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まさかの覚醒
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「なるほど……」
私の話を聞いたお父様は、難しい顔をした。
そりゃそうだ。いきなりこんな話を聞かされたら、誰でもそういう顔になるに決まってる。
「ギルガム様と君は、とてもうまくいっていると、周りからの評判も良かったんだがなぁ……」
お父様が、ため息をついた。
評判って……。
いかに、貴族の結婚が、他の人々へのアピールでしかないか……。
それが、明らかになる一言だった。
まぁ、ギルガム様の家の方が、爵位が高いから、しょうがないのだけれど……。
「この婚約破棄を受け入れてしまっては、両家の名前に傷がついてしまうことは、確かだ。明日、ギルガム様が来るのだろう? 直接話をさせてもらうよ」
「是非、そうなさってください……」
なんだか、疲れてしまった。
部屋に戻ろうとした、その時。
「大変よ~!!!!」
お母様が、駆け足で、部屋に入って来た。
「どうしたんだアラーナ……。そんなに慌てて」
「ヒーナが、ヒーナが!」
「ヒーナが?」
「……うっ」
久々に走ったせいだろう。お母様が、呼吸を乱している。
今日、ヒーナとお母様は、確か、教会に行っていたような。
「ヒーナが……。ヒーナがね?」
「ヒーナが?」
「……どうやら、聖女として、目覚めたそうなの」
「「え?」」
私とお父様の声が重なった。
ヒーナが、聖女に……?
「そ、そんなことがあるのか? 聖女なんて……。この国では、もう何百年と出ていないと聞くが」
「でも、確からしいの……」
「ヒーナはどこに?」
「今、教会にいるわ」
「わかった。すぐに行こう」
三人で、教会に向かうことになった。
☆ ☆ ☆
「……眩しい」
教会のドアを開けると、もう夕方で、日も沈み始めているのに、やけに眩しかった。
「あら、お父様、ミュシー。来たのね……」
その光の正体は……。
ヒーナだった。
ヒーナの体が、光っているのだ。
「一時間程度は、聖女として目覚めた証として、ずっとこのままらしいの……」
照れくさそうに、ヒーナが言う。
どうやら、聖女に目覚めたという話は、本当らしい……。
「おめでとう……。ヒーナ……」
「お父様……」
お父様が、ヒーナに抱き着いた。
お母様も、そこに寄り添っている。
……正直、なんで? という気持ちが強い。
ヒーナは、あまり特徴の無い人、というか……。
人よりもたくさん、善を積んでいるかというと、そうでもないし。
魔法が特別上手いわけでもなければ、剣技が得意というわけでもない。
聖女として選ばれるべき理由なんて、思い当たらなかった。
……いや、きっと私は、嫉妬しているだけだろう。
本来であれば、妹が聖女として目覚めたのだから、喜ぶべきなのに。
素直に、喜べない。
だって……。
「……ミュシー。さっきの件だが」
ヒーナから離れたお父様が、私に向き直った。
……言いたいことは、だいたい想像がついている。
「ギルガム様の提案を、受け入れてはどうだろう」
「……嫌だと言ったら?」
「君は賢い子だ。魔法も、剣技も、誰よりも優れた成績を残してきた。だから……。きっと、何が最善であるかは、理解できるはずだよ」
優しいようで、怖い顔をしている。
お父様の言うことは、理解できた。
「ミスタール、ミュシー。一体何の話をしているの?」
お母様が、首を傾げている。
ヒーナも、よくわからないと言った顔をしていた。
「……少し、話をしよう」
お父様が、説明を始めた。
私の話を聞いたお父様は、難しい顔をした。
そりゃそうだ。いきなりこんな話を聞かされたら、誰でもそういう顔になるに決まってる。
「ギルガム様と君は、とてもうまくいっていると、周りからの評判も良かったんだがなぁ……」
お父様が、ため息をついた。
評判って……。
いかに、貴族の結婚が、他の人々へのアピールでしかないか……。
それが、明らかになる一言だった。
まぁ、ギルガム様の家の方が、爵位が高いから、しょうがないのだけれど……。
「この婚約破棄を受け入れてしまっては、両家の名前に傷がついてしまうことは、確かだ。明日、ギルガム様が来るのだろう? 直接話をさせてもらうよ」
「是非、そうなさってください……」
なんだか、疲れてしまった。
部屋に戻ろうとした、その時。
「大変よ~!!!!」
お母様が、駆け足で、部屋に入って来た。
「どうしたんだアラーナ……。そんなに慌てて」
「ヒーナが、ヒーナが!」
「ヒーナが?」
「……うっ」
久々に走ったせいだろう。お母様が、呼吸を乱している。
今日、ヒーナとお母様は、確か、教会に行っていたような。
「ヒーナが……。ヒーナがね?」
「ヒーナが?」
「……どうやら、聖女として、目覚めたそうなの」
「「え?」」
私とお父様の声が重なった。
ヒーナが、聖女に……?
「そ、そんなことがあるのか? 聖女なんて……。この国では、もう何百年と出ていないと聞くが」
「でも、確からしいの……」
「ヒーナはどこに?」
「今、教会にいるわ」
「わかった。すぐに行こう」
三人で、教会に向かうことになった。
☆ ☆ ☆
「……眩しい」
教会のドアを開けると、もう夕方で、日も沈み始めているのに、やけに眩しかった。
「あら、お父様、ミュシー。来たのね……」
その光の正体は……。
ヒーナだった。
ヒーナの体が、光っているのだ。
「一時間程度は、聖女として目覚めた証として、ずっとこのままらしいの……」
照れくさそうに、ヒーナが言う。
どうやら、聖女に目覚めたという話は、本当らしい……。
「おめでとう……。ヒーナ……」
「お父様……」
お父様が、ヒーナに抱き着いた。
お母様も、そこに寄り添っている。
……正直、なんで? という気持ちが強い。
ヒーナは、あまり特徴の無い人、というか……。
人よりもたくさん、善を積んでいるかというと、そうでもないし。
魔法が特別上手いわけでもなければ、剣技が得意というわけでもない。
聖女として選ばれるべき理由なんて、思い当たらなかった。
……いや、きっと私は、嫉妬しているだけだろう。
本来であれば、妹が聖女として目覚めたのだから、喜ぶべきなのに。
素直に、喜べない。
だって……。
「……ミュシー。さっきの件だが」
ヒーナから離れたお父様が、私に向き直った。
……言いたいことは、だいたい想像がついている。
「ギルガム様の提案を、受け入れてはどうだろう」
「……嫌だと言ったら?」
「君は賢い子だ。魔法も、剣技も、誰よりも優れた成績を残してきた。だから……。きっと、何が最善であるかは、理解できるはずだよ」
優しいようで、怖い顔をしている。
お父様の言うことは、理解できた。
「ミスタール、ミュシー。一体何の話をしているの?」
お母様が、首を傾げている。
ヒーナも、よくわからないと言った顔をしていた。
「……少し、話をしよう」
お父様が、説明を始めた。
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