「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜

高瀬船

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二章

11話

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 エルローディアを置き去りにし、その場を離れたウェンディとヴァン。
 ウェンディは少し気まずそうに背後をちらちらと確認していたが、ウェンディの隣を歩いていたヴァンはウェンディの手を取った。

「気にするな、ウェンディ。ウェンディがそうやって気にかけても、彼女のためにはならないだろう?」
「──そう、よね」

 ウェンディは優しい。
 その事を分かっているヴァンは、ウェンディがエルローディアの懇願をきっぱりと拒絶した事を気に病んでいるのだろうと分かっていた。

 冷たく突き放しても、こうしてウェンディは気にしてしまう性格だ。

 だが、ウェンディの優しさはあんな酷い人間に注がれるべきでは無い。
 ウェンディの優しさは、本当にその優しさを与えられるべき人に注がれればいい。

「それよりウェンディ。気を取り直して買い物を続けよう? 俺はウェンディと揃いのアクセサリーを買うのを楽しみにしてたんだ」

 ヴァンの言葉に、ウェンディはぱっと表情を輝かせた。

「そう、よね……! 気を取り直して、選びに行きましょう! 私もヴァンとお揃いの物は何がいいかなって考えていたのだけど──」

 楽しそうに、嬉しそうに話すウェンディに、ヴァンも自然と笑顔になる。
 くるくると変わる表情、嬉しそうに笑う顔。
 そんなウェンディに、ヴァンは日々彼女への愛おしさが募っていくのを感じる。

 ヴァンは、繋いでいたウェンディの手を思わずぎゅっと握ってしまう。

「──ヴァン? どうしたの?」
「いや……、ごめん。何でもないよ」

 不思議そうに見つめてくるウェンディの蒼い瞳に、ヴァンの幸せそうな笑みが映る。
 首を傾げているウェンディの手を引いて、ヴァンは貴族街にある店に入った。



「いらっしゃいませ」

 ウェンディとヴァンが入店すると、店主が笑顔で二人を出迎える。

 二人が次に入った店は、宝飾店だった。
 貴族街には宝飾店は数あるが、その中でもこの宝飾店は髪飾りや、イヤリング、ブレスレットやネックレスなどが他の店より数多く扱われている。

 もちろん、男性用のカフスやクラヴァットピン、剣帯に付けるアクセサリーなども品揃えが豊富だ。

 店に入った瞬間、ウェンディはキラキラと瞳を輝かせて品物に魅入っている。
 やはり、ウェンディもこういった装飾品に興味があるのだ。

「ウェンディ、何か欲しい物があれば俺にプレゼントさせて?」

 ヴァンの突然の言葉に、ウェンディはぎょっとして慌てて言葉を返す。

「──えっ! だ、大丈夫よヴァン。私もお仕事をしてお金を稼いでいるのだから、欲しい物があれば自分で買えるわ!」

 とんでもない! とばかりに両手を突き出してぶんぶんと首を横に振るウェンディに、ヴァンは苦笑してしまう。
 ウェンディは断るだろう、と想像は出来ていた。
 だが、ヴァンも譲るつもりは無い。

「──いや、俺もウェンディに贈りたい。……ウェンディと専属護衛騎士契約をした時は、バタバタしていて、贈り物を渡せなかった……。だけど、本当はずっとウェンディに贈りたかったんだ。俺だけの主人に、俺の色を付けて欲しいって……そう、思ってた……」
「──っ! ヴァンの、色……?」
「ああ。本当は事前に用意して、格好良くウェンディにプレゼントしたかったんだが……。でも、せっかくなら、ウェンディが選んだ物を贈りたくて」

 ──駄目? とヴァンに申し訳なさそうに顔を覗き込みながら問われたウェンディは、またもやぶんぶんと首を横に振る。

 ちっとも、駄目じゃない。
 むしろ、ヴァンに贈られる物は何でも嬉しい。
 ウェンディは、自分の胸がぽかぽかと温かくなるのを感じた。

「えっと……ちなみに、ヴァンは私にはどんな装飾品が似合うと思う……?」

 気恥しそうに頬を赤らめてそう問うウェンディ。
 そんなウェンディの態度が可愛らしくて、ヴァンは頬を緩めつつ「そうだな……」と店内の品物を見やった。

 ネックレス? それとも、イヤリングだろうか? いや、それも違うような気がする。
 それなら、ブレスレット? そう思って品物を見てみるが、どうにもぴんとこない。

「どうだろうな……ウェンディに似合う物──」

 うーん、と悩むヴァンの視界に、自分の瞳と同じ色の紫色のリボンが目に止まった。
 そのリボンは、装飾が施されていて。
 目が覚めるような美しい金の刺繍で、繊細な刺繍が施されている。
 金は、ウェンディの髪の色だ。
 それに、リボンと一緒に小さな青い宝石が付いたリボンに付ける小ぶりな装飾品もセットになっていた。
 青は、ウェンディの瞳の色と一緒だ。

 ヴァンは、まるで惹き寄せられるようにそのリボンと装飾品を手に取った──。
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