腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~

さいとう みさき

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第十一章:南の大陸

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 そこは「緑樹の塔」と呼ばれる場所だった。


 驚いたのがこの精霊都市ユグリアにはたくさんの人種の人がいた。
 人族は勿論、ドワーフやリザードマン、草原の民らしき人もいる。


「凄いねお姉ちゃん、いろんな人がいるね!」

「う、うん。でもエルフの村のすぐ近くでこんなに沢山の種族の人たちがいるだなんて……」

 きょろきょろと周りを言ているとお母さんは説明をしてくれる。

「ここはね、エルフ族が外界とつながりを持つために作られた街なのよ。エルフの村ではなかなか手に入らない鉄製品とかをエルフ族が作った魔法の道具と交換するのが始まりだったって聞いてるわ。でもそのうち冒険者がその話を聞いて集まり始めるようになっていろいろな人たちが訪れる街になったのよ」

 お母さんはそう言って懐かしそうな眼をしてその街並みを見る。
 お父さんはそんなお母さんを見て苦笑する。

「レミンは昔冒険者をしていたからね。君を追って僕も外の世界に出る羽目になったんだけどね」

 お父さんはそう言ってお母さんと同じく街並みを眺める。
 
 なんですと?
 お母さんが冒険者していただなんて初耳。
 それにお母さんを追ってお父さんも外の世界に出ただなんて、ちょっとその辺お話を詳しく聞かせてちょーだいっ!!

 思わず目を輝かせてお母さんとお父さんのなれそめを聞こうとするとソルガさんが声をかけて来た。


「着いたぞ、みんな少しここで待っていてもらえるか?」

 そう言って一階のフロアーに入る。
 気付いたらもう塔についていたんだ。
 ソルガさんはズカズカと歩いて行って奥にあるカウンターで何やら話し込んでいる。

 私たちはフロアーでしばし待つけどここにもいろいろな人種の人がいる。

「よし、大丈夫だ。ファイナス長老のいる部屋に行くぞ。ついて来てくれ」

 そう言ってソルガさんは私たちを階段の方へと呼び寄せるのだった。


 * * *


「はぁはぁ、やっと着いた……」


 結構上の階だった、ファイナス長老がいる部屋は。
 この「緑樹の塔」って思いの外高い塔だった。
 多分二十階分は上ったと思う。
 
 この世界にはエレベーターなどと言うものは存在しない。
 だから上の階に行くには階段を上らなければならない。

「お姉ちゃん大丈夫?」

 一緒に上って来ていたルラは平然としている。
 それどころかお母さんもお父さんも。
 もしかして私って部運動不足??

 そんな事を思っているとソルガさんは扉を叩く。


 こんこん


「ソルガです、リルとルラを連れて来ました」

「お入りなさい」

 ソルガさんは扉越しにノックして名乗ると部屋の中から女性の声がする。
 この声、間違いなくファイナス長老だ。
 
 ソルガさんは扉を開け「失礼します」と言いながら入っていく。
 私もルラもその後を追って部屋に入ると部屋の奥の机にファイナス長老は座っていた。


「ファイナス長老、二人を連れて来ました」

「ご苦労様です、ソルガ。おや? レミンとデューラも一緒でしたか」

 言いながらファイナス長老は机から立ち上がる。
 そしてすぐ近くのソファーに座っていた女性の方へ歩きながら私たちを手招きする。


「リル、ルラよく無事で戻って来てくれました。レミンやデューラも二人が戻って来てさぞかし安心したでしょう。二人の事は渡りのエルフたちからもいろいろ聞いていました。さあ、こちらへいらっしゃい」

 ファイナス長老がそう言ているとその女性は立ち上がってこちらに向かって軽く会釈する。
 しかし私とルラはその女性にちょっと驚く。

 目元はマスクで隠しているけど、どう見ても東洋人。
 いや、その物腰や会釈する様子は完全に日本人のそれだった。

「紹介します、こちらは英雄ユカ・コバヤシ。魔法学園の学園長でもあります。私の古い友人です」

「ユカ・コバヤシと申します」

 そう言ってその目元をマスクで隠した黒髪に白い肌のどう見ても十七、八歳くらいの人は今度は深々とお辞儀をして来た。
 しかも角度四十五度で両の手を前に軽く合わせての完全な日本式のお辞儀。

 思わず私も慌てて同じように挨拶する。


「あ、リ、リルと申します」

「えっと、こんにちはルラです」


 ルラも私に合わせて同じように挨拶をする。
 すると彼女は顔をあげてにっこりと笑う。


『もしかしてこの言葉も分かるのではないでしょうか? だとするとあなたたちのそのチートスキルも納得で来ますわね』

 
 に、日本ごぉっ!?


 思わず呆気に取られてしまった。
 勿論ルラも。


「日本語だ…… 久しぶりに聞いたねお姉ちゃん!」

「え、あ、ど、どう言う事なんですか??」


 驚いて入るモノの私たちは慣れたコモン語でそう言ってしまう。
 するとその女性は不思議そうに今度はコモン語で聞いてくる。

「おや? 日本語は忘れてしまいましたか? しかしそちらの子は『日本語』と言っていましたね、どうやら間違いは無さそうですね」

 そう言ってファイナス長老を見る。
 するとファイナス長老は大きくため息をついてから言う。

「やはりそうですか。今までの話を総合するとやはりそうだったのですね? リル、ルラ、あなたたちは異世界からの転生者なのですね?」



 そう言うファイナス長老に私とルラは思わず固まってしまうのだった。 

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