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9.16年目もずっと
6
「ふ……っふふ」
「なに笑ってんだよ」
「だって、自分のことは棚に上げて同棲はダメとか……」
「自分と娘は話が違うだろ」
「そうね……」
「ホント……、今なら柚葉のお父さんの気持ちが良くわかるよ」と、和輝が大きなため息をつく。
「けど、和葉より由輝のママっ子の方が心配かもな」
「そう? 気持ち悪いとか言われちゃったけど?」
「俺に柚葉を取られるのが嫌なんだろ」
「そういうもん?」と、首を回して夫を見る。
「多分……」と、夫が顔を近づけてくる。
互いに目を閉じて、唇が触れ合うのを待つ。
「ばーちゃん家行くんだろ!」
廊下から声が聞こえ、ハッと目を開ける。
寝室のドアは開け放たれたままだが、見られてはいない。
「お腹空いたぁ」
私と夫は苦笑いし、一秒にも満たない短いキスをして、立ち上がった。
「由輝! 今日は和葉のお祝いなんだからね」
「そーだよ! お兄ちゃん、食べ過ぎないでよ!」
「わかってるよ!」
結婚して十五年。
もうすぐ十六年目。
きっと、夫婦としてはまだまだで。
触れ合えずにいた十数年は勿体なかったけれど、子育てに追われながら義務的に触れ合っていてもきっと、満たされはしなかったと思う。
だから、十五年目で良かったんだと思う。
だって、今だからこそ、私はプロポーズの言葉を貰えたし、夫婦生活はこれから十五年以上続いていく。
結局、娘にプロポーズの言葉は教えていない。
勿体ない気がして。
十五年前に貰っていたら言えたのかもしれないけれど、今はまだ私の胸の中で大事にしていたいから。
これから先も、夫とすれ違ったり喧嘩したりするかもしれない。するだろう。
そうしたら、あの質問用紙を読もう。
和輝はどうしたかわからないけれど、私は大事にしまっている。
十五年目の夫のホンネ。
好きなところや嫌いなところは少しずつ変わっていくかもしれない。それでも、嫌いなところが増えていって、書ききれないほど増えていっても、好きなところが一つでも残っているのなら、頑張ろう。
死が二人を別つ時、生まれ変わっても一緒になりたいと思えるように……。
----- END -----
「なに笑ってんだよ」
「だって、自分のことは棚に上げて同棲はダメとか……」
「自分と娘は話が違うだろ」
「そうね……」
「ホント……、今なら柚葉のお父さんの気持ちが良くわかるよ」と、和輝が大きなため息をつく。
「けど、和葉より由輝のママっ子の方が心配かもな」
「そう? 気持ち悪いとか言われちゃったけど?」
「俺に柚葉を取られるのが嫌なんだろ」
「そういうもん?」と、首を回して夫を見る。
「多分……」と、夫が顔を近づけてくる。
互いに目を閉じて、唇が触れ合うのを待つ。
「ばーちゃん家行くんだろ!」
廊下から声が聞こえ、ハッと目を開ける。
寝室のドアは開け放たれたままだが、見られてはいない。
「お腹空いたぁ」
私と夫は苦笑いし、一秒にも満たない短いキスをして、立ち上がった。
「由輝! 今日は和葉のお祝いなんだからね」
「そーだよ! お兄ちゃん、食べ過ぎないでよ!」
「わかってるよ!」
結婚して十五年。
もうすぐ十六年目。
きっと、夫婦としてはまだまだで。
触れ合えずにいた十数年は勿体なかったけれど、子育てに追われながら義務的に触れ合っていてもきっと、満たされはしなかったと思う。
だから、十五年目で良かったんだと思う。
だって、今だからこそ、私はプロポーズの言葉を貰えたし、夫婦生活はこれから十五年以上続いていく。
結局、娘にプロポーズの言葉は教えていない。
勿体ない気がして。
十五年前に貰っていたら言えたのかもしれないけれど、今はまだ私の胸の中で大事にしていたいから。
これから先も、夫とすれ違ったり喧嘩したりするかもしれない。するだろう。
そうしたら、あの質問用紙を読もう。
和輝はどうしたかわからないけれど、私は大事にしまっている。
十五年目の夫のホンネ。
好きなところや嫌いなところは少しずつ変わっていくかもしれない。それでも、嫌いなところが増えていって、書ききれないほど増えていっても、好きなところが一つでも残っているのなら、頑張ろう。
死が二人を別つ時、生まれ変わっても一緒になりたいと思えるように……。
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