16 / 57
来訪者
しおりを挟む
領地に戻って数日後、サーシャは別荘で羽を伸ばしていた。真っ白なシーツが風ではためいている風景に心が癒されていく。
「次はお父様に紅茶をお持ちして、それから客間のお掃除ね」
「……サーシャ様、働き過ぎですよ」
侍女頭のエミリーが見かねたように苦言を呈するが、やる気に満ち溢れたサーシャは一向に気にならない。
「様付けは止めてください。今の私はあくまで侍女なんですから」
学園から領内の邸宅に到着すると、サーシャは当然のように使用人部屋に向かおうとした。不在の間は侍女用の服を預かってもらっていたからだ。
「サーシャ、どこに行くんだい?」
そんなサーシャを呼び止めたのはジュールだ。馬車の音が聞こえたため、迎えにホールまで出てきたらしいが、子爵家当主にあるまじきフットワークの軽さである。
「お父様、この格好のままではご挨拶もできませんので着替えてまいります」
「旅装を解くならいいけど、侍女の恰好をするつもりじゃないよね?」
「サーシャ、学園に通う間は貴族令嬢として振舞うのではなかったかな?」
ジュールの言葉を補足するかのようにシモンも加わった。
「学園ではそうですが、ここでは侍女の立場で――」
「「却下」」
二人の声が見事に揃って、血の繋がりがなくとも親子なんだなと場違いの感想を抱いたが、サーシャも譲る気などない。
「奥様とご相談させていただきます」
「確かに屋敷内で貴女が侍女として働くことは、適切ではありませんね」
急いで着替えたサーシャはマノンの元に向かい、許可を得ようとしたのだが、返ってきたのは期待どおりの回答ではなかった。
ほっとした表情を浮かべる父と義兄を恨めしく思っていると、マノンが付け加えた。
「ただし、ここでない場所だったら構いませんよ。――例えば領地の境にある別荘などは少し手入れをしたいと思っていたこところです」
「ありがとうございます、奥様。早速明日から向かってもよろしいでしょうか?」
そんなサーシャにマノンは呆れたような表情を浮かべる。
「……せめて2、3日は屋敷で過ごしなさい。貴女が帰ってきたことを喜んでいる人たちもいるのですよ」
義妹のイリアの不機嫌そうな態度や、構ってほしそうな父の態度は数か月離れていただけなのに懐かしさを感じさせる。少々変わっているけれど、ここが自分の実家なのだという思いを胸に、サーシャは言われたとおり3日間を家族と共に過ごした。
(でもやっぱり落ち着かないのよね)
根っからの平民であり前世が勤勉を美徳とする日本人だからか、働かずに他人に世話をされるという状況は落ち着かず、別荘に着いてからは楽しく仕事に勤しんでいた。
マノンは仕事の関係上、屋敷を離れるわけにはいかず、ここにいるのは父と義兄と義妹、それから僅かな使用人のみだ。
イリアは当初屋敷に残る予定だったが、シモンが別荘に行くと分かると文句を言いながらも付いてきた。兄に甘えたいというのもあるが、実はサーシャの淹れる紅茶と手作りの焼き菓子がお気に入りなのだ。
事あるごとに反抗的な態度をとるものの、イリアのそういうところが可愛くて嫌いになれない。
悩んでいたユーゴの件も、屋敷にいる間に手紙を送っておいた。季節の挨拶を皮切りに過去のことを気にする必要がないと言葉を重ねた後に、学校が始まる前に一度会って話をしたい旨を記した。
どうしても気になるのなら、過去の後悔にきっちりと区切りを付ける手助けぐらい問題ないだろう。
(あまり覚えていないけど、落ち着いた態度のユーゴ様がいてくれて頼もしかったもの)
物置を片付けていると、バタバタと廊下を走る音が聞こえてサーシャは不思議に思った。貴族である父たちはもちろん、使用人の教育も行き届いているはずのガルシア家でそんな音を立てて走る者などいないはずだ。
足音はまっすぐこちらに向かってきて、ノックもなしにドアが開いた。顔を向けると侍女歴3年のダリアが顔を真っ赤にして、叫んだ。
