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「な、何の事だ!?何の証拠があってそんな事を言うんだっ!?」
明らかにユーリは焦った顔をし、声が裏返っている。はあ、こんなに動揺して。将来伯爵家を継いだらやっていけないわね。交渉事でそんなに動揺したら相手の思うツボだね。まあ、継げないでしょうけど?
「我がシャーロック家には優秀な協力者がいるのですよ?調べる様に命令を出してたって2時間で色々調べてくれましたの。そちらの令嬢の妊娠が発覚して約2週間だそうね?しかし、バカルディ家は、我がシャーロック家の潤沢な資金を狙い婚姻を願っている。そこであなたは私に難癖を付け婚約破棄し、慰謝料・迷惑料などをせしめ取り、バカルディ伯爵のご機嫌を取ろうとしたのでしょう?」
もはやユーリは何も言えず、ギュッと手の平を握りしめている。
「明らかにそちらの不貞行為があったのだから婚約破棄当然よね?ユーリ?もちろん慰謝料を払うのは私ではなく、婚約破棄の原因であるユーリとアカリ嬢よね?皆様、そうは思いませんか?」
こんな場で婚約破棄騒動を起こしたのだ。利用させてもらうわよ?
アンジュの言葉にそれまで息を潜め、成り行きを見守っていた外野達は『そうだ、そうだ』とアンジュの味方をする相槌や拍手を送ってくれる。
「でもっ、慰謝料をもらって父の機嫌を取らなければ、俺は伯爵家から追放されてしまうんだっ!!追放されて平民なんてイヤだ!!頼むっ!!慰謝料を払ってくれ!!」
あ~、こんなのと結婚しなくていいのは助かるわ~。
ある意味『でかしたっ!アカリ嬢』だね。
「そんな事、私の知った事じゃありませんわ。バカルディ伯爵、そうですよね?」
ユーリの後ろにやってきたバカルディ伯爵に問いかける。
アンジュの視線を追い、ユーリは恐る恐る振り返る。しかしその顔は完全に後ろを向く前に平手打ちにされ、ユーリごと数メートル吹き飛ぶ。バカルディ伯爵は細くナヨナヨしたユーリとは違い、大きな身体で筋肉も厚い。
「バカだバカだとは思っていたが、これ程までにバカだとはっ!!バカルディ家始まって以来のバカだなっ!?」
伯爵、笑っちゃダメなのは分かってるんだけど、笑ってもいい?あ、ダメだよね?でも、ほっぺたが上に行くのは許して。
周りでは堪えきれない人が何人か後ろを向きはじめた。
「お前がシャーロック伯爵家から届いた婚約破棄は、自分で角が立たない様に処理すると言うから任せたのに。どう言う了見だっ!?言ってみろ!?」
バカルディ伯爵の威圧が凄く、ユーリは完全に固まっている。
「ふぅ、お前は伯爵家を継げる器で無いのは分かっていた。だからこそアンジュ嬢にしっかり手綱を握ってもらい、伯爵家を助けてもらう算段だったのに。もう、お前に期待はせぬ。今日から領地の果てにある炭鉱へ行くが良い。2度と戻る事は許さぬ!!アンジュ嬢、今まで申し訳無かった。慰謝料について必ずこちらから支払わせてもらう」
バカルディ伯爵はアンジュに頭を下げた。
ユーリはバカルディ伯爵に背中を踏みつけられ、声を発する事が出来ずジタバタしている。
「バカルディ伯爵、慰謝料は半額でいいです。残りの半額はアカリ嬢のジョルダン家に支払って頂きます」
アンジュは少し離れた所に移動していたアカリ嬢に向かい言い放った。
「はぁ!?何で私の家が慰謝料なんてモノを払わなきゃいけないのよっ!?ふざけないでよ!?」
明らかにユーリは焦った顔をし、声が裏返っている。はあ、こんなに動揺して。将来伯爵家を継いだらやっていけないわね。交渉事でそんなに動揺したら相手の思うツボだね。まあ、継げないでしょうけど?
「我がシャーロック家には優秀な協力者がいるのですよ?調べる様に命令を出してたって2時間で色々調べてくれましたの。そちらの令嬢の妊娠が発覚して約2週間だそうね?しかし、バカルディ家は、我がシャーロック家の潤沢な資金を狙い婚姻を願っている。そこであなたは私に難癖を付け婚約破棄し、慰謝料・迷惑料などをせしめ取り、バカルディ伯爵のご機嫌を取ろうとしたのでしょう?」
もはやユーリは何も言えず、ギュッと手の平を握りしめている。
「明らかにそちらの不貞行為があったのだから婚約破棄当然よね?ユーリ?もちろん慰謝料を払うのは私ではなく、婚約破棄の原因であるユーリとアカリ嬢よね?皆様、そうは思いませんか?」
こんな場で婚約破棄騒動を起こしたのだ。利用させてもらうわよ?
アンジュの言葉にそれまで息を潜め、成り行きを見守っていた外野達は『そうだ、そうだ』とアンジュの味方をする相槌や拍手を送ってくれる。
「でもっ、慰謝料をもらって父の機嫌を取らなければ、俺は伯爵家から追放されてしまうんだっ!!追放されて平民なんてイヤだ!!頼むっ!!慰謝料を払ってくれ!!」
あ~、こんなのと結婚しなくていいのは助かるわ~。
ある意味『でかしたっ!アカリ嬢』だね。
「そんな事、私の知った事じゃありませんわ。バカルディ伯爵、そうですよね?」
ユーリの後ろにやってきたバカルディ伯爵に問いかける。
アンジュの視線を追い、ユーリは恐る恐る振り返る。しかしその顔は完全に後ろを向く前に平手打ちにされ、ユーリごと数メートル吹き飛ぶ。バカルディ伯爵は細くナヨナヨしたユーリとは違い、大きな身体で筋肉も厚い。
「バカだバカだとは思っていたが、これ程までにバカだとはっ!!バカルディ家始まって以来のバカだなっ!?」
伯爵、笑っちゃダメなのは分かってるんだけど、笑ってもいい?あ、ダメだよね?でも、ほっぺたが上に行くのは許して。
周りでは堪えきれない人が何人か後ろを向きはじめた。
「お前がシャーロック伯爵家から届いた婚約破棄は、自分で角が立たない様に処理すると言うから任せたのに。どう言う了見だっ!?言ってみろ!?」
バカルディ伯爵の威圧が凄く、ユーリは完全に固まっている。
「ふぅ、お前は伯爵家を継げる器で無いのは分かっていた。だからこそアンジュ嬢にしっかり手綱を握ってもらい、伯爵家を助けてもらう算段だったのに。もう、お前に期待はせぬ。今日から領地の果てにある炭鉱へ行くが良い。2度と戻る事は許さぬ!!アンジュ嬢、今まで申し訳無かった。慰謝料について必ずこちらから支払わせてもらう」
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「バカルディ伯爵、慰謝料は半額でいいです。残りの半額はアカリ嬢のジョルダン家に支払って頂きます」
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