【本編完結】転生令嬢、目指すはスローライフ〜イベント企画担当者ではないのよ!

ブラウン

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本編

第75話 みんなではしゃぐ

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 お酒?という単語を聞いたアグリ様が徐に尋ねてきた。


「アイリ嬢、あとでそのお酒のところも見学したいのですがダメですか」

「すみません、お酒は秘匿なのでダメですが飲むことができます。今日の夕食に出します。お酒のところは契約者以外は入れないようになっているのでダメです」

「でも、飲めるのですね、楽しみです。陛下がお越しの時は我々は飲めないですから、今回の視察楽しみにしていたのですよ。少し羽を伸ばしてしまおうかなぁ。王都だと忙しいし」
 
 アグリ様お疲れなのね。それならお風呂ゆっくり浸かってほしい。でも、お酒飲んだあとはダメ。ここは言い聞かせないといけない。

「アグリ様、お酒飲んだあと、お風呂に入ってはいけません。なので、ご飯前にでもお風呂へどうぞ。お兄さまも一緒にお願いしますね。色々教えてください。私は入れませんので.その間に夕飯の支度とお酒の用意してますね」

「アイリ嬢、なぜ酒を飲んだあとお風呂に入ってはダメなのだ?」

「お酒を飲んだあとの重要なことなのでよく覚えておいてください。飲酒後にお風呂に入ると、血液の循環を早くする傾向にあります。アルコールの回りも早くなるため、酔いを加速する可能性があります。酔いが加速すると眠くなる方も多く、湯船に浸かったまま寝てしまい、溺死してしまう、というリスクもあります。そして、飲酒後のお風呂は血圧の低下や心拍数の増加を引き起こしやすい状態となり不整脈や心臓発作、脳卒中などの思わぬ病気に発展する可能性もあるので、飲酒後のお風呂は注意してください。わかりましたか?」

「ノウソッチュウ?フセイミャク?シンゾウホッサ?とはなんだね」

「それはですね、まず人は身体中に血液が巡り巡っているのです。頭の中にも血管があり、脳卒中はその脳の血管が破裂するということです。不整脈、心臓発作はここ、心臓です。心臓にも血液が流れているので、これが止まって死んでしまうことがあるのです。だから、お酒飲んだあとはシャワーなどがいいですよ」

「な,なるほど。お酒飲む前にお風呂に入るよ。飲んだらシャワーの方がいいのだね」
 アイリ嬢はすごいな。これが転生者という知識か。宰相と私だけは聞いているがこれはまたすごいな。人の体の構造なども知っているということか。陛下に報告だな。それにしてもすごいなここは。あいつがここを知ったら、いつでも来たいというだろうな。まぁ、その時は宰相に仕事を丸投げし、俺も一緒にくればいい。宰相、あいつにはここの良さを知らせない方がいいな。はははっ。

 コテージ?今から行くところも楽しみだな。こんなワクワクする視察はいいな。

 アグリ様の考えていることなどまったく気にせず、コテージの方へ案内した。
 一階は大きい海を見渡すことができるリビングダイニング、隣には食堂室、大浴場、プール。宿泊部屋が数部屋。2階は全て宿泊部屋。

「これはまたすごい。海が一面に見える。こんな様式の部屋見たことがない」

「父上、アレク、すごい景観が良いですよね。これはくつろげて癒されるなぁ」

「アイリ、お前またとんでもないものを作ったな。外から見た邸もすごいと思ったが中は、はぁ。これは父上に早く来てもらわないといけないな」
 ため息混じりでお疲れのご様子のお兄さま。ここは癒されるためのコテージなのよ。そんな呆れたような、遠い目をしているお兄さま、ダメよ、癒されてちょうだい。

「アイリ嬢、次,次を案内してほしい」
 急かすアグリ様。

「今度は大浴場と家族風呂です。本当は宿泊部屋に行き,こう言った部屋着に着替え、お風呂に来てほしいです。そして、こちらの赤い方が女性、紺色が男性のお風呂です。ここで自分の分のタオルを取り、こちらに脱いだ洋服を入れて、お風呂に行きます」
 入り方を伝授しないとダメかな。お兄さまは家でしているからわかっているけど、とりあえず作法だけ教えておこう。

「こちらの桶でぬるいお湯で1、2掛けして体の汚れを流します。こちらの洗い場で体を洗ってから、湯船に入ってもいいですし、全て髪から体まで洗ってから、湯船に入る、どちらでも構いません。体だけは始めに洗ってください」

 それからボディーソープ、シャンプー、トリートメントなどを教え、温泉の効能は塩化物温泉。

 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病。

 効能を説明した。お風呂から出る時は洗い流さないようにと伝えた。出たら水を飲んでいただき、ドライヤーなどで髪を乾かしてください。自分で乾かすことができるならご自分でどうぞと付け加えた。化粧水もココヤシから作った自然化粧品を説明。ここもご自分の化粧品をお使いくださいと伝えた。

「早く入りたいな。部屋に部屋着があるのか?それを着てここに来れば良いのだな」
「父上、早く入りたいですね」
 この親子、旅行へ来ているようなかんじよね。視察では?

