僕は人畜無害の男爵子息なので、放っておいてもらっていいですか

カシナシ

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番外編(と言いつつ番号順)

28.5 グレイリヒト・シュトーレン ※

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※28話のグレイリヒト視点。
 お忘れの方は28話参照。






 ロローツィアの部屋からフェロモンが溢れ、野郎どもが殺到している。
 トマムからそう聞いて、俺は即座に抑制剤を打って向かった。ジキルとショーンの侍従もついていたらしいが、おそらくその中ではトマムが一番速い。他の誰よりも速く到着したくて、トマムへ矢継ぎ早に指示を出す。


「アレキウスに騎士を借りに行け!俺は先に行く」


 亡霊のようにロローツィアの部屋へ行こうとする野郎どもを、片端から蹴散らしていく。扉から甘く誘うようなフェロモンが確かに漏れていて、抑制剤を打っているのにも関わらず頬の紅潮を自覚した。
 ロローツィアのふにゃふにゃとした返事を待っている間にも騎士たちが到着して、扉を蹴破って入る!

 中にいたロローツィアを見て、顔面を強打したかと思うほどの衝撃を受けた。シーツを素肌に巻き付けて、汗と涙にまみれて、壮絶なフェロモンを発している……!


「ろ……っ!なんて強いフェロモンなんだ……!もう大丈夫だ。俺の部屋に連れて行く。あそこならフェロモンも漏れない」

「……うぅ、はっ、はっ、」


 ろくに話も出来ない様子の彼を、そのまま攫う。トマムも周囲を蹴り倒して道を空けてくれた。はやく、はやく彼を、楽にさせなければ。









 勢いよく自室に連れ込んだ。汗だくの小さな体を寝台に横たえると、『ひぐっ……』と涙をぽろぽろ流している。


「ぐりぇ、うう、だっこして……っ!」


 寂しいのか。ロローツィアの言うままに抱きしめる。部屋の隅ではトマムが生ぬるい微笑みと共に、ローションやら強めの抑制剤やらを置いて、姿を消した。あいつ……!

 オメガのヒート。ロローツィアはまだ来ていないと聞いていた。大概は来る前に前兆があるはずなのに、全く無かった。きっとなにも準備できていなかったに違いない。

 理性も何もかも溶かして、アルファを求めると言う。そしてオメガに誘惑されると、アルファは弱い。お互い事故が起こらないよう、オメガにもアルファにも抑制剤があって、おそらく、ロローツィアは所持していなかった。


「ぐれ、いいにおい、好き」

「っ、ロローツィア……」

「あっ、ひんっ」


 裸のロローツィアが、俺にしがみついていた。その細さと可愛さに思考が停止する。こんなやつ、他の男に任せられるか?否、無理だ。俺が。俺でないと。


「ぐれ、も、ぬいで……っ、もっと、もっとぎゅってして!」

「分かった」


 がばりと服を脱いだ。ロローツィアは嬉しそうに瞳をとろんとさせて、素肌を合わせてくる。俺の腰のものは当然、腹に付くほど硬くなっていたが、それだけはだめだ。ロローツィアは、まだオーランドの婚約者。

 ロローツィアを組み敷いて、好き勝手をさせないようにした。腕を封じられているのに、ロローツィアは期待するように腰を揺らして、今すぐに突き入れたい衝動に駆られる。


「もっとぉ、うう、ごめんねぇ、ぼく、こんなんじゃ……ないのにっ!あうっ……!」


 俺を欲しながらも罪悪感で謝罪するロローツィアが健気で、いじらしくて。俺は、出来るだけその罪悪感を減らしてやりたかった。


「君の気持ち良くなっているのをみたい。上手に出来るか」

「うううっ、あン、分からな……っ」

「俺のために。気持ち良くなってくれ」

「うん、うんっ……!!」


 ロローツィアのプリッとした弾力のある小尻を割開き、蕾の具合を確かめた。十分なほどに濡れてはいるが、小指も入らないほどに狭い。縁をなぞる様にして解していく。

 目の前にはロローツィアの泣き顔があって、たまらなかった。桃金色の長く密度のある睫毛に、ころりとした涙が乗っかって、朝露のように美しい。そっとキスをすると、どんどん内側から愛しさが込み上げてきて。


「ん……、ぐりぇ、もっと……んんっ、そこ、ちがう、きがする」


 そんなことを言いながら、期待するように口元を見られたら。
 頭ではいけない、と分かっているのに、とうとう、つやつやに濡れた唇を、奪ってしまった。


「ん……!は、っ~」

「柔らかい……ロローツィア、上手だ」


 控えめな薄さの唇は、くらくらするほど甘かった。俺に褒められて、嬉しそうに口角を上げるロローツィアが妖艶で色っぽくて、何度も何度も唇を合わせた。

 その間にも指が入る程に孔は緩んできて、じゅぷじゅぷと挿入しては擦ってやる。ロローツィアはもう、言葉も発せられないほどに絶頂し、焦点が合っていない。


「……っ!~~、ぁ、ア………………――――!」

「……ハ、クソッ……」


 このキュウキュウ締め付けてくる蕾へ、自分のものを突き入れて揺さぶりたい。ロローツィアを泣いて善がらせて、抱きたくてたまらない。そんな思考に染まる前に、俺は自分の腕を噛んだ。

 ガリッ、と血の滴るほど噛んでしまったのは、力加減が制御出来なくなっているからだ。少し血が足りないくらいでちょうどいい。ロローツィアの意思なくそんなことは、出来ない。


「あ……あ……っ、もっと、ああン…………っ!ごめ、なしゃ……ッ、きもひ、いい――――」

「くっ……」


 それなのにロローツィアは人の気も知らないで、猫のようにしなやかに背を向け、涙目で俺を見上げてくる。形の良い小ぶりな尻が、俺のモノに近付く。


「ぐりぇ、ほしい……っ!ごめんにぇ、もっと……おくっ」

「この、~っ」


 覆い被さってロローツィアの口を塞ぐ。この小悪魔な口から出る言葉は、俺を惑わせて狂わせる。ロローツィアの股の間に陰茎を擦り付けると、とんでもない快感に襲われた。気持ちがいい。夢中で腰を振り、絶対に入らないよう自分の腕を噛みながら射精する。

 ロローツィアもくぷくぷと白濁を吐き出して、くったりと倒れ込む。気絶したようだ。

 胸の呼吸を見ると、先ほどよりも落ち着いているように見える。



「…………」


 もう、終わってしまったのか?

 すぐに頭を振り払う。無心でロローツィアの身体を綺麗にし、ガウンを着せた。シーツも交換して、やっぱりロローツィアを見て、ため息をつく。

 可愛い。俺を欲してしがみ付きながら、ごめんねと繰り返す、ちぐはぐなロローツィア。謝罪など一切要らないのに。むしろ、俺の方が謝るべきだ。どさくさに紛れて唇を……。


「………………………………やめよう」


 俺は未だ硬度を保つ己の欲求を、処理しに行った。
 若干スッキリした後に、トマムに医者を呼ぶよう申し付けて、ジキルの部屋で寝ることにした。ガウン姿のロローツィアを見ればまた、辛くなるからだ。


 俺のものにしたい。……誰かに託すなど、出来はしない。






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