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第二十四章 絶望と失意の花束を
フィナ、ちょっとお暇を
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――古代遺跡
フィナは古代人と思われる男性を安全に拘束しつつ、自分たちに危険が及んだ場合、即座に対応できる方法を模索していた。
彼女はアーガメイトの書斎を模した部屋にある執務机に座り、空中に浮かぶ数十のモニターに囲まれ瞳を忙しなく動かしている。
その瞳が、とあるモニターに止まる。
画面に映る内容を見つめ、フィナは口元に手を当てて含み笑いを漏らした。
「え、なにこれ? おもしろ~い。よし、ちょっとデータを集めてからみんなの前でお披露目ねっ。んで、ケントで遊んでやろっと。ぷくく」
――トーワ城・執務室/ケント
私が黙々と事務処理をこなしているとノックと声が響く。
声の主はエクアのようだ。
彼女に部屋へ入るように促すと、エクアの後ろに親父の姿もあった。
二人は少し焦りの色を見せて一枚の紙きれを見せてきた。
「ケント様、大変です。これを見てください、フィナさんがっ」
「旦那、フィナの嬢ちゃんが勝手にっ」
「どうしたんだ、二人とも?」
私は二人が差し出してきた紙切れに首を伸ばす。そこには……
――しばらく留守にします。フィナ=ス=テイロー――
「なんだ? この、実家に帰らせていただきます的な書き置きは?」
「それが、私たちが目を離した隙にフィナさんがいなくなっちゃいまして」
「どうやら、遺跡にある転送装置を使ってどっかに行っちまったようで」
「はぁ、勝手な部分は治らないな。まぁ、彼女なら心配はないだろうが……一応、アルリナ・マッキンドー・トロッカーにフィナを見かけたら連絡を寄こすように伝えててくれるか?」
そう伝えて、十日が経った。
その間、半島中でフィナの姿を見たという報告が入り、さらに大陸側と交流のあるマスティフからは、大陸側でうろちょろしている赤のコートの旅の錬金術士の報告まで入ってきた。
その報告によると、魔族たちを相手に暴れまくっていたそうだが……一体何をやっているんだろうか?
さらに五日経ち、季節が秋の寒さから冬の寒さへ突入した頃にフィナがトーワに戻ってきた。
すぐさま彼女にどこへ行っていたのかと尋ねたが、彼女は答えを返さず、メンバーを遺跡に集めろと言う。
彼女が発する言葉には妙に高揚した様子が見受けられる。
とりあえず、彼女の指示に従い、遺跡に訪れることを嫌がるギウ以外のメンバーを遺跡の書斎――父の書斎を模した部屋に集合させた。
メンバーは、私・エクア・親父・カイン・ゴリン・キサ・グーフィス・マフィン・マスティフと、フィナだ。
部屋は人数の多さに合わせて、少しばかり拡張され、家具類は消えていた。
執務机のみがポツンとある部屋で、フィナはノートサイズの黒いガラス片を脇に浮かべ、揚々と声を出す。
「はい、皆さまに集まってもらったのは他でもありませんっ。ちょっとした面白いものを見つけたから一緒に楽しんでもらおうと思い集まってもらいましたぁ~! はい、はくしゅ~」
なんとなく皆はまばらな拍手を送る。
この異様なまでのハイテンション――不安しかない。
「フィナ、今まで何をしていた? それと、何をするつもりだ? そのガラス片は?」
「ふふ~ん、面白いものを見つけてね。では早速だけどっ、このガラス片、なんとっ、強さを計測する装置で~す!」
フィナはこれでもかと手を振ってガラス片を紹介するが、皆はポカンとした表情を向けるだけ。
その姿たちに大層不満を抱いたようで、フィナはぷくっと頬を膨らませる。
「ちょっと、何よ! その反応っ?」
「いや、急に強さを計測できる装置と言われてもな。具体的にはどういう代物なんだ?」
「これはね、計測対象の体力やら筋力やら魔力やらを計測して、その総合値を導き出すもの。基準は人間族の二十代男性を100と置いたものした。これは、半島と大陸を駆け回ってしっかりデータ取りしたからかなり正確よ」
「人の強さが数値化できるわけか。なかなか面白そうだが、それだけのために半月も留守にしていたのか?」
「まさかっ、それだけのわけないじゃん。遺跡を調査して、これに付随する色んなことがわかったのよ。それらはとっておきにして、今は私たちのことを。では、前置きなく、事前に調査した私たちと関係の深い人たちの数値をどうぞ~」
キサの父――123・キサの母――144
ノイファン――172・大剣を持つ戦士――982
小柄な戦士――698・無骨そうな戦士――433
カオマニー――4443・弓を背負ったキャビット――2553
スコティ――8742・宗教騎士団団長――3072
