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1章 敵国の牢獄
1-65 基本的なことを確認しましょう
「クロウ、基本的なことを聞くけど、魔法を他の人に教えたことはあるのか」
セリムが尋ねた。
「黒髪の平民に教えを乞う人間なんてどこにもいないぞ。うちの子もそんなに魔力量が大きくなかったから、魔導士になるなんて言わなかったし」
息子に魔法を見せてあげたことはあるが、教えるまでは至ってない。
幼い頃あやしていた以外には、単純に生活に便利なものとしか思っていなかったのでは?
「、、、クロウ、光の祝福魔法を他人に教えるとしたらどう伝える?」
「努力と根性」
涙ぐましい努力と、ひたすら汗と涙の根性論だよ。
「、、、クロウが光の祝福を習得したのは、本から?」
「ああ、宮廷魔導士団の上級魔導士が王宮の図書館から借りた本を読ませてもらった。だから、その本は俺の手元にないが、祝福魔法をお家芸にしている教会なら、光の祝福が書かれている教本くらいあるのでは?」
「確かに図書室にあります。ではラウトリス、まずはそちらを読んでみてはいかがでしょう」
教会長がにこやかに別案を提示した。
そちらの方が俺に教えを乞うより効率よさげだ。きっと教会長もそう考えたのだろう。
「むーりーでーす。この教会にあるのはどの本も理解できませんでしたー」
提案を拒否したラウトリス神官のお顔が変顔になっておりますよ。
そのお顔を見ても、恋は冷めないんですかね?
「、、、ああ、すでに目を通した後なのですね」
さすがは教会長。
読んだ、ではなく、目を通したという言葉の選択。。。
できる男は違うぜ。
数分後、教会長が指示し、ラウトリス神官が図書室から目を通した本を数冊持ってきた。
俺が一冊を手にする。
「あ、懐かしい。コレですよ、読んだ本」
「ああ、この本ですか」
教会長が相槌を打っているときには、すでにラウトリス神官のお顔がさらにひどいことに。変顔大会にでも出る気か?大賞が狙えるぞ。
人間らしい一面と言えば、そうかもしれないが。
「その本は専門用語が並び難解で、私ではどうやっても理解不可能です」
「そうか?光魔法の基礎から応用まで順序良く書かれている有用な本じゃないか」
「この理解度の差は、クロウが魔導士だからで片付けられる話なのか?」
リーウセンがその本を俺から受け取り、ページを開く。
ヒュッと息を飲んだ音がした。
「これ、どれだけの年代物だ?光魔法でもわかりやすく書かれている本があったはず、、、あー、さすがにリンク王国の王宮図書館にある本では手に入れられないか」
この世界にも本はかなり流通している。
だがしかし、魔導書は手書きのものもあったり、部数制限を魔法でされていたりして、そこまで世間に出回らない。そんな手に入りにくい魔導書でもいらない、役に立たないと判断された物は廃棄される運命にあるが。
しっかし、リンク王国の王宮図書館にも優しい本が並んでいたんだな。
光魔法のわかりやすい本が存在していたのなら読んでみたかったが、その本のタイトルを知っていても平民の下級魔導士の名では本を借りることができないから無理だった。
上級魔導士は難しい本を読むことがステータスみたいなところがあるから。
「もし書籍名がわかれば、他の教会にあるかもしれませんから」
「正確な本のタイトルが思い出せない。著者もちょっと」
リーウセンが唸る。
本当に必要なら記憶回復薬を提供するが?
