15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以

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9.16年目もずっと

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「何を言わせたいのよ……」

「恥ずかしいこと?」

「なんで!?」

「可愛いなぁ、と思って」

「はぁ? どこが――」

「――思い出したんだよ。俺、柚葉が恥ずかしそうにしてるの見ると、めちゃくちゃ興奮したなって」

「……っ!?」

 もはや、言葉にならない。

 ラブホでの夜から、和輝は随分と口数が多くなった。多分、二人きりの時に限って。

 私の知っている夫ではないようで、ドキドキする。

 付き合い始めの頃に戻ったようで、心臓が痛すぎる。

「……どうしちゃったのよ」

「ん? 嫌か?」

「そうじゃないけど……」

「子供たちに隠れてって、スリルあるな」

「楽しまないで!」

 ハハハッと笑って、和輝が腕を緩めた。

 そして、私の肩に手を置くと、振り向かせるように力を入れる。

 無意識に目を閉じると、バンッとドアが開かれた。

 焦るなんてもんじゃない。

 よく、ドラマや漫画なんかでは、咄嗟に距離を置いて誤魔化すが、現実にはそんなに俊敏に動けないし、誤魔化すにも頭が回らない。

 結果、近づいた顔を背けるので精いっぱい。

「俺はっ――!」

 いつものことだがノックもなしに寝室のドアを開け放った息子は、今にも泣きそうな、それでいて怒ってもいるような複雑な表情で私たちを睨みつけて言った。

「――弟も妹もいらないからなっ!!」



 へ――――っ!?



「あーーっ! お父さんとお母さんがラブラブしてるぅ」

「ラッ――ラブラブなんてっ――」

 和葉の言葉に、私と和輝の体勢を思い出した私は、慌てて立ち上がろうとして前のめりになり、床に座り込む格好になった。

「――ったた」

「大丈夫か?」

 和輝に腕を掴み上げられ、ベッドに戻る。

「おっ、親のクセに! 気持ち悪いんだよ!」

 そう吐き捨てて、由輝はその場から逃げ出すように走り去り、恐らく自分の部屋に駆け込んだ。

 バタンッと叩きつけるように閉まったドアの音からして、そうだろう。

 私と和輝は唖然として、ドアを見つめていた。

「お兄ちゃんて、こっども~」と、和葉が訳知り顔で兄の部屋を見る。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「愛華のお母さんに赤ちゃんが出来たじゃない? だから、お兄ちゃんは弟と妹ならどっちが欲しい? って聞いたの。そしたら、いきなり怒りだしちゃって」

「はぁ……」

「私は妹が欲しいけど、そしたら一人部屋じゃなくなっちゃうのはヤだなぁ。あ! 妹が一人で寝れるようになる頃には、私はもう大人か! 彼氏と同棲とかしてるかも~」

 鼻歌でも歌い出しそうに言葉を弾ませながら、和葉も自分の部屋に戻る。

「同棲!? おいっ、和葉! 結婚前に男と暮らすとか、ダメだからな!!」

 返事の代わりに、娘の部屋のドアがバタンと閉じる音。

 急にシン……と静まり返る。

 途端に、なんだかおかしくなった。

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