フィコン――3572・エムト=リシタ――55834
イラ――計測不能
ガラス片に浮かび上がる名前と数値。
その中でまず、スカルペル語で表示された名前について尋ねる。
「フィナ、ガラス片にスカルペル語で名前が表示されているが、まさか翻訳装置が直ったのか?」
「ううん、残念だけど直ってないよ。これは計測した数値と名前を紙に書いて、このガラス片に映してるだけ」
「紙を読み取って表示しているだけということか。それともう一つ疑問があるんだが、大剣を持つ戦士とは誰のことだ?」
「え? ノイファンお抱えの剣士のことだけど」
「ああ~、いたな。そういえば」
アルリナの夜。
暴れるムキを押さえつける大剣を背負った剣士がいた。
「彼のことか。彼の数値は982……並みの者よりも十倍近く強いのか」
「数値が十倍だからって十人相手に戦えるわけじゃないけどね。あくまでも、目安。フィコンの数字に注目してみて」
フィコン――3572
「数字のままだと成人男性三十六人分くらいの強さになるけど、実際の彼女の腕力や体力は普通の少女と変わらない」
「それでは、何が基でこのような桁違いの数字を?」
「たぶん、内包される魔力。教会関係者だから神力かな。それに反応したんだと思う」
「なるほど。エムト殿の場合は見たままの数字と受け取ってもよさそうだな。彼なら百人力とも千人力ともなろう……イラの計測不能とは? まさか、数字が足りないくらいに強いと?」
「んにゃ、違う。単純に装置が反応しなかった」
彼女はガラス片の隣に三角錐のクリスタルを浮かべる。
「このクリスタルとガラス片を共鳴させて計測するんだけど、イラの場合、装置が力を読み取れないのよ。たぶん、私たちとかなり異なる存在で、力の性質そのものが違うのかも」
「そういうことか。容姿や雰囲気も神秘的であるが、内包される力もまた神秘というわけだな」
「装置じゃわからないけど私個人の感覚的では軽く一万は超えてそうだけどね~。で、次は私とギウとレイと魔族ね」
「ギウにレイ? それに魔族だと?」
「ギウは遺跡に来ることを嫌がってるでしょ。だから、事前に。レイはたまたまヴァンナスに帰る前のアルリナの港で会えたからついでに。そして、魔族のデータも欲しかったから、ちょっと大陸側まで遠征してきた」
ここでマスティフが声を挟む。
「たしか、トロッカーの者が大陸側でフィナ殿を見かけていたな。しかも、魔族相手に暴れまわっていたと。そういうことだったのか」
「ぬふふ、そういうこと」
「あまり関心せんの。フィナ殿が強者であっても相手は魔族。さらに最近は彼奴らの様子が違うと来ている。危険であろうに」
「ちゃ~んとそこは十分に距離をとって計測したから大丈夫だって。それでも捕捉されて、何戦かやらかしちゃったけど。とにかく無事だったんで、それはそれとして、私たちの数値をどうぞ~」
フィナは古代人と思われる男性を安全に拘束しつつ、自分たちに危険が及んだ場合、即座に対応できる方法を模索していた。
彼女はアーガメイトの書斎を模した部屋にある執務机に座り、空中に浮かぶ数十のモニターに囲まれ瞳を忙しなく動かしている。
その瞳が、とあるモニターに止まる。
画面に映る内容を見つめ、フィナは口元に手を当てて含み笑いを漏らした。
「え、なにこれ? おもしろ~い。よし、ちょっとデータを集めてからみんなの前でお披露目ねっ。んで、ケントで遊んでやろっと。ぷくく」
――トーワ城・執務室/ケント
私が黙々と事務処理をこなしているとノックと声が響く。
声の主はエクアのようだ。
彼女に部屋へ入るように促すと、エクアの後ろに親父の姿もあった。
二人は少し焦りの色を見せて一枚の紙きれを見せてきた。
「ケント様、大変です。これを見てください、フィナさんがっ」
「旦那、フィナの嬢ちゃんが勝手にっ」
「どうしたんだ、二人とも?」
私は二人が差し出してきた紙切れに首を伸ばす。そこには……
――しばらく留守にします。フィナ=ス=テイロー――
「なんだ? この、実家に帰らせていただきます的な書き置きは?」
「それが、私たちが目を離した隙にフィナさんがいなくなっちゃいまして」
「どうやら、遺跡にある転送装置を使ってどっかに行っちまったようで」
「はぁ、勝手な部分は治らないな。まぁ、彼女なら心配はないだろうが……一応、アルリナ・マッキンドー・トロッカーにフィナを見かけたら連絡を寄こすように伝えててくれるか?」
そう伝えて、十日が経った。
その間、半島中でフィナの姿を見たという報告が入り、さらに大陸側と交流のあるマスティフからは、大陸側でうろちょろしている赤のコートの旅の錬金術士の報告まで入ってきた。
その報告によると、魔族たちを相手に暴れまくっていたそうだが……一体何をやっているんだろうか?
