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第十五章 未熟なる神の如き存在
彼らの姿
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メモ帳のことを問うと、フィナは顔を少し歪めた。
それはまるで、気づかれたか、という態度だ。
「む~、あのね、一度間をおいて伝えようと思ったけど、凄いものを見つけた」
執務机の下に隠していたのか、彼女は木箱に入った大量の父のメモ帳を足でずりずりと押し出してきた。
「ず、ずいぶん増えたな。日本語に訳されたからか?」
「うん、そう。これでもほんの一部だけどね」
「一部? 他のメモ帳はどこに?」
「それはまだデータの中。ほら、私たち本に埋まって死にかけたでしょ。そこで安全装置が働いて勝手に止まったみたい。残りのメモ、つまり情報はまだまだあって、とりあえずこんだけ用意しときました、みたいな」
「なるほど。ひどい状態になったが、一応あれでも施設は私たちのことを気に掛けてくれたというわけだな。それで、凄いものを見つけたと言ったが、なぜ皆にその内容を伝えない?」
「いや~ね、これ、なんて言えばいいかなぁ……あのさ、このメンツの中に強烈にサノアを信仰している人っている?」
突然の、サノアの信仰を試す不思議な問い。
私たちは思い思いに答えを返す。
「私は不信心ではあるが、それでもサノアの信仰は否定しないし、形だけとはいえ王都では礼拝にも行っていた。まぁ、さぼりがちで、たまにする程度だったが」
「私はガデリに住んでいたころは週に二度は礼拝をしていましたが、こちらに来てからはさっぱりです。申し訳ないと思っていますが……」
「俺はあまり好きじゃねぇな。神様なんざ、いざって時に何の役にも立たねぇ」
「ほぅ、親父殿はあまりサノアが好きではないと見えるな。ワシは鉱山の安全を願って、よく祈りを捧げておる。そうであっても、親父殿のように信仰心の薄い人物と距離を置くという真似はせんが」
「キャビットは俺も含め、結構信仰心が篤いニャね。ご先祖様を救ってもらった恩があるからニャ。だからといって、他人の信仰心にケチをつけるような真似はしにぇ~ニャ」
と、このように全員の言葉を受け取ったフィナは、木箱から一冊のメモ帳を取り出す。
それは父の記録メモ。つまりは、遺跡に記された記録。
彼女はそれを開き、パンっと叩いた。
すると、空中に浮かぶ半透明のモニターが現れて、一部が青く点滅をしている。
「みんな、アグリスみたいに熱狂的な信徒ってわけじゃないのね。それでも、かなり衝撃的な映像だから、覚悟をしておいて」
「映像?」
「そ、映像。映像は二種類。他にもたくさんあるみたいだけど、プロテクトが掛かってて。運よくか、壊れてたか知らないけど、二つの記録だけを見ることができた」
「内容は?」
「一つは古代人と思われる三人のやり取り」
「ほぅ~、それは興味深い」
私だけではなく、エクアたちも興味深げな様子を見せる。
みんなの態度にフィナは軽く笑いを見せて、青く点滅を繰り返す場所を指で押す。
点滅からは二つの光が蛍のように飛び出し、そのうちの一つに指を当てた。
「いい、ちょっと驚くけど、取り乱さないこと。じゃ、行くよ」
簡素に注意を促し、フィナは点滅を指先で弾いた。
すると!?
「なっ!?」
「キャっ!?」
「おお!?」
「なんじゃと!?」
「こいつら何者ニャ!?」
一瞬にして部屋の様子が変わる。
真っ白な世界にたくさんの立体的な文字や風景の小窓のような映像が浮かぶ。
文字の映像は古代人の丸文字から始めり、日本語や英語、さらに見知らぬ文字たちが浮かんでいる。
その文字たちや映像の小窓に囲まれた中心に、人間族にそっくりな三人の姿があった。
一人は、白衣に黄金の蛇のような模様をあしらった衣服を纏う白髪の年老いた男性。
服装から医者か研究者のように見える。
体は痩せ型で、顔には賢者と称されても遜色のない、知識と経験の深さを表す皺が年輪の如く刻まれている。
彼から醸し出される雰囲気は自信と……傲慢。
全ての存在を見下すかのような鋭い暗緑色と薄茶が混じり合う、榛色の瞳を光らせる。
もう一人は堀が深く逞しい肉体を持つ青年。
金の髪を主体に茶髪と黒髪が入り混じっている。
彼は青いぴっちりとしたスーツに身を包み、コバルトブルーの瞳を持っていた。
服装からどんな役職なのか想像もつかない。
最後の一人は、二十代前半ほどの女性。
とても端正な顔立ちで切れ長の瞳を持つ、ぞっとするほどの美人だ。
彼女はショートカットの黒髪で、緑色のぴっちりしたスーツの上に、老人と同じ黄金の蛇模様をあしらった白衣をコートのように着ている。
その出で立ちから、彼女も老人と同じ研究者のようにも感じるが、全身から溢れ出す気配は別物。
ただの映像であっても、熟練の戦士たる気配に満ち溢れている。
三人とも私と変わらないくらいに背が高い。
その中で私は、ショートヘアの黒髪の女性の容姿。その瞳の色に目を奪われていた。
それはまるで、気づかれたか、という態度だ。
「む~、あのね、一度間をおいて伝えようと思ったけど、凄いものを見つけた」
執務机の下に隠していたのか、彼女は木箱に入った大量の父のメモ帳を足でずりずりと押し出してきた。
「ず、ずいぶん増えたな。日本語に訳されたからか?」
「うん、そう。これでもほんの一部だけどね」
「一部? 他のメモ帳はどこに?」
「それはまだデータの中。ほら、私たち本に埋まって死にかけたでしょ。そこで安全装置が働いて勝手に止まったみたい。残りのメモ、つまり情報はまだまだあって、とりあえずこんだけ用意しときました、みたいな」
「なるほど。ひどい状態になったが、一応あれでも施設は私たちのことを気に掛けてくれたというわけだな。それで、凄いものを見つけたと言ったが、なぜ皆にその内容を伝えない?」
「いや~ね、これ、なんて言えばいいかなぁ……あのさ、このメンツの中に強烈にサノアを信仰している人っている?」
突然の、サノアの信仰を試す不思議な問い。
私たちは思い思いに答えを返す。
「私は不信心ではあるが、それでもサノアの信仰は否定しないし、形だけとはいえ王都では礼拝にも行っていた。まぁ、さぼりがちで、たまにする程度だったが」
「私はガデリに住んでいたころは週に二度は礼拝をしていましたが、こちらに来てからはさっぱりです。申し訳ないと思っていますが……」
「俺はあまり好きじゃねぇな。神様なんざ、いざって時に何の役にも立たねぇ」
「ほぅ、親父殿はあまりサノアが好きではないと見えるな。ワシは鉱山の安全を願って、よく祈りを捧げておる。そうであっても、親父殿のように信仰心の薄い人物と距離を置くという真似はせんが」
「キャビットは俺も含め、結構信仰心が篤いニャね。ご先祖様を救ってもらった恩があるからニャ。だからといって、他人の信仰心にケチをつけるような真似はしにぇ~ニャ」
と、このように全員の言葉を受け取ったフィナは、木箱から一冊のメモ帳を取り出す。
それは父の記録メモ。つまりは、遺跡に記された記録。
彼女はそれを開き、パンっと叩いた。
すると、空中に浮かぶ半透明のモニターが現れて、一部が青く点滅をしている。
「みんな、アグリスみたいに熱狂的な信徒ってわけじゃないのね。それでも、かなり衝撃的な映像だから、覚悟をしておいて」
「映像?」
「そ、映像。映像は二種類。他にもたくさんあるみたいだけど、プロテクトが掛かってて。運よくか、壊れてたか知らないけど、二つの記録だけを見ることができた」
「内容は?」
「一つは古代人と思われる三人のやり取り」
「ほぅ~、それは興味深い」
私だけではなく、エクアたちも興味深げな様子を見せる。
みんなの態度にフィナは軽く笑いを見せて、青く点滅を繰り返す場所を指で押す。
点滅からは二つの光が蛍のように飛び出し、そのうちの一つに指を当てた。
「いい、ちょっと驚くけど、取り乱さないこと。じゃ、行くよ」
簡素に注意を促し、フィナは点滅を指先で弾いた。
すると!?
「なっ!?」
「キャっ!?」
「おお!?」
「なんじゃと!?」
「こいつら何者ニャ!?」
一瞬にして部屋の様子が変わる。
真っ白な世界にたくさんの立体的な文字や風景の小窓のような映像が浮かぶ。
文字の映像は古代人の丸文字から始めり、日本語や英語、さらに見知らぬ文字たちが浮かんでいる。
その文字たちや映像の小窓に囲まれた中心に、人間族にそっくりな三人の姿があった。
一人は、白衣に黄金の蛇のような模様をあしらった衣服を纏う白髪の年老いた男性。
服装から医者か研究者のように見える。
体は痩せ型で、顔には賢者と称されても遜色のない、知識と経験の深さを表す皺が年輪の如く刻まれている。
彼から醸し出される雰囲気は自信と……傲慢。
全ての存在を見下すかのような鋭い暗緑色と薄茶が混じり合う、榛色の瞳を光らせる。
もう一人は堀が深く逞しい肉体を持つ青年。
金の髪を主体に茶髪と黒髪が入り混じっている。
彼は青いぴっちりとしたスーツに身を包み、コバルトブルーの瞳を持っていた。
服装からどんな役職なのか想像もつかない。
最後の一人は、二十代前半ほどの女性。
とても端正な顔立ちで切れ長の瞳を持つ、ぞっとするほどの美人だ。
彼女はショートカットの黒髪で、緑色のぴっちりしたスーツの上に、老人と同じ黄金の蛇模様をあしらった白衣をコートのように着ている。
その出で立ちから、彼女も老人と同じ研究者のようにも感じるが、全身から溢れ出す気配は別物。
ただの映像であっても、熟練の戦士たる気配に満ち溢れている。
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その中で私は、ショートヘアの黒髪の女性の容姿。その瞳の色に目を奪われていた。
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