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最後の魔法
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「あれが……。ベアードジャンボ……?」
想像していたよりも、かなり大きい。
五メートル以上、ありそうだ。
「では、本日の作戦だが……」
選抜隊の隊長が、説明を始めた。
でも……。そんなの、聞いてられない。
私の魔法があれば、作戦なんて、必要ないから。
「お、おい! 君! どこに行くんだ!」
「私一人で十分なので」
「何を……」
隊長と、他の選抜された人たちが、私に疑いの目を向けている。
きっと、この人たちは、みんな優秀だ。
でも、私ほどじゃない。
「ヒーナ。隊長の話を聞きなさい」
ミュシーが、私に耳打ちした。
……こんな時まで、姉面か。
さっきも、私ではなく、ミュシーに話しかける人が多かった。
なんで? 私の功績は、とっくに知れ渡っているはずなのに。
もしかして、怖気づいたのだろうか。
私の力が、圧倒的すぎるから。
だとすれば、納得できる。
「ミュシー。あなたは部外者よ。口を出さないで」
「……連れてきたのは、一体誰?」
「うるさい」
私は、ギルガム様に目を向けた。
兵に両肩を支えられ、なんとか立っているギルガム様は……。
優しく、微笑んでくれた。
……ギルガム様だけは、私を見てくれている。
「行ってまいります」
「ちょっとヒーナ!」
「うるさい!」
ミュシーを振り張らって、私は一人、崖の下へと降りた。
着地と同時に、ベアードジャンボが、私に気が付いた。
「グルルルルァアアア!!!!」
そして、雄たけびをあげながら、私に突撃してくる。
まずは手始めに、軽めの魔法を唱えて、その場に縛り付けた。
「グ、ガルゥ……!」
……何がベアードジャンボよ。
何が選抜隊よ。
こんなにも弱い敵に、ビビりすぎなのよ。
私は、上を見上げた。
みんなが、覗き込むようにして、こちらを確認している。
誰かが手助けに来てしまったら、面倒だ。
私が使うことのできる……。一番強い魔法を、使わせてもらう。
「はぁあああああ!!!」
思いっきり、力を込めて……。魔法を放った。
すると、ベアードジャンボが、一瞬にして、塵と化した。
……あっけない勝利ね。
私は魔法を使って、みんなのいる場所に戻ろうとした。
しかし、なぜか魔法が使えない。
さすがに疲れたのだろうか。
仕方なく、三十分程度かけて、歩いて戻った。
「どうかしら。私の魔法は――」
え……?
どうして、誰も私の方を見てないの?
「ギルガム様! しっかりしてください!」
ギルガム様……?
みんなが、輪になっている。
ギルガム様が、倒れたのだろうか。
ミュシーが、私の方を見た。
☆ ☆ ☆
「……ダメね。これ以上、尽くす手はないわ」
救護部隊の隊長が、静かにそう告げた。
私は、こちらに不安そうな目を向けるヒーナに……。それを伝えなければいけない。
「ヒーナ……」
「お、お姉様、一体何が……」
「……ギルガム様が、お亡くなりになったの」
「は……?」
ヒーナが、私を突き飛ばして、輪の中に入って行った。
「ギルガム様!? どうして!?」
「おやめなさい。遺体を揺らすのは……」
「遺体!? あなた、救護隊の隊長でしょう!? 早くギルガム様を助けなさいよ!」
「……あなたが殺したんでしょう?」
「え……?」
その場にいる全員が、ヒーナに軽蔑の目を向けていた。
ヒーナは、怖気づいたように、一歩、二歩、後退する。
だけど、そっちに逃げ場はない。ここは崖なのだから……。
「う、嘘よ。そんなの。ありえない……。私が? なんで?」
「あなたが魔法を唱えた途端、ギルガム様が苦しみだした……。相手の魂を削り、魔力を向上させるというのは、禁忌の魔法です」
「何を言ってるの……? 私は聖女よ!? 禁忌の魔法なんて、使うわけないじゃない!」
「だったら、今、魔法であの木を倒せるかい?」
部隊長が、近くにある、中くらいのサイズの木を指差した。
「当たり前よ……」
ヒーナが、木に向かって、手を伸ばす。
……少し、葉が揺れただけだった。
「なんで……?」
「聖女とは、偽りだったようですね」
「違う! 私は教会で、目覚めて……」
ヒーナが、その場に崩れ落ちてしまった。
私は、ヒーナを庇うようにして、間に割って入る。
「……後は、こちらにお任せください」
「……ミュシー様が、そうおっしゃるのであれば」
「ヒーナ。行こう」
「……」
泣いているヒーナを引き連れて、私は馬車に乗り込んだ。
