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マーサは週に二回の家庭教師のために王城に数時間から半日ほど滞在する。
登城しない日は、王立図書館に通うことが多い。
参考資料を元に課題を作成するためである。
王立学院に勤めていた頃よりも時間に融通がきき、しかも給料がいいとなれば、マーサは何の不満もなく充実した日々を送っていた。
休日の午前に家庭教師をしていると、なんと昼食を同席させていただくことがある。
最初は断るそぶりを見せていたが、残念そうにするシルヴァンに絆されてしまった。
普段口にできないような高級な食材で作られた昼食に感激し、マーサは厚かましいとは思いつつも、今ではありがたく堪能していた。
嬉しそうに食事を平らげるマーサに、シルヴァンはとても満足そうだった。
昼食の際は、シルヴァンがプライベートな話をしてくれることも多かった。
シルヴァンは乗馬と剣術を好んでいるが、王立学院に進学してからはあまり暇が取れないこと。
幼少期から絵画があまりにも上達しなかった為、第三王子のベルナール殿下にその才能を全て吸い取られたのかもしれない、などと冗談を言った時は、マーサは思わず声を漏らして笑ってしまった。
ベルナール殿下が画家としての才能を開花させ、外国の地で暮らしているのは有名な話だ。
シルヴァンはすでに議会には参画しており、卒業次第、本格的に外交を中心に活躍されるそうだ。
「外交大臣もいるが、直系の自分が出向くメリットはあると思っているからね」
シルヴァンが国の議会に参加することで、国としてあるべき本意を理解出来る。
本意を理解していることで、臨機応変に対応出来ることが重要と考えているそうだ。
決定権を持つシルヴァンが最適な落とし所をその場で見定められるというのは、話もまとまりやすいだろう。
マーサはいたく感動して、シルヴァンに尊敬の意を抱いた。
シルヴァンが今後のビジョンを話してくれたこともあり、マーサも素直に自分の話をした。
研究所に勤める叔父の影響で、幼少期から本が好きだったこと。
本好きが講じて王立学院に進学し、卒業後は教師になれたこと。
シルヴァンは口にしていたカップを置き、マーサの話を真剣に聞いてくれた。
婚活の為に退職したが、全くモテなかったことを伝えるとシルヴァンはにっこりと微笑んだ。
「それで、今後はその、婚活とやらを再開するつもりはあるのか?」
「今のところ無いですね......もう来年は二十六ですし子爵令嬢としての価値はないかなと......。結婚は難しいとなると来年殿下がご卒業された後は王立学院に戻るか、どこかで雇ってもらうかですかねえ」
マーサの言葉にみるみると真顔になったシルヴァンは最後には神妙な面持ちで頷くだけだった。
ーーー
王立学院では夏に長期休暇がある。
その頃には談話室ではなくシルヴァンの執務室に招かれるようになっていた。
夏期休暇でまとまった時間が取れるシルヴァンは、課題をこなすのではなく、資料収集や資料の要約を中心に学習を進めていた。
そこで隣国の特産物を調べている際に疑問点が出てきた。
「数年に一度穀物の輸入量ががくんと減るんだ。我が国ではあらかじめ予算に対して輸入することから単価があがったのだろう。資料に単価が上がった理由は記載されていないんだ。素直に考えると収穫量が減ったと考えられるが。そうなれば、気候の変化や自然災害などの環境に起因するのか、はたまた労働力の問題か......。」
「働き手の減少といえば、情報統制されている戦の可能性があるかもしれませんね」
「可能性は低いが捨てきれないな、内戦であれば情報統制もしやすい」
「そうなると資料には現れてきませんねえ」
「外交大臣なら詳しいことを知っているだろうか......いや、まずは資料を集めたいな。図書管理室に行くか」
「そうですね、あとは王立図書館にも研究所の所員方の著書が豊富ですしそちらも良いかもしれませんね」
