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第二十二章 銀眼は彼に応え扉を開く
絶対の防衛、絶対の攻撃
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フィナはギウを援護すべく前へ出るが……。
「ギウ、私も!」
「おっと、そうはさせないよ」
サレートが邪魔に入る。彼は魔法の絵筆を指揮棒のように振るい、その動作に合わせて三人の元盗賊たちがフィナに襲い掛かってきた。
彼らもテロールと同様に空を爆ぜさせる拳を放ち、さらには魔法まで生む。
「がかごきがああぁぁ」
「うっそ、炎の魔法。そっちのは氷の! もう!」
フィナは試験管型属性爆弾を投げ、魔法を相殺。
爆炎と水蒸気が視界を隠す。その隙間から一本の腕が伸びてきた。
「くっ!」
彼女は鞭を使い、腕を叩き落として難を逃れた。
水と炎の煙幕が風に流れる……その先には、腕が鞭のようにしなり、足は鹿の如くスレンダーな姿となった三人の元盗賊たちがいた。
三人は身体を僅かに屈め、次の瞬間には姿を消して土埃のみを残し、高速でフィナの周りを囲うように飛び跳ね始めた。
囲いは徐々にフィナを追い詰めていく。
フィナは鞭を握り締めて、ギウに大声を張り上げた。
「ギウ! 本気出すよ!」
「ギウっ!」
フィナもまた、常人の瞳では捉えられない素早い動きで三人の元盗賊に対抗した。
三つの衝撃音が響き、元盗賊たちはサレートを目掛けて吹き飛んでいった。
しかし、サレートの筆から生まれた異形たちが肉の砲弾を弾き飛ばし彼を守る。
「チッ」
舌打ちを打つフィナ。
ギウはテロールを相手に組み手を交わし、十二の手足を相手に物ともせず、左の掌底をテロールの腹部にトンっと押し当てた。
すると一瞬の間を置き、テロールは大きく後方へ吹き飛ぶ。
テロールは足の爪先を地面に突き立てて大地に線を残し倒れることを拒否するが、胴体に生えた五つの頭からは黄色の反吐を漏らしている。
二人の本気に私の出る幕はない。
「さすがだな。以前、魔族を相手にしたときよりも切れが増してないか?」
「ふふん、まぁねっ、成長期だし」
「ぎうぎうっ」
「どうやら、私は手持ち無沙汰になりそうだな。さて、サレート。君の手札ではこちらの手札を破ることはできん。最終通告だ、諦めて降伏しろ」
と、私は銃を彼に突きつけて、降伏を促した。
しかし彼は……。
「くくくく、ふふふふ、あははははははは! 降伏!? 僕が!? ケント様はジョークがお上手だ。そして、この程度で勝利を確信しているなんて、なんて甘いお方だ!」
「なに?」
「ペンゲージ!」
彼が奇妙な言葉を叫ぶと、ギウの周囲に鳥籠の形をした結界らしきものが生まれた。
ギウはすぐさま銛でそれを打ち破ろうとしたが――フィナが叫ぶ!
「だめ、ギウ!」
しかし、彼女の声は一歩遅く、ギウは銛で結界を鋭く穿った。
その途端、結界を穿った衝撃がギウへ跳ね返り、彼は結界内で何度も体を打ちつける。
「ぎうぅぅぅうううぅううう!」
叩きつけられた衝撃により、ギウの全身から血が流れ落ちる。
「ギウ!? フィナ、これはっ?」
「反射結界! 錬金術で生み出された結界石に、力の流れを操作する効果を付加して生み出すもの。見た感じ、内部の力を全て相手に反射させるみたい。外部から相当な衝撃を当てるか、どこかに隠れてる結界石を無効化しないとどうにもできない」
「それではギウはっ?」
私は言葉に危地の思いを宿す――最強の戦士を封じられた。
「これは……」
「くくくく、ははははは。ケント様~、ここは僕の庭だよ。あらゆることを想定して、あらかじめ罠を仕掛けてあるに決まっているじゃないか。そんなことも考えずに真正面から飛び込んでくるなんて。ま、何をしようと僕の勝利は揺るがないけどね。さてと」
サレートは魔法の絵筆を軽く前に振り、テロールを中心に指示を与え、元盗賊たちがフィナとの距離を詰め始める。
そのフィナは。
「上等! やってやろうじゃん! てめぇらをぶっ飛ばして、ギウを助け出して、サレート! あんたをぶっ殺してやる!」
