180 / 209
誕生日パーティ編 その6
しおりを挟む
「リティシア様!」
すると突如見知った二人組が現れる。一人は手を振り上げ、もう一人は軽くこちらに会釈をする。
髪を結い上げ、ドレスはやはり周りに合わせて派手ではないものであったが、非常によく二人に似合っていた。
「デイジー嬢!来てくれたのね」
「勿論、リティシア様の誕生日パーティーとあれば世界中どこにいても駆けつけますよ」
「いくらなんでもそれは無理じゃないかしら…」
相変わらずの忠誠心に呆れつつも、私は隣に立つ控えめで大人しい少女に笑いかける。
「マリーアイ嬢も来てくれてありがとう」
「い、いえ…ご招待有難うございます」
私に挨拶に来てくれるご令嬢ができるなんて一体誰が予想できたかしら…。デイジー嬢はあの時助けたから分からなくもないけどその友人のマリーアイ嬢にまで好かれるとは思ってもいなかったわ。
「えっと、こちらの方は噂の護衛騎士様ですよね。ではそちらのお方は…」
「この子はイサベルよ。私の侍女なの」
「えっ、侍女なんですか!?こんなに可愛らしいのに!?」
イサベルはアルターニャに続きデイジー嬢にまで褒められ困惑した様子を見せる。
平民である彼女からしたら令嬢達はきっと実物以上に輝いて見えるはずだ。そんな彼らに言われるのだからその反応は仕方ないのかもしれない。
さてデイジー嬢に平民であることを伝えても問題はないでしょうけど…ここはイサベルに任せるか。
「ご令嬢、お褒めの言葉を有難うございます。私はイサベル=シャルレッタ。……平民です。」
「……リティシア様は本当に不思議なことをなさるのですね。公女が平民を侍女にしてしかも可愛らしいドレスを着せるなんて前代未聞ですよ。流石リティシア様です!」
イサベルも私と同じ判断をしたらしく、あっさりと身分を明かす。
デイジー嬢とマリーアイ嬢は揃って驚いた様子を見せたが、それまでで、彼女を貶す様子は一切見えなかった。今のデイジーの発言にも嫌味は全く感じられず、単純に私の功績を褒めているようであった。
「ありがとう。このことは周りには秘密にしてね。このパーティは一応貴族しか招待してないから平民がいるとなれば騒ぎになるかもしれないわ。」
「分かりました!イサベルさん、これからよろしくお願いしますね」
「はい。こちらこそ宜しくお願い致します!」
アーグレンもイサベルも平民の身分のままではもったいない程に美男美女だから、この場に平民が紛れ込んでいるだなんて誰も夢にも思わないのでしょう。これは下手なことは言わずに黙っておくべきね。
「リティシア様、お誕生日本当におめでとうございます!私からのプレゼントです!」
「えっ、プレゼント?プレゼントって来る時に使用人に渡しておくものじゃないの?」
「本来はそうなんですけど、直接渡したかったんです。リティシア様の喜ぶお顔が見たかったので!」
この子もこの子で常識破りよね…。
そう心で思いながらも彼女が取り出そうとするプレゼントにわくわくしている自分がいることに気づく。友達から貰える誕生日プレゼントだなんていつぶりかな…。
これが本当に私の誕生日だったら最高だったんだけどなぁ。
「リティシア様、私からはハンカチのプレゼントです!刺繍入りですよ」
「ありがとう」
デイジー嬢から薄いピンク色のハンカチを受け取ると、刺繍の文字を見てみる。英語の文字で「リティシア様よ、永遠に」と書かれてあった。あぁ…このまま封印しよう。
「あっ、やっぱりまずかったですか?ただリティシア様って入れるのもなんか物足りないなぁと思って付け足しちゃったんですよね」
「いや、そんなことないわよ。大切に引き出しにしまっておくわね」
「使う気ないじゃないですか!」
デイジー嬢の不満そうな表情を無視してマリーアイ嬢の方を向く。彼女も何かを言いたげに口を動かしていた。
「あの、私はリボンを…」
そう言って手渡されたリボンは赤ではなく、真っ青に染められていた。
「…青色?」
「はい、えっと…殿下のお色です…今お召しになられているドレスにもよくお似合いになられると思います…」
マリーアイ嬢は少しずつ自分のペースで言葉を紡いでいく。
彼女のその言葉で自分が今青いドレスを着ていることを思い出した。赤い髪に青いドレスは似合うのかどうか不安であったがこれが意外と似合っていて対象的な色がお互いの良さを引き出していた。
それはまるで……私のために作られたドレスのようであった。
「あっ!よく見るとイサベルさんとリティシア様お揃いのドレス着てるじゃないですか!ずるい!私もマリーとやればよかった…」
「イジー、そんなのいくらでもできるわよ。それよりリティシア様に対して『ずるい』はないでしょ。」
「あっ、そうですね、申し訳ございません」
「それは構わないのだけど…二人の愛称を初めて聞いたから驚いちゃったわ。そこまで仲が良かったなんて知らなかった」
「あっ、そうでしたか?実は私達は幼馴染みで小さい頃からずっと仲良しなんです。何をするにもどんな時も一緒でした。私はマリーのためならなんだってできますよ」
「ちょ、ちょっとイジー、何もリティシア様の前で言わなくても…」
「……似てるわね。私の友人と」
アーグレンは微妙な表情をして令嬢二人を見つめていた。