シルヴァンを大きく頷き、マーサと共に執務室を出た。
登城しない日は、王立図書館に通うことが多い。
参考資料を元に課題を作成するためである。
王立学院に勤めていた頃よりも時間に融通がきき、しかも給料がいいとなれば、マーサは何の不満もなく充実した日々を送っていた。
休日の午前に家庭教師をしていると、なんと昼食を同席させていただくことがある。
最初は断るそぶりを見せていたが、残念そうにするシルヴァンに絆されてしまった。
普段口にできないような高級な食材で作られた昼食に感激し、マーサは厚かましいとは思いつつも、今ではありがたく堪能していた。
嬉しそうに食事を平らげるマーサに、シルヴァンはとても満足そうだった。
昼食の際は、シルヴァンがプライベートな話をしてくれることも多かった。
シルヴァンは乗馬と剣術を好んでいるが、王立学院に進学してからはあまり暇が取れないこと。
幼少期から絵画があまりにも上達しなかった為、第三王子のベルナール殿下にその才能を全て吸い取られたのかもしれない、などと冗談を言った時は、マーサは思わず声を漏らして笑ってしまった。
ベルナール殿下が画家としての才能を開花させ、外国の地で暮らしているのは有名な話だ。
シルヴァンはすでに議会には参画しており、卒業次第、本格的に外交を中心に活躍されるそうだ。
「外交大臣もいるが、直系の自分が出向くメリットはあると思っているからね」
シルヴァンが国の議会に参加することで、国としてあるべき本意を理解出来る。
本意を理解していることで、臨機応変に対応出来ることが重要と考えているそうだ。
決定権を持つシルヴァンが最適な落とし所をその場で見定められるというのは、話もまとまりやすいだろう。
マーサはいたく感動して、シルヴァンに尊敬の意を抱いた。
シルヴァンが今後のビジョンを話してくれたこともあり、マーサも素直に自分の話をした。
研究所に勤める叔父の影響で、幼少期から本が好きだったこと。
本好きが講じて王立学院に進学し、卒業後は教師になれたこと。
シルヴァンは口にしていたカップを置き、マーサの話を真剣に聞いてくれた。
婚活の為に退職したが、全くモテなかったことを伝えるとシルヴァンはにっこりと微笑んだ。
「それで、今後はその、婚活とやらを再開するつもりはあるのか?」
「今のところ無いですね......もう来年は二十六ですし子爵令嬢としての価値はないかなと......。結婚は難しいとなると来年殿下がご卒業された後は王立学院に戻るか、どこかで雇ってもらうかですかねえ」
マーサの言葉にみるみると真顔になったシルヴァンは最後には神妙な面持ちで頷くだけだった。
ーーー
王立学院では夏に長期休暇がある。
その頃には談話室ではなくシルヴァンの執務室に招かれるようになっていた。
夏期休暇でまとまった時間が取れるシルヴァンは、課題をこなすのではなく、資料収集や資料の要約を中心に学習を進めていた。
そこで隣国の特産物を調べている際に疑問点が出てきた。
「数年に一度穀物の輸入量ががくんと減るんだ。我が国ではあらかじめ予算に対して輸入することから単価があがったのだろう。資料に単価が上がった理由は記載されていないんだ。素直に考えると収穫量が減ったと考えられるが。そうなれば、気候の変化や自然災害などの環境に起因するのか、はたまた労働力の問題か......。」
「働き手の減少といえば、情報統制されている戦の可能性があるかもしれませんね」
「可能性は低いが捨てきれないな、内戦であれば情報統制もしやすい」
「そうなると資料には現れてきませんねえ」
「外交大臣なら詳しいことを知っているだろうか......いや、まずは資料を集めたいな。図書管理室に行くか」
「そうですね、あとは王立図書館にも研究所の所員方の著書が豊富ですしそちらも良いかもしれませんね」
シルヴァンを大きく頷き、マーサと共に執務室を出た。
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