安瀬乃片敷六丁目六番地六号より

takaue.K

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第三十六話 猫の声

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「またかよあのババア」

 俺はたばこのフィルターを嚙みつぶしながらちっと舌打ちした。
 まったく、嫌なもんを見た。

 今日一日の終わりの締めくくりとして就寝前にベランダで一服していたのだが、ここからだとアパート共有のゴミ集積所が目に入る。
 そこへ、隣室のババアがまたゴミを出していたのだ。両手にバカでかいゴミ袋を四つ。どんだけゴミ溜め込んでたんだ。

 はっきりいって、俺は隣のババアが嫌いだ。
 こちらには挨拶がなってないだのゴミの分別がなってないだの、自分は夜中にこそこそゴミを捨ててるくせに、ことあるごとに自分を棚に上げて文句を言ってくる嫌なババアだ。
 引っ越しの挨拶の蕎麦を不機嫌な面でひったくるように持って行った時から合わないと感じていたが、少し前まではペット不可にも関わらず猫の鳴き声までさせていやがった。俺は猫好きだからまだ良いが、他人の迷惑ってもんを考えられないのか。

「そろそろ大家にチクるか」

 ようやく躾がなったのか、ここひと月くらい無駄鳴きがおさまってたから大人しくしていたが…やはり、かの邪智暴虐を除かなければならぬと俺は改めて決意した。
 俺より大家との付き合いが長いせいか幾ら文句を言ってもなあなあにされてきたが、さすがに時間を無視した上ゴミ捨て場を一人で占有するくらいのでかいゴミは見過ごすってわけにはいかないだろう。
 さて、どう話を持っていくか…考えながら、俺は床に就いた。

「やっべえ、寝過ごした」

 まったく、実に最悪だ。
 まさか目覚まし時計の電池が切れてたなんて。
 俺は慌てて飛び起きる。
 出勤前に大家に文句を言おうと思ってたが、帰宅後にするしかない。

 急いで家を飛び出し、ゴミ捨て場を背に駆け出す。

「ニャァ……」

 そんな俺の足を止めたのは、か細い今にも消えそうな鳴き声だ。
 今にも消え入りそうなのに俺は思わず足を止める。どこからだ?

「ニャ……ァ…」

 今度は分かった。でかいゴミ袋からだ。

 少し迷ったものの、俺は大家に会いに行くことにした。

 結論からいれば、ババアは当分警察の厄介になることとなった。

 弱った猫はいなかったが、代わりにひと月ほど放置されていたらしい子供のバラバラ死体が袋から発見されたからだ。

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ツギハ10ニチ19ジ
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