「あ、本を読んだことがあるのなら、リーウセンさんも光の祝福使えたりしませんか」
「、、、クロウ、魔導士なら誰でも本を読んだからといって、そこに書いてある魔法を扱えるわけじゃない。それに俺は補助魔法が得意だと言っただろ」
あー、そうでしたそうでした。
年齢のせいですかね、忘れやすくて。
俺も努力と根性で魔法を使えるようになるので、確かに本を読んだだけでは扱えない。
「なら、一班のネルタ副班長ならどうでした?(性格はともかく)優秀な上級魔導士として評判だったじゃないですか」
「ああ、(性格はともかく)魔法の腕は班長を超えていたから。けど、光魔法が使えるとは聞いたことはなかったし、アイツなら闇魔法の方が得意そう、、、」
ネルタ副班長は心に闇を抱えているのか、それとも他人を笑って陥れるのが好きなのか、はてさて。
だが、彼が帝都に戻って来てからラウトリス神官に教えるという手段は使えなさそうだ。
「では、こうしたらいかがでしょう。習得できるかどうかは別として、クロウ様はラウトリスに光の祝福魔法を教える。その代わり、私が神の祝福魔法を教える、というのは」
「うわ、私でもわかる難色の表情。教会長の提案は悪くないと思うけど」
俺は笑顔のままだったんだが。
リーウセンが俺に追い打ちをかける。
「、、、教会長、リーウセン、前提を忘れてないか?」
「前提?何のことだ、セリム?」
セリムを不思議そうに見るリーウセン。
「クロウの、魔道具を使えば誰でも神聖魔法を扱える発言」
「え?アレって、もしかして?」
俺を恐る恐る見るリーウセン。
「判定の光の量を鑑みるに、もしかすると魔道具を使わなくとも神聖魔法が使えるのではないかという疑念が生まれているが、とりあえずクロウは魔道具があれば神聖魔法が使えるから」
「ああ、まあ、神の祝福魔法を教わる必要がないのなら、教会長の提示した交換条件では難しい話になるな」
「そうですね、、、」
教会長が二人の会話から察してくれた。
というか、ラウトリス神官は努力と根性で光の祝福魔法を習得してくれないかな。独学でもなんとかなる世界だよ。平民の俺がなんとかできたんだから。
「是非とも教会に欲しい人材ですよね、クロウ様は」
うん、会話を違う方向に行かせないでね、教会長。
「元々、規格外だとは思っていたよ。あの、クロウ・リティの名で書かれている報告書の山を見たときから」
頭を押さえながらリーウセンは俺に言った。
報告書の束ではなく山を見たんですね。
毎日毎日それなりの量を提出していたから、かなりの量になったはず。黒髪の平民が書いた報告書なんて目を通したら捨てていると思っていたが違っていたらしい。
「あ、そうそう、魔力回復薬や他の多くの薬もクロウが納品していたと報告されていたが、クロウが作っていたのか?」
「そうですね。あの当時、王宮には薬師がいなかったので、市井の薬師に依頼したのですが、王宮にいる王族や貴族の方々からの評判が悪くて」
「王宮に薬師がいなかった?まあ、今もいないけど」
「王族が薬を苦い、まずいと言って全員解雇した後だったとか」
「うえっ、何だそれっ。王族は自分で蒔いた種じゃん」
そうなんですけどね。
リンク王国の王族は自分の責任を自分で取らない。
「かなり昔の話です。仕方ないので、自分で作り始めました。本や見よう見まねで何とかできるものですね。材料は注文できたので、多めに仕入れて在庫にして薬を大量に作ってました」
「クロウは今でも牢屋で薬を作ってくれているし、ありがたい存在だ」
「確かに、魔導士は魔法薬を作る者も多いが、一般薬まで作っているのは少ない。あ、」
リーウセンは俺を見る。
「もし魔力回復薬の手持ちがあるなら購入しておきたい。在庫はまだあるか?」
「魔力回復薬は皆使わないから在庫あるよ。俺も牢屋に入ってからは使ってないし」
数本を取り出してリーウセンに渡す。
騎士たちは魔力回復薬は一切使わない。あの脳筋どもは無意識に身体強化魔法を使っているなんて露ほども思っていないのだ。
魔力が切れたら、気力でカバー。それがなぜかできるから、恐るべし脳筋騎士。思い込みは重要だ。
騎士は体力回復薬とかは使うけど、魔導士の魔力回復薬のように常用するほどではない。
「おおっ、本当にクロウが作っていた物だったと実証された瞬間だ。これで安心して寝れる」
「別に誰が作っても同じじゃないですか」
リーウセンが小躍りして喜んでくれるのは嬉しいが、帝城なら普通に在庫がある代物だ。
庶民向けの安価なものなら、帝都の市場にも売られている。
「そんなわけないだろー。クロウがいなくなってからの王宮がどれだけひどい惨状にあるのか想像したことはあるのか?」
「ああ、サザさんがイチイチ教えてくれていたからなあ」
「サザさん?」
あ、サザさんの格好のときに教えてくれたからサザさんと言ってしまったが、リーウセンにはわからないか。
「皇帝陛下」
「ぐっ、、、親し気な呼称だなっ」
敬称はどちらも、さん、だが?
セリムが尋ねた。
「黒髪の平民に教えを乞う人間なんてどこにもいないぞ。うちの子もそんなに魔力量が大きくなかったから、魔導士になるなんて言わなかったし」
息子に魔法を見せてあげたことはあるが、教えるまでは至ってない。
幼い頃あやしていた以外には、単純に生活に便利なものとしか思っていなかったのでは?
「、、、クロウ、光の祝福魔法を他人に教えるとしたらどう伝える?」
「努力と根性」
涙ぐましい努力と、ひたすら汗と涙の根性論だよ。
「、、、クロウが光の祝福を習得したのは、本から?」
「ああ、宮廷魔導士団の上級魔導士が王宮の図書館から借りた本を読ませてもらった。だから、その本は俺の手元にないが、祝福魔法をお家芸にしている教会なら、光の祝福が書かれている教本くらいあるのでは?」
「確かに図書室にあります。ではラウトリス、まずはそちらを読んでみてはいかがでしょう」
教会長がにこやかに別案を提示した。
そちらの方が俺に教えを乞うより効率よさげだ。きっと教会長もそう考えたのだろう。
「むーりーでーす。この教会にあるのはどの本も理解できませんでしたー」
提案を拒否したラウトリス神官のお顔が変顔になっておりますよ。
そのお顔を見ても、恋は冷めないんですかね?
「、、、ああ、すでに目を通した後なのですね」
さすがは教会長。
読んだ、ではなく、目を通したという言葉の選択。。。
できる男は違うぜ。
数分後、教会長が指示し、ラウトリス神官が図書室から目を通した本を数冊持ってきた。
俺が一冊を手にする。
「あ、懐かしい。コレですよ、読んだ本」
「ああ、この本ですか」
教会長が相槌を打っているときには、すでにラウトリス神官のお顔がさらにひどいことに。変顔大会にでも出る気か?大賞が狙えるぞ。
人間らしい一面と言えば、そうかもしれないが。
「その本は専門用語が並び難解で、私ではどうやっても理解不可能です」
「そうか?光魔法の基礎から応用まで順序良く書かれている有用な本じゃないか」
「この理解度の差は、クロウが魔導士だからで片付けられる話なのか?」
リーウセンがその本を俺から受け取り、ページを開く。
ヒュッと息を飲んだ音がした。
「これ、どれだけの年代物だ?光魔法でもわかりやすく書かれている本があったはず、、、あー、さすがにリンク王国の王宮図書館にある本では手に入れられないか」
この世界にも本はかなり流通している。
だがしかし、魔導書は手書きのものもあったり、部数制限を魔法でされていたりして、そこまで世間に出回らない。そんな手に入りにくい魔導書でもいらない、役に立たないと判断された物は廃棄される運命にあるが。
しっかし、リンク王国の王宮図書館にも優しい本が並んでいたんだな。
光魔法のわかりやすい本が存在していたのなら読んでみたかったが、その本のタイトルを知っていても平民の下級魔導士の名では本を借りることができないから無理だった。
上級魔導士は難しい本を読むことがステータスみたいなところがあるから。
「もし書籍名がわかれば、他の教会にあるかもしれませんから」
「正確な本のタイトルが思い出せない。著者もちょっと」
リーウセンが唸る。
本当に必要なら記憶回復薬を提供するが?
