66 / 76
番外編(と言いつつ番号順)
65 ショーン(4)
しおりを挟む(ショーンside)
「チッ……ついてねぇ」
おれの気分は最悪だった。セフレには裏切られたどころか詐欺だったし、ロロには『さっぱり理解できない』みたいな顔をされるし。
やっぱ、おれにとって、ロロが“可愛い”の権化なんだよ。
ロロの半裸というか、赤い縄で縛られた姿が未だに夢に出てくるって結構やばいと思う。あれはおれの夜のお供ランキングに不動の殿堂入りをした。未だに更新されないほどに、エロかった。
意外と腰回りはむちむちしているのか、食い込む紐。尻の綺麗な膨らみが強調されて、ぷりんぷりんでさ。白いババロアかと思ったさ。左右に脚が大きく広げられていたから、ケツをもう少し、ほんの少し上げてくれれば、可愛い(に違いない)穴が見れたのに。
形の良い細い脚は、蜘蛛に捕まった蝶のように幾何学的な縛られ方で、背徳感を煽るような色気があった。振り返った時の涙目もたまんなかったし、ぽちっと小さな乳首も縄で強調されて、思わず舐めたくなったよな。
腰も折れそうなほど細いのにまん丸な尻が可愛くて、縄は解かずにそのまま挿れたかった。たぶん、抵抗できないロロ相手に、無茶苦茶に腰を振りたくることだろう。と、そう思うおれは、かなりの人でなしなのかもしれない。
そしてその後、ああいうエロく縛る専門家がいることを知った。マジか。世界は広い。
とにかくあれを見る限り、ロロの体は柔らかそうで綺麗で、どこもかしこも美味しそうな体だったものだから、おれはロロとヤりたかった。本当に本当に、ちんこ擦り切れるかってくらい想像して抜いた。
でも満たされることは無かった。多分、おれの手が硬くゴツく、ロロとは程遠いことが原因だと思う。
普段のロロは色気なんか無く、しょっちゅう転ぶようなうっかりさんだ。でも体はエロいなんて、どう考えたって唆るよな?
まじでヤリてぇヤリてぇばっか言ってたら、ジキルに真剣に怒られた。
『まずその気軽に“ヤらせろ”って言うのやめなさい。君が食らおうとしているのはクッキーやちょっとしたおやつではなくて、ロロくんの尊厳。君のそんなしょうもない一過性の欲のために、ホイホイあげるわけないでしょ?』
『……いや、いるだろ。乗るやつは乗るはずだ』
『それはその人も君と似たタイプか、自分の価値を見誤っているかだ。ロロくんは違う。無自覚でもちゃんと自分を大事にしている子だし、だからこそちゃんと大事にしてくれる人と幸せになって欲しい。そう思わないか?』
『……それは、そう思う。ロロはダチだし……おれ、もしかしてロロを傷付けてたのか?』
『そうだと思うよ。なぜなら、“軽いと見られている”と勘違いしてしまうだろう?そして君は、自分の性欲を他人でどうにかしようとしすぎだ。まず運動、その次も終わりまでずっと運動!最近負荷が足りてないから、余計なことを考えるんだ。気絶するくらい疲れてくること、いいね?でないと本当に性犯罪者になるよ?ぼく、嫌だからね、友人が焼印押されるのなんて。まぁともだち辞めるけど』
などとクソみそに言われ、反省した。結構ヤバいなと自覚もあったから、意識して紳士面するようにしているうち、ロロはグレイリヒトのもんになっちまった。
“いや、ヤりたいとは思うけど、婚約したいかと言われれば、別だから。”そう思っているうちにな。
後に、おれは目先の性欲に気を取られすぎていたことに気付く。ロロみてぇなやつはそうそう居ないし、居てもグレイリヒトみてぇなアルファに、早々に囲い込まれて売れ切れている。そんなこと、10代のうちに誰か教えてくれよな!と、数年後悔しがることになるとは、今のおれはまだ知らない。
グレイリヒトは、おれから見てもいい男だ。本当に同い年なのか疑問に思うくらい落ち着いている。奴ならロロを幸せに出来ると思ったし、実際にそうだった。それはもう、仕方のないことなのだから、代わりを探すしかない。
ロロに似た、男性オメガで、身体の綺麗なやつを。あれほどまででなくていい、近ければいい。
何人かセックスをしてみたーーーーもちろん合意の上でーーーーけど、結構面倒だと気付いた。セックスに持ち込むために色々リップサービスをすれば見事に勘違いをされるし、かといってしなければセックス出来ない。だから、初めから『それ』だけの相手なら気楽に付き合えるかと思っていた。
ユーストスもその一人だった。スポーツのように勢いよくガッと抱いて、ピュッとスッキリして、パッと解散。それでいいと言ってくれる奴。
ところが蓋を開けてみれば、アレだ。幸せそうなロロを逆恨みして、根も葉もない噂をばら撒き、それに怒ったアレキウスとマリーベル姫が根も葉もある噂をばら撒き返していた。『ユーストスは複数のセフレがいる』『ユーストスは仲間と詐欺をやっている』という。
旦那からも離縁されて実家に出戻っているらしい。大人しくしておけばよかったのにな。
今回ユーストスの件で、おれはセフレも良く知らなければ、リスクが高いことを知った。
