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正人の話 其の壱壱
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「おい、猪からあんな攻撃食らってどうして生きていられるんだよ?」
「うるさいわね……、十分痛かったわよ……」そう言いながら、香奈子は俺の体を支え、山道を歩いた。
「いったいどこに行く気なんだ」
「山を下りるのよ。決まってるじゃない」
「下りてどうする?」
「和也たちを待つわ」
「待ち合わせでもしてるのかい」
「そんなわけないじゃない。けど、きっと来てくれる。いつだってそうだった……」
「いつだって、ね……」
俺は左足を骨折していた。と言うより、左足があるのかないのかわからなかった。感覚がないのだ。見るとただグネグネとした脚の形をしたものがぶら下がっていた。そして右足も、歩くたびに股関節が痛んだ。こっちも恐らくどこか折れているのだろう。それに足首が腫れあがっている。香奈子に肩を借りて、やっと歩いている状態だ。
「和也のこと、話してよ」
「和也のこと? どんなことが知りたいんだよ」
「なんでもいい。話しかけてくれないと気を失いそうなの。だからお願い、話を聞きたいの」
「わかったよ。でもよ、たぶん混乱すると思うぜ。なぜだか和也と美津子の記憶に関してだけ、違う世界のものなんだ」
「どう言うこと?」
「わかんねーよ。俺も何が何だかさっぱりなんだ。ただ、和也があの踏切を渡ってどっかにいっちまった三か月の間に、世界が二つに分かれちまってよ、俺の中には向こうの世界とこっちの世界の両方の記憶が存在するんだ。それと同時に、まったく思い出せない記憶があったりして、自分でもわけがわかんねーんだ」
「和也は、どんな世界にいたの?」
「どんな世界……、そうだなあ。完全に違うところは、向こうの世界に化け物がいなかったってことだな」
「面白いわね。化け物がいない。そんな世界があったらどれほど幸せか」
「想像すらできねーのか?」
「あたり前じゃない。そんな話……」
「けどなあ。和也はたぶん、その世界を取り戻したくて、いま戦ってるんじゃねーのか?」
「化け物のいない世界……。そこに私はいた?」
「ああ、いたぜ」
「そう……、良かった」
「なにが良かったんだ?」
「和也がもし、化け物のいない世界を取り戻したとしても、私は和也と会えるってことがわかったから」
「けど、こっちの世界にいたからこそ、香奈子は和也と付き合えたんだぜ?」
「ええ。わかってる、そんなこと」
「ここなんだ? 土産物屋かなんかか?」
伊吹山から麓に降りて来た時には、辺りはもうすでに暗くなっていた。
「わからないけど、そんなとこだと思う。伊吹山に登る前、和也と芹那さんと一緒にここで一晩泊ったの」香奈子はレストランの中のソファに座り、目を閉じながら話した。
「その芹那ってーの、誰?」
「和也が居候している神社の友達。私の、剣道の師範の親戚でもある」
「なんかややこしいな。で、和也はなんで居候なんか……」
「ごめんなさい……、少し、眠りたい……」
「ん、ああ。そうだな。ずっと俺をここまで連れてきてくれたもんな。ありがとよ」俺がそう言い終わる前に、香奈子はもう寝息を立てていた。
何かが眩しくて夜中に目が覚めた。
「なんだ……?」と思って窓の外に目をやると、尋常じゃないでかさの月が昇っていた。それはもう窓からの視界を覆い隠すほどの大きさで、まるで月が近づいてきてこちらを覗き込んでいるような異様さだった。
目が眩むほど眩しい……。何事だよ……。そう思いながら俺は座った椅子から立ち上がろうとしたが、脚がまったく役に立たず、その場に崩れ落ちてしまった。