フィナはいつも愛用しているポシェットを上に放り投げる。
頂点でポシェットは逆さまになり、そこから様々な錬金の道具と思わしきものが降り注ぎ、彼女を囲んだ。
道具は全て攻撃的な魔力が封じ込められた、宝石やナイフや珠などだ。
さらに、赤のコートをばさりと脱ぎ、それを手に持ち振るう。
「絶対防衛陣&攻撃陣。実践派が誇る、最強の防御布と攻撃具。てめぇら如きに乗り越えられると思ってんの!?」
この彼女の変わりようと、数多の道具類にサレートは目を大きく見開いた。
「これは驚いた! そこにある道具類は全て、実践派では最高クラスの攻撃具。さらに織物を意味する陣と陣形を意味する陣。二つの意味を宿す絶対防衛陣を持つとは、君は一体?」
「冥途の土産に教えてやる! 私の名はフィナ=ス=テイロー。テイローの一族の長よ!!」
「っ!? まさかまさかまさかまさかのっ! あのテイローだって!! ファロム様はいつ引退に?」
「一年前に椅子を奪ってやった!」
「そうなんだぁ。いや、実践派は長の継承を広めるような真似をしないから知らなかったよ」
「フンッ、名は自分で広めるものだからね」
「いや~、素晴らしい考え方だ。先代の威光を使い名を広めるのではなく、己の力で広める。本当に素晴らしい。さらに素晴らしいのはっ、そのテイローの長の才を、僕の才が、今日越えていくということだ!」
「はっ、寝言は寝ていいな」
「ふふふふふ、ああ、たしかに寝物語のような夢のような話だぁ。アステ=ゼ=アーガメイトはもう届かない。跡継ぎだと期待された男は才の欠片もない。でも、君は違うんだろう。フィナ、ス、ていろぉぉぉぉおお!」
サレートの叫び声に合わせて、テロールと他の元盗賊が強襲を仕掛けてきた。
フィナはスッと息を吸い込み、試験管型属性爆弾を前に放つ。
同時に足を使い、地面に突き刺した錬金の道具を蹴り上げて、彼らに放った。
多くの元盗賊たちをそれにより後方へ吹き飛ばせた。だが、テロールだけは全く動じずフィナへ突貫してくる。
「ああ、うううう、ええええああぁぁぁああぁ!」
「こいつっ! ぶっ飛べ!」
鞭を振るい、穂先の黄金石をテロールの腹部にぶつけた。
しかし、テロールは腹部の肉を削り取られても、動きを止めるどころかさらに足の速度を増してフィナへ指先を向ける。
七本の指には毒々しく鋭い爪が生えており、フィナの体を引き裂かんとした。
「きっきききっきいい!」
「チッ、鬱陶しい! 絶対防衛陣!」
赤いコートをテロールへ投げつける。
すると、コートはばさりと大きく広がり、テロールを包み込んだ。
そこにありったけの攻撃具をぶつける。
「消えろっ」
煌びやかな宝石は火炎を巻き上げ、ガラスのような透明なナイフは冷気を纏い、美しい輝きを放つ珠は雷を帯びて、コートに拘束されたテロールへ容赦なく襲い掛かった。
灼熱が肉を焼き、氷の刃が全身を突き刺し、雷鳴が臓腑を蹂躙する。
それだけの攻撃に巻き込まれても傷一つない赤のコートを、フィナは指先で呼ぶ。
コートは風に舞い、フィナのもとへと帰った。
衣を失い、露わとなったテロールはもはや原型もなく、黒に焦げた肉の棒であった。
人の焼き焦げる匂いが辺りを満たす。
フィナは軽く鼻を拭う仕草を見せて、片手を腰に当てた。
「あんたの切り札もこの通りよ。人の命を弄びやがってっ、覚悟はできてんでしょうね!」
彼女の言葉はサレートの耳に吸い込まれる。言葉の一つ一つに棘のついた声。
それは耳を痛みに突き刺し、届いた心に恐怖を伝えるもののはず。
しかし、サレートは笑う。
「あははははは、さすがはテイロー。そこのアーガメイトもどきと違い、価値ある存在。君を殺せば、僕の価値はテイローを超える」
「あんた、まだ勝つ気でいるの?」
「勝つ? いや、勝ち負けが問題じゃないな。君にも僕の芸術の素晴らしさを知ってもらわないと」
「はあ?」
「そうだなぁ。君もまた、身体を美しく変えて、テロールのようになろう。そうだ、二人は素晴らしい姉妹になる。安心してくれ、君の肉体には仲間たちをつけてあげるから」
「こ、こいつ、本気で狂ってる。今すぐ、ぶっ殺す!」
フィナは強く鞭を握り締めた。
その時、エクアが叫ぶ!