「大変です、サーシャ様!着替えてください、今すぐに!!」
「大声を出してはいけませんよ。来客ですか?」
落ち着かせようとわざとゆっくりと言葉を発したサーシャを、ダリアはじれったそうに身体を揺らしながら言った。
「殿下が、アーサー殿下がお忍びでお越しになりました!」
(何で殿下が……っていうかお越しになるなら先触れを出してくれないと対応に困るじゃない!急な訪問なんて、嫌な予感しかしないわ……)
中途半端に手を付けた状態の物置を名残惜しそうに見つめたサーシャはため息をついて、令嬢らしい服装に着替えるためダリアとともにその場を後にしたのだった。
「失礼いたします」
応接室に入ると寛いだ様子のアーサーと珍しく不機嫌な表情を浮かべたシモンが、向かい合わせで座っていた。ジュールとイリアが外出していたことが不幸中の幸いと言える。王族に接する機会など皆無なのだから、父は狼狽のあまり腰を抜かしていたかもしれない。
「急な来訪で悪いね」
「とんでもございません。殿下にお越しいただけるなど、光栄でございます」
学園ではないので最上級のカーテシーを披露する。顔を上げるとシモンが何か言いたしそうな顔をしていたが、この場で訊ねることもできず大人しく隣に腰を下ろした。
「アーサー殿下は改めて謝罪にいらっしゃったそうだ」
何のことか一瞬分からなかったが、すぐに噂のことだと思い当った。最近では陰口を叩かれることもなかったため、すっかり過去の出来事として忘れていたぐらいだ。
「ちょうどコベール家に行く通り道にあったからね。入学早々迷惑をかけてすまなかった」
「殿下のせいではございませんし、義兄に伝えたように私は気にしておりません」
表面上は冷静に返したが、内心は呆れと不安で一杯だった。
(婚約者の家へ行く前にわざわざ立ち寄るほうが問題だと思うわ)
ソフィー・コベール侯爵令嬢が知ればさぞ不快に思うに違いない。
そんなサーシャを見てアーサーは楽しそうな笑い声を漏らした。
「サーシャ嬢は見た目と内面が異なっていて本当に面白いな。お淑やかなのに行動的で、それにとても優しい令嬢だ」
どこか含みのある言葉にサーシャは引っ掛かりを覚えたが、続いて聞こえたノックの音に注意を逸らされる。
侍女頭のエミリーとともに現れた青年の姿を見てサーシャは目を瞠った。
前髪を後ろに流しているため印象が変わっているが、木から落ちかけた時に助けてくれた男子生徒に間違いない。
「ヒューは私の侍従と護衛を兼ねているんだ」
アーサーは簡単にヒューを紹介したあと、その時の事について改めて話してくれた。
ヒューが裏庭に来たのはまったくの偶然だったらしい。サーシャに気づいたヒューが声を掛ける前に木に登り始めたため、迂闊に声を掛けるのは危険だと判断し万が一に備えて待機してくれていた。結果的に助かったので感謝するところだが――。
(どうりで含みのある発言をするわけね。そのこと自体はどうでも良いけど、できればお義兄様の前で言わないで欲しかったわ……)
殿下たちの手前あからさまにはしていないが、笑顔の裏にシモンの怒りをひしひしと感じる。基本的には甘い義兄はサーシャが無茶をしたり、自分の身を顧みない行動をすることに関しては厳しいのだ。
エミリーの淹れた紅茶を飲んで落ち着こうとしたが、テーブルに供されたお茶菓子を見て噎せそうになった。
アーサーの前に出されたのは今朝サーシャが焼いたシフォンケーキだ。綺麗に盛り付けられてはいるものの、素人の作った食べ物など王族に出すようなものではない。
目線で問いかけるとエミリーは小さく肩をすくめて、アーサーの後ろに控えているヒューに視線を移した。つまりこれはヒューの指示によるものらしい。
「殿下、こちらの焼き菓子はサーシャ嬢のお手製だそうですよ」
(こら、余計なことをするんじゃない!)
