『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁

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入院17日目

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 クリスマス・イブ。私はナースステーションの隣りにある談話室で黄昏ていた。
 街には小雨が降っていた。
 イブだったら雪がいい。冷たい雨はクリスマスには似合わない。
 ナースステーションでナースたちが談笑していた。


 「ねえねえ、雪ちゃんは今夜のイブはやっぱり古代君とデートよね?」
 「デスラー総統からも誘われているの、私、断れない性格だから」
 「それは断れない性格じゃなくて、ただの欲張りエロナースでしょ」
 「だって総統はめちゃ大金持ちだし、古代君の波動砲も発射して欲しいし、うーん、雪ちゃんまよっちんぐー」
 「まよっちんぐなんて昭和かよ。あはは。
 でも羨ましいなあ、私なんかC -3POだもん、チンコは超合金なんだけどおしゃべりなのよねえ~」


 私だけが笑った。昭和だから。
 そこに妙がやって来た。


 「ごめんなさいね? うるさくて。今日はイブの夜たからナースたちも浮かれているのよ」
 「ナースの仕事はいつも大変だからな?」

 私は妙に意地悪な質問をした。

 「今夜は彼と過ごすのか?」
 「嫌なこと訊くのね? 私の秘密、他のナースから聞いて知っているくせに、そんなこと訊く? 普通」
 「ごめん、アンタが時折見せる、寂しそうな瞳が見たくてな? 美しさは悲しみに宿るものだ。妙ちゃんは綺麗だ。もういいんじゃないか? 新しい恋を始めても」
 「もう恋愛に興味はないわ。私が愛したのは死んだ彼だけ。
 後にも先にも」
 「その彼にまた会いたいか?」
 「当たり前でしょう」 
 「なら会える方法を教えてやるよ」
 「うふっ、それはどんなイカサマかしら?」
 「今夜は聖夜だ。今日のイブ、午前零時に合わせ鏡を作る。するとその鏡の間を親指ほどの小さい悪魔が通るから、その悪魔にコップを被せて捕まえる。そしてこう言うんだ、

 「ここから出して欲しければ私の願いを叶えて」

 すると悪魔は「ひとつだけだぞ」と言う筈だ。
 そして言えばいい、死んだ彼に会わせて欲しいと」
 「嘘ばっかり、狸小路さんはやっぱりタヌキね?」
 「嘘じゃねえ、俺は五年前に悪魔を捕まえて5年寿命を延ばしてもらったんだ。嘘たと思うならやるなよ、絶対に」
 「馬鹿馬鹿しい。ナースコールだから行くわね」

 妙は足早に去って行った。



 そしてその夜、妙はそれを言われた通りにやってみたが悪魔は現れなかった。


 「狸小路の嘘つき」

 妙は泣いた。
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