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何だろ、何だかポッカリと胸に穴が開いてしまった様な感じだ。
「天音、すまなかった。許してく」
樹さんの謝る声も耳からスルリと通り抜けて行く感じだ。
「・・・。」
返事をするのも億劫だ。
「天音、頼む。返事してくれないか?」
「・・・。」
「なあ、ケーキ食うか?美味い紅茶はどうだ?」
「・・・。」
放っておいて欲しい。
樹さんと一緒に居たくない。
他の人を想いながら抱かないで欲しい。
この部屋に・・・、居たくない。
返事をしない天音に、樹さんは溜息をつき仕事に向かった。
静かになった部屋で、天音はゆっくりと動きはじめた。まずはシャワーを浴び、体液がこびり付いた身体を洗う。いつもは樹さんが手で洗ってくれる手触りを思い出し、涙がでてくる。ぐすん。自分の鼻を啜る音を聞きたくなくて、シャワーを目一杯出す。ひとしきり泣いた後、バスルームを出て、必要な荷物をキャリーケースに詰め込む。
『さようなら』
紙に書いたメモをダイニングテーブルに置き、玄関のドアを閉めた。鍵は集合ポストに入れた。
もう、ココに来る事は無い。
どうしようかな・・・。あ、旅館を継いだ友達がいるからしばらくは中居で雇ってもらえないかな。
スマホを解約し、新しい番号にした。
その後、友達に連絡を入れ、長野に向かった。
「どうしたの、天音っ!突然っ!」
駅までは、旅館を継いだ学生時代の友達、美和子が迎えに来てくれた。
「うん。仕事クビになって疲れちゃったの。で、美和子の所で人生の充電させてもらおうと思ってね?ダメ?」
「ん~、じゃあ、1日2回朝と夜、食器を洗ってくれたら、1ヶ月タダでいいよ~。部屋狭いけどいい?」
「えっ、そんなんでいいの?」
「充電に来てるんだったら、のんびりしなよ~。で、社会復帰したら金づると泊まりに来てくれればいいからさ。ねっ!?」
「ありがとう、お言葉に甘えさせて頂きます」
美和子の優しさに涙が出そうになった。
「天音、すまなかった。許してく」
樹さんの謝る声も耳からスルリと通り抜けて行く感じだ。
「・・・。」
返事をするのも億劫だ。
「天音、頼む。返事してくれないか?」
「・・・。」
「なあ、ケーキ食うか?美味い紅茶はどうだ?」
「・・・。」
放っておいて欲しい。
樹さんと一緒に居たくない。
他の人を想いながら抱かないで欲しい。
この部屋に・・・、居たくない。
返事をしない天音に、樹さんは溜息をつき仕事に向かった。
静かになった部屋で、天音はゆっくりと動きはじめた。まずはシャワーを浴び、体液がこびり付いた身体を洗う。いつもは樹さんが手で洗ってくれる手触りを思い出し、涙がでてくる。ぐすん。自分の鼻を啜る音を聞きたくなくて、シャワーを目一杯出す。ひとしきり泣いた後、バスルームを出て、必要な荷物をキャリーケースに詰め込む。
『さようなら』
紙に書いたメモをダイニングテーブルに置き、玄関のドアを閉めた。鍵は集合ポストに入れた。
もう、ココに来る事は無い。
どうしようかな・・・。あ、旅館を継いだ友達がいるからしばらくは中居で雇ってもらえないかな。
スマホを解約し、新しい番号にした。
その後、友達に連絡を入れ、長野に向かった。
「どうしたの、天音っ!突然っ!」
駅までは、旅館を継いだ学生時代の友達、美和子が迎えに来てくれた。
「うん。仕事クビになって疲れちゃったの。で、美和子の所で人生の充電させてもらおうと思ってね?ダメ?」
「ん~、じゃあ、1日2回朝と夜、食器を洗ってくれたら、1ヶ月タダでいいよ~。部屋狭いけどいい?」
「えっ、そんなんでいいの?」
「充電に来てるんだったら、のんびりしなよ~。で、社会復帰したら金づると泊まりに来てくれればいいからさ。ねっ!?」
「ありがとう、お言葉に甘えさせて頂きます」
美和子の優しさに涙が出そうになった。
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