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教会からの迎え
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「サチちゃん、ちょっとの間、食堂にいてね」
お昼寝部屋に向かおうとしたら、マリー先生に止められた。
隣を歩いていたマグちゃんと別れて食堂の椅子に座る。
1人で待っているとマリー先生の硬い声が聞こえた。
「サチちゃん、今から行く場所では大人しくしていてね。うるさくしては駄目よ?」
「はい」
座っていた椅子から下ろしてもらってマリー先生と歩いて行くと、見知った道に出た。
ここは孤児院に来た時に通った道じゃないか? てことは院長室に行くってことか。
何かあったのかな?
◇◇◇
【院長】
朝食後の孤児院。
孤児院の受付係の者が院長に報告に来た。
「院長! 大司教様と司教様たちが院長に用事があると、正装でいらしています! どうしますか?」
大司教様と司教様達が、正装?
「あなたはちょっと落ち着きなさい。正装で来たとのことはよほどの用事があるのでしょう。お通ししなさい」
「はい!わかりました!」
司教に大司教が孤児院に何の用事かしら? 教会と孤児院は隣なのだから気楽にこればいいものを。
何だか嫌な予感がするわ。
事前連絡も無しにくるなんて初めてじゃないかしら。
トントントン
「院長、ご案内いたしました」
「入っていいですよ!」
院長室に白色の服に、金と銀で豪華に刺繍された服を着た大司教様が入って来た。
「院長、朝からすまぬな。教会で神託があったのだ。それで慌てて孤児院まで来てしまった」
「ようこそ、おかけになってください」
孤児院長は立ったまま大司教様とそのお連れを出迎えた。
「おお、すまんの。神託で教会全体が湧き立っておるのだ。もちろん私もな」
院長と大司教が2人共席についた所で要件に入る。
「それでご用件はなんでございましょうか?」
「孤児院に居るサチ・スメラギ様の身柄を教会に移して欲しい」
院長の目元がぴくりと動く。
「サチは家族の行方がわからない、ただの幼児ですが、渡して欲しいと言われて子供を孤児院から出すのは、人を売買するのと同じですわ。ちゃんとあの子の身元保証人だという証拠を持ってきてもらわないことには孤児院から出せません。子供を守るのが孤児院です」
大司教様が「おっと、うっかり」という顔をした。
「おお、すまない。気持ちが落ち着かずに正規の手続きもせずに、人1人渡して貰おうなどと浅はかなことをしてしまった。
今から警備隊の本館と領主館に行って許しをもらってくる。
また、午後から伺ってもよろしいですかな?」
「正規の手続きをふんでいただけるなら構いません。午後からお待ちしています」
そう告げると、辞去の挨拶をして大司教と司教達が出て行った。
警備隊と領主様に許しを貰いに行くと言っていた。
大司教様と司教様が正装で行けば断られないだろう。
『神託』と言っていたのも気になる。
あれは大司教様がぽろりと溢してしまった言葉だろう。
いつもの大司教様とどこか違った。
……うかれているというか。
昨日来たばかりの子供サチ。
あなたに何が降りかかろうとしているのかしら?
可愛すぎたり綺麗すぎたりする子はどこか不幸になりやすいわ。
サチ、あなたは可愛すぎたのかしら。
◇◇◇
ー午後ー
大司教様とその御付きがぞろぞろと孤児院にやって来た。
「領主様と警備隊の許可を得てきましたぞ。見て確認をしてくだされ」
書類が2枚、院長に差し出される。
院長は間違いがないか隅から隅まで読んでいく。
不備はないわ。
「問題ありません。マリー、サチちゃんを呼んできてくれるかしら?」
「わかりました」
マリーが硬い声を出して出て行った。
新しく来た可愛い子供が権力者に取られるのが嫌なのだろう。
「大司教様が、なぜサチちゃんを望むのか伺ってもよろしいですか?」
「ふむ、教会も領主様もご存じのことですしな。院長だけならばお話しましょう。ですが他言無用ですよ。その覚悟がお有りですかな?」
「わかりました。他言無用にして私の心の中だけに留めておきます」
「よろしい。今朝の礼拝で神託が私に下されましてな。創造神様からです。恐れ多すぎて倒れてしまいました。怪我はすぐに治しましたがな。それから神のマントまで祭壇に創造神様が降ろしてくださいまして、神託は『孤児院にいる創造神の使徒サチ・スメラギを自由に行動出来るようにはからえ』でした。
サチ・スメラギ様は創造神様の使徒だったのですよ! これが興奮せずにいられるでしょうか? いや、いられません! それで先走って朝に訪問してご迷惑をかけました。お詫びします」
興奮気味に話す大司教様に、孤児院長の指先が震える。
身体も揺れてるんじゃないかしら。
孤児院から創造神様の使徒が現れるなんて。
サチちゃんはどんな運命を与えられたのかしら? 大変なことだわ。
「お、お詫びはいりませんわ。教会あっての孤児院ですもの。線引きはいたしますけども。教会の慶事、お慶びいたします」
「院長ならそう言ってくれると思いましたよ。本当におめでたい! ああ、早くサチ・スメラギ様にお会いしたい!」
トントントン
「院長、サチをお連れしました」
「入りなさい!」
ああ、可愛いサチ。
昨日この腕に抱き上げたのが嘘のようだわ。
あなたに過酷な運命が降りかかりませんように。
扉を開けて入って来たマリーとサチに、大司教と護衛達がサチに向かってザッと跪く。
マリーとサチはビクッと驚いた。
「サチ・スメラギ様。お会い出来て光栄です。尊きお方から貴女のことを自由にせよとのお言葉を賜りました。お迎え出来る名誉に心が震えております」
大司教様がサチをガン見して話しかけた。
そこで少し混乱しているマリーとサチに院長が話しかける。
「サチちゃん。今から説明するから怖がらなくてもいいのよ。マリーは持ち場に戻りなさい。
ああ、サチちゃんは今日で孤児院から出て行くからお別れをしたければしなさい」
急なことでマリーも動揺しているけれど子供を見送るのは初めてでは無いわ。
サチちゃんを抱きしめてお別れを言っている。
あら、サチちゃんが何かマリーに渡したわ。
何かしら。
マリーの驚いた顔。
サチちゃんにお礼を言って出て行ったわ。
それではサチちゃんに話しましょうか。
お昼寝部屋に向かおうとしたら、マリー先生に止められた。
隣を歩いていたマグちゃんと別れて食堂の椅子に座る。
1人で待っているとマリー先生の硬い声が聞こえた。
「サチちゃん、今から行く場所では大人しくしていてね。うるさくしては駄目よ?」
「はい」
座っていた椅子から下ろしてもらってマリー先生と歩いて行くと、見知った道に出た。
ここは孤児院に来た時に通った道じゃないか? てことは院長室に行くってことか。
何かあったのかな?
◇◇◇
【院長】
朝食後の孤児院。
孤児院の受付係の者が院長に報告に来た。
「院長! 大司教様と司教様たちが院長に用事があると、正装でいらしています! どうしますか?」
大司教様と司教様達が、正装?
「あなたはちょっと落ち着きなさい。正装で来たとのことはよほどの用事があるのでしょう。お通ししなさい」
「はい!わかりました!」
司教に大司教が孤児院に何の用事かしら? 教会と孤児院は隣なのだから気楽にこればいいものを。
何だか嫌な予感がするわ。
事前連絡も無しにくるなんて初めてじゃないかしら。
トントントン
「院長、ご案内いたしました」
「入っていいですよ!」
院長室に白色の服に、金と銀で豪華に刺繍された服を着た大司教様が入って来た。
「院長、朝からすまぬな。教会で神託があったのだ。それで慌てて孤児院まで来てしまった」
「ようこそ、おかけになってください」
孤児院長は立ったまま大司教様とそのお連れを出迎えた。
「おお、すまんの。神託で教会全体が湧き立っておるのだ。もちろん私もな」
院長と大司教が2人共席についた所で要件に入る。
「それでご用件はなんでございましょうか?」
「孤児院に居るサチ・スメラギ様の身柄を教会に移して欲しい」
院長の目元がぴくりと動く。
「サチは家族の行方がわからない、ただの幼児ですが、渡して欲しいと言われて子供を孤児院から出すのは、人を売買するのと同じですわ。ちゃんとあの子の身元保証人だという証拠を持ってきてもらわないことには孤児院から出せません。子供を守るのが孤児院です」
大司教様が「おっと、うっかり」という顔をした。
「おお、すまない。気持ちが落ち着かずに正規の手続きもせずに、人1人渡して貰おうなどと浅はかなことをしてしまった。
今から警備隊の本館と領主館に行って許しをもらってくる。
また、午後から伺ってもよろしいですかな?」
「正規の手続きをふんでいただけるなら構いません。午後からお待ちしています」
そう告げると、辞去の挨拶をして大司教と司教達が出て行った。
警備隊と領主様に許しを貰いに行くと言っていた。
大司教様と司教様が正装で行けば断られないだろう。
『神託』と言っていたのも気になる。
あれは大司教様がぽろりと溢してしまった言葉だろう。
いつもの大司教様とどこか違った。
……うかれているというか。
昨日来たばかりの子供サチ。
あなたに何が降りかかろうとしているのかしら?
