無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ

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第12話

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 結局俺はどうしたいのか分からないまま次の日を迎えた。
 次の日、ネコノから連絡が来た。

『きゅうも一緒にドッグランに行こ』

 ドッグランなのにきゅうを連れて行くのか?と思ったが、犬好きは動物好きな可能性が高い。
 それに、ネコノだし。

 俺もネコノと同じにしてみよう……気分で、直感で決めよう。
 
『分かった、行こう』

 そう送った瞬間に俺の心が変わってきている事に気づいた。

 こうしてドッグランに行く事が決まった。
 ドッグランと言っても、田舎にドッグラン施設は無い。
 自然なんてそこらへんにある。
 ただ、大きな芝生がある公園に犬好きが集まって交流するイベントだ。

 ネコノと一緒に会場にたどり着くと犬を連れた人だかりがあった。

「昨日は私のチャンネルを紹介してくれてありがとね」
「手抜き動画だから手間はかかってないから」
「でも、おかげでどんどん登録者数が増えてるよ」
「朝見たけど、5万人を突破しそうだよな」
「突破したよ」
「おめでとう」

 みんなの所に向かって歩くと人が話しかけてきた。

「あの、きゅうチャンネルのカケルさんですよね?写真を撮っていいですか?」
「どうも、写真を撮るのはいいのですが、きゅうは人見知りです。離れて撮らないと隠れますよ」

「あ、じゃあ、このくらい離れれば行けますかね」
「大丈夫です」

 こうしてきゅうの撮影が始まった。
 周りにいた他の犬好きも集まって来る。

「僕もいいですか?」
「私もお撮りたいです」
「すまん、俺も写真を撮りたいんだ」
「いいですよ」

「きゅう、大人気だな」

 きゅうの撮影会が始まった。
 30分近く撮影は続き、木に登ったきゅう、草原に佇むきゅう、走るきゅう、様々なシーンを用意した。
 あれ?ネコノもスマホで撮影してる。

「カケルさんも一緒にお願いします」
「カケルさんも一緒に撮りたいです」
「カケルさんの上に乗ったきゅうを撮りたいです」

 途中から俺も写真撮影に加わる事になった。
 そこまで言われると断るのも悪い気がしてくる。
 やっぱり、人は疲れるな。

「きゅうがカケルさんの頭に乗ると表情が変わるね」
「きゅうが安心してる」
「あ、あくびした!シャッターチャンス!」


「「ありがとうございました」」

「撮影は終わったようですね」

 急にJKが現れ俺に話しかけてきた。

「あ、カノンちゃん。紹介するね、ハンター高校3年生、楠木カノンだよ」

 楠木カノンか。
 高校時代に見た事がある。
 俺がハンター高校にいた頃、ネコノが高校の男子人気ナンバー1でナンバー2がこの楠木カノンだ。

 セミロングの髪を魔女のような大きな帽子で隠している。
 更にその帽子からのれんのように黒いヴェールが顔を隠す。
 帽子のおかげですぐに誰か分かった。
 美人な上、目立つ帽子のおかげで更に目立つ。

 それと胸がとてもが大きい。
 右の人差し指には魔法の威力を高める指輪をはめている。

 防御効果のついたハンター制服を着ているが、あまりに特徴的な帽子効果から異質な印象を受ける。
 魔女帽子で顔を隠している上に更にヴェールで顔を隠すってなんだよ!
 帽子のせいで奇抜な服装に見える。

 俺も人の事は言えない為黙っているがドッグランに猫を連れてきている。
 ドッグランなのに猫って……

 ツッコんだら負けだ。
 俺もきゅうを連れてきている。
 でも俺は自分の意思でここに来たわけではないんだが、それを言うと人のせいにしているようになってしまう。

 来ると決めたのは自分だ。

 俺の行動の責任は自分自身にある。

 ツッコむな、俺。

「どうも、楠木カノンです」
「どうも、オオイワカケルです」
「私の黒猫が気になりますか?」

「うん、いえ、可愛い猫ですね」
「スナイプです。撫でてもいいですよ」

 スナイプが近づいてきた。
 俺がスナイプを撫でると抵抗せず、なすがまま撫でられ続ける。

「可愛いな」
「ドッグランなのに猫を連れて来て、誰も突っ込まないんですね」
「それは、僕もきゅうを連れて来ましたから、突っ込めないですよ」

 俺はスナイプを撫で続けた。

「きゅうを触ってもいいですか?」
「いえ、きゅうは人見知りをするので難しいと思いますよ」

 スナイプを撫で続けると、きゅうが俺とスナイプの間に滑り込んだ。

「……」
「……」

 きゅうが撫でられるのを待っている。

「……」
「……」

 俺はきゅうのなでなで圧力に屈してきゅうを撫でる。
 ネコノが遠くできゅうと俺の姿をスマホで撮影しながら「わあ、かわいい」と声をあげる。 
 ネコノ、動画のストックが増えたな。

「所で、魔法使いにはきゅうのような使い魔が似合う、そう思いませんか?」
「ははははは、楠木さんにはスナイプがいるじゃないですか」
「おお、スナイプがスキルホルダーである事を見抜きましたか」
「いや、分からなかったです。というかスキルホルダーの猫!」

 普通に買ったら億はするだろう。
 どうやって手に入れた!

「流石鉄拳のカケルさんですね」
「だから見抜いてないって!鉄拳でもないし」
「ですがこう思うのです」
「話聞いてる?」
「使い魔は2匹いてもいいと」

「……きゅうは渡さないですよ」
「私はきゅうの配信を見て考え、攻略法を見つけました。きゅうを手に入れるにはカケルさんと仲良くなる事がカギだと、そう確信しています」
「渡さないからな」

「まずはお互い名前で呼び合いましょう。ねえ、カケル」
「カノンさんとお呼びすればいいでしょうか?」

 こいつ、確実にきゅうを狙っている。
 目が本気だ。
 こいつは危険。
 絶対にきゅうは渡さない。

「カケル、契約をしましょう」
 
 カノンが俺の肩に手を回した。
  胸が当たるほど、俺に密着し、そして背伸びをしてぶら下がるような体勢で俺の耳元に息を吹きかけた。

「やめろ!」
「ふふふ、カケル、怒りましたか?」
「いや、いい、でもきゅうは渡さないからな」

 カノンが耳元で囁く。

「私の体を好きにしていいですよ。そうすれば私にあんなことやこんなことが出来ます。そして仲良くなったら、私はカケルのしもべで、きゅうはカケルのものであって私のものにもなります」
「それをやったら俺が即捕まるわ!」
「同意の上なら行けます」

「……はあ、冗談は終わりだ。カノン、ドッグランに参加してくれ」
「猫なのにドッグランには参加しませんよ。もう、おかしな人ですね」

 そう言いながらカノンが笑った。
 こいつの行動がよく分からない。

 カノンは隙をつくようにきゅうに手を伸ばすが、きゅうは素早く回避した。

「あ!素早いですね」
「カノン!きゅうを取るなよ!」

「もう、2人だけ仲良さそうに話して!」
「えええええ!今の状況を見てネコノは仲がよさそうに見えたのか!」
「私とカケルはソウルメイト、魂のつながりがあるのです」

 カノンが俺に抱き着く。

「カノン、離れろ!きゅうを狙っても無駄だからな」
「ほら、仲がいい」
「どこが!?」
「私の事はネコノなのに、カノンちゃんの事はカノンなんだね」

 ネコノの機嫌が悪い。

「ん?」

 おかしい。
 ネコノになんて呼べばいいか聞いてネコノでいいと言ったはずだ。
 ネコノでいいと言ったのに機嫌が悪くなっている。
 名前で呼べばそれでいいのか?

「リコ」
「おお」
「これからリコと呼べばいいかな?」
「そうだね、そうしよ、私はカケルって呼ぶね」

「あ、言い忘れてたけど、カノンちゃんとパーティーを組むよ。先生から連絡が来ておすすめされたんだ」
「そっか、リコとカノンのパーティーか、いいんじゃないか?」

「ううん、私とカケル、カノンちゃんのパーティーだよ」
「え?」
「リコ、それは違います」

 そうだろう、そうだろう。
 カノン、俺と組みたくはないと、そう言ってくれ。
 まず第一にJKと俺がパーティーを組む時点で無理がある。

 リアルな人間関係より画面の向こう側の人間からの炎上はまだマシではある。
 にしても厄介ではある。

 それに2人同時に守るとなれば正直厳しい、大穴に入れば死ぬ時は死ぬ。
 大穴の大虫狩りはマグロ漁船のようなものなのだ。

 そして、死んだ場合『スキルホルダーが自己責任で大穴に行ったのが悪い』と、世間の目は冷ややかだ。
 多くの人間はスキルホルダーではない為嫉妬がある。
 
 カノンかリコが死ねば2人を助けられなかった事で自分の気分は下がるだろう、その上でネットのバッシングを受けてしまえばさすがに堪えるし辛い。

 さあ、カノン、断れ!

「私とカケル、リコの他にスナイプときゅうも一緒です」
「そういう事じゃない!」

 楠木カノン、何を考えているのか分からない奴だが1つだけ分かる。
 こいつはガチできゅうを狙っている。

 もっと言うとカノンがリコと同じ位美人だがリコより人気が無い。
 理由は性格だ。
 
 カノンは変人だ。
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