腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~

さいとう みさき

文字の大きさ
360 / 437
第十四章:脈動

14-26学友

しおりを挟む

「アリーリヤさんの宿舎へ行きましょう!!」


 私は思わずそう叫んでしまった。
 そりゃぁ、新学期からこっちそれ程仲が良いわけではないけど同じクラスメート。
 そのアリーリヤさんが容疑者だなんて信じられない。

 でも確か一般学生では筆頭でこの学園に入って来たって聞いたし……

 私たちはすぐにソルミナ教授を含め宿舎へと向かうのだった。


 * * *


 どガーンっ!!


「何っ?」
 
 宿舎へ向かう廊下を渡っていたら宿舎から大きな音がした。
 驚き窓からそちらを見ると、もうもうと煙が立ち上っていた。


「お姉ちゃん、あれっ!!」


 ルラに言われ見ると誰かが宿舎の屋根に飛び乗っていた。
 そしてそこへまた人影が飛び上がる。

「ユカ父さん!?」

 私たちエルフは目が良い。
 夜目も効くけど遠くもよく見える。

「え? なに、学園長がいるの!?」

 思わずその姿を見てそう言う私に遠くが見えないヤリスは驚き聞いてくる。

「確かに、あれはユカじゃない!? それに、あっちは……」

 ソルミナ教授も窓際に来てそれを見て驚きの声を上げる。


「アリーリヤさん!!」


 勿論私も驚いている。
 正直自分の眼を疑っていた。

 宿舎の屋根の上には煙を背景にアリーリヤさんとユカ父さんが対峙していたからだった。


「何、どう言う事よ? 学園長と誰があの上にいるって言うの!?」

「アリーリヤさんです、あそこに立っているのはアリーリヤさんなんですよ!」

 ヤリスの質問に私は半ば叫ぶように答えていた。
 だって信じられない。
 アリーリヤさんのあの手に持つ物は間違いなく連結型魔晶石核!!


「お姉ちゃん、アリーリヤさんの手の中のあれ、連結型魔晶石核だよね?」

「なんですってですわ! それでは彼女が犯人なのですの!?」


 ルラのその言葉にアニシス様も声を上げる。
 当然だ。
 あれだけ苦労して作り上げた連結型魔晶石核を盗み出したのはあのアリーリヤさんだ。
 私はその事にショックを受けると同時にユカ父さんに対してもショックを受けていた。


「ユカ父さんが……ケガしている……」

「えッ!? うわっ、本当だ!! あのユカが手傷を負っているだなんて!!」

 ソルミナ教授もそれを見てまた驚く。
 だってあのユカ父さんがケガしているだなんて信じられない。
 

「お姉ちゃん、あたし先行くね!! あたしは走るのも『最強』!!」

「あっ、ちょっとルラっ!!」


 ルラはチートスキル、「最強」を使って疾風の如く駆け出す。
 私が何か言おうとした時には既に曲がり角を先に曲がっていて姿が見えなくなる。


「私たちも急ぎましょう!!」

 私はそう言ってルラの後を追って駆け出すのだった。 
  

 * * *


「はぁはぁ、ルラとユカ父さんは!?」


 慌てて宿舎まで駆けて来て上を見る。
 ここからだと屋根の上は見えないけど、宿舎の壁が爆発するかのように破壊されていてそこから火の手が上がっていた。

 既に警備の人たちもやって来て学生を退避させたり、水魔法を使って消化に入っている。

 と、そんな中にルラに肩を借りてユカ父さんが現れた。


「ユカ父さん! ルラっ!!」

  
 私はユカ父さんとルラの方へ駆けてゆく。

「大丈夫!? ユカ父さん傷は!!」

「すみません、不覚を取りました。傷は大丈夫です、すでに止血はしました」

 そう言ってルラに支えられながら近くの花壇の淵に腰を下ろす。

 
「ユカ、あなたほどの人間が一体……」

「油断しました、彼女がまさかあれほどのマジックアイテムを隠し持っていたとは……」

 ソルミナ教授が癒しの精霊魔法を使ってユカ父さんの手当てを始める。
 この魔法は【回復魔法】とは違って外部から魔力を込めて回復をさせるから、当人の負担は低い。

 
「お姉ちゃん……」


 ユカ父さんの傷口が徐々に治って行くのを見て一安心をする。
 そんな私にルラはが声を掛けて来た。


「そうだルラ! アリーリヤさんは? やっぱりアリーリヤさんが犯人だったの!?」

「お姉ちゃん…… アリーリヤさんは、アリーリヤさんはジュメルだったんだよ……」


「!?」


 ルラのその言葉に私は想定外に驚かされる。
 アリーリヤさんがジュメル?
 あの面倒な連中と関わっていた??


「ルラの言う事は事実です。彼女はジュメルでした。まさかここまで容易にジュメルの手先をこの学園に入れてしまっていたとは……」

「学園長、そうすると連結魔晶石核はジュメルの手に渡ったと言う事ですの?」

 私がショックでしばしフリーズしていると、ユカ父さんはルラの言葉を肯定してアニシス様はその事実を確認する。

「いえ、幸いにこれ一つだけは取り戻す事が出来ました。しかしもう一つは持ち去られてしまった……」

 そう言ってユカ父さんはマントの中からあの連結型魔晶石核を一つ引っ張り出す。
 それをアニシス様に手渡してから言う。

「目的は分かりません、しかし転移の魔晶石で逃げられてしまいました」

「それでも、一つだけでも取り戻せたのは不幸中の幸いですわ……」

 アニシス様はそう言ってその連結型魔晶石核を大事そうに抱きしめる。
 しかし問題はアリーリヤさんの方だ。
 彼女がジュメルだなんて!!


「これではっきりしましたわ、あの魔物もこの騒動も全てジュメルが絡んでいますわ!」

「なっ!?」


   
 私が動揺する中、アニシス様はそうハッキリと言い放つのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】

しんの(C.Clarté)
歴史・時代
15世紀、狂王と淫妃の間に生まれた10番目の子が王位を継ぐとは誰も予想しなかった。兄王子の連続死で、不遇な王子は14歳で王太子となり、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。「恩人ジャンヌ・ダルクを見捨てた暗愚」と貶される一方で、「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と正義と秩序をもたらした名君」と評価されるフランス王シャルル七世の少年時代の物語。 歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。 【カクヨムコン7中間選考通過】【アルファポリス第7回歴史・時代小説大賞、読者投票4位】【講談社レジェンド賞最終選考作】 ※表紙絵は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。 ※重複投稿しています。 カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859447599614 小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n9199ey/

物置小屋

黒蝶
大衆娯楽
言葉にはきっと色んな力があるのだと証明したい。 けれど、もうやりたかった仕事を目指せない…。 そもそも、もう自分じゃただ読みあげることすら叶わない。 どうせ眠ってしまうなら、誰かに使ってもらおう。 ──ここは、そんな作者が希望や絶望をこめた台詞や台本の物置小屋。 1人向けから演劇向けまで、色々な種類のものを書いていきます。 時々、書くかどうか迷っている物語もあげるかもしれません。 使いたいものがあれば声をかけてください。 リクエスト、常時受け付けます。 お断りさせていただく場合もありますが、できるだけやってみますので読みたい話を教えていただけると嬉しいです。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...