12 / 50
11
しおりを挟む
翌朝、ミケはまだ寝ていたので、ウサギとタヌキを部屋に残して朝食を食べに行き、その足でギルドに向かった。
預けているお金から家の代金を下ろし、ケミュさんの兄・リヒターさんへと振り込み、控えは無くさないようにカバンのポケットにしまった。ケミュさんは今日、午後から出勤と言っていたので出勤時間に合わせて遅めのランチを食べに行く。
ケミュさんにランチを注文し、家の代金を振り込んだ事を伝えて控えを見せる。
「セイラさん手続き早いですね。これが鍵ですが、すいません。掃除がまだ半端なままなんです」
申し訳無さそうに鍵を2本手渡してくれる。しかし、ケミュさんだって忙しいのだ。こないだ急遽家の中を見せて欲しいと言った際も、お休みの日に早起きして家の掃除をしていてくれたのだ。
「いえ、こちらこそ急遽なお願いなのに、色々手配してもらってすいません」
鍵を受け取りながら2人ペコリペコリと頭を下げる。
「今日からはセイラさん名義になりますので、いつでも引っ越してもらって大丈夫ですよ。もし、家の事で不明な点があればいつでも言ってください。譲渡契約書は兄から直接家の方に送らせますね」
「はい、お願いします」
もう一度ペコリとケミュさんはお辞儀をして席を離れた。そのタイミングで頼んだランチが運ばれ、デュークと遅めのランチに舌鼓を打った。
2人は部屋に戻り、ミケの様子を見る。
ミケは相変わらずグッスリと寝ている。
「ねえ、ウサギ。ミケはずっと寝てるけど大丈夫なの?」
「ああ。コイツは起こせば起きる」
ウサギはミケの腕をギュッとつねった。
「・・・」
起きないミケの腕を、左右からウサギとタヌキが何度もつねると、ミケがやっと目を開けた。
「・・・、痛いよ兄さん達」
「お主が寝坊助だからだ。セイラが用だ」
「セイラ、よろしく。名前はミケでいいよ」
「よろしくね、ミケ」
うっすらとピンクに光り、ミケはまた眠りについた。
「ねえ、ミケは寝てばっかりだけど、どこか悪いの?」
心配になり、ウサギとタヌキに聞く。
「どこも悪く無いよ?」
「こやつは縁を司る力を持っておる。常に力がダダ漏れ状態だから、寝て力の減りをセーブしとるんじゃ」
「何だか凄い力があるのね?ミケのご飯はどうしたらいいのかな?」
「腹が減ったら起きるじゃろ」
言い終わるとウサギは先にミルクを飲んでいるタヌキの横に行き、ミルクを飲み始めた。
「セイラ、今日はもう夕方に近いし明日から家の掃除をしよう」
話しの区切りを待っていたデュークに言われ窓の外を見ると、確かに太陽はオレンジの光を放ち始めていた。
「そうね。明日からにしましょう。やっとお店の準備ね、楽しみね」
デュークは笑顔で頷いた。
預けているお金から家の代金を下ろし、ケミュさんの兄・リヒターさんへと振り込み、控えは無くさないようにカバンのポケットにしまった。ケミュさんは今日、午後から出勤と言っていたので出勤時間に合わせて遅めのランチを食べに行く。
ケミュさんにランチを注文し、家の代金を振り込んだ事を伝えて控えを見せる。
「セイラさん手続き早いですね。これが鍵ですが、すいません。掃除がまだ半端なままなんです」
申し訳無さそうに鍵を2本手渡してくれる。しかし、ケミュさんだって忙しいのだ。こないだ急遽家の中を見せて欲しいと言った際も、お休みの日に早起きして家の掃除をしていてくれたのだ。
「いえ、こちらこそ急遽なお願いなのに、色々手配してもらってすいません」
鍵を受け取りながら2人ペコリペコリと頭を下げる。
「今日からはセイラさん名義になりますので、いつでも引っ越してもらって大丈夫ですよ。もし、家の事で不明な点があればいつでも言ってください。譲渡契約書は兄から直接家の方に送らせますね」
「はい、お願いします」
もう一度ペコリとケミュさんはお辞儀をして席を離れた。そのタイミングで頼んだランチが運ばれ、デュークと遅めのランチに舌鼓を打った。
2人は部屋に戻り、ミケの様子を見る。
ミケは相変わらずグッスリと寝ている。
「ねえ、ウサギ。ミケはずっと寝てるけど大丈夫なの?」
「ああ。コイツは起こせば起きる」
ウサギはミケの腕をギュッとつねった。
「・・・」
起きないミケの腕を、左右からウサギとタヌキが何度もつねると、ミケがやっと目を開けた。
「・・・、痛いよ兄さん達」
「お主が寝坊助だからだ。セイラが用だ」
「セイラ、よろしく。名前はミケでいいよ」
「よろしくね、ミケ」
うっすらとピンクに光り、ミケはまた眠りについた。
「ねえ、ミケは寝てばっかりだけど、どこか悪いの?」
心配になり、ウサギとタヌキに聞く。
「どこも悪く無いよ?」
「こやつは縁を司る力を持っておる。常に力がダダ漏れ状態だから、寝て力の減りをセーブしとるんじゃ」
「何だか凄い力があるのね?ミケのご飯はどうしたらいいのかな?」
「腹が減ったら起きるじゃろ」
言い終わるとウサギは先にミルクを飲んでいるタヌキの横に行き、ミルクを飲み始めた。
「セイラ、今日はもう夕方に近いし明日から家の掃除をしよう」
話しの区切りを待っていたデュークに言われ窓の外を見ると、確かに太陽はオレンジの光を放ち始めていた。
「そうね。明日からにしましょう。やっとお店の準備ね、楽しみね」
デュークは笑顔で頷いた。
51
あなたにおすすめの小説
【完結】冤罪で処刑された令嬢は、幽霊になり復讐を楽しむ
金峯蓮華
恋愛
「レティシア、お前との婚約は今、ここで破棄する!」
学園の学期末のパーティーで賑わうホールにヴェルナー殿下の声が響いた。
殿下の真実の愛の相手、ミランダに危害を加えた罪でレティシアは捕らえられ、処刑された。国王や国の主要メンバーが国を留守にしている間に、ヴェルナーが勝手に国王代理を名乗り、刑を執行してしまった。
レティシアは悔しさに死んでも死にきれず、幽霊となり復讐を誓う。
独自のファンタジーの世界のお話です。
残酷なシーンや表現が出てくるのでR15にしています。
誤字脱字あります。見つけ次第、こっそり修正致します。
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
冤罪で家が滅んだ公爵令嬢リースは婚約破棄された上に、学院の下働きにされた後、追放されて野垂れ死からの前世の記憶を取り戻して復讐する!
山田 バルス
恋愛
婚約破棄された上に、学院の下働きにされた後、追放されて野垂れ死からの前世の記憶を取り戻して復讐する!
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる