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第5話
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都会の喧騒を離れた森に沈むレストラン。
弦楽四重奏団がモーツァルトを演奏している。
ナイフを動かしながら蘊蓄をたれる野島。
「蓼科教授、いかがですか? この店のフレンチ・キュイジーヌは?」
「美味しいですね。いつもはコンビニのお弁当ばかりなんです」
「先生はお忙しいですからね? 私も普段はコンビニのサンドイッチかおにぎりです。医者の不養生の宿命ですね?」
「だからナイフとフォークで食べるのは苦手なんです」
「箸をお使いになりますか?」
「せっかくのフレンチをお箸でいただくのもお料理を作って下さった方々に失礼ですから」
「お蕎麦をフォークで食べるような物ですからね?」
聡子が笑った。
「昔のフランスの貴族は寝そべって手づかみで食事をしたそうですよ」
「だからフォークも指みたいになっているわけね?」
「そのようですね」
デザートが終わった。
「いかがでしょう、この後、少しだけ飲んでお開きにしませんか?」
「喜んでお付き合いします」
「蓼科先生はいかがですか?」
「じゃあ少しだけなら」
都内の高級ホテルのBARラウンジ。
「今日は僕に取って素敵な夜になりました。両手にバラの花束、ありがとうございました」
「それでは私はお先に失礼します。来月、ベルリンで発表する論文の作成がありますので。
今日はご馳走様でした」
「もうお帰りですか?」
「すみません、聡子、あんまり野島先生に迷惑かけちゃダメよ」
「それは野島先生次第よ、ねえ
野島先生?」
「それは残念だなあ、では今度また、お誘いします。今、クルマを回しますね」
「お気遣いなく、ここからならタクシーで帰れますから」
「ではタクシーまでご案内いたします」
タクシー運転手に1万円札を渡す野島。
「ではまた、お気をつけて」
何も言わず野島を見ずに軽く会釈をする瑠衣。
タクシーを見送り聡子の元に戻る野島。
「すみません聡子先生、病院から呼び出しが来てしまいました。それではまた今度」
「あら残念」
「もうしわけありません」
野崎は聡子に1万円を渡した。
聡子と別れた後、野島は愛人に電話をかけた。
「パレスホテルにいるからすぐに来い」
野島は苛立っていた、
「蓼科瑠衣、絶対に落としてやる」
弦楽四重奏団がモーツァルトを演奏している。
ナイフを動かしながら蘊蓄をたれる野島。
「蓼科教授、いかがですか? この店のフレンチ・キュイジーヌは?」
「美味しいですね。いつもはコンビニのお弁当ばかりなんです」
「先生はお忙しいですからね? 私も普段はコンビニのサンドイッチかおにぎりです。医者の不養生の宿命ですね?」
「だからナイフとフォークで食べるのは苦手なんです」
「箸をお使いになりますか?」
「せっかくのフレンチをお箸でいただくのもお料理を作って下さった方々に失礼ですから」
「お蕎麦をフォークで食べるような物ですからね?」
聡子が笑った。
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「そのようですね」
デザートが終わった。
「いかがでしょう、この後、少しだけ飲んでお開きにしませんか?」
「喜んでお付き合いします」
「蓼科先生はいかがですか?」
「じゃあ少しだけなら」
都内の高級ホテルのBARラウンジ。
「今日は僕に取って素敵な夜になりました。両手にバラの花束、ありがとうございました」
「それでは私はお先に失礼します。来月、ベルリンで発表する論文の作成がありますので。
今日はご馳走様でした」
「もうお帰りですか?」
「すみません、聡子、あんまり野島先生に迷惑かけちゃダメよ」
「それは野島先生次第よ、ねえ
野島先生?」
「それは残念だなあ、では今度また、お誘いします。今、クルマを回しますね」
「お気遣いなく、ここからならタクシーで帰れますから」
「ではタクシーまでご案内いたします」
タクシー運転手に1万円札を渡す野島。
「ではまた、お気をつけて」
何も言わず野島を見ずに軽く会釈をする瑠衣。
タクシーを見送り聡子の元に戻る野島。
「すみません聡子先生、病院から呼び出しが来てしまいました。それではまた今度」
「あら残念」
「もうしわけありません」
野崎は聡子に1万円を渡した。
聡子と別れた後、野島は愛人に電話をかけた。
「パレスホテルにいるからすぐに来い」
野島は苛立っていた、
「蓼科瑠衣、絶対に落としてやる」
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