「フィナさん、まだです! 治癒の力を感じます!!」
「ギウ、私も!」
「おっと、そうはさせないよ」
サレートが邪魔に入る。彼は魔法の絵筆を指揮棒のように振るい、その動作に合わせて三人の元盗賊たちがフィナに襲い掛かってきた。
彼らもテロールと同様に空を爆ぜさせる拳を放ち、さらには魔法まで生む。
「がかごきがああぁぁ」
「うっそ、炎の魔法。そっちのは氷の! もう!」
フィナは試験管型属性爆弾を投げ、魔法を相殺。
爆炎と水蒸気が視界を隠す。その隙間から一本の腕が伸びてきた。
「くっ!」
彼女は鞭を使い、腕を叩き落として難を逃れた。
水と炎の煙幕が風に流れる……その先には、腕が鞭のようにしなり、足は鹿の如くスレンダーな姿となった三人の元盗賊たちがいた。
三人は身体を僅かに屈め、次の瞬間には姿を消して土埃のみを残し、高速でフィナの周りを囲うように飛び跳ね始めた。
囲いは徐々にフィナを追い詰めていく。
フィナは鞭を握り締めて、ギウに大声を張り上げた。
「ギウ! 本気出すよ!」
「ギウっ!」
フィナもまた、常人の瞳では捉えられない素早い動きで三人の元盗賊に対抗した。
三つの衝撃音が響き、元盗賊たちはサレートを目掛けて吹き飛んでいった。
しかし、サレートの筆から生まれた異形たちが肉の砲弾を弾き飛ばし彼を守る。
「チッ」
舌打ちを打つフィナ。
ギウはテロールを相手に組み手を交わし、十二の手足を相手に物ともせず、左の掌底をテロールの腹部にトンっと押し当てた。
すると一瞬の間を置き、テロールは大きく後方へ吹き飛ぶ。
テロールは足の爪先を地面に突き立てて大地に線を残し倒れることを拒否するが、胴体に生えた五つの頭からは黄色の反吐を漏らしている。
二人の本気に私の出る幕はない。
「さすがだな。以前、魔族を相手にしたときよりも切れが増してないか?」
「ふふん、まぁねっ、成長期だし」
「ぎうぎうっ」
「どうやら、私は手持ち無沙汰になりそうだな。さて、サレート。君の手札ではこちらの手札を破ることはできん。最終通告だ、諦めて降伏しろ」
と、私は銃を彼に突きつけて、降伏を促した。
しかし彼は……。
「くくくく、ふふふふ、あははははははは! 降伏!? 僕が!? ケント様はジョークがお上手だ。そして、この程度で勝利を確信しているなんて、なんて甘いお方だ!」
「なに?」
「ペンゲージ!」
彼が奇妙な言葉を叫ぶと、ギウの周囲に鳥籠の形をした結界らしきものが生まれた。
ギウはすぐさま銛でそれを打ち破ろうとしたが――フィナが叫ぶ!
「だめ、ギウ!」
しかし、彼女の声は一歩遅く、ギウは銛で結界を鋭く穿った。
その途端、結界を穿った衝撃がギウへ跳ね返り、彼は結界内で何度も体を打ちつける。
「ぎうぅぅぅうううぅううう!」
叩きつけられた衝撃により、ギウの全身から血が流れ落ちる。
「ギウ!? フィナ、これはっ?」
「反射結界! 錬金術で生み出された結界石に、力の流れを操作する効果を付加して生み出すもの。見た感じ、内部の力を全て相手に反射させるみたい。外部から相当な衝撃を当てるか、どこかに隠れてる結界石を無効化しないとどうにもできない」
「それではギウはっ?」
私は言葉に危地の思いを宿す――最強の戦士を封じられた。
「これは……」
「くくくく、ははははは。ケント様~、ここは僕の庭だよ。あらゆることを想定して、あらかじめ罠を仕掛けてあるに決まっているじゃないか。そんなことも考えずに真正面から飛び込んでくるなんて。ま、何をしようと僕の勝利は揺るがないけどね。さてと」
サレートは魔法の絵筆を軽く前に振り、テロールを中心に指示を与え、元盗賊たちがフィナとの距離を詰め始める。
そのフィナは。
「上等! やってやろうじゃん! てめぇらをぶっ飛ばして、ギウを助け出して、サレート! あんたをぶっ殺してやる!」
フィナはいつも愛用しているポシェットを上に放り投げる。
頂点でポシェットは逆さまになり、そこから様々な錬金の道具と思わしきものが降り注ぎ、彼女を囲んだ。
道具は全て攻撃的な魔力が封じ込められた、宝石やナイフや珠などだ。
さらに、赤のコートをばさりと脱ぎ、それを手に持ち振るう。
「絶対防衛陣&攻撃陣。実践派が誇る、最強の防御布と攻撃具。てめぇら如きに乗り越えられると思ってんの!?」
この彼女の変わりようと、数多の道具類にサレートは目を大きく見開いた。
「これは驚いた! そこにある道具類は全て、実践派では最高クラスの攻撃具。さらに織物を意味する陣と陣形を意味する陣。二つの意味を宿す絶対防衛陣を持つとは、君は一体?」
「冥途の土産に教えてやる! 私の名はフィナ=ス=テイロー。テイローの一族の長よ!!」
「っ!? まさかまさかまさかまさかのっ! あのテイローだって!! ファロム様はいつ引退に?」
「一年前に椅子を奪ってやった!」
「そうなんだぁ。いや、実践派は長の継承を広めるような真似をしないから知らなかったよ」
「フンッ、名は自分で広めるものだからね」
「いや~、素晴らしい考え方だ。先代の威光を使い名を広めるのではなく、己の力で広める。本当に素晴らしい。さらに素晴らしいのはっ、そのテイローの長の才を、僕の才が、今日越えていくということだ!」
「はっ、寝言は寝ていいな」
「ふふふふふ、ああ、たしかに寝物語のような夢のような話だぁ。アステ=ゼ=アーガメイトはもう届かない。跡継ぎだと期待された男は才の欠片もない。でも、君は違うんだろう。フィナ、ス、ていろぉぉぉぉおお!」
サレートの叫び声に合わせて、テロールと他の元盗賊が強襲を仕掛けてきた。
フィナはスッと息を吸い込み、試験管型属性爆弾を前に放つ。
同時に足を使い、地面に突き刺した錬金の道具を蹴り上げて、彼らに放った。
多くの元盗賊たちをそれにより後方へ吹き飛ばせた。だが、テロールだけは全く動じずフィナへ突貫してくる。
「ああ、うううう、ええええああぁぁぁああぁ!」
「こいつっ! ぶっ飛べ!」
鞭を振るい、穂先の黄金石をテロールの腹部にぶつけた。
しかし、テロールは腹部の肉を削り取られても、動きを止めるどころかさらに足の速度を増してフィナへ指先を向ける。
七本の指には毒々しく鋭い爪が生えており、フィナの体を引き裂かんとした。
「きっきききっきいい!」
「チッ、鬱陶しい! 絶対防衛陣!」
赤いコートをテロールへ投げつける。
すると、コートはばさりと大きく広がり、テロールを包み込んだ。
そこにありったけの攻撃具をぶつける。
「消えろっ」
煌びやかな宝石は火炎を巻き上げ、ガラスのような透明なナイフは冷気を纏い、美しい輝きを放つ珠は雷を帯びて、コートに拘束されたテロールへ容赦なく襲い掛かった。
灼熱が肉を焼き、氷の刃が全身を突き刺し、雷鳴が臓腑を蹂躙する。
それだけの攻撃に巻き込まれても傷一つない赤のコートを、フィナは指先で呼ぶ。
コートは風に舞い、フィナのもとへと帰った。
衣を失い、露わとなったテロールはもはや原型もなく、黒に焦げた肉の棒であった。
人の焼き焦げる匂いが辺りを満たす。
フィナは軽く鼻を拭う仕草を見せて、片手を腰に当てた。
「あんたの切り札もこの通りよ。人の命を弄びやがってっ、覚悟はできてんでしょうね!」
彼女の言葉はサレートの耳に吸い込まれる。言葉の一つ一つに棘のついた声。
それは耳を痛みに突き刺し、届いた心に恐怖を伝えるもののはず。
しかし、サレートは笑う。
「あははははは、さすがはテイロー。そこのアーガメイトもどきと違い、価値ある存在。君を殺せば、僕の価値はテイローを超える」
「あんた、まだ勝つ気でいるの?」
「勝つ? いや、勝ち負けが問題じゃないな。君にも僕の芸術の素晴らしさを知ってもらわないと」
「はあ?」
「そうだなぁ。君もまた、身体を美しく変えて、テロールのようになろう。そうだ、二人は素晴らしい姉妹になる。安心してくれ、君の肉体には仲間たちをつけてあげるから」
「こ、こいつ、本気で狂ってる。今すぐ、ぶっ殺す!」
フィナは強く鞭を握り締めた。
その時、エクアが叫ぶ!
「フィナさん、まだです! 治癒の力を感じます!!」
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