「やっぱり、ロロみてーな奴は、いねぇよな……」
「ロロくんがどうかしたのかい?」
鍛錬後、汗を拭いているとジキルが通りかかった。年上だからとよく面倒を見ている……つもりらしい。
「別に。人生上手くいかねーなぁって思ってただけ」
「ははっ、聞いたよ、ショーンくん。なかなかな失敗をしたってね。性欲に振り回されてるよねぇ、君ってば」
ピキ、と青筋を立てる。こいつは、柔和な顔をしているくせに、人の神経を逆撫でするのが上手い。
「はっきり言って、ダサい。ダサいよ、君。男としてのパワー?魅力?見せつけてやりたかったの?ロロくんに」
「はっ?い、いや……」
「グレイリヒトよりすげーんだぞって?いやいや、ありえないね。あれだけ愛されてる子を横取りしたいなら、さらに上回る愛を見せないと。アハッ、無理だと思うけど」
「…………分かってる」
「君に必要なのは、人と向き合うことだ。どうせちょっと齧ってポイ、ちょっと齧ってポイだったんだろう?それじゃあ、目先の欲は解消しても虚しくなるだけだよ」
「……ハハッ、経験談か?説得力がある」
「……ふふふ、どうだろうね」
ほんの少しジキルの目が細くなり、図星だったのだろう。少しでも反撃できた気がしてニヤつく。ジキルもモテる男だし、よくデートをしている所は見るが、特定の相手はいない。
だが、してやったりな気になれたのは一瞬だけだった。ジキルは、すうっと感情を抑えた表情に戻る。
「考えてみて。アレキウスだって、婚約して幸せそうだろう?政略結婚でも、ちゃんと誠実に向き合えば、幸せになれる。君も、まずは目の前の人に……」
「セイジツに……?向き合う……?」
「……君にはまだ早かったか……」
「そういうお前はどうなんだよ、婚約者。まだいねーんだろ?」
「ぼくのことは放っておいて。ぼくはにゃんこと結婚するんだ」
ジキルは本気なのか冗談なのかよく分からない、不気味な顔で笑った。そして話題を逸そうとしたおれの頭を小突く。
「とにかく、人の体を借りて自慰行為をするのはやめたほうがいい。いつか後悔する。例えば、ロロくんくらい素敵な子が現れた時、とかね」
「んなやついねーし」
いつか現れてくれる……のか?むりじゃね?
だったら、それまで遊んでいようっと!
そうして経験を積んで、おれはようやく、ロロのような“体”のやつを抱きたかったのではなく、ロロのような性格で、ロロのように可愛くて、ロロのような体を抱きたかったのと気付く。
それって、ロロのことを好きだった、ということなのか?
頭の悪いおれには、良く分からなかった。
1,600
あなたにおすすめの小説
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。
フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」
可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。
だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。
◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。
◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした
水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」
公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。
婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。
しかし、それは新たな人生の始まりだった。
前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。
そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。
共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。
だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。
彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。
一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。
これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。
痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる