にする。
「ねぇルナ、嫌いって言ってきた人からのデートを承諾する男ってどう思う?」
「……え?もしかして殿下のことを言ってるんですか?」
「そうよ。私彼に嫌いって言っちゃったの」
「そりゃまた大層な嘘をつきましたね。どう見てもお嬢様は殿下が大好きなのに」
「…そんなに私って分かりやすい?」
「分かりやすいですよ。殿下の話をしてる時が一番楽しそうですもん」
そうなんだ…それは初耳だわ。人から見た自分って分からないものね。
そもそもそんなに話してるつもりもなかったのに…ルナの前で悪役を演じる必要がなかったからつい気が緩んでいたのかもね。
「お嬢様を幸せにしてくれるのは殿下しかいないでしょうね。まぁそもそもお嬢様に釣り合うお方も殿下くらいしかいないでしょうけど」
この家の人は皆私を姫か何かだと思ってるの…?いくら愛されるにしても限度ってものがあるでしょ…。
「じゃぁ殿下を…アレクシスを幸せにしてくれる人は誰だと思う?」
「それはもちろんお嬢様しかいませんよ」
「…それが、残念ながら違うのよね」
「え、そ、それはどこのご令嬢ですか!?恐れ多くもお嬢様の婚約者に手を出すなんて…!この私が成敗してあげます!」
「ちょ、ちょっとそういうことじゃないわよ。今はいないけど…これから出てくるのよ。」
「なんでそんなことが分かるんですか?」
「…予知夢。予知夢を見たのよ」
「お嬢様の夢の話はカステラが無限に出てくる話しか聞いたことありませんよ?それなのに突然予知夢なんて見るようになったんですか…?あっ、もしかしてカステラが予知夢」
「一体何の話をしてるの!?そういうことじゃないわよ…」
カステラが沢山出てくる夢って何…?悪役令嬢はそんなにカステラに飢えていたの…?
ちょっと私の中のリティシアのイメージが崩れたわ…。
「それにしても…お嬢様の目の腫れがちゃんと引いてよかったですね。やっぱりすぐ処置したのがよかったようです」
「完全に忘れてたから暫く経ってからやったってことは言わないでおくわね。」
「お嬢様!?忘れてたんですか!」
「仕方ないでしょ、色々考え事してたら忘れちゃうわよ」
「お嬢様…お嬢様はとってもお美しいんですからお手入れを忘れないで下さい…お願いします…」
「それは…ルナの役目じゃない」
「さっきはそんなに着飾る必要はないって言ってたのに…こんな時だけ侍女扱いですか?」
「…分かったわよ。次からは気をつける。」
確かにリティシアは美しいからね…私のせいで可愛さが半減するのは勿体ないわ。
ちゃんと気をつけないと。
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