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6章
襲撃
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「どうだ、『気』とやらはマスターできそうか?」
「全然じゃ……」
様子を見に来たアークミスラが見た光景は一人の人間が岩にめり込み、それに向かってフレイムエクリスを連発するディータの姿。その横では魔力制御のために気の訓練をしていたカモメが顔を真っ赤にしながら地面に座っている。
そして、その光景をさも楽しそうに見ているエリンシアの姿であった。
「仲が良いのは構わんが、早く『気』をマスターして出て行ってもらいたいのだがな」
「なんじゃ、竜族はやはり人間を受け入れぬのか?」
「ああ、皆に説明してきたがやはり追い出せという意見が多い」
「人間の裏切りも女神ティアラの裏切りも『魔』のせいだとわかったのにのう……」
「そう簡単には信じられぬのだよ、あの人間が嘘を吐いているかもしれんしな」
「カモメに限ってそれはないのじゃ」
和気藹々(?)とはしゃいでいるカモメ達を見ながら、アークミスラとラガナが会話をしていた。
竜達の多くは人間を受け入れることはやはりできないらしい。
以前に裏切られたこともそうだが、今の人間は竜を魔物として扱っている。
その為、冒険者に狙われたりする竜も多いのだ。そう簡単には受け入れることができないだろう。
「すぐに出て行けといっているのかのう?」
「うむ、すぐにでも追い出すことになった」
「では、当然、協力してくれる竜も……」
「いない」
出来るのであれば、竜気を使える竜にアドバイスをもらいたかったのだが、どうやらそれは叶わないらしい。ラガナは『仕方ないのう』と溜息を吐きながらカモメ達の元へと歩き出した。
「カモメ!」
「はっ!えっと、何!?デート開始!?」
「違うのじゃ……竜達の協力が得られなかったのじゃ……」
「なんですって?……どういうこと、アークミスラ」
「すまぬ、闇の女神よ。世界からその娘が聞いたということを伝えはしたのだが、それを踏まえたうえでも人間は信用できないということだ」
アークミスラから説明を聞いて、カモメ達は暗い表情をする。
「でも、仕方ないよ……私もずっと竜は魔物だって思っていたし……」
「そうですわね、先に礼を失したのはワタクシ達の方ですわ、今更、手を貸して欲しいというのは虫が良すぎますわね」
「とはいえ、彼らの協力が得られないのはきついね」
カモメの魔力制御のこともそうだが、出来るのであればこれからの魔族の戦いにも協力してほしいと思っていたカモメ達だったのだが……どうやらそれは叶わないらしい。
「仕方ないね……とりあえず、ツァインに帰ろうか?」
「そうじゃな、特訓はツァインの冒険者ギルドの訓練場を使わせてもらうのじゃ」
「アークミスラさん、ありがとうございました。私達はこれで帰ります」
「うむ」
ティアラの血を引いているという事を聞いたからか、ティアラの事を良く知るアークミスラは少し複雑な表情でカモメを見る。恐らく、アークミスラ個人でいえば、協力してあげたいと思っているのかもしれない。
「それじゃ、行くのじゃ……!!っ」
カモメ達が歩き出そうとしたその時、大きな爆発音が辺りに響く……そして、竜達の者であろう悲鳴が聞こえてきた。
「何!?」
「アークミスラ様!!」
いきなりの爆発音にカモメ達は驚く。
爆発が続き鳴り響くなか、一人の竜族の男性がこちらへと必死の形相で走り寄ってきた。
「何事だ!」
「魔族です、魔族が再び攻めてきました!!」
「何だと!?……この場所を見つけたというのか……見張りは何をやっていた!」
「連絡が取れません……恐らく……」
「むぅ……分かった、私もすぐに向かう、戦闘能力の低いものは避難させよ!」
「は、はい!!」
魔族が竜達を襲撃したのだ。
一度、魔族の襲撃を受け、今度は魔族に見つからないよう、場所を移動した竜達であったが、一度見つけたのなら二度目がある可能性は確かにある。だが、それでも巧妙に見つかりにくい場所に入り口を設置していたのだ……それがこうも簡単に見つかってしまうとはアークミスラも予想外だったのだろう。その表情にかなりの焦りが見えた。
「ごめん、アークミスラさん。私たちまだ帰れない」
「何?」
「皆、竜族を助けてあげて!」
「解った」
「当然ですわ!」
「仕方ないのう」
「ええ」
それぞれがカモメの言葉に肯定で返す。ちなみにクオンは岩にめり込んだまま返事をしている。
それを聞き驚きの表情を出す、アークミスラ。
当然である、今しがた、困っているカモメ達を追いだそうとした自分たちを助けるなどといのだ。
「いいのか?我らはそなたたちを追いだそうとしたのだぞ?」
「困ってる人がいるのに助けないなんて選択しないよ!それより、早く向かおう!」
「っ!……今のは……」
そう言うカモメの優しさに素直に『ありがとう』とお礼を言うアークミスラ。
その傍らで、何かを感じたラガナが顎に手をやり何かを考えていた。
「カモメ、貴方はその状態じゃ戦えないでしょ、根暗坊主、貴方はカモメを護りなさい」
「了解……って誰が根暗坊主だ!」
岩から抜け出しながらツッコミを入れるクオン。
「すまぬ、助かる」
