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閑話 マリアノーラの観察録3
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「天照大神様、失礼いたします」
「おぉ、マリアノーラ様ではないか。久し……ぶりでもないか? 今日は、どうしたんだい?」
「地球から来た方のことで少々……」
「ああ、歪に巻き込まれた彼のことだね! 元気にしているかい?」
「ええ、楽しそうに過ごしているようです」
「そうか。それは良かった」
ちょっとした企みがあり、わたくしは地球の神様の一人である天照大神様のもとを訪ねたの。
「それで、彼がどうかしたのかい?」
「彼が……というか、わたくしが彼に作ってもらいたいものがあるのです」
「ふむ……なるほど、なるほど、菓子かな?」
「えっ!? ど、どうしておわかりになられたのですか!?」
ずばり、と天照大神様から思惑を言い当てられ、わたくしは少々慌てた。
「ははは、当たったか?」
「……そんなにわかりやすかったでしょうか?」
「いいや、それほどでもなかったが、前に彼のことで来た時にそういう話をしただろう」
そういえば、お話しましたね。タクミさんがエーテルディアの食を発展させてくれるかも! と。
「彼は料理ができなくて、あまり貢献してくれなかった……ということかな?」
「いいえ、いいえ! とても発展に貢献してくれていますわ! とてもたくさんの料理が作られるようになりましたもの! ですが……」
「ああ、料理はともかく、菓子のほうは手が出なかったのかな?」
「いえ、彼曰く、簡単なものでしたら作っておりましたわ」
プリンにアイスクリーム、クレープ、大福……他にもいろいろ。これが簡単なものに入るかは疑問ですけどね。わたくしからしたら、それが作れるだけでも凄いと思うわ。
「ふむ。確かに本格的な菓子を作るには、配合などが重要になるものな」
「ええ、そのようですわね」
「だが、さすがにこちらでレシピ本を手に入れて、現物をそのまま持ち帰るのはいただけないな」
「……そうですか」
駄目で元々。そういうつもりで聞いてみましたが、断られるとやはり残念に思うわね。
「だが!」
「っ!」
「メモを取るくらいなら許可できるぞ」
「もちろん、それで構いませんわ!」
落ち込みそうになったその時、天照大神様が代案をおっしゃられました。
手間は少々掛かりますが、甘味の配合がわかるのであれば、そのくらい大した手間ではないわ!
「ふふっ、嬉しそうだな」
「もちろんですわ!」
「ほら、あそこでちょうど菓子作りを始めているぞ。ふむ、あれは……焼くタイプのチーズケーキかな?」
「まあ! それはぜひメモらせてもらわないといけませんわ! 天照大神様、どこでしょうか?」
「ほらほら、あそこだよ」
「あ、あそこですわね!」
都合よくチーズケーキを作る方を天照大神様が見つけてくださいました。レシピもばっちり見えるわね!
本当ならエーテルディアの文字に翻訳して書いたほうが良いとは思うのだけど、食材名や作り方を取り違えてしまったら大事ね。ここは見たままの文字を写しましょう。タクミさんならこちらの世界の文字も読めますしね。ああ、それと、文字が崩れてタクミさんが読めないってことがないように、そっくりそのまま写すように気をつけないといけないわね。
「天照大神様、確認してもらってもよろしいでしょうか?」
「ん? ふむ……問題ないな。上手く書けているぞ」
「ふふっ、良かったですわ~」
「お、次はあそこだ。あれは……シフォンケーキかな?」
「まあ、それもいいですわね!」
この調子でどんどん写していきましょう!
◇ ◇ ◇
「ふふっ、タクミさん、早速活用してくれているわね」
できあがった本を早速タクミさんに送ると、すぐにその本を使って甘味作りをしてくれるみたい。
「まあ! レアチーズケーキね! それにガトーショコラ!」
ふふふっ、わたくしはどちらも好きよ!
「タクミさんったらさすがね~」
どちらもさくさく作って、とても美味しそうなものが出来上がっているの。
「……あぁ~」
なんてことでしょう! タクミさんが出来上がったケーキを《無限収納》にしまってしまいましたわ! たくさん作っていたのだから、わたくしにもいただけると思ったのにぃ~~~。
「まぁ、まぁ、まぁ! そういうことだったのね!」
もう、タクミさんったら~。
タクミさんはケーキだけじゃなく、サンドイッチなども作ってわたくしとシルフィール達にも同時に送ってくれようとしていたのよ!
