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第二十二章 銀眼は彼に応え扉を開く
きっかけを求めて
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――トーワ城
奇跡の大地騒動はフィナの実験によるものとし、結局は失敗に終わったする。
それでも一部の範囲は浄化することができ、そこに小さな畑を作ることができたとして噂を広めた。
これで何とかヴァンナスとアグリスの目を誤魔化せたことを祈るばかりだ。
もし、誤魔化せなかったら……今のところ、何の策も浮かばない。特にヴァンナスに対しては……。
悟られれば、正直に遺跡の発掘を行ったと報告することになるだろう。
その時は協力者として、是が非でも探索チームにフィナを入れてもらえるように頼むつもりだ。
現在、彼女以上にトーワの遺跡に詳しい者はいない。ヴァンナスも難色を示すことはないはず。
だが最後には、アーガメイト一族の中でも王家寄りの者たちが彼女を排除しようとする。
悩ましいところだが、その時が来ないとどうなるかわからない。
今は予想される出来事をいくつも描きシミュレートするのが精一杯だ。
そのシミュレートの中にフィナが恐ろしく不穏なものを混ぜ込む。
『ヴァンナスが私から遺跡を奪うつもりなら、テイローの名で実践派を集めて戦争でも何でもやってやる!』と。
そのようなことにならぬよう、色々と方策を考えておかねば……ああ、胃が痛い。
さて、それら寿命を縮めかねない悩みはひとまず脇に置くとして、浄化機構とは別の遺跡の力。転送装置について話そう。
父の手によって遺跡の転送装置は、トーワ・アルリナ・トロッカー・マッキンドー・アグリスへと繋がった。
転送されるポイントは目立たぬ場所に設定されており、さらに訪れた先には転送装置が存在する。
これは遺跡に存在する一つの転送装置の次元を揺らし、複数に分化しているらしい。
技術の具体的な内容ついては、私ではわからない。
だがこれにより、私たちは遺跡を含めた主だった場所へ自在に行き来できるようになった。
トーワの転送ポイントはトーワ城二階の使用されていない部屋。
この部屋で起動用の指輪を使うと遺跡に繋がる転送装置が現れる仕組みとなっている。
指輪はマスティフ・マフィンを含めたトーワの主要メンバー全員に渡してあるが、頻繁に使用すれば誰かの目につく可能性が高まるので使用は必要最低限に留めるつもりだ。
――トーワ・執務室
「はぁ」
話は変わり、いま私は一人執務室で、別世界の二人のフィナと父から受け取った言葉について考えていた。
それは、仲間に自分の正体を明かすこと。
彼らの言葉の中で、父のアドバイス――イラと相談しろ。
彼女は虚ろな私という存在を確固として築き上げる人物を知っているらしい。
その方を紹介してもらうために、しばらくの間一人で城を離れることに決めた。
また、ゴリンはノイファンとの契約が終わり、彼や大工たちの直接雇用が可能になった。
そこで信頼できる彼にも私たちが得た情報を共有してもらおうと考えた。
さらには、キサやグーフィスにも……グーフィスは多少不安だが、フィナが強く秘密を守れと言えば彼は墓の下まで秘密を持っていくことだろう。
執務室にギウ・エクア・フィナ・親父・カイン・ゴリン・キサ・グーフィスに集まってもらい、ゴリンたちへ私たちが行っている遺跡発掘について伝える。
三人は驚きと好奇心に体をソワソワしたり言葉を弾いたりしている。
彼らを遺跡に案内する役目はフィナたちに任せて、私はしばしトーワを留守にすると皆に伝えた。
「私個人の問題で、しばらく城を留守にする。フィナ、領主代行を頼む」
「わ、私が!? 親父やカインの方がよくない?」
「私がいない間に不測の事態が発生した場合、最も対処の幅が広いのは君だ。だから、君に預けたい。ただし、親父たちの意見にしっかり耳を傾けてくれよ」
「はぁ、御守役付きの領主代行ってわけね。微妙に納得できないけど、わかった。それで、あんたはどこに何しに行くの?」
「私用だ。内容は帰ってきてから話す。その時は、全てを話すことができればいいのだが……」
父でさえ、私に自信を与えることはできなかった。いくら父の紹介とはいえ、イラに相談し、彼女から紹介されるであろう人物に私の心は開けるのだろうか?
だが、いつまでもこれを先延ばしにしていても仕方がない。
いずれは皆に話したいという気持ちは確かに存在する。
謎の人物にはあまり期待しないが、これがきっかけとなり、皆に話せる勇気を持てることを切に願う。
皆は言葉重く呟いた私に声を掛けづらいようで、戸惑った様子を見せている。
「すまない、みんな。これはあくまで私個人の問題で、トーワに何かあるわけではない。だから、あまり気にしないでくれ」
そう、言葉を伝えた。
すると、全員が互いに視線を交わし合い、エクアがとても優し気な声を漏らす。
「トーワの心配をしているわけじゃありませんよ。皆さん、ケント様を心配しているんです」
「え?」
「何か事情がおありなんでしょうけど、本当に困っているようでしたら私たちに相談してくださいね。精一杯、お助けしますから」
エクアは右手を胸に当てて、私を見つめる。
後ろに佇む仲間たちも同様に、私を暖かな瞳で見ていた。
「みんな、ありがとう。私は良き友人に恵まれた」
だからこそ、伝えるべき――私の正体――でも、臆病な私にはきっかけが必要。
そのきっかけを求めて、トーワを一時離れる。
奇跡の大地騒動はフィナの実験によるものとし、結局は失敗に終わったする。
それでも一部の範囲は浄化することができ、そこに小さな畑を作ることができたとして噂を広めた。
これで何とかヴァンナスとアグリスの目を誤魔化せたことを祈るばかりだ。
もし、誤魔化せなかったら……今のところ、何の策も浮かばない。特にヴァンナスに対しては……。
悟られれば、正直に遺跡の発掘を行ったと報告することになるだろう。
その時は協力者として、是が非でも探索チームにフィナを入れてもらえるように頼むつもりだ。
現在、彼女以上にトーワの遺跡に詳しい者はいない。ヴァンナスも難色を示すことはないはず。
だが最後には、アーガメイト一族の中でも王家寄りの者たちが彼女を排除しようとする。
悩ましいところだが、その時が来ないとどうなるかわからない。
今は予想される出来事をいくつも描きシミュレートするのが精一杯だ。
そのシミュレートの中にフィナが恐ろしく不穏なものを混ぜ込む。
『ヴァンナスが私から遺跡を奪うつもりなら、テイローの名で実践派を集めて戦争でも何でもやってやる!』と。
そのようなことにならぬよう、色々と方策を考えておかねば……ああ、胃が痛い。
さて、それら寿命を縮めかねない悩みはひとまず脇に置くとして、浄化機構とは別の遺跡の力。転送装置について話そう。
父の手によって遺跡の転送装置は、トーワ・アルリナ・トロッカー・マッキンドー・アグリスへと繋がった。
転送されるポイントは目立たぬ場所に設定されており、さらに訪れた先には転送装置が存在する。
これは遺跡に存在する一つの転送装置の次元を揺らし、複数に分化しているらしい。
技術の具体的な内容ついては、私ではわからない。
だがこれにより、私たちは遺跡を含めた主だった場所へ自在に行き来できるようになった。
トーワの転送ポイントはトーワ城二階の使用されていない部屋。
この部屋で起動用の指輪を使うと遺跡に繋がる転送装置が現れる仕組みとなっている。
指輪はマスティフ・マフィンを含めたトーワの主要メンバー全員に渡してあるが、頻繁に使用すれば誰かの目につく可能性が高まるので使用は必要最低限に留めるつもりだ。
――トーワ・執務室
「はぁ」
話は変わり、いま私は一人執務室で、別世界の二人のフィナと父から受け取った言葉について考えていた。
それは、仲間に自分の正体を明かすこと。
彼らの言葉の中で、父のアドバイス――イラと相談しろ。
彼女は虚ろな私という存在を確固として築き上げる人物を知っているらしい。
その方を紹介してもらうために、しばらくの間一人で城を離れることに決めた。
また、ゴリンはノイファンとの契約が終わり、彼や大工たちの直接雇用が可能になった。
そこで信頼できる彼にも私たちが得た情報を共有してもらおうと考えた。
さらには、キサやグーフィスにも……グーフィスは多少不安だが、フィナが強く秘密を守れと言えば彼は墓の下まで秘密を持っていくことだろう。
執務室にギウ・エクア・フィナ・親父・カイン・ゴリン・キサ・グーフィスに集まってもらい、ゴリンたちへ私たちが行っている遺跡発掘について伝える。
三人は驚きと好奇心に体をソワソワしたり言葉を弾いたりしている。
彼らを遺跡に案内する役目はフィナたちに任せて、私はしばしトーワを留守にすると皆に伝えた。
「私個人の問題で、しばらく城を留守にする。フィナ、領主代行を頼む」
「わ、私が!? 親父やカインの方がよくない?」
「私がいない間に不測の事態が発生した場合、最も対処の幅が広いのは君だ。だから、君に預けたい。ただし、親父たちの意見にしっかり耳を傾けてくれよ」
「はぁ、御守役付きの領主代行ってわけね。微妙に納得できないけど、わかった。それで、あんたはどこに何しに行くの?」
「私用だ。内容は帰ってきてから話す。その時は、全てを話すことができればいいのだが……」
父でさえ、私に自信を与えることはできなかった。いくら父の紹介とはいえ、イラに相談し、彼女から紹介されるであろう人物に私の心は開けるのだろうか?
だが、いつまでもこれを先延ばしにしていても仕方がない。
いずれは皆に話したいという気持ちは確かに存在する。
謎の人物にはあまり期待しないが、これがきっかけとなり、皆に話せる勇気を持てることを切に願う。
皆は言葉重く呟いた私に声を掛けづらいようで、戸惑った様子を見せている。
「すまない、みんな。これはあくまで私個人の問題で、トーワに何かあるわけではない。だから、あまり気にしないでくれ」
そう、言葉を伝えた。
すると、全員が互いに視線を交わし合い、エクアがとても優し気な声を漏らす。
「トーワの心配をしているわけじゃありませんよ。皆さん、ケント様を心配しているんです」
「え?」
「何か事情がおありなんでしょうけど、本当に困っているようでしたら私たちに相談してくださいね。精一杯、お助けしますから」
エクアは右手を胸に当てて、私を見つめる。
後ろに佇む仲間たちも同様に、私を暖かな瞳で見ていた。
「みんな、ありがとう。私は良き友人に恵まれた」
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そのきっかけを求めて、トーワを一時離れる。
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