途端に興味を示した様子のアーサーを見てサーシャは内心毒づいた。手作りの菓子は好感度アップのマストアイテムのようなものだ。
「これは美味だな。紅茶の邪魔をしない繊細な味だ。サーシャ嬢は随分と多才なようだ」
どことなくアーサーの言動に皮肉な口調を感じてしまうのは、先ほど揶揄されたせいだろうか。
「お褒めに預かり光栄ですわ」
無難な言葉を返すサーシャを見て、にこりと笑みを浮かべたアーサーは信じられないことを口にした。
「サーシャ嬢はまだ婚約者が決まっていないと聞いたけど、このヒューなんてどうかな?侯爵子息で将来有望、おまけにまだ婚約者もいないよ」
「殿下!」
思わず咎めるような声を上げるシモンには注意を向けず、アーサーはサーシャを観察している。
(思ったよりも腹黒い方なのかしらね。まあ甘やかされて周りが見えないような我儘王子より全然ましだけど)
王族から婚約者を提示されれば下級貴族としては受け入れるしかない。それを分かっていながら気軽に提案をしてくるアーサーの意図は読めないが、サーシャとしては貴族令嬢として返すだけだ。
「婚約者がいないのは私の我儘に過ぎません。オラール家よりガルシア家に正式な書状が届きましたら、その時は両親が判断いたしますわ」
当たり前のことを口にしただけなのに、何故かアーサーは忍び笑いを漏らした。
「ははっ、すごいね。私はヒューの家名を伝えていなかったのに、あれだけで分かったんだ?サーシャ嬢はもしかして貴族名録を全部覚えているの?」
攻略対象候補を絞るために同年代の貴族令息を調べていたなんて、言えるわけがない。
「……偶々ですわ」
その後も冷や冷やするようなやり取りが続き、アーサーは一人だけ満足した笑みを浮かべて別荘を後にしたのだった。
「次はお父様に紅茶をお持ちして、それから客間のお掃除ね」
「……サーシャ様、働き過ぎですよ」
侍女頭のエミリーが見かねたように苦言を呈するが、やる気に満ち溢れたサーシャは一向に気にならない。
「様付けは止めてください。今の私はあくまで侍女なんですから」
学園から領内の邸宅に到着すると、サーシャは当然のように使用人部屋に向かおうとした。不在の間は侍女用の服を預かってもらっていたからだ。
「サーシャ、どこに行くんだい?」
そんなサーシャを呼び止めたのはジュールだ。馬車の音が聞こえたため、迎えにホールまで出てきたらしいが、子爵家当主にあるまじきフットワークの軽さである。
「お父様、この格好のままではご挨拶もできませんので着替えてまいります」
「旅装を解くならいいけど、侍女の恰好をするつもりじゃないよね?」
「サーシャ、学園に通う間は貴族令嬢として振舞うのではなかったかな?」
ジュールの言葉を補足するかのようにシモンも加わった。
「学園ではそうですが、ここでは侍女の立場で――」
「「却下」」
二人の声が見事に揃って、血の繋がりがなくとも親子なんだなと場違いの感想を抱いたが、サーシャも譲る気などない。
「奥様とご相談させていただきます」
「確かに屋敷内で貴女が侍女として働くことは、適切ではありませんね」
急いで着替えたサーシャはマノンの元に向かい、許可を得ようとしたのだが、返ってきたのは期待どおりの回答ではなかった。
ほっとした表情を浮かべる父と義兄を恨めしく思っていると、マノンが付け加えた。
「ただし、ここでない場所だったら構いませんよ。――例えば領地の境にある別荘などは少し手入れをしたいと思っていたこところです」
「ありがとうございます、奥様。早速明日から向かってもよろしいでしょうか?」
そんなサーシャにマノンは呆れたような表情を浮かべる。
「……せめて2、3日は屋敷で過ごしなさい。貴女が帰ってきたことを喜んでいる人たちもいるのですよ」
義妹のイリアの不機嫌そうな態度や、構ってほしそうな父の態度は数か月離れていただけなのに懐かしさを感じさせる。少々変わっているけれど、ここが自分の実家なのだという思いを胸に、サーシャは言われたとおり3日間を家族と共に過ごした。
(でもやっぱり落ち着かないのよね)
根っからの平民であり前世が勤勉を美徳とする日本人だからか、働かずに他人に世話をされるという状況は落ち着かず、別荘に着いてからは楽しく仕事に勤しんでいた。
マノンは仕事の関係上、屋敷を離れるわけにはいかず、ここにいるのは父と義兄と義妹、それから僅かな使用人のみだ。
イリアは当初屋敷に残る予定だったが、シモンが別荘に行くと分かると文句を言いながらも付いてきた。兄に甘えたいというのもあるが、実はサーシャの淹れる紅茶と手作りの焼き菓子がお気に入りなのだ。
事あるごとに反抗的な態度をとるものの、イリアのそういうところが可愛くて嫌いになれない。
悩んでいたユーゴの件も、屋敷にいる間に手紙を送っておいた。季節の挨拶を皮切りに過去のことを気にする必要がないと言葉を重ねた後に、学校が始まる前に一度会って話をしたい旨を記した。
どうしても気になるのなら、過去の後悔にきっちりと区切りを付ける手助けぐらい問題ないだろう。
(あまり覚えていないけど、落ち着いた態度のユーゴ様がいてくれて頼もしかったもの)
物置を片付けていると、バタバタと廊下を走る音が聞こえてサーシャは不思議に思った。貴族である父たちはもちろん、使用人の教育も行き届いているはずのガルシア家でそんな音を立てて走る者などいないはずだ。
足音はまっすぐこちらに向かってきて、ノックもなしにドアが開いた。顔を向けると侍女歴3年のダリアが顔を真っ赤にして、叫んだ。
「大変です、サーシャ様!着替えてください、今すぐに!!」
「大声を出してはいけませんよ。来客ですか?」
落ち着かせようとわざとゆっくりと言葉を発したサーシャを、ダリアはじれったそうに身体を揺らしながら言った。
「殿下が、アーサー殿下がお忍びでお越しになりました!」
(何で殿下が……っていうかお越しになるなら先触れを出してくれないと対応に困るじゃない!急な訪問なんて、嫌な予感しかしないわ……)
中途半端に手を付けた状態の物置を名残惜しそうに見つめたサーシャはため息をついて、令嬢らしい服装に着替えるためダリアとともにその場を後にしたのだった。
「失礼いたします」
応接室に入ると寛いだ様子のアーサーと珍しく不機嫌な表情を浮かべたシモンが、向かい合わせで座っていた。ジュールとイリアが外出していたことが不幸中の幸いと言える。王族に接する機会など皆無なのだから、父は狼狽のあまり腰を抜かしていたかもしれない。
「急な来訪で悪いね」
「とんでもございません。殿下にお越しいただけるなど、光栄でございます」
学園ではないので最上級のカーテシーを披露する。顔を上げるとシモンが何か言いたしそうな顔をしていたが、この場で訊ねることもできず大人しく隣に腰を下ろした。
「アーサー殿下は改めて謝罪にいらっしゃったそうだ」
何のことか一瞬分からなかったが、すぐに噂のことだと思い当った。最近では陰口を叩かれることもなかったため、すっかり過去の出来事として忘れていたぐらいだ。
「ちょうどコベール家に行く通り道にあったからね。入学早々迷惑をかけてすまなかった」
「殿下のせいではございませんし、義兄に伝えたように私は気にしておりません」
表面上は冷静に返したが、内心は呆れと不安で一杯だった。
(婚約者の家へ行く前にわざわざ立ち寄るほうが問題だと思うわ)
ソフィー・コベール侯爵令嬢が知ればさぞ不快に思うに違いない。
そんなサーシャを見てアーサーは楽しそうな笑い声を漏らした。
「サーシャ嬢は見た目と内面が異なっていて本当に面白いな。お淑やかなのに行動的で、それにとても優しい令嬢だ」
どこか含みのある言葉にサーシャは引っ掛かりを覚えたが、続いて聞こえたノックの音に注意を逸らされる。
侍女頭のエミリーとともに現れた青年の姿を見てサーシャは目を瞠った。
前髪を後ろに流しているため印象が変わっているが、木から落ちかけた時に助けてくれた男子生徒に間違いない。
「ヒューは私の侍従と護衛を兼ねているんだ」
アーサーは簡単にヒューを紹介したあと、その時の事について改めて話してくれた。
ヒューが裏庭に来たのはまったくの偶然だったらしい。サーシャに気づいたヒューが声を掛ける前に木に登り始めたため、迂闊に声を掛けるのは危険だと判断し万が一に備えて待機してくれていた。結果的に助かったので感謝するところだが――。
(どうりで含みのある発言をするわけね。そのこと自体はどうでも良いけど、できればお義兄様の前で言わないで欲しかったわ……)
殿下たちの手前あからさまにはしていないが、笑顔の裏にシモンの怒りをひしひしと感じる。基本的には甘い義兄はサーシャが無茶をしたり、自分の身を顧みない行動をすることに関しては厳しいのだ。
エミリーの淹れた紅茶を飲んで落ち着こうとしたが、テーブルに供されたお茶菓子を見て噎せそうになった。
アーサーの前に出されたのは今朝サーシャが焼いたシフォンケーキだ。綺麗に盛り付けられてはいるものの、素人の作った食べ物など王族に出すようなものではない。
目線で問いかけるとエミリーは小さく肩をすくめて、アーサーの後ろに控えているヒューに視線を移した。つまりこれはヒューの指示によるものらしい。
「殿下、こちらの焼き菓子はサーシャ嬢のお手製だそうですよ」
(こら、余計なことをするんじゃない!)
途端に興味を示した様子のアーサーを見てサーシャは内心毒づいた。手作りの菓子は好感度アップのマストアイテムのようなものだ。
「これは美味だな。紅茶の邪魔をしない繊細な味だ。サーシャ嬢は随分と多才なようだ」
どことなくアーサーの言動に皮肉な口調を感じてしまうのは、先ほど揶揄されたせいだろうか。
「お褒めに預かり光栄ですわ」
無難な言葉を返すサーシャを見て、にこりと笑みを浮かべたアーサーは信じられないことを口にした。
「サーシャ嬢はまだ婚約者が決まっていないと聞いたけど、このヒューなんてどうかな?侯爵子息で将来有望、おまけにまだ婚約者もいないよ」
「殿下!」
思わず咎めるような声を上げるシモンには注意を向けず、アーサーはサーシャを観察している。
(思ったよりも腹黒い方なのかしらね。まあ甘やかされて周りが見えないような我儘王子より全然ましだけど)
王族から婚約者を提示されれば下級貴族としては受け入れるしかない。それを分かっていながら気軽に提案をしてくるアーサーの意図は読めないが、サーシャとしては貴族令嬢として返すだけだ。
「婚約者がいないのは私の我儘に過ぎません。オラール家よりガルシア家に正式な書状が届きましたら、その時は両親が判断いたしますわ」
当たり前のことを口にしただけなのに、何故かアーサーは忍び笑いを漏らした。
「ははっ、すごいね。私はヒューの家名を伝えていなかったのに、あれだけで分かったんだ?サーシャ嬢はもしかして貴族名録を全部覚えているの?」
攻略対象候補を絞るために同年代の貴族令息を調べていたなんて、言えるわけがない。
「……偶々ですわ」
その後も冷や冷やするようなやり取りが続き、アーサーは一人だけ満足した笑みを浮かべて別荘を後にしたのだった。
44
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜
咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。
実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。
どうして貴方まで同じ世界に転生してるの?
しかも王子ってどういうこと!?
お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで!
その愛はお断りしますから!
※更新が不定期です。
※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。
※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる