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2部 2章
領主の願い
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私達はギルドを後にし、領主の館まで来ていた。
「ん?ここは領主さまの館だ。一体、何の用……あ、貴方は!」
「えっと、アンリエッタに呼ばれて来たんだけど……」
「闇の魔女様、ご無礼、申し訳ございません。領主さまは中に居られますのでどうぞお入りください」
ふえ!?
や、闇の魔女様ってのはもう仕方ないとしても、なんでそんなに畏まるの?
私、ただのFランク冒険者だよ……?
「えっと、じゃあ、通させてもらうね」
「はっ!」
敬礼までされちゃった……なんかむずかゆいなぁ……。
中に通された私達は、館の入り口に入るとキョロキョロとあたりを見回す。
うーんと、アンリエッタがどこにいるか分からないし、とりあえず、近くにいる人に聞いた方がいいよね?
「あの、すみません」
私は、とりあえず、近くにいたメイドさんに声をかける。
メイドさんは私を見ると驚いたような顔を一瞬すると、興奮したような声をあげてこちらに近づいてきた。
「闇の魔女様!何か御用でしょうか!」
「え、えっと、アンリエッタに呼ばれて来たんだけど、どこに行ったらいいかな?」
「お嬢様……いえ、領主様ですね!領主様なら今は二階にある私室にいらっしゃいます。ご案内いたしますね!」
「あ、うん……お願い」
なんで、こんなにテンション高いんだろう……。
私室に行くまでの道中も興奮したように話しかけてくるメイドさん。
ちょっと困るけど、悪気があるわけじゃないから邪険にも出来ないのである。
そして、ようやくアンリエッタの私室に辿り着くと、メイドさんは扉をノックする。
「どうしました?」
中からアンリエッタの声が聞こえてきた。
「闇の魔女様がいらっしゃいました!」
メイドさんがそう言うと、中からドタドタと慌てるような音が聞こえてくる。
そして、こちらから開けることなく扉が開いたのだった。
「闇の魔女様!よくいらっしゃいました!」
中から出てきたのはとても嬉しそうな顔をしたアンリエッタであった。
「さあ、中に入ってください」
アンリエッタに促されるまま、私達はアンリエッタの私室へと入る。
そして、中にあるソファーへと座った。
「えっと、ギルドでアンリエッタが呼んでいるって聞いたけど……」
「申し訳ありません、街の英雄を呼びつけるなんて真似をしてしまいまして」
え………?
「いやいや、英雄なんて大袈裟な、他の冒険者の人達だって戦っていたし……」
「何をおっしゃられますか、その他の冒険者やギルドマスターからも聞きました。邪鬼を滅ぼしたのはまさしく魔女様のパーティで、その上、魔女様は二千を超える魔物を撃退したと!」
えっと、うん………そういえば、そうなのかもしれないけど……英雄って言うほどじゃ……。
「本来であれば、私が自分からお礼に行かなければならないところ……領主という立場もありそう言うわけにいかず、呼び出すことになってしまい本当に申し訳ありません」
「いや、それはいいんだけど……それじゃ、今回呼び出された理由ってそれだけなの?」
「あ……いえ、申し訳ありません、それだけではないのです」
あ、違うんだ……そうだよね、お礼を言いたいだけならわざわざ呼んだりしないよね。まだまだ後処理が一杯あって大変だろうし……。
アンリエッタの机の上に山積みになっている用紙を見て私はそう思う……あれ、全部アンリエッタが処理しないといけないことなんだ……領主って大変だ。
「その、実は……魔の海からいらした闇の魔女様にお願いがあるのです……」
魔の海から……私たちの言い方にするなら結界の中から来た私達……その私達にお願いがあるってなると……どうも良い予感がしない。
「……お願いっていうのは?」
「はい、これから先、邪鬼を滅ぼした闇の魔女様の名はこの大陸中に広がることとなると思います」
ええ!?………なんでどうして!?
「申し訳ありません、私が、街の人達のパニックを抑えるために、喧伝した事が思った以上に広まってしまいまして……」
アンリエッタの話を聞くと、どうやら、魔の海から来た闇の魔女、そしてその魔女が邪鬼をも滅ぼし街を救ったということが街の人の中でドンドンと広まっているらしいのだ。
そして、街の中に広まるということはこの街に行商に来た人や、旅の吟遊詩人なんかにもその噂が広まる……そしてそれは、他の国や街にも広がるということになる。
「うへぇ……」
私は、普通の冒険者をしたいんだけどなぁ……有名人になると良いことばかりではないというのは結界の中でも重々承知している……まあ、私の場合ほとんどが悪名だったのだけれど……。
「それで、恐らく今後、闇の魔女様を引き抜こうと他の街や国からスカウトが来ると思われます」
「それは面倒くさいね……」
「それは闇の魔女様としても嬉しいことと思いますが、是非、闇の魔女様にはこの街に留まって欲しく………え、面倒?」
私がため息を吐きながら言ったその言葉が意外だったのか、アンリエッタは眼を点にしながら固まった。
「うん、私は普通に冒険者がしたいだけだもん……魔物を討伐して、ダンジョンを攻略して、仲間と一緒に笑いあって、次の冒険を考える……それが昔からの私の夢だからね」
「そ、そうなのですか……では、スカウトが来ても……」
「面倒だから受けないかな……ギルドマスターさんがダンジョンに入る許可とかもくれるらしいし……とりあえずはこの街で十分なんだけど……まあ、依頼とかで他の街に行くことはあると思うけど、ここをベースにやっていこうかなと思ってるよ」
「おじ様、ぐっじょぶです!」
小さな声でアンリエッタがそう言うと、ガッツポーズをしていた。
「えっと……」
「あっと、申し訳ありませんっ」
「私達が他の街に行かないと何かいいことあるの?」
「は、はい……正直に申してしまいますと、この街には強い冒険者のお方が殆どおりません……」
ああ、確かにCランクの冒険者が前の領主と一緒に逃げたって聞いたし、そうなるとCランクはクルードのみ……そして、Bランク以上の冒険者はいないということになる。
「その為、また今回のような事が起きた時、街を守れる可能性は低く……今回も闇の魔女様たちがいなければこの街は滅びていたでしょう……」
確かに、今回みたいなことはそうそう起きることじゃないかもしれないけれど、もし起きた場合、Cランクの冒険者一人……他にはギルドマスターがいるとはいえ、それでは街を守るのは不可能だろう…。
「なるほど、それで私達にこの街にいてほしいというわけね、随分厚かましいわね」
「ちょ、ディータ!」
私もちょっと勝手だなぁとは思ったけど、街を守りたいっていうアンリエッタの気持ちも分からなくもない。
「はい、闇の魔女様たちにはとても迷惑な話ということは重々承知しております……ですが、このままではラリアスの街は滅びるほかないのです」
「滅びるしかない?どういうこと?」
その言い方だと、まだ何か起きると言っているように聞こえるんだけど……、いや、そもそも気になることもある。
「そもそも、気になるんですけれど、どうして高ランクの冒険者がこんなにも少ないんですの?確かにここは辺境ですけれど、聞いた話ではダンジョンもあるみたいですし、都の方が人気があるとはいえ、あまりにも不自然なくらい高ランクの冒険者がいらっしゃらないですわ」
そう、私もそう思う……田舎の街がいいというもの好きな人って結構いると思うし、ダンジョンもあって高ランクの人が少ないのなら、ダンジョンを独占できるとやってくる冒険者がいてもいいくらいだ。
それなのにこの街にはCランクの冒険者が一人……。
―――――――――――ちょっとおかしいよね?
「それは……」
「何か理由があるの?」
「肯定だ。この街……いや、この国は今、北のレンシア王国に侵略されようとしている……そして、高ランクの冒険者はレンシア国に引き抜かれるか、戦争を避けるため他の国へと移動したのだろう」
私の疑問に答えてくれたのはレンだった。
侵略……つまり、戦争が起きようとしているということなのか……。
「そうなの?」
「はい……レンシア王国の王が代替わりし、今までは友好的であったレンシアがこの国、アンダールシアに宣戦布告をしてきたのです」
「なんでまた?」
「理由は不明です……いえ、ないのかもしれません……新しいレンシア王国の王は、自らの力を示すために小さな国をいくつも侵略しております……我が国もそんな国の一つとなったのでしょう」
理由もなく戦争を仕掛けるの?
……それでどれだけの人が死ぬと思ってるんだろう……いくら何でも勝手すぎるよ。
「それで、スカウトを受けるなって言ったのね」
「はい……勝手な事と思いますが……もし、闇の魔女様がこの街に……いえ、この国に留まってくれればもしかすれば、レンシア王国も戦争を思いとどまってくれるかもしれません」
そういう理由か……。
正直……簡単にいってしまえば、アンリエッタは私を利用して戦争を思いとどまらせたいということだ……だけど、正直私はアンリエッタの事が気に入っている。
だって、魔物や邪鬼が来たというのに、アンリエッタは逃げずにいた、それどころか街の人達を落ち着かせようと、少しでも助けようと努力をしていた。
そんな姿を見ているからか、私の事を利用しようとしていると聞いても嫌いにはなれない……協力してあげたいなと思ってしまうのだ。
「はあ……それで戦争を回避できるかは分からないけど……まあ、スカウトする人が来たらハッキリ断ってあげるよ」
「っ!ありがとうございます!」
他の人から見たらただの偽善なのかもしれないけど……戦争で関係ない人たちが巻き込まれるのも嫌だしね……闇の魔女って言う私の名前が相手を思いとどまらせてくれるなら、いいんじゃないのかな?
「相変わらず、お人好しね」
「まあ、それでこそ、カモメさんですわよ」
「だね」
どうやら皆も異論はないようだ。
まあ、最初っから他の街に行く予定もなかったしね……この国が……この街が戦争に巻き込まれるというのならクルードやシルネアもそれに巻き込まれる。
それに、せっかく私達を受け入れてくれたこの街を失うのは嫌だもんね。
――――――――でも、本当にそれで戦争回避できるのかな……もし、戦争が起きてしまったらどうしよう……私はどうしたらいいんだろう……。
この大陸の人間ではない私が、それに介入していいんだろうか……ううん、もしお父さんならそんなこと考えないよね……考えていたって仕方がないこともあるんだ……そうなったらそうなった時に考えよう………なるようにしかならないよね。
「ん?ここは領主さまの館だ。一体、何の用……あ、貴方は!」
「えっと、アンリエッタに呼ばれて来たんだけど……」
「闇の魔女様、ご無礼、申し訳ございません。領主さまは中に居られますのでどうぞお入りください」
ふえ!?
や、闇の魔女様ってのはもう仕方ないとしても、なんでそんなに畏まるの?
私、ただのFランク冒険者だよ……?
「えっと、じゃあ、通させてもらうね」
「はっ!」
敬礼までされちゃった……なんかむずかゆいなぁ……。
中に通された私達は、館の入り口に入るとキョロキョロとあたりを見回す。
うーんと、アンリエッタがどこにいるか分からないし、とりあえず、近くにいる人に聞いた方がいいよね?
「あの、すみません」
私は、とりあえず、近くにいたメイドさんに声をかける。
メイドさんは私を見ると驚いたような顔を一瞬すると、興奮したような声をあげてこちらに近づいてきた。
「闇の魔女様!何か御用でしょうか!」
「え、えっと、アンリエッタに呼ばれて来たんだけど、どこに行ったらいいかな?」
「お嬢様……いえ、領主様ですね!領主様なら今は二階にある私室にいらっしゃいます。ご案内いたしますね!」
「あ、うん……お願い」
なんで、こんなにテンション高いんだろう……。
私室に行くまでの道中も興奮したように話しかけてくるメイドさん。
ちょっと困るけど、悪気があるわけじゃないから邪険にも出来ないのである。
そして、ようやくアンリエッタの私室に辿り着くと、メイドさんは扉をノックする。
「どうしました?」
中からアンリエッタの声が聞こえてきた。
「闇の魔女様がいらっしゃいました!」
メイドさんがそう言うと、中からドタドタと慌てるような音が聞こえてくる。
そして、こちらから開けることなく扉が開いたのだった。
「闇の魔女様!よくいらっしゃいました!」
中から出てきたのはとても嬉しそうな顔をしたアンリエッタであった。
「さあ、中に入ってください」
アンリエッタに促されるまま、私達はアンリエッタの私室へと入る。
そして、中にあるソファーへと座った。
「えっと、ギルドでアンリエッタが呼んでいるって聞いたけど……」
「申し訳ありません、街の英雄を呼びつけるなんて真似をしてしまいまして」
え………?
「いやいや、英雄なんて大袈裟な、他の冒険者の人達だって戦っていたし……」
「何をおっしゃられますか、その他の冒険者やギルドマスターからも聞きました。邪鬼を滅ぼしたのはまさしく魔女様のパーティで、その上、魔女様は二千を超える魔物を撃退したと!」
えっと、うん………そういえば、そうなのかもしれないけど……英雄って言うほどじゃ……。
「本来であれば、私が自分からお礼に行かなければならないところ……領主という立場もありそう言うわけにいかず、呼び出すことになってしまい本当に申し訳ありません」
「いや、それはいいんだけど……それじゃ、今回呼び出された理由ってそれだけなの?」
「あ……いえ、申し訳ありません、それだけではないのです」
あ、違うんだ……そうだよね、お礼を言いたいだけならわざわざ呼んだりしないよね。まだまだ後処理が一杯あって大変だろうし……。
アンリエッタの机の上に山積みになっている用紙を見て私はそう思う……あれ、全部アンリエッタが処理しないといけないことなんだ……領主って大変だ。
「その、実は……魔の海からいらした闇の魔女様にお願いがあるのです……」
魔の海から……私たちの言い方にするなら結界の中から来た私達……その私達にお願いがあるってなると……どうも良い予感がしない。
「……お願いっていうのは?」
「はい、これから先、邪鬼を滅ぼした闇の魔女様の名はこの大陸中に広がることとなると思います」
ええ!?………なんでどうして!?
「申し訳ありません、私が、街の人達のパニックを抑えるために、喧伝した事が思った以上に広まってしまいまして……」
アンリエッタの話を聞くと、どうやら、魔の海から来た闇の魔女、そしてその魔女が邪鬼をも滅ぼし街を救ったということが街の人の中でドンドンと広まっているらしいのだ。
そして、街の中に広まるということはこの街に行商に来た人や、旅の吟遊詩人なんかにもその噂が広まる……そしてそれは、他の国や街にも広がるということになる。
「うへぇ……」
私は、普通の冒険者をしたいんだけどなぁ……有名人になると良いことばかりではないというのは結界の中でも重々承知している……まあ、私の場合ほとんどが悪名だったのだけれど……。
「それで、恐らく今後、闇の魔女様を引き抜こうと他の街や国からスカウトが来ると思われます」
「それは面倒くさいね……」
「それは闇の魔女様としても嬉しいことと思いますが、是非、闇の魔女様にはこの街に留まって欲しく………え、面倒?」
私がため息を吐きながら言ったその言葉が意外だったのか、アンリエッタは眼を点にしながら固まった。
「うん、私は普通に冒険者がしたいだけだもん……魔物を討伐して、ダンジョンを攻略して、仲間と一緒に笑いあって、次の冒険を考える……それが昔からの私の夢だからね」
「そ、そうなのですか……では、スカウトが来ても……」
「面倒だから受けないかな……ギルドマスターさんがダンジョンに入る許可とかもくれるらしいし……とりあえずはこの街で十分なんだけど……まあ、依頼とかで他の街に行くことはあると思うけど、ここをベースにやっていこうかなと思ってるよ」
「おじ様、ぐっじょぶです!」
小さな声でアンリエッタがそう言うと、ガッツポーズをしていた。
「えっと……」
「あっと、申し訳ありませんっ」
「私達が他の街に行かないと何かいいことあるの?」
「は、はい……正直に申してしまいますと、この街には強い冒険者のお方が殆どおりません……」
ああ、確かにCランクの冒険者が前の領主と一緒に逃げたって聞いたし、そうなるとCランクはクルードのみ……そして、Bランク以上の冒険者はいないということになる。
「その為、また今回のような事が起きた時、街を守れる可能性は低く……今回も闇の魔女様たちがいなければこの街は滅びていたでしょう……」
確かに、今回みたいなことはそうそう起きることじゃないかもしれないけれど、もし起きた場合、Cランクの冒険者一人……他にはギルドマスターがいるとはいえ、それでは街を守るのは不可能だろう…。
「なるほど、それで私達にこの街にいてほしいというわけね、随分厚かましいわね」
「ちょ、ディータ!」
私もちょっと勝手だなぁとは思ったけど、街を守りたいっていうアンリエッタの気持ちも分からなくもない。
「はい、闇の魔女様たちにはとても迷惑な話ということは重々承知しております……ですが、このままではラリアスの街は滅びるほかないのです」
「滅びるしかない?どういうこと?」
その言い方だと、まだ何か起きると言っているように聞こえるんだけど……、いや、そもそも気になることもある。
「そもそも、気になるんですけれど、どうして高ランクの冒険者がこんなにも少ないんですの?確かにここは辺境ですけれど、聞いた話ではダンジョンもあるみたいですし、都の方が人気があるとはいえ、あまりにも不自然なくらい高ランクの冒険者がいらっしゃらないですわ」
そう、私もそう思う……田舎の街がいいというもの好きな人って結構いると思うし、ダンジョンもあって高ランクの人が少ないのなら、ダンジョンを独占できるとやってくる冒険者がいてもいいくらいだ。
それなのにこの街にはCランクの冒険者が一人……。
―――――――――――ちょっとおかしいよね?
「それは……」
「何か理由があるの?」
「肯定だ。この街……いや、この国は今、北のレンシア王国に侵略されようとしている……そして、高ランクの冒険者はレンシア国に引き抜かれるか、戦争を避けるため他の国へと移動したのだろう」
私の疑問に答えてくれたのはレンだった。
侵略……つまり、戦争が起きようとしているということなのか……。
「そうなの?」
「はい……レンシア王国の王が代替わりし、今までは友好的であったレンシアがこの国、アンダールシアに宣戦布告をしてきたのです」
「なんでまた?」
「理由は不明です……いえ、ないのかもしれません……新しいレンシア王国の王は、自らの力を示すために小さな国をいくつも侵略しております……我が国もそんな国の一つとなったのでしょう」
理由もなく戦争を仕掛けるの?
……それでどれだけの人が死ぬと思ってるんだろう……いくら何でも勝手すぎるよ。
「それで、スカウトを受けるなって言ったのね」
「はい……勝手な事と思いますが……もし、闇の魔女様がこの街に……いえ、この国に留まってくれればもしかすれば、レンシア王国も戦争を思いとどまってくれるかもしれません」
そういう理由か……。
正直……簡単にいってしまえば、アンリエッタは私を利用して戦争を思いとどまらせたいということだ……だけど、正直私はアンリエッタの事が気に入っている。
だって、魔物や邪鬼が来たというのに、アンリエッタは逃げずにいた、それどころか街の人達を落ち着かせようと、少しでも助けようと努力をしていた。
そんな姿を見ているからか、私の事を利用しようとしていると聞いても嫌いにはなれない……協力してあげたいなと思ってしまうのだ。
「はあ……それで戦争を回避できるかは分からないけど……まあ、スカウトする人が来たらハッキリ断ってあげるよ」
「っ!ありがとうございます!」
他の人から見たらただの偽善なのかもしれないけど……戦争で関係ない人たちが巻き込まれるのも嫌だしね……闇の魔女って言う私の名前が相手を思いとどまらせてくれるなら、いいんじゃないのかな?
「相変わらず、お人好しね」
「まあ、それでこそ、カモメさんですわよ」
「だね」
どうやら皆も異論はないようだ。
まあ、最初っから他の街に行く予定もなかったしね……この国が……この街が戦争に巻き込まれるというのならクルードやシルネアもそれに巻き込まれる。
それに、せっかく私達を受け入れてくれたこの街を失うのは嫌だもんね。
――――――――でも、本当にそれで戦争回避できるのかな……もし、戦争が起きてしまったらどうしよう……私はどうしたらいいんだろう……。
この大陸の人間ではない私が、それに介入していいんだろうか……ううん、もしお父さんならそんなこと考えないよね……考えていたって仕方がないこともあるんだ……そうなったらそうなった時に考えよう………なるようにしかならないよね。
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