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第十一話 ミツキ様_11
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「大島の動機、分かったんですか」
通話相手の言葉に、桂木は思わず大きな声をあげた。
あの撮影から、一月が経っていた。
想定したとおり、ビルの管理人から田崎たちからの連絡がないことで警察に連絡が行き、桂木は無事助け出された。
いや、無事と言うと語弊があるかもしれない。
発見されたときの彼は気絶しており、発見当時の事件現場の状況から一時は犯人だと目されたものだ。
何せ、三城たちの他にも田崎、そして大島の死体が発見されたのだから。
生き残りが桂木だけなのだから怪しまれるのも当然である。ただ、後ろ手に縛られていたことから彼は被害者であり、殺害を行ったのは大島であるという証言はすぐに信じてもらうことができた。
それを踏まえて警察の調査が続けられてきているのだが、電話の相手はその情報をリークしてくれている。同じ大学の部活で数年共にした男で、これまでにも幾度と無くお互いの情報を交換したりして持ちつ持たれつの関係を保っていた。
「そうか、田崎さんの奥さんと横領してたんだ…」
田崎の妻は名義貸しでディレクターとして在籍していたが、実際には会計なども担当していた。
いつからか彼女は大島と良い仲になっており、経費を多く計上して横領していたことを自白したそうだ。
「それで会社の経営が苦しくなったのか。で、それがばれそうになったから犯行に及んだと」
また、剣持たちまで殺した理由についても推測を多分に交えてではあるが教えてもらうことができた。
大島の家を家宅捜査して判明したことだが、今回絵里香たち三人を抜擢するよう田崎に奨めたのも大島なんだそうだ。その理由だが、かつて彼らに深い恨みを抱いていたことが日記に描かれていたという。
元々大手の制作会社に勤めていた大島だが、当時人気絶頂の真っ只中にいた剣持の機嫌を損ねたせいで飛ばされた――と思い込んでいた。また相沢絵里香は自分にアピールしてきたせいで当時付き合った彼女に振られた、三城には持ち上げられたせいで当時の先輩から嫌われて結果馘にされる要因となった…と、いずれも逆恨みでは?と思うようなものであったという。
ちなみに、桂木に対する恨み言もあったとのこと。教えてくれると言われたが、ただでさえ気が滅入ってるので余計なことは聞きたくないと丁重に断った。
「しかし、よく分からないのは何で田崎さんまで殺したんだろう。そこがよく分からないな」
桂木がぼそりとそうつぶやくと、耳ざとく聞きつけた電話の相手は訂正してきた。
「え? …そりゃ、本当ですか?」
桂木は目を見開いた。
田崎を殺害したのは大島ではない。
また、大島も他殺だったという。
いずれも犯人は不明だが、死因は釘という点が共通している。
田崎は喉一杯に釘を詰め込まれた窒息死。
大島は両耳から大量に突き込まれており、それが脳に達していたという。
いずれも大島による偽装で使われたものと比べると明確に古いものが使われており、そのことも踏まえると大島の手による犯行とこの二件は明確に別のものと思われる――というのが連絡してくれている人個人の見解だ。ただし、警察の実態としては大島が田崎も殺した上で自殺したと発表している。
「じゃあ、誰が?」
という問いには、警察でも分かっていないという答えしか返ってこなかった。
そこから二言三言世間話をしてから、桂木は丁重に礼を言って電話を切った。
「釘…」
電話を切ってからも、桂木の頭にはそのことがこびりついていた。
確か、三年前に死んだとされている霊能者くずれも怪死したと田崎が言っていたが…そこにも釘というキーワードが掛かっていたはずだ。
ここまでならまだ、単なる考えすぎと笑って済ませたことも出来たかもしれない。だが、桂木はそれまで加えていたタバコを吸いきると、導かれるようにして当時の動画を再生していた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ツギハ12ニチ19ジ
通話相手の言葉に、桂木は思わず大きな声をあげた。
あの撮影から、一月が経っていた。
想定したとおり、ビルの管理人から田崎たちからの連絡がないことで警察に連絡が行き、桂木は無事助け出された。
いや、無事と言うと語弊があるかもしれない。
発見されたときの彼は気絶しており、発見当時の事件現場の状況から一時は犯人だと目されたものだ。
何せ、三城たちの他にも田崎、そして大島の死体が発見されたのだから。
生き残りが桂木だけなのだから怪しまれるのも当然である。ただ、後ろ手に縛られていたことから彼は被害者であり、殺害を行ったのは大島であるという証言はすぐに信じてもらうことができた。
それを踏まえて警察の調査が続けられてきているのだが、電話の相手はその情報をリークしてくれている。同じ大学の部活で数年共にした男で、これまでにも幾度と無くお互いの情報を交換したりして持ちつ持たれつの関係を保っていた。
「そうか、田崎さんの奥さんと横領してたんだ…」
田崎の妻は名義貸しでディレクターとして在籍していたが、実際には会計なども担当していた。
いつからか彼女は大島と良い仲になっており、経費を多く計上して横領していたことを自白したそうだ。
「それで会社の経営が苦しくなったのか。で、それがばれそうになったから犯行に及んだと」
また、剣持たちまで殺した理由についても推測を多分に交えてではあるが教えてもらうことができた。
大島の家を家宅捜査して判明したことだが、今回絵里香たち三人を抜擢するよう田崎に奨めたのも大島なんだそうだ。その理由だが、かつて彼らに深い恨みを抱いていたことが日記に描かれていたという。
元々大手の制作会社に勤めていた大島だが、当時人気絶頂の真っ只中にいた剣持の機嫌を損ねたせいで飛ばされた――と思い込んでいた。また相沢絵里香は自分にアピールしてきたせいで当時付き合った彼女に振られた、三城には持ち上げられたせいで当時の先輩から嫌われて結果馘にされる要因となった…と、いずれも逆恨みでは?と思うようなものであったという。
ちなみに、桂木に対する恨み言もあったとのこと。教えてくれると言われたが、ただでさえ気が滅入ってるので余計なことは聞きたくないと丁重に断った。
「しかし、よく分からないのは何で田崎さんまで殺したんだろう。そこがよく分からないな」
桂木がぼそりとそうつぶやくと、耳ざとく聞きつけた電話の相手は訂正してきた。
「え? …そりゃ、本当ですか?」
桂木は目を見開いた。
田崎を殺害したのは大島ではない。
また、大島も他殺だったという。
いずれも犯人は不明だが、死因は釘という点が共通している。
田崎は喉一杯に釘を詰め込まれた窒息死。
大島は両耳から大量に突き込まれており、それが脳に達していたという。
いずれも大島による偽装で使われたものと比べると明確に古いものが使われており、そのことも踏まえると大島の手による犯行とこの二件は明確に別のものと思われる――というのが連絡してくれている人個人の見解だ。ただし、警察の実態としては大島が田崎も殺した上で自殺したと発表している。
「じゃあ、誰が?」
という問いには、警察でも分かっていないという答えしか返ってこなかった。
そこから二言三言世間話をしてから、桂木は丁重に礼を言って電話を切った。
「釘…」
電話を切ってからも、桂木の頭にはそのことがこびりついていた。
確か、三年前に死んだとされている霊能者くずれも怪死したと田崎が言っていたが…そこにも釘というキーワードが掛かっていたはずだ。
ここまでならまだ、単なる考えすぎと笑って済ませたことも出来たかもしれない。だが、桂木はそれまで加えていたタバコを吸いきると、導かれるようにして当時の動画を再生していた。
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