「動かないで」と、女の声がした。香奈子ではない。香奈子はまだソファで昏々(こんこん)と眠り続けている。
「誰だ?」その女はまるで背中に月を背負うようにして立っていたので、眩しすぎて顔すらまともに見えない。
「あなたこそ、だれ?」
「俺の名前か? 聞いても知らねーだろ」
「まさか、あなたが正人くん?」
「はあ? なんで知ってんだよ」
「和也の友達ね。私は芹那よ」
「あ、ああ。香奈子の話してた……、と言うより、どうして月がこんなに近いのか、理由がわかったぜ。これはえらい奴が現れたもんだな」
「私のこと、わかるのね」
「わかるさ。夜を統べる神、月読尊だな」
「あなたが、ほんとにあの伊吹山で戦っていた大蛇だなんて……」
「信じられねーか? まあ、この姿じゃ仕方ねえな。だが、ちゃんとわかってるやつもいるみたいだぜ」
「え? な、なにこれ……」そう言って月読尊は、首にぶら下げた勾玉を慌てて外に出した。その時にはもう、勾玉は蛇に姿を変えており、月読尊の手の平でうねうねと絡まり合いながら次第に大きくなっていった。
「い、いやっ!」
「なに怖がってんだよ、変な奴だなあ。自分で首にかけてたんじゃないか。そいつの正体を知らなかったわけでもないだろう」そんな俺の言葉も耳に届かないほど、月読尊は次第に手にあまるほどの大きさになった八岐大蛇を床に降ろし、自分は腰を抜かしたようにへなへなとその場に座り込んだ。
銀色の巨大な鱗が月の光を受けて鈍い金属めい光を反射している。
頭は七つある。そのどれもが俺を一飲みにできそうなほどでかい。
赤く深い眼は宝石でも埋め込んだように鈍く輝いている。
さてどうしたものか。こんな体でなけりゃ、こいつらを一飲みにして、俺の一部にしてしまうんだが。
「久しぶりだな、おい」俺は八岐大蛇を睨みつけた。
八岐大蛇も俺を威嚇するように睨みつける。
「探してたんだぜ。まさかこんなとこで会えるとはな」
「ちょ、ちょっと、あなたたち、まさかここで戦い始めるんじゃないでしょうね!」
「あっはっは、俺は別にかまわねーぜ。まあ、負けちまうのは目に見えてるがな」
「あなた、怪我してるのね」
「正直言うと、死にかけている」そう言って俺は笑った。「だが、そっちにいる奴もけっこう重症だぜ?」
「そっちにいる奴?」そう言って月読尊は俺の指し示した方に目をやり、「香奈子!?」と叫び声をあげると慌てて眠る香奈子に駆け寄った。
「ねえ香奈子、大丈夫なの!?」
「そんな大声出してやるなよ。怪我を負っているのは確かだが、今はとてつもなく眠いはずだ。とりあえず寝かしてやれ」
「いいわ。生きているなら、私がなんとかできる」そう言って月読尊は香奈子を抱きしめ、目を閉じた。途端、その体から光の粒子が舞い、金色の光が香奈子もろとも蛾の蛹が繭でも作るように包み込んだ。
「へえ……」と思って見ていると、さらに窓から覗き込んでいた月までもが光を増し始め、月読尊を助けるかのように光の手を伸ばした。
「こりゃあすげー。周りにいる者はたまったもんじゃないがな……」
月からの光を浴びていると、まるで毒ガスにでも包まれているように息ができなかった。喉の奥が痺れ、心臓が止まるのを感じた。まるで鉄くぎでも打たれたように胸が痛い。「うぐぐ……」と唸り声をあげ、俺は体中をまるで腐った血液が巡るかのような寒気を感じた。吐き気がするが、まるで喉を何かに塞がれたかのように何も吐き出せない。体が痙攣を起こし、自由がきかない。力の弱い者なら一瞬で命を落としていただろう。月は復活と滅亡の象徴だ。月読尊が命を助けたいと思う相手には生を吹き込むが、そうでない相手には容赦なく滅亡と言う名の毒で包み込む。八岐大蛇とて例外ではない。七匹とも苦しみにのけぞり、のたうち回りながらついには勾玉の姿に戻ってしまった。