「さあ、急いでいきましょうですわ!」
そう言い、爆発音のする方へと駆けだすエリンシア達であった。
「全然じゃ……」
様子を見に来たアークミスラが見た光景は一人の人間が岩にめり込み、それに向かってフレイムエクリスを連発するディータの姿。その横では魔力制御のために気の訓練をしていたカモメが顔を真っ赤にしながら地面に座っている。
そして、その光景をさも楽しそうに見ているエリンシアの姿であった。
「仲が良いのは構わんが、早く『気』をマスターして出て行ってもらいたいのだがな」
「なんじゃ、竜族はやはり人間を受け入れぬのか?」
「ああ、皆に説明してきたがやはり追い出せという意見が多い」
「人間の裏切りも女神ティアラの裏切りも『魔』のせいだとわかったのにのう……」
「そう簡単には信じられぬのだよ、あの人間が嘘を吐いているかもしれんしな」
「カモメに限ってそれはないのじゃ」
和気藹々(?)とはしゃいでいるカモメ達を見ながら、アークミスラとラガナが会話をしていた。
竜達の多くは人間を受け入れることはやはりできないらしい。
以前に裏切られたこともそうだが、今の人間は竜を魔物として扱っている。
その為、冒険者に狙われたりする竜も多いのだ。そう簡単には受け入れることができないだろう。
「すぐに出て行けといっているのかのう?」
「うむ、すぐにでも追い出すことになった」
「では、当然、協力してくれる竜も……」
「いない」
出来るのであれば、竜気を使える竜にアドバイスをもらいたかったのだが、どうやらそれは叶わないらしい。ラガナは『仕方ないのう』と溜息を吐きながらカモメ達の元へと歩き出した。
「カモメ!」
「はっ!えっと、何!?デート開始!?」
「違うのじゃ……竜達の協力が得られなかったのじゃ……」
「なんですって?……どういうこと、アークミスラ」
「すまぬ、闇の女神よ。世界からその娘が聞いたということを伝えはしたのだが、それを踏まえたうえでも人間は信用できないということだ」
アークミスラから説明を聞いて、カモメ達は暗い表情をする。
「でも、仕方ないよ……私もずっと竜は魔物だって思っていたし……」
「そうですわね、先に礼を失したのはワタクシ達の方ですわ、今更、手を貸して欲しいというのは虫が良すぎますわね」
「とはいえ、彼らの協力が得られないのはきついね」
カモメの魔力制御のこともそうだが、出来るのであればこれからの魔族の戦いにも協力してほしいと思っていたカモメ達だったのだが……どうやらそれは叶わないらしい。
「仕方ないね……とりあえず、ツァインに帰ろうか?」
「そうじゃな、特訓はツァインの冒険者ギルドの訓練場を使わせてもらうのじゃ」
「アークミスラさん、ありがとうございました。私達はこれで帰ります」
「うむ」
ティアラの血を引いているという事を聞いたからか、ティアラの事を良く知るアークミスラは少し複雑な表情でカモメを見る。恐らく、アークミスラ個人でいえば、協力してあげたいと思っているのかもしれない。
「それじゃ、行くのじゃ……!!っ」
カモメ達が歩き出そうとしたその時、大きな爆発音が辺りに響く……そして、竜達の者であろう悲鳴が聞こえてきた。
「何!?」
「アークミスラ様!!」
いきなりの爆発音にカモメ達は驚く。
爆発が続き鳴り響くなか、一人の竜族の男性がこちらへと必死の形相で走り寄ってきた。
「何事だ!」
「魔族です、魔族が再び攻めてきました!!」
「何だと!?……この場所を見つけたというのか……見張りは何をやっていた!」
「連絡が取れません……恐らく……」
「むぅ……分かった、私もすぐに向かう、戦闘能力の低いものは避難させよ!」
「は、はい!!」
魔族が竜達を襲撃したのだ。
一度、魔族の襲撃を受け、今度は魔族に見つからないよう、場所を移動した竜達であったが、一度見つけたのなら二度目がある可能性は確かにある。だが、それでも巧妙に見つかりにくい場所に入り口を設置していたのだ……それがこうも簡単に見つかってしまうとはアークミスラも予想外だったのだろう。その表情にかなりの焦りが見えた。
「ごめん、アークミスラさん。私たちまだ帰れない」
「何?」
「皆、竜族を助けてあげて!」
「解った」
「当然ですわ!」
「仕方ないのう」
「ええ」
それぞれがカモメの言葉に肯定で返す。ちなみにクオンは岩にめり込んだまま返事をしている。
それを聞き驚きの表情を出す、アークミスラ。
当然である、今しがた、困っているカモメ達を追いだそうとした自分たちを助けるなどといのだ。
「いいのか?我らはそなたたちを追いだそうとしたのだぞ?」
「困ってる人がいるのに助けないなんて選択しないよ!それより、早く向かおう!」
「っ!……今のは……」
そう言うカモメの優しさに素直に『ありがとう』とお礼を言うアークミスラ。
その傍らで、何かを感じたラガナが顎に手をやり何かを考えていた。
「カモメ、貴方はその状態じゃ戦えないでしょ、根暗坊主、貴方はカモメを護りなさい」
「了解……って誰が根暗坊主だ!」
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「すまぬ、助かる」
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