「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜

高瀬船

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二章

12話

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 リボンを手に取ったヴァンは、まるで見惚れるようにそのリボンを見つめる。
 ヴァンが手に取ったリボンに気が付いたウェンディと、ひょこりとヴァンの隣からそのリボンを覗き込んだ。

「──わっ、とても可愛い……!」

 ウェンディの弾んだ声が聞こえる。
 その声を聞いたヴァンは、勢い良くウェンディに振り向くと、口を開いた。

「ウェンディも、このリボンが可愛いと思うか!?」
「う、うん。とても可愛いって思うわ」
「──なら、これをウェンディへの贈り物にしよう」
「──えっ!?」

 あっさりと決めたヴァンに、ウェンディはぎょっと目を見開いた。

 ウェンディが驚いたのには、理由がある。
 ヴァンが手に取ったリボンは、並べられている商品の中で一番上等な物だ。
 宝石も、ワンポイントで大きな物が目立つように付けられているが、よくよく見てみれば刺繍が施されている場所に、要所要所にカットされた小さな宝石が散りばめられている。

 ウェンディはそれに気付いていたからこそ、ぎょっとしてヴァンを止めようとしたが、ヴァンはあっさりと店主を呼んでしまった。

「──店主。これを頼む。まだ買い物を続けるから包んでおいてくれ」
「かしこまりました」

 ヴァンの言葉に、飛んで来た店主は、ほくほくと嬉しそうな笑みを浮かべ、ヴァンの手から恭しくリボンを受け取った。

「ヴァン、ちょっと……本当にいいの?」

 あわあわと慌てるウェンディが可愛らしく、ヴァンは頬を緩ませたまま頭を撫でて「構わない」と答えた。

「うう……それなら、私もヴァンにとっておきの贈り物をするわ! ちょっと待ってて!」
「ウェンディ!? 俺のはいいのに……!」

 ヴァンが慌ててウェンディを呼び止めようとしたが、ウェンディは駆けるように男性用の装飾品売り場に行ってしまった。

「ウェンディには、自分のために金を使って欲しいんだが……」

 ヴァンは後頭部をかきつつ、そうだ、と閃く。
 ウェンディにばれないようにこっそりと店主を呼ぶと、告げた。

「──ウェンディ……あの女性が男性用の贈り物を買った時、彼女に告げる金額は、値段の一割にしてくれ。後は俺に請求を」

 ヴァンの言葉に、店主は心得たとばかりににっこり微笑む。

「かしこまりました。愛する女性には負担をかけたくないと思われるお気持ち、痛く分かります」
「そうだな……。彼女には何も気にせず、幸せに過ごして欲しいから」

 ヴァンは、愛おしげにウェンディを見つめたまま、そう答えた。



 それから、ウェンディがヴァンのために選んだのは、ヴァンが仕事中でも使えるように、と剣帯に付ける装飾品だった。
 「怪我をしない加護の魔法」がかかっているという謳い文句がついていて、ウェンディはそれを選んだのだ。

「ヴァンが怪我をしたら嫌だもの。私の魔力も後で込めさせてね?」
「ウェンディの魔力? それを込めてもらったら、何が起きても大丈夫そうだ。ありがとう」
「お礼を言うのはこっちだわ。ヴァンも、素敵なプレゼントをありがとう! 大事に使うからね」

 嬉しそうに笑うウェンディの頭を、ヴァンは優しく撫でる。
 最早癖になってしまっているこの行動。

 以前は、ウェンディは「子供じゃない!」とヴァンが頭を撫でると拗ねていたのだが、今は嬉しそうに目を細め、享受してくれるようになった。

 ヴァンが何度もウェンディに「子供扱いをしているつもりじゃない」と説明したからだろうか。

 ヴァンは、ウェンディへの愛おしさが爆発しそうになる度にウェンディの頭を撫でているのだが、その気持ちが少しでもウェンディに伝わっていたらいいのに、とヴァンが考えてしまうのも仕方がない。

「じゃあ、最後は私とヴァンのお揃いの装飾品ね。どんな物がいいかしら?」

 ウェンディの言葉に、ヴァンははっとしてそうだ、ウェンディと揃いの装飾品を選ぶんだった、と意識を切り替えた。
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