「ふふふっ。来たわ来たわ~」
「マ、マリアノーラ様ぁ~~~」
わたくしの手元にレアチーズが届いたのと同時に、シルフィリールの声が響く。
いつもは自分のところに届く食べものが、今回はみんなのところに届いたと気づいたようね。
「シルフィリール、煩いわよ。ほら、サラマンティールとノームードルも呼んできてちょうだい」
レアチーズケーキを独り占めしたいところですけど、他の子達のところに届けられたものも気になるものね。ここは平和的にみんなで分け合って食べることにしましょう。
あ、そうそう。タクミさんにお礼を言っておかないとね♪
「おぉ、マリアノーラ様ではないか。久し……ぶりでもないか? 今日は、どうしたんだい?」
「地球から来た方のことで少々……」
「ああ、歪に巻き込まれた彼のことだね! 元気にしているかい?」
「ええ、楽しそうに過ごしているようです」
「そうか。それは良かった」
ちょっとした企みがあり、わたくしは地球の神様の一人である天照大神様のもとを訪ねたの。
「それで、彼がどうかしたのかい?」
「彼が……というか、わたくしが彼に作ってもらいたいものがあるのです」
「ふむ……なるほど、なるほど、菓子かな?」
「えっ!? ど、どうしておわかりになられたのですか!?」
ずばり、と天照大神様から思惑を言い当てられ、わたくしは少々慌てた。
「ははは、当たったか?」
「……そんなにわかりやすかったでしょうか?」
「いいや、それほどでもなかったが、前に彼のことで来た時にそういう話をしただろう」
そういえば、お話しましたね。タクミさんがエーテルディアの食を発展させてくれるかも! と。
「彼は料理ができなくて、あまり貢献してくれなかった……ということかな?」
「いいえ、いいえ! とても発展に貢献してくれていますわ! とてもたくさんの料理が作られるようになりましたもの! ですが……」
「ああ、料理はともかく、菓子のほうは手が出なかったのかな?」
「いえ、彼曰く、簡単なものでしたら作っておりましたわ」
プリンにアイスクリーム、クレープ、大福……他にもいろいろ。これが簡単なものに入るかは疑問ですけどね。わたくしからしたら、それが作れるだけでも凄いと思うわ。
「ふむ。確かに本格的な菓子を作るには、配合などが重要になるものな」
「ええ、そのようですわね」
「だが、さすがにこちらでレシピ本を手に入れて、現物をそのまま持ち帰るのはいただけないな」
「……そうですか」
駄目で元々。そういうつもりで聞いてみましたが、断られるとやはり残念に思うわね。
「だが!」
「っ!」
「メモを取るくらいなら許可できるぞ」
「もちろん、それで構いませんわ!」
落ち込みそうになったその時、天照大神様が代案をおっしゃられました。
手間は少々掛かりますが、甘味の配合がわかるのであれば、そのくらい大した手間ではないわ!
「ふふっ、嬉しそうだな」
「もちろんですわ!」
「ほら、あそこでちょうど菓子作りを始めているぞ。ふむ、あれは……焼くタイプのチーズケーキかな?」
「まあ! それはぜひメモらせてもらわないといけませんわ! 天照大神様、どこでしょうか?」
「ほらほら、あそこだよ」
「あ、あそこですわね!」
都合よくチーズケーキを作る方を天照大神様が見つけてくださいました。レシピもばっちり見えるわね!
本当ならエーテルディアの文字に翻訳して書いたほうが良いとは思うのだけど、食材名や作り方を取り違えてしまったら大事ね。ここは見たままの文字を写しましょう。タクミさんならこちらの世界の文字も読めますしね。ああ、それと、文字が崩れてタクミさんが読めないってことがないように、そっくりそのまま写すように気をつけないといけないわね。
「天照大神様、確認してもらってもよろしいでしょうか?」
「ん? ふむ……問題ないな。上手く書けているぞ」
「ふふっ、良かったですわ~」
「お、次はあそこだ。あれは……シフォンケーキかな?」
「まあ、それもいいですわね!」
この調子でどんどん写していきましょう!
◇ ◇ ◇
「ふふっ、タクミさん、早速活用してくれているわね」
できあがった本を早速タクミさんに送ると、すぐにその本を使って甘味作りをしてくれるみたい。
「まあ! レアチーズケーキね! それにガトーショコラ!」
ふふふっ、わたくしはどちらも好きよ!
「タクミさんったらさすがね~」
どちらもさくさく作って、とても美味しそうなものが出来上がっているの。
「……あぁ~」
なんてことでしょう! タクミさんが出来上がったケーキを《無限収納》にしまってしまいましたわ! たくさん作っていたのだから、わたくしにもいただけると思ったのにぃ~~~。
「まぁ、まぁ、まぁ! そういうことだったのね!」
もう、タクミさんったら~。
タクミさんはケーキだけじゃなく、サンドイッチなども作ってわたくしとシルフィール達にも同時に送ってくれようとしていたのよ!
「ふふふっ。来たわ来たわ~」
「マ、マリアノーラ様ぁ~~~」
わたくしの手元にレアチーズが届いたのと同時に、シルフィリールの声が響く。
いつもは自分のところに届く食べものが、今回はみんなのところに届いたと気づいたようね。
「シルフィリール、煩いわよ。ほら、サラマンティールとノームードルも呼んできてちょうだい」
レアチーズケーキを独り占めしたいところですけど、他の子達のところに届けられたものも気になるものね。ここは平和的にみんなで分け合って食べることにしましょう。
あ、そうそう。タクミさんにお礼を言っておかないとね♪
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