「あ、本を読んだことがあるのなら、リーウセンさんも光の祝福使えたりしませんか」
「、、、クロウ、魔導士なら誰でも本を読んだからといって、そこに書いてある魔法を扱えるわけじゃない。それに俺は補助魔法が得意だと言っただろ」
あー、そうでしたそうでした。
年齢のせいですかね、忘れやすくて。
俺も努力と根性で魔法を使えるようになるので、確かに本を読んだだけでは扱えない。
「なら、一班のネルタ副班長ならどうでした?(性格はともかく)優秀な上級魔導士として評判だったじゃないですか」
「ああ、(性格はともかく)魔法の腕は班長を超えていたから。けど、光魔法が使えるとは聞いたことはなかったし、アイツなら闇魔法の方が得意そう、、、」
ネルタ副班長は心に闇を抱えているのか、それとも他人を笑って陥れるのが好きなのか、はてさて。
だが、彼が帝都に戻って来てからラウトリス神官に教えるという手段は使えなさそうだ。
「では、こうしたらいかがでしょう。習得できるかどうかは別として、クロウ様はラウトリスに光の祝福魔法を教える。その代わり、私が神の祝福魔法を教える、というのは」
「うわ、私でもわかる難色の表情。教会長の提案は悪くないと思うけど」
俺は笑顔のままだったんだが。
リーウセンが俺に追い打ちをかける。
「、、、教会長、リーウセン、前提を忘れてないか?」
「前提?何のことだ、セリム?」
セリムを不思議そうに見るリーウセン。
「クロウの、魔道具を使えば誰でも神聖魔法を扱える発言」
「え?アレって、もしかして?」
俺を恐る恐る見るリーウセン。
「判定の光の量を鑑みるに、もしかすると魔道具を使わなくとも神聖魔法が使えるのではないかという疑念が生まれているが、とりあえずクロウは魔道具があれば神聖魔法が使えるから」
「ああ、まあ、神の祝福魔法を教わる必要がないのなら、教会長の提示した交換条件では難しい話になるな」
「そうですね、、、」
教会長が二人の会話から察してくれた。
というか、ラウトリス神官は努力と根性で光の祝福魔法を習得してくれないかな。独学でもなんとかなる世界だよ。平民の俺がなんとかできたんだから。
「是非とも教会に欲しい人材ですよね、クロウ様は」
うん、会話を違う方向に行かせないでね、教会長。
「元々、規格外だとは思っていたよ。あの、クロウ・リティの名で書かれている報告書の山を見たときから」
頭を押さえながらリーウセンは俺に言った。
報告書の束ではなく山を見たんですね。
毎日毎日それなりの量を提出していたから、かなりの量になったはず。黒髪の平民が書いた報告書なんて目を通したら捨てていると思っていたが違っていたらしい。
「あ、そうそう、魔力回復薬や他の多くの薬もクロウが納品していたと報告されていたが、クロウが作っていたのか?」
「そうですね。あの当時、王宮には薬師がいなかったので、市井の薬師に依頼したのですが、王宮にいる王族や貴族の方々からの評判が悪くて」
「王宮に薬師がいなかった?まあ、今もいないけど」
「王族が薬を苦い、まずいと言って全員解雇した後だったとか」
「うえっ、何だそれっ。王族は自分で蒔いた種じゃん」
そうなんですけどね。
リンク王国の王族は自分の責任を自分で取らない。
「かなり昔の話です。仕方ないので、自分で作り始めました。本や見よう見まねで何とかできるものですね。材料は注文できたので、多めに仕入れて在庫にして薬を大量に作ってました」
「クロウは今でも牢屋で薬を作ってくれているし、ありがたい存在だ」
「確かに、魔導士は魔法薬を作る者も多いが、一般薬まで作っているのは少ない。あ、」
リーウセンは俺を見る。
「もし魔力回復薬の手持ちがあるなら購入しておきたい。在庫はまだあるか?」
「魔力回復薬は皆使わないから在庫あるよ。俺も牢屋に入ってからは使ってないし」
数本を取り出してリーウセンに渡す。
騎士たちは魔力回復薬は一切使わない。あの脳筋どもは無意識に身体強化魔法を使っているなんて露ほども思っていないのだ。
魔力が切れたら、気力でカバー。それがなぜかできるから、恐るべし脳筋騎士。思い込みは重要だ。
騎士は体力回復薬とかは使うけど、魔導士の魔力回復薬のように常用するほどではない。
「おおっ、本当にクロウが作っていた物だったと実証された瞬間だ。これで安心して寝れる」
「別に誰が作っても同じじゃないですか」
リーウセンが小躍りして喜んでくれるのは嬉しいが、帝城なら普通に在庫がある代物だ。
庶民向けの安価なものなら、帝都の市場にも売られている。
「そんなわけないだろー。クロウがいなくなってからの王宮がどれだけひどい惨状にあるのか想像したことはあるのか?」
「ああ、サザさんがイチイチ教えてくれていたからなあ」
「サザさん?」
あ、サザさんの格好のときに教えてくれたからサザさんと言ってしまったが、リーウセンにはわからないか。
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敬称はどちらも、さん、だが?
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