すると突如見知った二人組が現れる。一人は手を振り上げ、もう一人は軽くこちらに会釈をする。
髪を結い上げ、ドレスはやはり周りに合わせて派手ではないものであったが、非常によく二人に似合っていた。
「デイジー嬢!来てくれたのね」
「勿論、リティシア様の誕生日パーティーとあれば世界中どこにいても駆けつけますよ」
「いくらなんでもそれは無理じゃないかしら…」
相変わらずの忠誠心に呆れつつも、私は隣に立つ控えめで大人しい少女に笑いかける。
「マリーアイ嬢も来てくれてありがとう」
「い、いえ…ご招待有難うございます」
私に挨拶に来てくれるご令嬢ができるなんて一体誰が予想できたかしら…。デイジー嬢はあの時助けたから分からなくもないけどその友人のマリーアイ嬢にまで好かれるとは思ってもいなかったわ。
「えっと、こちらの方は噂の護衛騎士様ですよね。ではそちらのお方は…」
「この子はイサベルよ。私の侍女なの」
「えっ、侍女なんですか!?こんなに可愛らしいのに!?」
イサベルはアルターニャに続きデイジー嬢にまで褒められ困惑した様子を見せる。
平民である彼女からしたら令嬢達はきっと実物以上に輝いて見えるはずだ。そんな彼らに言われるのだからその反応は仕方ないのかもしれない。
さてデイジー嬢に平民であることを伝えても問題はないでしょうけど…ここはイサベルに任せるか。
「ご令嬢、お褒めの言葉を有難うございます。私はイサベル=シャルレッタ。……平民です。」
「……リティシア様は本当に不思議なことをなさるのですね。公女が平民を侍女にしてしかも可愛らしいドレスを着せるなんて前代未聞ですよ。流石リティシア様です!」
イサベルも私と同じ判断をしたらしく、あっさりと身分を明かす。
デイジー嬢とマリーアイ嬢は揃って驚いた様子を見せたが、それまでで、彼女を貶す様子は一切見えなかった。今のデイジーの発言にも嫌味は全く感じられず、単純に私の功績を褒めているようであった。
「ありがとう。このことは周りには秘密にしてね。このパーティは一応貴族しか招待してないから平民がいるとなれば騒ぎになるかもしれないわ。」
「分かりました!イサベルさん、これからよろしくお願いしますね」
「はい。こちらこそ宜しくお願い致します!」
アーグレンもイサベルも平民の身分のままではもったいない程に美男美女だから、この場に平民が紛れ込んでいるだなんて誰も夢にも思わないのでしょう。これは下手なことは言わずに黙っておくべきね。
「リティシア様、お誕生日本当におめでとうございます!私からのプレゼントです!」
「えっ、プレゼント?プレゼントって来る時に使用人に渡しておくものじゃないの?」
「本来はそうなんですけど、直接渡したかったんです。リティシア様の喜ぶお顔が見たかったので!」
この子もこの子で常識破りよね…。
そう心で思いながらも彼女が取り出そうとするプレゼントにわくわくしている自分がいることに気づく。友達から貰える誕生日プレゼントだなんていつぶりかな…。
これが本当に私の誕生日だったら最高だったんだけどなぁ。
「リティシア様、私からはハンカチのプレゼントです!刺繍入りですよ」
「ありがとう」
デイジー嬢から薄いピンク色のハンカチを受け取ると、刺繍の文字を見てみる。英語の文字で「リティシア様よ、永遠に」と書かれてあった。あぁ…このまま封印しよう。
「あっ、やっぱりまずかったですか?ただリティシア様って入れるのもなんか物足りないなぁと思って付け足しちゃったんですよね」
「いや、そんなことないわよ。大切に引き出しにしまっておくわね」
「使う気ないじゃないですか!」
デイジー嬢の不満そうな表情を無視してマリーアイ嬢の方を向く。彼女も何かを言いたげに口を動かしていた。
「あの、私はリボンを…」
そう言って手渡されたリボンは赤ではなく、真っ青に染められていた。
「…青色?」
「はい、えっと…殿下のお色です…今お召しになられているドレスにもよくお似合いになられると思います…」
マリーアイ嬢は少しずつ自分のペースで言葉を紡いでいく。
彼女のその言葉で自分が今青いドレスを着ていることを思い出した。赤い髪に青いドレスは似合うのかどうか不安であったがこれが意外と似合っていて対象的な色がお互いの良さを引き出していた。
それはまるで……私のために作られたドレスのようであった。
「あっ!よく見るとイサベルさんとリティシア様お揃いのドレス着てるじゃないですか!ずるい!私もマリーとやればよかった…」
「イジー、そんなのいくらでもできるわよ。それよりリティシア様に対して『ずるい』はないでしょ。」
「あっ、そうですね、申し訳ございません」
「それは構わないのだけど…二人の愛称を初めて聞いたから驚いちゃったわ。そこまで仲が良かったなんて知らなかった」
「あっ、そうでしたか?実は私達は幼馴染みで小さい頃からずっと仲良しなんです。何をするにもどんな時も一緒でした。私はマリーのためならなんだってできますよ」
「ちょ、ちょっとイジー、何もリティシア様の前で言わなくても…」
「……似てるわね。私の友人と」
アーグレンは微妙な表情をして令嬢二人を見つめていた。
11
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる