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22 土蜘蛛
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階段を降りると早くも五匹の鵺が待ち構えるようにそこにいた。けれども五匹とも小さい。そんなに手こずるような相手には見えなかった。でもこの剣……、と言うか槍……、うーーーん。と思いながらも、僕は再び巨大な三叉戟を構えた。
一番前にいた鵺が上に飛び上がった。
もうだいたい鵺の攻撃の仕方はわかってきた。
上からの鉤爪の攻撃。そしてそれが駄目なら直線的な正面からの攻撃。
僕は三叉戟を下に構え、鵺が落ちてくるタイミングで弧を描くようにそれを振り上げた。僕はただ首を落とすだけの狙いで三叉戟を振ったのだが、首を落とすどころか鵺は目に見えぬ衝撃に吹き飛ばされるように微塵になりながら空の彼方に消えて行った。
「な、なんだ……?」僕はわけもわからないまま、今度は目の前から飛び掛かってくる鵺に向けて三叉戟を真横に振るった。と、今度は向かってきた鵺だけでなく、後ろに控えた残りの三匹の鵺まで真っ二つに切り裂いていた。
「え、えええ!!? なんだこれっ!?」と僕は驚きながらその剣を凝視した。
「すごいだろおおお!!! そいつはあなあああ、風をも引き裂く、神様の剣だからなあああ」とまた空の彼方からダイダラ坊の声がした。
「風をも引き裂く?」
「そうだよおおお。それよりなあ、こっちにきてよおおお」
こっちにきてよと言われても、声が真上から聞こえてくるのでどちらに行けばいいのかわからない。
「どっち!? どっちに行けばいい!?」そんなことを聞いている間にも、目の前には化け物たちが溢れるように集まってきた。けれどもどれも鵺ほども強そうな奴もいない。僕は三叉戟をまるで野球のバットでも振るように横に振った。するとどうやら強烈な風が起こるのか、さらにその風に僕の出す光の粒子が無数に乗って、目に映るすべての化け物を薙ぎ払うように切り刻んでいった。
「わああああああ……」と西の方でダイダラ坊の声がした。
あっちか! 僕はやっと方角がわかり、そちらに向かって走り出した。そんなに遠くない。それにしても今の、悲鳴に聞こえたが大丈夫か? 芹那は大丈夫だろうか?
「おーーーい、ダイダラ坊! どこだ!?」だいぶ近づいたはずだけれどやはり僕はダイダラ坊がどこにいるかわからず、大声を上げた。
「こっちだよおおおお!!!」
「わかった!」その声に近づくように僕は林の中に突っ込んでいった。
くそ、どこだどこだどこだ! と、不意に目の前に巨大な岩がそびえ立っていた。見上げるが、空を貫くようにしてどこまで伸びているのかわからない。と、いきなりその岩が動いた。これって……。
「おーーーい、ダイダラ坊、そこか!?」
「ああ、ああ、須佐乃袁尊、た、たすけてえええ!!!」
やっぱりそうだ、これってダイダラ坊の足だ!
「な、なんだ、どうした! ダイダラ坊!?」
「助けてえ!!! 助けてよおおお!!!」
僕はわけもわからずダイダラ坊の足を見上げた。と、よく見るとその先にダイダラ坊の体をよじ登る黒い影があった。
「あれか!」そう思って僕もダイダラ坊の体をよじ登ろうとしたが、なんせ大きすぎてつるつる滑り、うまくいかない。
「おーーーい! ダイダラ坊! 僕を上にあげてくれ!」
その声を聞くが早いか、ダイダラ坊は手の平を僕の目の前に寄こし、世界最速のエレベーターのように一気に数十メートルの高さまで上げた。
「た、助けてえええ!!! 土蜘蛛だよう!」
「土蜘蛛!?」
ダイダラ坊の体をよじ登っているのは巨大な蜘蛛のような化け物だった。「こいつのことか!?」顔は人か猫科の動物のようにも見える。体中にとげのような毛が生えていて、鉤爪の付いた黒く細長い脚が八本生えていた。三叉戟で攻撃したいが、ここからだとダイダラ坊の体も切り裂いてしまいそうだ。とにかくあの土蜘蛛を下に落とそうと僕は考え、三叉戟を下に向けて土蜘蛛の真上から落ちるようにダイダラ坊の手の平から飛び降りた。
これじゃあまるで鵺の攻撃と同じだな、なんてことを考えながら、僕は土蜘蛛の顔の正面に三叉戟を突き立てた。
「がはあああ!!!」と言って土蜘蛛は悲鳴を上げ下に落ちたが、いまいち手ごたえがなかった。恐らく大して傷を負わせてはいないだろう。僕は地面に降りるとすかさず土蜘蛛を探し、三叉戟を振るった。が、土蜘蛛は思いのほか強かった、と言うか硬かった。鵺でさえあんなに容易く倒せた三叉戟の攻撃を、この土蜘蛛はまったく意に介す様子もない。
どうしたものか……。そう考えながら、僕はどこかに弱点がないかと三叉戟で土蜘蛛の足を、腹を、関節を、首を、顔をと攻撃していった。が、どこにも三叉戟を食い込ませそうなところが見つからない。
「くっそ!」僕は今度は力づくで土蜘蛛の眉間に三叉戟を振り下ろしたが、やはり切り裂くことができない。
「かずやーーー!!! こっちは大丈夫! 豊玉姫は救ったわ! 先に富士山に戻ってる!」と芹那の声が頭上から聞こえた。
「わかったー!!!」と僕は返事をし、改めて土蜘蛛に向き合った。
ダイダラ坊は巨大な地響きのような足音を残し、富士山の方に帰って行った。
さて、これで思い切りやれるぞ! と言いたいところだけど、けっこう本気でやってたんだけどな、勝てるのかな。僕はそんなことを思いながら、さっきは鵺相手に何となく物足りなさを感じながら戦っていたことを思い出し、「やってやろうじゃないか!」と叫び声をあげ、右足で地面をえぐるほどに蹴り、土蜘蛛へ三叉戟を向け飛び掛かった。
一番前にいた鵺が上に飛び上がった。
もうだいたい鵺の攻撃の仕方はわかってきた。
上からの鉤爪の攻撃。そしてそれが駄目なら直線的な正面からの攻撃。
僕は三叉戟を下に構え、鵺が落ちてくるタイミングで弧を描くようにそれを振り上げた。僕はただ首を落とすだけの狙いで三叉戟を振ったのだが、首を落とすどころか鵺は目に見えぬ衝撃に吹き飛ばされるように微塵になりながら空の彼方に消えて行った。
「な、なんだ……?」僕はわけもわからないまま、今度は目の前から飛び掛かってくる鵺に向けて三叉戟を真横に振るった。と、今度は向かってきた鵺だけでなく、後ろに控えた残りの三匹の鵺まで真っ二つに切り裂いていた。
「え、えええ!!? なんだこれっ!?」と僕は驚きながらその剣を凝視した。
「すごいだろおおお!!! そいつはあなあああ、風をも引き裂く、神様の剣だからなあああ」とまた空の彼方からダイダラ坊の声がした。
「風をも引き裂く?」
「そうだよおおお。それよりなあ、こっちにきてよおおお」
こっちにきてよと言われても、声が真上から聞こえてくるのでどちらに行けばいいのかわからない。
「どっち!? どっちに行けばいい!?」そんなことを聞いている間にも、目の前には化け物たちが溢れるように集まってきた。けれどもどれも鵺ほども強そうな奴もいない。僕は三叉戟をまるで野球のバットでも振るように横に振った。するとどうやら強烈な風が起こるのか、さらにその風に僕の出す光の粒子が無数に乗って、目に映るすべての化け物を薙ぎ払うように切り刻んでいった。
「わああああああ……」と西の方でダイダラ坊の声がした。
あっちか! 僕はやっと方角がわかり、そちらに向かって走り出した。そんなに遠くない。それにしても今の、悲鳴に聞こえたが大丈夫か? 芹那は大丈夫だろうか?
「おーーーい、ダイダラ坊! どこだ!?」だいぶ近づいたはずだけれどやはり僕はダイダラ坊がどこにいるかわからず、大声を上げた。
「こっちだよおおおお!!!」
「わかった!」その声に近づくように僕は林の中に突っ込んでいった。
くそ、どこだどこだどこだ! と、不意に目の前に巨大な岩がそびえ立っていた。見上げるが、空を貫くようにしてどこまで伸びているのかわからない。と、いきなりその岩が動いた。これって……。
「おーーーい、ダイダラ坊、そこか!?」
「ああ、ああ、須佐乃袁尊、た、たすけてえええ!!!」
やっぱりそうだ、これってダイダラ坊の足だ!
「な、なんだ、どうした! ダイダラ坊!?」
「助けてえ!!! 助けてよおおお!!!」
僕はわけもわからずダイダラ坊の足を見上げた。と、よく見るとその先にダイダラ坊の体をよじ登る黒い影があった。
「あれか!」そう思って僕もダイダラ坊の体をよじ登ろうとしたが、なんせ大きすぎてつるつる滑り、うまくいかない。
「おーーーい! ダイダラ坊! 僕を上にあげてくれ!」
その声を聞くが早いか、ダイダラ坊は手の平を僕の目の前に寄こし、世界最速のエレベーターのように一気に数十メートルの高さまで上げた。
「た、助けてえええ!!! 土蜘蛛だよう!」
「土蜘蛛!?」
ダイダラ坊の体をよじ登っているのは巨大な蜘蛛のような化け物だった。「こいつのことか!?」顔は人か猫科の動物のようにも見える。体中にとげのような毛が生えていて、鉤爪の付いた黒く細長い脚が八本生えていた。三叉戟で攻撃したいが、ここからだとダイダラ坊の体も切り裂いてしまいそうだ。とにかくあの土蜘蛛を下に落とそうと僕は考え、三叉戟を下に向けて土蜘蛛の真上から落ちるようにダイダラ坊の手の平から飛び降りた。
これじゃあまるで鵺の攻撃と同じだな、なんてことを考えながら、僕は土蜘蛛の顔の正面に三叉戟を突き立てた。
「がはあああ!!!」と言って土蜘蛛は悲鳴を上げ下に落ちたが、いまいち手ごたえがなかった。恐らく大して傷を負わせてはいないだろう。僕は地面に降りるとすかさず土蜘蛛を探し、三叉戟を振るった。が、土蜘蛛は思いのほか強かった、と言うか硬かった。鵺でさえあんなに容易く倒せた三叉戟の攻撃を、この土蜘蛛はまったく意に介す様子もない。
どうしたものか……。そう考えながら、僕はどこかに弱点がないかと三叉戟で土蜘蛛の足を、腹を、関節を、首を、顔をと攻撃していった。が、どこにも三叉戟を食い込ませそうなところが見つからない。
「くっそ!」僕は今度は力づくで土蜘蛛の眉間に三叉戟を振り下ろしたが、やはり切り裂くことができない。
「かずやーーー!!! こっちは大丈夫! 豊玉姫は救ったわ! 先に富士山に戻ってる!」と芹那の声が頭上から聞こえた。
「わかったー!!!」と僕は返事をし、改めて土蜘蛛に向き合った。
ダイダラ坊は巨大な地響きのような足音を残し、富士山の方に帰って行った。
さて、これで思い切りやれるぞ! と言いたいところだけど、けっこう本気でやってたんだけどな、勝てるのかな。僕はそんなことを思いながら、さっきは鵺相手に何となく物足りなさを感じながら戦っていたことを思い出し、「やってやろうじゃないか!」と叫び声をあげ、右足で地面をえぐるほどに蹴り、土蜘蛛へ三叉戟を向け飛び掛かった。
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