戦場の女神 〜愛を求めて〜

中村幸男

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激戦

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「a中隊降下完了!損害軽微!各中隊状況報告!」
『こちらb中隊!被害甚大なれど作戦遂行に支障なし!』
『こちらc中隊!総員無事!』
 
 激しい対空放火の中、なんとか着地することが出来た。
 が、b中隊の乗る機体が降下直前に翼に被弾。
 爆発する直前に全員が飛び降りたが、被害を受けたようだ。
 
「総員!作戦を遂行せよ!核シェルター内にて待つ!」
『『了解!』』
 
 各中隊が降下した位置はバラバラだ。
 連携を取るのは難しいだろう。
 中国軍も当てにならない以上、自力で頑張るしか無い。
 
「隊長!5時に敵戦車中隊!」
「くそ!林へ行け!」
 
 5時方向に敵の戦車中隊がいる。
 こちらには気付いていない様子だが、降下したのを見て捜索に来たのだろう。
 ……近いな。
 
「おかしいな……。」
「どういう事です?」
 
 確かにアイを使われているのならこちらが降下する地点を絞られていてもおかしくはない。
 だが、あの数の戦車が接近してきていたというのに何故気付けなかった……。
 
「……静かだ。戦車の駆動音が聞こえない。」
「確かに……。」
 
 すると、戦車の砲塔がこちらに向いた。
 こちらは林の中。
 茂みから覗いているので気付かれない筈だ。
 
「……まさか!?」
「ど、どうしたんです!?」
 
 まさか、あれが実戦配備されているというのか!
 だとすれば非常にまずい!
 
「総員!物陰に隠れろ!木の後ろは無理だ!出来るだけ頑丈な遮蔽物に身を隠せ!あれは、エイブラムスXだ!」
「り、了解!」
 
 エイブラムスX。
 アメリカの最新鋭戦車である。
 まだ実戦配備されているとは聞いていない。
 だが、あの動き、形状。
 ネットの記事で読んだ物そのものだ。
 確か、あれにはサーマルがついている。
 こちらの居所などすぐにバレてしまうだろう。
 
「くそっ!たかが戦車中隊!俺達がやってやります!攻撃開始!やるぞ!」
「待て!」

 確か彼等は対戦車戦を得意とする民間軍事会社だ。
 彼等は確かに精鋭だと聞いた事がある。
 だが、あれには確か……。
 彼等は俺の指示を聞かず対戦車ミサイルを放つ。
 無数のミサイルが戦車部隊へ飛んでいく。
 が、それが戦車に到達することは無かった。
 
「な、何だと!?」
 
 その全ては戦車の上部、機銃がついている箇所から放たれたミサイルによって全てが撃墜された。
 
「早く隠れろ!あれには自動迎撃システムがついている!生身じゃ勝てんぞ!」
 
 が、その忠告は既に遅かった。
 敵戦車中隊は彼等の居た地点を集中砲撃する。
 
「くそっ!」
 
 俺達は幅広く展開していた為、一網打尽にはされなかった。
 戦車がこれでもかと言うほど主砲を撃っている。
 あれには自動装填機能が備わっており、これまでとは比べ物にならない連射速度を持っている。
 
「隊長!林を抜けて逃げましょう!」
「……いや、手遅れかもな。」
 
 空を見上げる。
 戦車の砲撃の音で聞こえなかったが、ヘリだ。
 敵の戦闘ヘリが上空を飛んでいる。
 いや、輸送ヘリもだ。
 恐らく、周囲に敵部隊が展開するだろう。
 包囲され始めている。
 アイの戦闘展開予測の力か。
 懐から地図を出し、見る。
 
「総員!着剣!このままここにいては壊滅する!包囲される前に市街地へ逃れるぞ!西側から抜ける!付いて来い!」
 
 このままここにいては無駄死にだ。
 敵の展開が予想よりもかなり早い。
 こちらも迅速に行動せねば。
 
「遭遇戦に注意しろ!敵戦車は市街地での戦闘には不向きだ!上空と角には警戒しておけ!接近戦の心構えでいろ!」
「了解!」
 
 あのAIの恐ろしさは身を持って知っている。
 だからこそ油断はしない。
 こちらの行動全てが予測されてるという前提で行動すれば不足の事態にも対処できる。
 やってやる。
 AIなんかに負けてたまるか。
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