「くっそ……、まずいな……」俺は半ば死を覚悟した。口から血の味のする泡を吐き、意識が遠のき始めたところで、月読尊の「もう大丈夫よ」と言う声が聞こえた。
「うるさいわね……、十分痛かったわよ……」そう言いながら、香奈子は俺の体を支え、山道を歩いた。
「いったいどこに行く気なんだ」
「山を下りるのよ。決まってるじゃない」
「下りてどうする?」
「和也たちを待つわ」
「待ち合わせでもしてるのかい」
「そんなわけないじゃない。けど、きっと来てくれる。いつだってそうだった……」
「いつだって、ね……」
俺は左足を骨折していた。と言うより、左足があるのかないのかわからなかった。感覚がないのだ。見るとただグネグネとした脚の形をしたものがぶら下がっていた。そして右足も、歩くたびに股関節が痛んだ。こっちも恐らくどこか折れているのだろう。それに足首が腫れあがっている。香奈子に肩を借りて、やっと歩いている状態だ。
「和也のこと、話してよ」
「和也のこと? どんなことが知りたいんだよ」
「なんでもいい。話しかけてくれないと気を失いそうなの。だからお願い、話を聞きたいの」
「わかったよ。でもよ、たぶん混乱すると思うぜ。なぜだか和也と美津子の記憶に関してだけ、違う世界のものなんだ」
「どう言うこと?」
「わかんねーよ。俺も何が何だかさっぱりなんだ。ただ、和也があの踏切を渡ってどっかにいっちまった三か月の間に、世界が二つに分かれちまってよ、俺の中には向こうの世界とこっちの世界の両方の記憶が存在するんだ。それと同時に、まったく思い出せない記憶があったりして、自分でもわけがわかんねーんだ」
「和也は、どんな世界にいたの?」
「どんな世界……、そうだなあ。完全に違うところは、向こうの世界に化け物がいなかったってことだな」
「面白いわね。化け物がいない。そんな世界があったらどれほど幸せか」
「想像すらできねーのか?」
「あたり前じゃない。そんな話……」
「けどなあ。和也はたぶん、その世界を取り戻したくて、いま戦ってるんじゃねーのか?」
「化け物のいない世界……。そこに私はいた?」
「ああ、いたぜ」
「そう……、良かった」
「なにが良かったんだ?」
「和也がもし、化け物のいない世界を取り戻したとしても、私は和也と会えるってことがわかったから」
「けど、こっちの世界にいたからこそ、香奈子は和也と付き合えたんだぜ?」
「ええ。わかってる、そんなこと」
「ここなんだ? 土産物屋かなんかか?」
伊吹山から麓に降りて来た時には、辺りはもうすでに暗くなっていた。
「わからないけど、そんなとこだと思う。伊吹山に登る前、和也と芹那さんと一緒にここで一晩泊ったの」香奈子はレストランの中のソファに座り、目を閉じながら話した。
「その芹那ってーの、誰?」
「和也が居候している神社の友達。私の、剣道の師範の親戚でもある」
「なんかややこしいな。で、和也はなんで居候なんか……」
「ごめんなさい……、少し、眠りたい……」
「ん、ああ。そうだな。ずっと俺をここまで連れてきてくれたもんな。ありがとよ」俺がそう言い終わる前に、香奈子はもう寝息を立てていた。
何かが眩しくて夜中に目が覚めた。
「なんだ……?」と思って窓の外に目をやると、尋常じゃないでかさの月が昇っていた。それはもう窓からの視界を覆い隠すほどの大きさで、まるで月が近づいてきてこちらを覗き込んでいるような異様さだった。
目が眩むほど眩しい……。何事だよ……。そう思いながら俺は座った椅子から立ち上がろうとしたが、脚がまったく役に立たず、その場に崩れ落ちてしまった。
「動かないで」と、女の声がした。香奈子ではない。香奈子はまだソファで昏々(こんこん)と眠り続けている。
「誰だ?」その女はまるで背中に月を背負うようにして立っていたので、眩しすぎて顔すらまともに見えない。
「あなたこそ、だれ?」
