私との婚約を破棄して、妹と結婚……? 考え直してください。絶対後悔しますよ?

冬吹せいら

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届かなかった手紙 (最終話)

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久しぶり。私は騎士団長のリアスだ。覚えているかな?

……最初の一文は、こんにちは、だったり、ごきげんよう、だったりしたが、今ではもう、すっかり、久しぶりに落ち着いてしまったよ。

なぜかと言えば、君が国を去ってから、もう三年が経過してしまったから。

君に似た特徴の女性がいるという噂を聞いた国に、必ずこうして、手紙を送るようにしている。

私だけじゃない。ライブレン王子や、君に世話になったという騎士や魔法使い……。数えきれないほどの人が、手分けして、手紙を書いているが、未だに君からの返事は届かないね。

この手紙が、国によって、雑に捨てられている可能性もあるだろう。その時は、仕方ない。運がなかったと諦めるだけさ。

でも……。君がよく言っていただろう? 諦めることが敗北を意味する。必死で抗い、逆境を乗り越えてこそ、真の勝利があるのだとね。

私は幼い時、君と何度も剣技で争った。

全く勝てなかった私は、剣技からは距離を置こうと思ったんだ。

その時、君は言ったよ。

「お前は負けたわけじゃない。今は勝てないだけだ」

ってね。
全然意味がわからなかったさ。

今となっても、君の意思を完璧に理解しているかと言えば、怪しいけれど。

それでも、君にそう言われたから、私は必死で努力をした。

結果、騎士団長になることができた。

私が騎士団長になったと報告した時、君は泣いてくれたね。

この人でも、泣くことがあるんだなぁって、驚いたよ。

……ごめんごめん。怒らないでくれ。

さて、ここまでの文は、手紙を分厚くするための、前置きに過ぎない。

薄いと、うっかり捨てられてしまいそうだからね。いつもこうして、決まったような文章を、書くようにしているんだ。

本題は……。これまた、いつも書いている内容になるんだけど。

君に手紙が届いたのは、これが初めてだと仮定して、同じ話をさせてもらう。

まず、君の義理の妹であるヒーナは、自殺してしまった。

街の広場で、複数人の子供と一緒に、自爆したんだ。

遺書には、こう書いてあった。

『これで、歴史に名が残るでしょう?』

……言葉も出ない、悲惨な事件だったよ。

確かに、彼女の名前は、歴史に残ることになったと思う。


そして、それからしばらくして、今度は君の父親が死んでしまった。

理由は……。公にはなっていないが、私は知っている。

君にだけ、それを伝えようと思う。

君の母が、殺したんだ。

いや……。良い方が違うかもしれない。

ヒーナの母が、殺したんだ。

君の父親……ミスタールさんは、いつもいつも、君のことばかりを、ヒーナの母に話していたそうなんだ。

それ以上のことは知らないけど……。よほどストレスだったんだろうね。

つまり、君が国に帰って来ても、一緒に暮らす家族は、いないわけだけど……。

……どうだろう。私の家族になるというのは。

いきなりすまない。これが伝えたくて、それだけのために、私はこの手紙を書いているのだと思う。

私は君が好きだった。

だから、ギルガム様と婚約した時は、本当に絶望したよ。

別れてしまえとも思っていたさ。

そしたら、実際に分かれたもんだから、びっくりした。

けど……。

人生は、そんなに甘くないんだね。

あぁ、今更だけど、言葉が砕けてしまっているのは、許してほしい。

実際、私の方が年上だし……。

なんだか、君がだんだん、架空の存在に、思えてしまって。

……気持ち悪いかな。

だけど、私は諦めないよ。

君が教えてくれただろう?

逆行を乗り越えた先に、真の勝利がある。

君がこの手紙を読んでくれていることを祈って。

……君が、私の好意を受け止めてくれることを祈って。


以上。ここまで読んでくれて、ありがとう。


騎士団長 リアス・アーベルト
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感想 85

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みんなの感想(85件)

たまちゃん
2021.01.04 たまちゃん
ネタバレ含む
2021.01.04 冬吹せいら

ご感想ありがとうございます!

解除
イワーノフ
2020.11.06 イワーノフ

私はこういうお話好きですよ。

2020.11.07 冬吹せいら

ありがとうございます!
そう言っていただけると嬉しいですw

解除
tente
2020.10.25 tente
ネタバレ含む
2020.10.25 冬吹せいら

ご感想ありがとうございます!

解除

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