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第24話『第1回シーラ様杯開幕』④
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そして、始まった準決勝。
私の相手は何てこともない優男であったが、戦ってすぐにこいつが危険だという事が分かった。
そう。目が。
かつて、魔王の影響を受けていたアイヴィにそっくりな目をしているのだ。
「ようやく男以外と当たったか。しかし、既に純粋さは失われているな」
「……」
「やはり、私にはかの乙女しか居ないようだ」
ねっとりと、ねばりつく様な視線を観客席に居るシーラ様へ向けているのをみて、私は審判の合図も聞かず、武器を構えて突っ込んでいた。
反則だとかルールだとか関係ない。
こいつはここで排除しないといけない。そう感じたからだ。
しかし、私の攻撃はあっさりと受け止められ、まず武器が奪われた。
そして口を手で塞がれたまま、魔法か何か分からないが、薄い刃で全身を切り刻まれる。
「脆いものだな。人間。本来であれば悲鳴の一つでも楽しみたい所なのだがね。敗北宣言をされてしまえば、この遊びも終了だ。だからせめて楽しませてくれ」
私は悪趣味な男に向かって握りしめた拳で殴り掛かった。
しかし、その手は容易く受け止められて、ゆっくりと曲がらない方向に力を入れられてゆく。
折れる……!
私は恐怖から逃げ出そうとした。
しかし、力では勝てず、腕は踏みつけた小枝の様になってしまった。
痛みが全身をめぐるが、いくら声を出してもそれは音となる事は無かった。
「そ、そこまで!!」
「ん? なんだ。審判。それはどういう意味だ?」
「いや、彼女はもう戦える状態じゃあ」
「おいおい。まだこの女は敗北宣言をしていないだろう。それとも君には聞こえたのかね?」
「それは」
「なぁ、まだ戦うだろう? どうする? 敗北するか?」
熱を出して寝込んでいた時の様に、全身が熱く痛みに支配されていた私は敗北という言葉を聞いて、このまま終わる事が出来ると頷こうとした。
そして、いつかの時の様に、シーラ様が枕元で私の頬を撫でて、「無理はしないで下さい」と言っていた事を思い出し……。
「まぁ、お前が終われば、私はあの乙女を自由に出来る訳だからな。実に楽しみだ。そう考えれば、ここで続ける意味も……」
瞬間、怒りで意識がハッキリとして、魔力の刃で私を捕まえている奴の首を狙った。
しかし、それは外れ、優男の皮膚をわずかに切るだけであった。
「っ」
「ふふ。どうやらまだやれるようだ。しかし」
優男は私を浮かせ、わき腹に強い衝撃を与えた。
おそらくは蹴ったのだろう。
そして、その勢いで私は闘技場の中を転がる。
「私の体を傷つけた罰だ。苦しみながら逝くと良い。大会とやらのルールがあるからな。夜明けに合わせて死ぬ様にしてやろう」
優男は右手を上げ、魔力を集めてそれを私に向かって振り下ろした。
既に体は動かない。
逃げる事は出来ない。
あぁ、私はここで死ぬのか……。
「それなら、最期にシーラ様に、会いたかったな……」
そして、魔法がぶつかり、周囲は閃光と爆炎に包まれるのだった。
私の相手は何てこともない優男であったが、戦ってすぐにこいつが危険だという事が分かった。
そう。目が。
かつて、魔王の影響を受けていたアイヴィにそっくりな目をしているのだ。
「ようやく男以外と当たったか。しかし、既に純粋さは失われているな」
「……」
「やはり、私にはかの乙女しか居ないようだ」
ねっとりと、ねばりつく様な視線を観客席に居るシーラ様へ向けているのをみて、私は審判の合図も聞かず、武器を構えて突っ込んでいた。
反則だとかルールだとか関係ない。
こいつはここで排除しないといけない。そう感じたからだ。
しかし、私の攻撃はあっさりと受け止められ、まず武器が奪われた。
そして口を手で塞がれたまま、魔法か何か分からないが、薄い刃で全身を切り刻まれる。
「脆いものだな。人間。本来であれば悲鳴の一つでも楽しみたい所なのだがね。敗北宣言をされてしまえば、この遊びも終了だ。だからせめて楽しませてくれ」
私は悪趣味な男に向かって握りしめた拳で殴り掛かった。
しかし、その手は容易く受け止められて、ゆっくりと曲がらない方向に力を入れられてゆく。
折れる……!
私は恐怖から逃げ出そうとした。
しかし、力では勝てず、腕は踏みつけた小枝の様になってしまった。
痛みが全身をめぐるが、いくら声を出してもそれは音となる事は無かった。
「そ、そこまで!!」
「ん? なんだ。審判。それはどういう意味だ?」
「いや、彼女はもう戦える状態じゃあ」
「おいおい。まだこの女は敗北宣言をしていないだろう。それとも君には聞こえたのかね?」
「それは」
「なぁ、まだ戦うだろう? どうする? 敗北するか?」
熱を出して寝込んでいた時の様に、全身が熱く痛みに支配されていた私は敗北という言葉を聞いて、このまま終わる事が出来ると頷こうとした。
そして、いつかの時の様に、シーラ様が枕元で私の頬を撫でて、「無理はしないで下さい」と言っていた事を思い出し……。
「まぁ、お前が終われば、私はあの乙女を自由に出来る訳だからな。実に楽しみだ。そう考えれば、ここで続ける意味も……」
瞬間、怒りで意識がハッキリとして、魔力の刃で私を捕まえている奴の首を狙った。
しかし、それは外れ、優男の皮膚をわずかに切るだけであった。
「っ」
「ふふ。どうやらまだやれるようだ。しかし」
優男は私を浮かせ、わき腹に強い衝撃を与えた。
おそらくは蹴ったのだろう。
そして、その勢いで私は闘技場の中を転がる。
「私の体を傷つけた罰だ。苦しみながら逝くと良い。大会とやらのルールがあるからな。夜明けに合わせて死ぬ様にしてやろう」
優男は右手を上げ、魔力を集めてそれを私に向かって振り下ろした。
既に体は動かない。
逃げる事は出来ない。
あぁ、私はここで死ぬのか……。
「それなら、最期にシーラ様に、会いたかったな……」
そして、魔法がぶつかり、周囲は閃光と爆炎に包まれるのだった。
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