さらに五日経ち、季節が秋の寒さから冬の寒さへ突入した頃にフィナがトーワに戻ってきた。
すぐさま彼女にどこへ行っていたのかと尋ねたが、彼女は答えを返さず、メンバーを遺跡に集めろと言う。
彼女が発する言葉には妙に高揚した様子が見受けられる。
とりあえず、彼女の指示に従い、遺跡に訪れることを嫌がるギウ以外のメンバーを遺跡の書斎――父の書斎を模した部屋に集合させた。
メンバーは、私・エクア・親父・カイン・ゴリン・キサ・グーフィス・マフィン・マスティフと、フィナだ。
部屋は人数の多さに合わせて、少しばかり拡張され、家具類は消えていた。
執務机のみがポツンとある部屋で、フィナはノートサイズの黒いガラス片を脇に浮かべ、揚々と声を出す。
「はい、皆さまに集まってもらったのは他でもありませんっ。ちょっとした面白いものを見つけたから一緒に楽しんでもらおうと思い集まってもらいましたぁ~! はい、はくしゅ~」
なんとなく皆はまばらな拍手を送る。
この異様なまでのハイテンション――不安しかない。
「フィナ、今まで何をしていた? それと、何をするつもりだ? そのガラス片は?」
「ふふ~ん、面白いものを見つけてね。では早速だけどっ、このガラス片、なんとっ、強さを計測する装置で~す!」
フィナはこれでもかと手を振ってガラス片を紹介するが、皆はポカンとした表情を向けるだけ。
その姿たちに大層不満を抱いたようで、フィナはぷくっと頬を膨らませる。
「ちょっと、何よ! その反応っ?」
「いや、急に強さを計測できる装置と言われてもな。具体的にはどういう代物なんだ?」
「これはね、計測対象の体力やら筋力やら魔力やらを計測して、その総合値を導き出すもの。基準は人間族の二十代男性を100と置いたものした。これは、半島と大陸を駆け回ってしっかりデータ取りしたからかなり正確よ」
「人の強さが数値化できるわけか。なかなか面白そうだが、それだけのために半月も留守にしていたのか?」
「まさかっ、それだけのわけないじゃん。遺跡を調査して、これに付随する色んなことがわかったのよ。それらはとっておきにして、今は私たちのことを。では、前置きなく、事前に調査した私たちと関係の深い人たちの数値をどうぞ~」
キサの父――123・キサの母――144
ノイファン――172・大剣を持つ戦士――982
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「ううん、残念だけど直ってないよ。これは計測した数値と名前を紙に書いて、このガラス片に映してるだけ」
「紙を読み取って表示しているだけということか。それともう一つ疑問があるんだが、大剣を持つ戦士とは誰のことだ?」
「え? ノイファンお抱えの剣士のことだけど」
「ああ~、いたな。そういえば」
アルリナの夜。
暴れるムキを押さえつける大剣を背負った剣士がいた。
「彼のことか。彼の数値は982……並みの者よりも十倍近く強いのか」
「数値が十倍だからって十人相手に戦えるわけじゃないけどね。あくまでも、目安。フィコンの数字に注目してみて」
フィコン――3572
「数字のままだと成人男性三十六人分くらいの強さになるけど、実際の彼女の腕力や体力は普通の少女と変わらない」
「それでは、何が基でこのような桁違いの数字を?」
「たぶん、内包される魔力。教会関係者だから神力かな。それに反応したんだと思う」
「なるほど。エムト殿の場合は見たままの数字と受け取ってもよさそうだな。彼なら百人力とも千人力ともなろう……イラの計測不能とは? まさか、数字が足りないくらいに強いと?」
「んにゃ、違う。単純に装置が反応しなかった」
彼女はガラス片の隣に三角錐のクリスタルを浮かべる。
「このクリスタルとガラス片を共鳴させて計測するんだけど、イラの場合、装置が力を読み取れないのよ。たぶん、私たちとかなり異なる存在で、力の性質そのものが違うのかも」
「そういうことか。容姿や雰囲気も神秘的であるが、内包される力もまた神秘というわけだな」
「装置じゃわからないけど私個人の感覚的では軽く一万は超えてそうだけどね~。で、次は私とギウとレイと魔族ね」
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ここでマスティフが声を挟む。
「たしか、トロッカーの者が大陸側でフィナ殿を見かけていたな。しかも、魔族相手に暴れまわっていたと。そういうことだったのか」
「ぬふふ、そういうこと」
「あまり関心せんの。フィナ殿が強者であっても相手は魔族。さらに最近は彼奴らの様子が違うと来ている。危険であろうに」
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