聖女の証

とーふ(代理カナタ)

文字の大きさ
72 / 198

第23話『残念ですが、ずっと一緒にいる事は出来ません』②

しおりを挟む
どれほど時間が経っただろうか。

レーニちゃんは泣き止み、落ち着いて話が出来る様になっていた。

私は落ち着いたレーニちゃんに旅の目的を話す。

大切な妹を危険な場所へ送りたくないのだと。

「リリィは、レーニより大事なの?」

「……」

「アメリア?」

「どう、なんでしょうか。私にとってはレーニちゃんも、リリィもそう大きくは変わりません。愛すべき家族、そして護るべくこの世界に生きている人です。同じ様な存在だと思います」

「それは、聖人として世界を護るために頑張ってるアメリアの言葉でしょ? 私は、アメリアの気持ちが知りたいの」

「私の、気持ち」

私は自分の胸に手を当てて、考える。

しかし答えは出ない。

当然だ。今考えただけで答えが出るのならば、長い間考えてはいないのだ。

「アメリアはさ。普通の人間じゃないんだよね」

「そう、ですね」

「なら、レーニと同じ様に、ずっと生きてる?」

「多分、そうなります」

「分かった。なら、全部終わったら聞かせて」

「全部終わったら、ですか?」

「うん。今のアメリアは世界とか、リリィとかが大事なんだよね。それを優先したいって思ってる。だから、レーニと一緒に来る事は出来ないんでしょ?」

「そうなります」

「だから、今アメリアが持ってる物がぜーんぶ終わったら、レーニと一緒になって欲しい」

真剣に、私を見ながら紡がれた未来の姿は、私の心に僅かな波紋を作った。

そして、その波紋がいくつかの波紋を起こし、心に広がってゆく。

「そうですね。それも良いかもしれません」

「っ! ホント!?」

「はい」

「やったぁ!!」

レーニちゃんは勢いよく私に抱き着いて、そのまま湖に押し倒した。

空には満面の笑みを浮かべるレーニちゃんの姿でいっぱいになる。

「アメリア……アメリア」

「レーニちゃん。落ち着いてください。レーニちゃんの所へ行くとは言いましたが、すぐに行けるとは限らないですよ? 少なくともリリィが大人になって独り立ちするまでは一緒にいるつもりですし」

「良いの。それで良い。だって、最後はレーニの所にくるから」

スリスリと顔を寄せながら嬉しそうな声で話すレーニちゃんに私は苦笑しながら、水の流れに乗って、湖を中を進んでゆく。

そして、嬉しそうなレーニちゃんと抱き合いながら湖の中心部付近まで流された時、それは起こった。

『はい、尊いー!!!』

「わっ」

「きゃっ!?」

「アメリア!!」

湖の中央から巨大な人の形をした何かがいくつも現れ、それが両手を広げながら叫び始めたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

論破!~召喚聖女は王子様が気に食わない

中崎実
ファンタジー
いきなり異世界に召喚されて、なんかイケメンに「世界を救ってもらいたい事情」を説明される、よくあるWEBファンタジーあるあるパターンが発生した。 だけどねえ、あなたの言い草が気に食わないのよね?からの、聖女が帰宅するまでのおはなし。 王子「自分達より強い敵をどうにかしてくれる相手を呼ぼう。女なら押し倒してしまえば、思うがままにできる!」 聖女1「有能な人を呼びました、としゃあしゃあと抜かすツラだけ良い男、なぁんか気に入らないのよねえ……」 聖女2「はよ帰ろ~」 聖女3「……」 論破というより爆破してませんか、あなた達?

異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

処理中です...