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第八章:ドドスでのエルフ料理?
8-8新メニューで宣伝のはずが
しおりを挟むフルーツヨーグルト、クレープ、ミルクレープにジェラート。
ここ「鉄板亭」は新メニューを引っ提げてただいま絶賛宣伝中!
「のはずなのになんで来るのはドワーフとか工房の職人さんばかり!?」
今「鉄板亭」は食事より口コミで広がった甘味処を求めてたくさんの「男性」客が押し寄せていた。
しかも意外や意外、硬派のはずのドワーフの職人さんまでたくさんやって来ていた。
「あの、メリーサさんこれってどう言う事なんですか? ターゲットは女性客じゃなかったんですか??」
「うんそのはずなんだけど何故かドワーフや職人さんたちが寄ってくるのよ。勿論女性客も増えてはいるのだけどほとんどの人がこの雰囲気に耐えかねてクレープあたりを買って帰ってっちゃうのよ……」
それは異様な光景だった。
普通の食事をしている人もちらほらいるのだけどほとんどがクレープなどをおいしそうにほおばってほっこり顔で談笑している。
特にお酒も飲むわけでもなくクレープとかを食べながらわいわいやっている男性陣は見ていて不気味だ。
「お姉ちゃん、なんか怖い……」
「うっ、分からなくないけど何なのこの雰囲気!?」
メリーサさんが女性向けにと作ったミルクセーキを片手にクレープ食べてたりミルクレープをフォークでちんまりと口に運んで頬に手を当てにっこりとか何なんだ!?
と、向こうの席にウスターさんの姿を見てとる私。
私は慌ててウスターさんの元へ行く。
「ウスターさん、ウスターさん!」
「おお、リルの嬢ちゃんじゃないか、繁盛しておるな?」
ウスターさんはミルクレープをおいしそうにフォークで切り分け口に運んでいた。
私はウスターさんの前まで行って小声で聞く。
「いったいこれ何なんですか!? 女性客ターゲットだったはずなのに来るのはドワーフや職人さんばかり! 一体何なんですかこれって?」
「うん? いやなに、みんな実は甘いもん好きなんじゃよ。職人やっておると結構神経使ってな、時たまこうやって甘いもん食いたくなるのじゃが今までなかなかそう言った店が無くての。ここまで甘い食べ物が充実しておる店は珍しいからの、仲間内でも有名じゃぞ?」
何なんだそれは!?
職人さんも実は甘いもの食べたかった?
スパイス料理が多いこのドドスで実はみんな甘いもの食べたかったって言うのかぁ!?
「完全に見込み違いだったって言うの? そう言えば銭湯のフルーツ牛乳は男湯でも人気だったとか聞いたけどそれなのか!?」
一応神殿の銭湯には男湯もあって職人さんが仕事終わりに汗を流しに来る事が多いらしい。
勿論男湯には「育乳の女神式マッサージ」は無いけどね。
ただ、あちらにもフルーツ牛乳はあると聞いた。
その時はあまり気にしていなかったけどそこそこそれも売れていたらしいのでその時点で男性陣も甘いものを欲していたと言う事か……
「メリーサさん、これどうしよう!?」
「儲かるならどんなお客さんが来てもOKよっ!!」
いいんかいそれでぇっ!?
思わずメリーサさんを見てしまうが彼女は忙しそうに給仕を手伝っている。
本人はそれでも良いと言うなら致し方ない。
商魂たくましいメリーサさんはそれでもお客相手に忙しく働きまわっていたのだった。
* * * * *
「お姉ちゃん、今日もあの職人さんたち来てるね~」
「流石に一時期よりは落ち着いたけど、持ち帰りで結構クレープ買って行くお客が多いわね」
今日もここ「鉄板亭」はドワーフや職人さんでいっぱいだった。
既に常連と化しているドワーフや職人さんも見て取れる。
勿論メリーサさんが言っていた通り女性客もお持ち帰りでやって来るお客さんもいる。
しかし元々は女性客を増やそうと言う目論見だったからなんか腑に落ちない。
絶対におかしいって。
最終的にはレッドゲイルの「赤竜亭」みたいにふわふわひらひらのウェイトレスさんも登場する予定だったのに……
女性の花園的なお店に成るはずだったのに。
そんな事を思いながら泊っている部屋の窓から外を眺めていた私だったけど夕暮れ時に入ってくるお客さんは相変わらず圧倒的に男性客が多い。
「はぁ、なんか違うんだよなぁ~。女子高生がキャッキャウフフしてお店に寄ってくるイメージだったんだけどなぁ~。マッチョな職人さんが甘いモノ食べにほっこり顔で来るって誰得よ?」
何となくぶつぶつ言ってしまう私だったけどそんな男性客の中にマントを羽織った女性っぽいシルエットをたまたま見かける。
そんな姿が何人かいるのでちょっと気になる。
でもその時私は、ああ、それでも女性客も来てくれるんだぁとかくらいに思っていたら急にお店の下が騒がしくなってきた?
「何だろ、急に騒がしくなったみたいだけど?」
私がそう言った瞬間だった。
「キャーっ!!」
ドガーンッ!
どがっしゃーんッ!!
いきなりメリーサさんの悲鳴が上がると同時に爆発音がして地震かと思うような揺れがこの「鉄板亭」を襲った。
「何っ!?」
「お姉ちゃん、今のメリーサさんの声だよ!!」
驚きに声を上げる私にルラはすかさずメリーサさんの悲鳴が聞こえた事を告げる。
私はルラの顔を見て頷き言う。
「ルラ、行くよ!」
「うんっ!!」
私はすぐにルラと一緒に階下へと向かうのだった。
* * *
「なっ!?」
階段を下りて下の階を見るとそこはめちゃくちゃになっていた。
そしてあのマント姿の女性らしかった者は基本女性のシルエットではあるが異様な姿の化け物になっていた。
「おーっほっほっほっほっ、ここにあのエルフ共がいるのは知っているわ! さあ出て来なさい! お前らに復讐してやるのだから!!」
そのマントの中によく知った人物がいた。
そう、それは間違いなく秘密結社ジュメルの七大使徒が一人、魅惑だったアンダリヤその人だ!
「出たな悪の秘密結社! でもあたしが来たからにはもう好きにはさせない、とぉっ!」
「ちょ、ちょっとルラぁっ!」
呼び止める私を他所にルラはそう言っていきなりめちゃくちゃになっている「鉄板亭」のフロアーに飛び降りる。
「出たなエルフ! わざわざ他の支部から呼び寄せた魔怪人たち、貴様を八つ裂きにしてくれるわ、やっておしまい!!」
「ふっ、あたしは『最強』! さあ、かかって来い!!」
そう啖呵を切るルラにあの化け物たちは殺到するのだった。
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