「アグリ様、ここまで不満や問題点などございましたでしょうか?ただ心配なのは女性陣のドレスなどです。暑いですし、歩きにくいかなぁと思っています」

「そうですね。ドレスはここでは難しいですね。そうだ、ジャポング皇国がいらっしゃった時のドレスなら大丈夫ではないですか?それを私から進言しますね」

「ありがとうございます、アグリ様」

「アイリ嬢、楽しいですね。ウキウキしますよ」
 子供のようにはしゃいでいるアグリ様なのですが、リドリード様を見ると、首を振って呆れていた。

「そうだ、お兄さま、プールにお水入れてください。今入れておけば太陽の熱で温かくなるのでお願いします」

「リビングの前にある四角い溝か。あそこに水を入れればいいのだな」
 皆で、外のプールへやってきた。


「お兄さま、ここに水入れてください。お願いします」

「アレク、俺がやるよ。ここに来て何もしていないからそのぐらいするよ」

 リドリード様が、水を出した。おおー、水面がキラキラしたプール。これよこれ。リゾートというかんじ。
「暑い時はこのままの水温でも、あとは太陽の熱でそのうち水が温かくなると思うので、自分の好きな水温で調節してくださいい。少し、温かくしたい場合は、火魔法少しお願いします」

「なるほど、冷たすぎるのも、体が冷えてしまう。太陽の熱で水が温まるなら、朝早く水を入れておけば、遊ぶ時いい水温になっているな」
 本当にアグリ様先ほどから子供のようですよ。

 最後は宿泊部屋。王族の広さと私たちの広さは違うからなぁ。狭いと感じるよね。

「アグリ様すみません。ここと隣が1番広い部屋なのですが、王族の方々には狭いと思うのです。どうしましょう」
 部屋を案内した。一応、ソファ、ベッド、洗面所、トイレ、浴室一通りは完備しているが、狭いと思うのよね。

「いい部屋じゃないか!あいつがそんなこと気にしないよ。王妃様も大丈夫だよ。十分だよ。隣も同じ構造?」

 アグリ様、国王陛下陛下をあいつ呼ばわりですか。すごいですね。

「だいたい同じですが、雰囲気が違うだけです」

「ここはシンプルに白を基調としている。隣は、ザ・リゾート。水色とハイビスカスなどのカラフルなかんじです」

「隣も行こう!」
 アグリ様が率先して行ってしまった。

「ほー、こちらもいいなぁ」
 隣の部屋からアグリ様の声が聞こえてくる。

「アイリ嬢、父がすまない。はしゃぎすぎている。困った人だ」

「いえいえ、楽しんでいられるので、嬉しいです。作った甲斐があります」

「この隣は何かな」
 アグリ様,この先の部屋に行きましたね。

「アイリ嬢,早く来てください。いろいろな部屋があって楽しいですね」
 大きな声で呼ばれている。どの部屋に入ったのだろう?

 部屋から顔を覗かせたアグリ様がいた。

「父上、はしゃぎすぎです。我々は国王陛下がここに来た時不便なことがあるか、安全に問題がないかの視察に来ているのですよ。あなたが楽しんでどうするのですか!」

「リドリード、すまない。楽しくて楽しくて。目的はわかっているから大丈夫だよ。アイリ嬢、1階を一通り見て、部屋着というのはサイズがいくつもあるのかい?」

「そうです。子供用から女性用のサイズがいくつかと、男性用のサイズがいくつか用意してます。もちろんご自分の愛用するものでも大丈夫です。そちらも案内しましのうか?」

 リネン室も案内した。シーツ、枕カバー、タオル類、室内着、室内履きが綺麗に並んでいる。

「室内着はサイズや絵柄など様々あるので選んでください。今日のを選んでください。そして着心地など教えてください。汚してしまったらいつでも変えられますので、安心してください。男性用はこちらです。お兄さまも選んでください」

「俺もか?」

「お客気分で味わってみて、それで足りないところを教えてね」

「そうだな、わかったよ」
 久しぶりの頭撫で撫でだ。お互い顔を見合わせて笑った。

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