「俺の名前か? 聞いても知らねーだろ」
「まさか、あなたが正人くん?」
「はあ? なんで知ってんだよ」
「和也の友達ね。私は芹那よ」
「あ、ああ。香奈子の話してた……、と言うより、どうして月がこんなに近いのか、理由がわかったぜ。これはえらい奴が現れたもんだな」
「私のこと、わかるのね」
「わかるさ。夜を統べる神、月読尊だな」
「あなたが、ほんとにあの伊吹山で戦っていた大蛇だなんて……」
「信じられねーか? まあ、この姿じゃ仕方ねえな。だが、ちゃんとわかってるやつもいるみたいだぜ」
「え? な、なにこれ……」そう言って月読尊は、首にぶら下げた勾玉を慌てて外に出した。その時にはもう、勾玉は蛇に姿を変えており、月読尊の手の平でうねうねと絡まり合いながら次第に大きくなっていった。
「い、いやっ!」
「なに怖がってんだよ、変な奴だなあ。自分で首にかけてたんじゃないか。そいつの正体を知らなかったわけでもないだろう」そんな俺の言葉も耳に届かないほど、月読尊は次第に手にあまるほどの大きさになった八岐大蛇を床に降ろし、自分は腰を抜かしたようにへなへなとその場に座り込んだ。
銀色の巨大な鱗が月の光を受けて鈍い金属めい光を反射している。
頭は七つある。そのどれもが俺を一飲みにできそうなほどでかい。
赤く深い眼は宝石でも埋め込んだように鈍く輝いている。
さてどうしたものか。こんな体でなけりゃ、こいつらを一飲みにして、俺の一部にしてしまうんだが。
「久しぶりだな、おい」俺は八岐大蛇を睨みつけた。
八岐大蛇も俺を威嚇するように睨みつける。
「探してたんだぜ。まさかこんなとこで会えるとはな」
「ちょ、ちょっと、あなたたち、まさかここで戦い始めるんじゃないでしょうね!」
「あっはっは、俺は別にかまわねーぜ。まあ、負けちまうのは目に見えてるがな」
「あなた、怪我してるのね」
「正直言うと、死にかけている」そう言って俺は笑った。「だが、そっちにいる奴もけっこう重症だぜ?」
「そっちにいる奴?」そう言って月読尊は俺の指し示した方に目をやり、「香奈子!?」と叫び声をあげると慌てて眠る香奈子に駆け寄った。
「ねえ香奈子、大丈夫なの!?」
「そんな大声出してやるなよ。怪我を負っているのは確かだが、今はとてつもなく眠いはずだ。とりあえず寝かしてやれ」
「いいわ。生きているなら、私がなんとかできる」そう言って月読尊は香奈子を抱きしめ、目を閉じた。途端、その体から光の粒子が舞い、金色の光が香奈子もろとも蛾の蛹が繭でも作るように包み込んだ。
「へえ……」と思って見ていると、さらに窓から覗き込んでいた月までもが光を増し始め、月読尊を助けるかのように光の手を伸ばした。
「こりゃあすげー。周りにいる者はたまったもんじゃないがな……」
月からの光を浴びていると、まるで毒ガスにでも包まれているように息ができなかった。喉の奥が痺れ、心臓が止まるのを感じた。まるで鉄くぎでも打たれたように胸が痛い。「うぐぐ……」と唸り声をあげ、俺は体中をまるで腐った血液が巡るかのような寒気を感じた。吐き気がするが、まるで喉を何かに塞がれたかのように何も吐き出せない。体が痙攣を起こし、自由がきかない。力の弱い者なら一瞬で命を落としていただろう。月は復活と滅亡の象徴だ。月読尊が命を助けたいと思う相手には生を吹き込むが、そうでない相手には容赦なく滅亡と言う名の毒で包み込む。八岐大蛇とて例外ではない。七匹とも苦しみにのけぞり、のたうち回りながらついには勾玉の姿に戻ってしまった。
「くっそ……、まずいな……」俺は半ば死を覚悟した。口から血の味のする泡を吐き、意識が遠のき始めたところで、月読尊の「もう大丈夫よ」と言う声が聞こえた。
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