可愛すぎたり綺麗すぎたりする子はどこか不幸になりやすいわ。
サチ、あなたは可愛すぎたのかしら。
◇◇◇
ー午後ー
大司教様とその御付きがぞろぞろと孤児院にやって来た。
「領主様と警備隊の許可を得てきましたぞ。見て確認をしてくだされ」
書類が2枚、院長に差し出される。
院長は間違いがないか隅から隅まで読んでいく。
不備はないわ。
「問題ありません。マリー、サチちゃんを呼んできてくれるかしら?」
「わかりました」
マリーが硬い声を出して出て行った。
新しく来た可愛い子供が権力者に取られるのが嫌なのだろう。
「大司教様が、なぜサチちゃんを望むのか伺ってもよろしいですか?」
「ふむ、教会も領主様もご存じのことですしな。院長だけならばお話しましょう。ですが他言無用ですよ。その覚悟がお有りですかな?」
「わかりました。他言無用にして私の心の中だけに留めておきます」
「よろしい。今朝の礼拝で神託が私に下されましてな。創造神様からです。恐れ多すぎて倒れてしまいました。怪我はすぐに治しましたがな。それから神のマントまで祭壇に創造神様が降ろしてくださいまして、神託は『孤児院にいる創造神の使徒サチ・スメラギを自由に行動出来るようにはからえ』でした。
サチ・スメラギ様は創造神様の使徒だったのですよ! これが興奮せずにいられるでしょうか? いや、いられません! それで先走って朝に訪問してご迷惑をかけました。お詫びします」
興奮気味に話す大司教様に、孤児院長の指先が震える。
身体も揺れてるんじゃないかしら。
孤児院から創造神様の使徒が現れるなんて。
サチちゃんはどんな運命を与えられたのかしら? 大変なことだわ。
「お、お詫びはいりませんわ。教会あっての孤児院ですもの。線引きはいたしますけども。教会の慶事、お慶びいたします」
「院長ならそう言ってくれると思いましたよ。本当におめでたい! ああ、早くサチ・スメラギ様にお会いしたい!」
トントントン
「院長、サチをお連れしました」
「入りなさい!」
ああ、可愛いサチ。
昨日この腕に抱き上げたのが嘘のようだわ。
あなたに過酷な運命が降りかかりませんように。
扉を開けて入って来たマリーとサチに、大司教と護衛達がサチに向かってザッと跪く。
マリーとサチはビクッと驚いた。
「サチ・スメラギ様。お会い出来て光栄です。尊きお方から貴女のことを自由にせよとのお言葉を賜りました。お迎え出来る名誉に心が震えております」
大司教様がサチをガン見して話しかけた。
そこで少し混乱しているマリーとサチに院長が話しかける。
「サチちゃん。今から説明するから怖がらなくてもいいのよ。マリーは持ち場に戻りなさい。
ああ、サチちゃんは今日で孤児院から出て行くからお別れをしたければしなさい」
急なことでマリーも動揺しているけれど子供を見送るのは初めてでは無いわ。
サチちゃんを抱きしめてお別れを言っている。
あら、サチちゃんが何かマリーに渡したわ。
何かしら。
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サチちゃんにお礼を言って出て行ったわ。
それではサチちゃんに話しましょうか。
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