ギルガム様の遺体は……。救護隊が、我が国まで運んでくれるらしい。
想像していたよりも、かなり大きい。
五メートル以上、ありそうだ。
「では、本日の作戦だが……」
選抜隊の隊長が、説明を始めた。
でも……。そんなの、聞いてられない。
私の魔法があれば、作戦なんて、必要ないから。
「お、おい! 君! どこに行くんだ!」
「私一人で十分なので」
「何を……」
隊長と、他の選抜された人たちが、私に疑いの目を向けている。
きっと、この人たちは、みんな優秀だ。
でも、私ほどじゃない。
「ヒーナ。隊長の話を聞きなさい」
ミュシーが、私に耳打ちした。
……こんな時まで、姉面か。
さっきも、私ではなく、ミュシーに話しかける人が多かった。
なんで? 私の功績は、とっくに知れ渡っているはずなのに。
もしかして、怖気づいたのだろうか。
私の力が、圧倒的すぎるから。
だとすれば、納得できる。
「ミュシー。あなたは部外者よ。口を出さないで」
「……連れてきたのは、一体誰?」
「うるさい」
私は、ギルガム様に目を向けた。
兵に両肩を支えられ、なんとか立っているギルガム様は……。
優しく、微笑んでくれた。
……ギルガム様だけは、私を見てくれている。
「行ってまいります」
「ちょっとヒーナ!」
「うるさい!」
ミュシーを振り張らって、私は一人、崖の下へと降りた。
着地と同時に、ベアードジャンボが、私に気が付いた。
「グルルルルァアアア!!!!」
そして、雄たけびをあげながら、私に突撃してくる。
まずは手始めに、軽めの魔法を唱えて、その場に縛り付けた。
「グ、ガルゥ……!」
……何がベアードジャンボよ。
何が選抜隊よ。
こんなにも弱い敵に、ビビりすぎなのよ。
私は、上を見上げた。
みんなが、覗き込むようにして、こちらを確認している。
誰かが手助けに来てしまったら、面倒だ。
私が使うことのできる……。一番強い魔法を、使わせてもらう。
「はぁあああああ!!!」
思いっきり、力を込めて……。魔法を放った。
すると、ベアードジャンボが、一瞬にして、塵と化した。
……あっけない勝利ね。
私は魔法を使って、みんなのいる場所に戻ろうとした。
しかし、なぜか魔法が使えない。
さすがに疲れたのだろうか。
仕方なく、三十分程度かけて、歩いて戻った。
「どうかしら。私の魔法は――」
え……?
どうして、誰も私の方を見てないの?
「ギルガム様! しっかりしてください!」
ギルガム様……?
みんなが、輪になっている。
ギルガム様が、倒れたのだろうか。
ミュシーが、私の方を見た。
☆ ☆ ☆
「……ダメね。これ以上、尽くす手はないわ」
救護部隊の隊長が、静かにそう告げた。
私は、こちらに不安そうな目を向けるヒーナに……。それを伝えなければいけない。
「ヒーナ……」
「お、お姉様、一体何が……」
「……ギルガム様が、お亡くなりになったの」
「は……?」
ヒーナが、私を突き飛ばして、輪の中に入って行った。
「ギルガム様!? どうして!?」
「おやめなさい。遺体を揺らすのは……」
「遺体!? あなた、救護隊の隊長でしょう!? 早くギルガム様を助けなさいよ!」
「……あなたが殺したんでしょう?」
「え……?」
その場にいる全員が、ヒーナに軽蔑の目を向けていた。
ヒーナは、怖気づいたように、一歩、二歩、後退する。
だけど、そっちに逃げ場はない。ここは崖なのだから……。
「う、嘘よ。そんなの。ありえない……。私が? なんで?」
「あなたが魔法を唱えた途端、ギルガム様が苦しみだした……。相手の魂を削り、魔力を向上させるというのは、禁忌の魔法です」
「何を言ってるの……? 私は聖女よ!? 禁忌の魔法なんて、使うわけないじゃない!」
「だったら、今、魔法であの木を倒せるかい?」
部隊長が、近くにある、中くらいのサイズの木を指差した。
「当たり前よ……」
ヒーナが、木に向かって、手を伸ばす。
……少し、葉が揺れただけだった。
「なんで……?」
「聖女とは、偽りだったようですね」
「違う! 私は教会で、目覚めて……」
ヒーナが、その場に崩れ落ちてしまった。
私は、ヒーナを庇うようにして、間に割って入る。
「……後は、こちらにお任せください」
「……ミュシー様が、そうおっしゃるのであれば」
「ヒーナ。行こう」
「……」
泣いているヒーナを引き連れて、私は馬車に乗り込んだ。
ギルガム様の遺体は……。救護隊が、我が国まで運んでくれるらしい。
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