魔王メーカー

壱元

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第二章 前編

第三十三話 後編

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 剣士は二本の得物で絶え間なく斬撃を浴びせていた。

その軌道は含有する魔力によって水色に染まり、軌道は川の流れのように全くの不規則である。

「流刃」というのが、今手負いの侵入者を苦しめているこの技法の名だった。

バセリアは先程とは打って変わって防戦一方。

二方向から襲い来る致死の攻撃を一本の剣で受け止めるのが精一杯で、満足に距離さえ取れない。

苦境の一幕、不意に放たれた一撃が右肩を突き刺した。

利き腕を封じられ、剣を支える力は半減した。

攻撃に対する反応が遅れ、さらに一撃。

怯んだ所に、雨のような連撃が刺さり、バセリアは力なく血溜まりの中に崩落した。

「…まだ生きているのですね」

「当たり前だろ…」

バセリアは左手を伸ばし、剣に触れた。

「抵抗は無駄です…。大人しく私の提案に乗ってください…。教祖様は選別というものは絶対だと信じています…。ですが、私はそうは思いません。もし貴方が考えを改めて、教団に尽くすなら、命は助けましょう…」

「ふふっ」

バセリアは笑った。

「なんだそりゃ、乗ってやるかよ」

「…そうですか。では」

敵はバセリアの首のすぐ上に剣をゆっくりと降ろした。

「死んでください」

次の瞬間、剣は手から弾かれていた。

バセリアは立ち上がり、両手で武器を支えていた。

その体からは魔力が溢れていた。

敵は慌てて二本目を構えた。

「どうして…?」

「こっちにだって、死にそうになった時用の技はあんだ。行くぞ」

バセリアは四方八方から連続して斬り掛かった。

「柳」が間に合わない正真正銘の神速だ。

敵は一歩、また一歩と後退し、遂に壁際まで追い詰められた。

敵は全身を脱力させた。

壁に全ての衝撃を逃がすつもりである。

「らああ!」

雄叫びを上げ、全身全霊を持って、バセリアが刺突する。

敵は刀身でそれを捉えた。だが、剣が真っ二つに折れ、バセリアの切っ先は身体を貫通した。

二人の剣士は、同時に地に伏した。


 ラーラは激しく吐血しながら立ち上がった。

相手は高らかに笑い、再び両手に魔力を充填し始めた。

だが、次の瞬間、敵は両目を抑えた。

「ああああああ!!」

空気中を舞う血液と飛沫。

冷凍して針状にし、闇魔法で向きを調整しつつ風魔法で飛散させる。

眼鏡をすり抜け、眼球に与える痛みは一時的なものだったが、十分だった。

「こうでしたね?」

復旧直後の敵の視界に、闇の大火輪が広がる。

ラーラは有り余る才能で「教団最高火力」を再現し、敵を結界ごと粉砕した。

「さて」

フードを脱ぎ、口元を拭いながら彼女は遠くを見た。

「あの子は大丈夫かな…」



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