第二王子の婚約者候補になりましたが、専属護衛騎士が好みのタイプで困ります!

春浦ディスコ

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後日談 我慢はほどほどに⑤

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「……え?アランの?」

想像もしていなかった返答にシャルロットが驚く。

寮住まいと聞いていたはずだ。
それに高級住宅街という立地にこんな大きな家、とてもじゃないが簡単に購入出来る価格ではないだろう。

「実は剣術大会の報奨を一度目からずっともらっていなかったのですが、来年の優勝者が貰いにくくなるので、何か貰えと王太子殿下に言われまして」

確かに三連覇したアランが何も貰っていないとなれば、次の優勝者はとてもじゃないが受け取れないだろう。

「十分に給金や、特殊任務での手当もいただいているので特に貰う必要がなく断っていたのですが……あなたとの将来を考えると、そうもいかないと思い貰うことにしたんです」

将来、という言葉に胸が高鳴る。
アランの考える将来に自分が存在することがこの上なく嬉しい。

「すると優勝三回分ということでまさかですが、この家をいただくことになりました」
「まあ!」
「元々は別の用途で建てた家のようですが、話が無くなり空き家だったそうです。王家が王都に保有している不動産はいくつかあるようですが、他の家はあまり立地が良くなかったのと、ここが一番新しかったので。まあ確かに空き家でもこの規模の家を維持しようとすると結構管理費がかかりますからね」

「だからって家をいただくなんて、そんなことあるのね……?」

実はアランのシャルロットに対する溺愛ぶりに、国としてはアランが騎士を辞めてシャルロットの実家があるスラットレイ伯爵領に住居を移してもおかしくはないと危惧していた。
侯爵家の息子ではあるが、三男であるアランは家を継ぐことがなく、あっさり伯爵家に婿に入ってもおかしくはない。
王太子であるヤードルと第二王子のフリードのお気に入りでもあり、国としては実力者で有名なアランが騎士団に所属しているだけで、他国への牽制になり、治安にも貢献してくれる。

空き家があることや次の優勝者のためなどと、アランに説明したことも事実だが、加えてアランを囲い込む意味合いもあった。
今後もアランが騎士でいれば、いくらでもお釣りがくるのだ。
もちろんそんな話を二人は知る由もない。

アランからするとしばらく騎士を辞めるつもりは無く、ただ単に高額な報奨を手に入れることができた形となった。

シャルロットが室内を見渡すと、どこを見ても洗練された造りになっている。

「シャルロットが気に入らなければ、貸し出してもいいですし……っと、ここで話すのもあれですし、奥に入りましょう」

二人は奥から現れた侍女にコートを渡し、玄関のエントランスから談話室に移動する。

ブラウンを基調とした暖かみのある壁紙と家具。
暖炉の前に大きなソファが置かれ、ここは来客用というよりは、家族で過ごすための談話室のようだ。
照明がいくつか灯っているが薄暗く、暖炉のおかげでそこだけほんのりと明るい。
暖炉からはパチ、パチ、と心地よい音が聞こえる。
この場にいるだけで、すぐに眠ってしまいそうなほど居心地が良さそうな空間である。

「素敵……!」

大きなソファに二人で座る。
ふかふかと柔らかいそれに沈み込む。

「ここは早めに家具を入れました、今日あなたとここで過ごしたくて」

「アラン……」
「エントランスを含めて他の部屋の壁紙はあなたの好みで選んでください」

その口ぶりにときめいてしまう。
まるで一緒に住むような言い方だ。

シャルロットが少し緊張しているとノックが鳴る。
侍女が蒸留酒とシャルロットのための果実水を持ってきた。

侍女が退室すると、二つ大切な話があるとアランが畏まった。

「一つは……実は、来週よりまた遠征に行くことに決まりました」

「そうなのね、今度はどれくらいの期間かは決まってるの?」
「予定では一月ほどですね」
「分かったわ、あなたの無事を祈って待っているわね」
「寂しい思いをさせて申し訳ないと思っています」
「アラン、私、騎士のあなたを好きになったのよ?離れて過ごすこともあると、もちろん承知の上だわ」
「俺は寂しいです」
「ふふふ、素直ね」
「……もう一つの話ですが」

隣あって座っていたアランが立ち上がるとシャルロットの目の前に片膝を立てて跪いた。
真剣な面持ちのアランに、シャルロットに緊張が走る。

「……シャルロットを愛しています。ありのままのあなたが、生涯健やかに笑顔で過ごせるように努力します。シャルロットの幸せを、俺に守らせてください。……俺と結婚してくれませんか」

アランがスラックスのポケットからビロードの小箱を取り出すとシャルロットに向けて開く。
シャルロットが息を呑んだ。
小箱の中に大きく煌めく宝石がついた指輪が見えた。
シャルロットは感極まり目頭が熱くなる。

「ずっとシャルロットのそばにいたい。……近衛騎士ですので、王子殿下について家を離れることもありますが……あなたに寂しい思いをさせないよう努力します」

額に汗を浮かべながら言葉を紡ぐアランに、シャルロットはついに涙が溢れた。

「共に歩んでくれるだけでいいの、一緒にいてくれるだけで、幸せなの」

シャルロットが跪くアランに抱きついた。
アランがシャルロットを抱き止めると、そのまま力強く抱きしめる。

ポロポロと涙を流すシャルロットの涙を親指の腹で拭う。

「私、何もすごくないのに、私、あなたにあげられるもの何も持っていないわ」
「そんなことありませんよ。周りの人を思いやる気持ちも、それを実行する行動力も、あなたの素晴らしいところです。シャルロットがどれほど素晴らしい人間か、生涯をかけて伝えます。……それに俺はもうたくさんいただいていますよ。あなたを抱きしめる喜びも、あなたに口付けをする喜びも」

顔を傾けて触れるだけのキスをする。

「あなたがいれば何もいらない。シャルロットだけが欲しい。……結婚、してくれますか」
「はい……アランのお嫁さんにしてください」
「シャルロット……!」

これでもかと力を込めてアランがシャルロットを掻き抱く。

体を離すとアランが小箱から指輪を取り出すとシャルロットの薬指にはめる。
感激しているシャルロットが指輪を眺めてさらに泣く。

「愛しています、シャルロット」
「私も、アランを愛してるの……」

涙が止まらないシャルロットに微笑みながら涙を拭っては、口付ける。
すぐに舌を絡めると、シャルロットの腕がアランの首に巻きついた。
シャルロットの涙を舐めては濃厚なキスを繰り返す。
いつの間にか涙は止まり、息も絶え絶えになったシャルロットの口の端から涎が垂れる。
それを追いかけるようにアランが舐める。

「シャルロットおいで」

ソファに座り直すアランがシャルロットの手を引いて膝の上に座らせた。
アランがシャルロットの腰に手を回す。
いつもの格好にアランがふっ、と笑いを漏らした。

「いつもと一緒ね」

シャルロットも同じことを思い微笑む。

アランが顔を近づけて口付けを強請るとシャルロットから口付けた。
舌でアランの唇をぺろ、と舐めるとアランの舌がでてきた。
口の外で舌を触れ合わせる。
なんとも淫靡な光景に気持ちが昂まる。

「アラン、」
「なんですか」

舌を触れ合わせながら、合間に言葉を紡ぐ。
高揚した表情のシャルロット。

「私に……あなたに抱いてもらう喜びをちょうだい……?」

自分の腰を押し付けるシャルロットにアランの理性が消え失せる。

「ええ、何度だって」
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