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第三章
第二十八話
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木の枝に誰かが座っていた。
「楽しかったでしょ? ”うちの子”たちと遊ぶのは」
その声は少女のそれだった。
「よっと」
声の主は地面へ飛び降りた。
全身を覆っていた暗緑色のローブが翻り、その中身が見えた。
私は思わず目を逸らした。
植物の蔦を組み合わせて作ったような下着のような小さな服を胸と下半身に身に着けてのみという恰好だったのだ。
少女は私より数歳年上に見え、瞳孔が縦長に走った赤い垂れ目、薄緑色の長い髪が特徴的だった。さらに頭には葉っぱで作った、丸く、ミミズクの羽角のような飾りがついている帽子を被り、首には角笛を掛けていた。
「あたしの名前はパドラマドラ。キミのお名前は?」
「…一つ教えてほしい」
彼女の発した「うちの子」という言葉が引っかかっていた。
あの「大きな狼」たちは恐らく人為的に創られた存在だ。もっとも、その手法については全く見当がつかないが。
「むこうに居た身体の大きい狼のような魔物を作ったのは貴方なの?」
返答はなく、沈黙が流れた。
警戒心を高めた私だったが、直後彼女の目は煌めいた。
「そう! そうなの! あの子たちはあたしの作品なの! 傑作だと思わない? 自然の美しさを活かせていると思うの! ねえ、自然って美しいと思わない!?」
パドラマドラは私の周りをぴょんぴょん跳ね回りながら、堰を切ったように話し続けた。
「あたし、自然が大好きなの! 自然もあたしが大好き! 自然が『広がりたい』って言ってたの! だからこの森も作ったんだ!!」
そうなのか。
…とにかく、この事件の元凶が話の通じそうなので良かった。
彼女の話を一通り聞いてから、私は自らの希望を口にすることにした。
「それなら、お願いがあるんだ。向こうにある城の中に友達が居てさ、その子に会いに行きたいんだ」
そう一言発した途端、彼女の動きが止まり、顔からは笑みが消えた。
「なにそれ?」
その目は大きく見開かれ、私を見つめて一切揺るがなかった。
まるで魂の奥まで突き刺すような視線に、私は背筋が冷たくなり、動けなかった。
彼女は言った。
「城に居た人間は、全員殺したし」
その一言を聞いた途端、私の中で何かが切り替わった。
「ていうか、あの城はあたしが住むことにしたから。そんなつまんないことなんか気にしないで、あたしとお話しようよ」
「…つまんないこと?」
私の脳内を、ラーラとの思い出が高速で駆け巡った。
刹那、私は敵を掴み、木に強く押し付けていた。
「訂正しろ。ラーラはつまらないことなんかじゃない。ラーラは死んでない」
相手は答えなかった。
ただくすりと笑って、
「馬鹿みたい。死んだって言ってんじゃん」
私は考えるよりも早く、「隼斬り」を繰り出した。
木屑を巻き上げながら、切断された樹が地面に落ちる。
「はあ、人間って、ほんと愚か」
右前方、10m程先に、無傷のパドラマドラはふわりと舞い降りた。
「『うちの子』を斬ったね? あーあ、あたしを怒らせちゃった」
敵の両腕に魔力が集まっていく。
「楽しかったでしょ? ”うちの子”たちと遊ぶのは」
その声は少女のそれだった。
「よっと」
声の主は地面へ飛び降りた。
全身を覆っていた暗緑色のローブが翻り、その中身が見えた。
私は思わず目を逸らした。
植物の蔦を組み合わせて作ったような下着のような小さな服を胸と下半身に身に着けてのみという恰好だったのだ。
少女は私より数歳年上に見え、瞳孔が縦長に走った赤い垂れ目、薄緑色の長い髪が特徴的だった。さらに頭には葉っぱで作った、丸く、ミミズクの羽角のような飾りがついている帽子を被り、首には角笛を掛けていた。
「あたしの名前はパドラマドラ。キミのお名前は?」
「…一つ教えてほしい」
彼女の発した「うちの子」という言葉が引っかかっていた。
あの「大きな狼」たちは恐らく人為的に創られた存在だ。もっとも、その手法については全く見当がつかないが。
「むこうに居た身体の大きい狼のような魔物を作ったのは貴方なの?」
返答はなく、沈黙が流れた。
警戒心を高めた私だったが、直後彼女の目は煌めいた。
「そう! そうなの! あの子たちはあたしの作品なの! 傑作だと思わない? 自然の美しさを活かせていると思うの! ねえ、自然って美しいと思わない!?」
パドラマドラは私の周りをぴょんぴょん跳ね回りながら、堰を切ったように話し続けた。
「あたし、自然が大好きなの! 自然もあたしが大好き! 自然が『広がりたい』って言ってたの! だからこの森も作ったんだ!!」
そうなのか。
…とにかく、この事件の元凶が話の通じそうなので良かった。
彼女の話を一通り聞いてから、私は自らの希望を口にすることにした。
「それなら、お願いがあるんだ。向こうにある城の中に友達が居てさ、その子に会いに行きたいんだ」
そう一言発した途端、彼女の動きが止まり、顔からは笑みが消えた。
「なにそれ?」
その目は大きく見開かれ、私を見つめて一切揺るがなかった。
まるで魂の奥まで突き刺すような視線に、私は背筋が冷たくなり、動けなかった。
彼女は言った。
「城に居た人間は、全員殺したし」
その一言を聞いた途端、私の中で何かが切り替わった。
「ていうか、あの城はあたしが住むことにしたから。そんなつまんないことなんか気にしないで、あたしとお話しようよ」
「…つまんないこと?」
私の脳内を、ラーラとの思い出が高速で駆け巡った。
刹那、私は敵を掴み、木に強く押し付けていた。
「訂正しろ。ラーラはつまらないことなんかじゃない。ラーラは死んでない」
相手は答えなかった。
ただくすりと笑って、
「馬鹿みたい。死んだって言ってんじゃん」
私は考えるよりも早く、「隼斬り」を繰り出した。
木屑を巻き上げながら、切断された樹が地面に落ちる。
「はあ、人間って、ほんと愚か」
右前方、10m程先に、無傷のパドラマドラはふわりと舞い降りた。
「『うちの子』を斬ったね? あーあ、あたしを怒らせちゃった」
敵の両腕に魔力が集まっていく。
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