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第二十七章 情熱は世界を鳴動させ、献身は安定へ導く
戦いへの準備
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――突入日・早朝
古代遺跡の一室に再現される父の書斎。
ここに、私、トーワの領主ケント=ハドリー。
古代人百合の肉体変異によって生まれたギウ。
カリスであり、胡散臭い土産屋の親父ことオゼックス。
癒しの力を宿す画家と医者の卵・エクア=ノバルティ。
トーワ専属の医師・カイン=キシロ。
実践派の長にしてテイロー一族の長・フィナ=ス=テイロー。
ワントワーフ族の長・マスティフ=アルペー。
キャビット族の長・マフィン=ラガー。
以上、八名が集う。
この八名でこれから転送装置を使い、王都オバディアへ向かう。
そこで行われている、地球人の命を弄ぶ研究を止めるために……。
まず、王都オバディアでの戦いで事が有利に運ぶよう、武器システムを解読していたフィナが声を上げる。
「残念だけど、この短時間で武器システムの全容は掴めなかった。掴めたものは一つの星を消し飛ばすものばかりで、今回の作戦には不向き。だから代わりに、彼らが使用していた武器を複製した。親父にはこれを」
「おう」
親父に渡された二刀の長剣。
見た目は彼が持っている何の変哲もない長剣と同じだが……その機能をフィナは説明する。
「この剣は身体機能を極限まで高めてくれる。それでいて、肉体に一切の反動がない。これを使えば、親父は自分の限界を超えた戦いができる。それは勇者と呼べるくらいにね」
「ひゅ~、そいつぁ、すげぇ」
「マスティフさんとマフィンさんにも同じ機能ものを」
彼女はマスティフに皮製の黒のガントレットを渡し、マフィンにはおっきな金色の鈴のついたチョーカーを渡した。
「ほほぅ、武術を使うワシ向きだ。ふむ、なるほど、装着しただけでわかるな。ガントレットから力が四肢に伝わり、身体の奥底から潜在能力の全てが引き出されているかのようだ」
「俺のは鈴ニャね。だけど、音がにゃらないニャ。これは潜入向きニャね。ふむふむ、魔力を籠めると鈴が魔力を増幅するニャか……増幅量がとんでもにぇ~ニャ」
次にフィナは、エクアとカインに武器を手渡す。
「エクアは魔法の絵筆。どっかの誰かのせいでイメージ悪いけど、便利な道具だから」
「は、はは、そうですね。これはフィナさんが創ったんですか?」
「いえ、この施設の兵器資料から。彼らは私たちが創る道具の全てを知っているみたい。彼らから見ればすでに通過した知識ってことでしょね」
「す、凄いですね」
「それと、その筆は癒しの力を高め、さらに結界を産み出せるようにしたから。これは私のアレンジ」
「そうなんですか。フィナさんも凄いですね」
「その凄さには天と地以上の差があるけどね。ま、それらはいつか追いつくとして、カインはこれ」
フィナがカインに渡したもの――それは銃。
形は私の持つリボルバータイプとは違う自動式拳銃。わざわざ撃鉄を起こす必要もなく連続で弾丸を飛ばせるものだ。
「これが僕の武器?」
「医者に銃って最悪な組み合わせだけど、接近戦の経験が少ないカインには簡単に扱える飛び道具がいいかなって」
「そういうことか、配慮ありがとう。弾丸は、鉛?」
「うんにゃ、違う。弾丸はエネルギー。そして無限」
「無限?」
「ま、無限は少し言いすぎだけど、通常の鉛の弾丸程度の威力で測るなら数億発分のエネルギーが充填してある。そのエネルギーだけど、射撃手の意思によって量や性質が変わる」
「というと?」
「撃つ前に氷を思い描けば氷の弾丸。炎なら炎の弾丸。気絶させたい程度と思えば、その程度のエネルギーが射出される。これならカインも扱いやすいでしょ」
「僕のために? ありがとう、フィナ君」
「ふふふ。あ、そうそう、最大パワーで小さな村くらいなら吹き飛ばせるから。そのパワーでも連続で百発くらいはいけるよ」
「むらを……あ、ありがとう、フィナ君……」
「ふふ~ん、どういたしまして」
顔を引き攣らせつつ礼を述べるカインへフィナは笑顔で応えて、次に私とギウへ顔を向ける。
「ギウは専用の銛があるけど、どうする? 一応、肉体強化用のマグロ包丁とか用意したけど」
「ぎ、ぎうう~」
ギウは包丁を目にした途端、恐怖にぶるぶると体を震わせ、次にフィナへ抗議の声を上げた。
「ギウ、ギウギウ!」
「え、そんな危険な武器いらない?」
「ギウ、ギウ!」
「それに現在は戦闘モードだからいつもより強い。戦闘モード? どれどれ」
フィナは黒のガラス片を呼び出し、三角錐のクリスタル浮かべギウに向けている――あれは強さを計測する装置だ。
「え~っと……よ、四十四万!? え、あれ、以前は九万八千くらいだったけど……あっ! もしかしてこれが、以前ギウが話してた本気ってわけか。それを計測しようとしたときは釣りの最中で、本気のギウは測定できなかったもんね」<第二十四章 ざ・へっぽこ>
「ギウ、ギウ!」
「そう、これが戦闘モード! なるほど、これがギウの本気かぁ。通常時とかなりの振り幅があるけど、以前私が予想した四十万前後の予想は当たってたみたいね……ところでさ、なんで戦闘モードなんてのがあるの? 普段から本気じゃダメなの?」
「ギウ、ギウギウ。ギウギウ」
「戦闘モードは消費が激しいから基本的にやっちゃ駄目。でも、アイリとレイと対峙した時は思わず戦闘モードになってた。言われてみれば、二人ともギウの実力を見抜いてた節があったっぽいし……二人の前で実力を見せたのは対抗意識みたいな?」
「ぎう」
「そうなんだ。意外と負けず嫌いなんだね。えっと、話を武器のことに戻すけど、ギウはなんでこの武器を見てそんなに怒ってんの?」
この疑問の声に、私が疑問の声を被せる。
「フィナ、本気で言っているのか?」
「え、なに?」
「マグロ包丁とは、マグロを解体する包丁だぞ……」
「え、そうなの!? てっきり、マグロ専用の武器だと思ってた」
「マグロ専用の武器とはなんだ? あれらは海に棲んでいるただの魚だぞ」
私はフィナの独特の感性に頭を横に振った。
錬金術師として色々なことを知っているが、興味のないことにはかなり無頓着のようだ。
その彼女は怖がらせてしまったギウに頭を下げている。
「ごめん、ギウ……あの、ギウってマグロなの?」
「ギウ、ギウギウ」
「ふむふむ、マグロへの先祖返りだから嫌、と……地球にもマグロがいるんだ?」
「ギウウ、ギウ」
「ふむふむ、スカルペルにいるマグロは元々この研究施設の種保存エリアにいたもの。混乱の際にデータが流出して外で再構成された。って、そうだったのっ!?」
「ギウ、ギウ、ギウギウ」
「大根や人参や小松菜なんかも……。へぇ~、それじゃ地球産の動植物がスカルペルで根付いているんだ」
フィナはマグロ包丁を振り回しながら感心するような声を上げた。
それにギウが激しく声をぶつける。
「ギウっ!」
「え? ああ、ごめんね。すぐに消すからっ」
彼女はマグロ包丁をモニターに放り込み、ギウに謝罪をして、それをギウが受け入れた。
フィナは仕切りなおすように軽く咳き込み、私へ顔を向けて武器を渡す。
「ゴホン、えっと、最後にケントの武器になるけど、これにしておいた」
フィナは自分の隣に浮かんでいた半透明のモニターに手を突っ込み、六つの弾丸を取り出した。
そしてそれをこちらへ放り投げて、私が片手でパシリと一気に受け取る。
「弾丸?」
「それがあんたの武器」
「この弾丸が? 何か、特別製なのか?」
「もちろんっ。あんたの銃に合うように造ったの」
「私の?」
「施設にあんたの銃の資料があったからね、それを参考に。その銃って、彼らの宇宙で最強クラスの兵器みたいよ」
「最強……そういえば、バルドゥルを相手にしていた時、似たようなことを百合さんが言っていた」
「ま、さすがの私もそのスペックをいかんなく発揮というわけにはいかないけど、なるべく発揮できるように弾丸を複製してみた」
「その力の中身は?」
「まず、弾丸は六発だけど、発砲しても薬莢は落ちない。発砲した瞬間に弾丸が複製されて元に戻るから」
「ほ~、実質、無限というわけか」
「まぁね。で、威力そのものはカインと同じ。撃つ瞬間に念じて」
「わかった」
「それとカインの銃と違う部分があって、その銃は対ナノマシン兵器であることと、基本不可避であること」
「うん?」
「強力な電気や冷気を浴びせる必要もなく、ナノマシンの機能を阻害し再生能力を封じることができる。さらに、あんたの銀眼と銃のグリップに仕込まれているクリスタルが共鳴すれば、誰にも避けることができない弾丸になる」
彼女の話を聞き、私は血の流れた瞳を思い出して、そっと目頭を二本の指で押さえる。
この動作に気づいたフィナが話をつけ足す。
「大丈夫。百合の弾丸のように、あんたの目にあらゆる世界が映ることはないから。あくまでも弾丸だけに力が宿り、敵の生体エネルギーを感知し、異空間を通り道として自動的に目標を補足して穿つってこと。まず、これらを避けることはできないから基本不可避。でも、レイやアイリクラスになるとよけられるかも」
「なるほど、わかった」
武器を配り終えた彼女はざっと皆を見回して、遺跡のシステムを操ることのできる指輪を見せつつ、自分の装備について語る。
「私の装備も親父たちに渡した物と変わらない。自分の身体能力を上げるものね。あとは、錬金の道具類を強化してる。さて、一時間あげるから、みんなは適当な部屋で試運転でもしてね。んで、一時間後にここに戻ってきて。そしたら、王都オバディアへ向かうよ!」
古代遺跡の一室に再現される父の書斎。
ここに、私、トーワの領主ケント=ハドリー。
古代人百合の肉体変異によって生まれたギウ。
カリスであり、胡散臭い土産屋の親父ことオゼックス。
癒しの力を宿す画家と医者の卵・エクア=ノバルティ。
トーワ専属の医師・カイン=キシロ。
実践派の長にしてテイロー一族の長・フィナ=ス=テイロー。
ワントワーフ族の長・マスティフ=アルペー。
キャビット族の長・マフィン=ラガー。
以上、八名が集う。
この八名でこれから転送装置を使い、王都オバディアへ向かう。
そこで行われている、地球人の命を弄ぶ研究を止めるために……。
まず、王都オバディアでの戦いで事が有利に運ぶよう、武器システムを解読していたフィナが声を上げる。
「残念だけど、この短時間で武器システムの全容は掴めなかった。掴めたものは一つの星を消し飛ばすものばかりで、今回の作戦には不向き。だから代わりに、彼らが使用していた武器を複製した。親父にはこれを」
「おう」
親父に渡された二刀の長剣。
見た目は彼が持っている何の変哲もない長剣と同じだが……その機能をフィナは説明する。
「この剣は身体機能を極限まで高めてくれる。それでいて、肉体に一切の反動がない。これを使えば、親父は自分の限界を超えた戦いができる。それは勇者と呼べるくらいにね」
「ひゅ~、そいつぁ、すげぇ」
「マスティフさんとマフィンさんにも同じ機能ものを」
彼女はマスティフに皮製の黒のガントレットを渡し、マフィンにはおっきな金色の鈴のついたチョーカーを渡した。
「ほほぅ、武術を使うワシ向きだ。ふむ、なるほど、装着しただけでわかるな。ガントレットから力が四肢に伝わり、身体の奥底から潜在能力の全てが引き出されているかのようだ」
「俺のは鈴ニャね。だけど、音がにゃらないニャ。これは潜入向きニャね。ふむふむ、魔力を籠めると鈴が魔力を増幅するニャか……増幅量がとんでもにぇ~ニャ」
次にフィナは、エクアとカインに武器を手渡す。
「エクアは魔法の絵筆。どっかの誰かのせいでイメージ悪いけど、便利な道具だから」
「は、はは、そうですね。これはフィナさんが創ったんですか?」
「いえ、この施設の兵器資料から。彼らは私たちが創る道具の全てを知っているみたい。彼らから見ればすでに通過した知識ってことでしょね」
「す、凄いですね」
「それと、その筆は癒しの力を高め、さらに結界を産み出せるようにしたから。これは私のアレンジ」
「そうなんですか。フィナさんも凄いですね」
「その凄さには天と地以上の差があるけどね。ま、それらはいつか追いつくとして、カインはこれ」
フィナがカインに渡したもの――それは銃。
形は私の持つリボルバータイプとは違う自動式拳銃。わざわざ撃鉄を起こす必要もなく連続で弾丸を飛ばせるものだ。
「これが僕の武器?」
「医者に銃って最悪な組み合わせだけど、接近戦の経験が少ないカインには簡単に扱える飛び道具がいいかなって」
「そういうことか、配慮ありがとう。弾丸は、鉛?」
「うんにゃ、違う。弾丸はエネルギー。そして無限」
「無限?」
「ま、無限は少し言いすぎだけど、通常の鉛の弾丸程度の威力で測るなら数億発分のエネルギーが充填してある。そのエネルギーだけど、射撃手の意思によって量や性質が変わる」
「というと?」
「撃つ前に氷を思い描けば氷の弾丸。炎なら炎の弾丸。気絶させたい程度と思えば、その程度のエネルギーが射出される。これならカインも扱いやすいでしょ」
「僕のために? ありがとう、フィナ君」
「ふふふ。あ、そうそう、最大パワーで小さな村くらいなら吹き飛ばせるから。そのパワーでも連続で百発くらいはいけるよ」
「むらを……あ、ありがとう、フィナ君……」
「ふふ~ん、どういたしまして」
顔を引き攣らせつつ礼を述べるカインへフィナは笑顔で応えて、次に私とギウへ顔を向ける。
「ギウは専用の銛があるけど、どうする? 一応、肉体強化用のマグロ包丁とか用意したけど」
「ぎ、ぎうう~」
ギウは包丁を目にした途端、恐怖にぶるぶると体を震わせ、次にフィナへ抗議の声を上げた。
「ギウ、ギウギウ!」
「え、そんな危険な武器いらない?」
「ギウ、ギウ!」
「それに現在は戦闘モードだからいつもより強い。戦闘モード? どれどれ」
フィナは黒のガラス片を呼び出し、三角錐のクリスタル浮かべギウに向けている――あれは強さを計測する装置だ。
「え~っと……よ、四十四万!? え、あれ、以前は九万八千くらいだったけど……あっ! もしかしてこれが、以前ギウが話してた本気ってわけか。それを計測しようとしたときは釣りの最中で、本気のギウは測定できなかったもんね」<第二十四章 ざ・へっぽこ>
「ギウ、ギウ!」
「そう、これが戦闘モード! なるほど、これがギウの本気かぁ。通常時とかなりの振り幅があるけど、以前私が予想した四十万前後の予想は当たってたみたいね……ところでさ、なんで戦闘モードなんてのがあるの? 普段から本気じゃダメなの?」
「ギウ、ギウギウ。ギウギウ」
「戦闘モードは消費が激しいから基本的にやっちゃ駄目。でも、アイリとレイと対峙した時は思わず戦闘モードになってた。言われてみれば、二人ともギウの実力を見抜いてた節があったっぽいし……二人の前で実力を見せたのは対抗意識みたいな?」
「ぎう」
「そうなんだ。意外と負けず嫌いなんだね。えっと、話を武器のことに戻すけど、ギウはなんでこの武器を見てそんなに怒ってんの?」
この疑問の声に、私が疑問の声を被せる。
「フィナ、本気で言っているのか?」
「え、なに?」
「マグロ包丁とは、マグロを解体する包丁だぞ……」
「え、そうなの!? てっきり、マグロ専用の武器だと思ってた」
「マグロ専用の武器とはなんだ? あれらは海に棲んでいるただの魚だぞ」
私はフィナの独特の感性に頭を横に振った。
錬金術師として色々なことを知っているが、興味のないことにはかなり無頓着のようだ。
その彼女は怖がらせてしまったギウに頭を下げている。
「ごめん、ギウ……あの、ギウってマグロなの?」
「ギウ、ギウギウ」
「ふむふむ、マグロへの先祖返りだから嫌、と……地球にもマグロがいるんだ?」
「ギウウ、ギウ」
「ふむふむ、スカルペルにいるマグロは元々この研究施設の種保存エリアにいたもの。混乱の際にデータが流出して外で再構成された。って、そうだったのっ!?」
「ギウ、ギウ、ギウギウ」
「大根や人参や小松菜なんかも……。へぇ~、それじゃ地球産の動植物がスカルペルで根付いているんだ」
フィナはマグロ包丁を振り回しながら感心するような声を上げた。
それにギウが激しく声をぶつける。
「ギウっ!」
「え? ああ、ごめんね。すぐに消すからっ」
彼女はマグロ包丁をモニターに放り込み、ギウに謝罪をして、それをギウが受け入れた。
フィナは仕切りなおすように軽く咳き込み、私へ顔を向けて武器を渡す。
「ゴホン、えっと、最後にケントの武器になるけど、これにしておいた」
フィナは自分の隣に浮かんでいた半透明のモニターに手を突っ込み、六つの弾丸を取り出した。
そしてそれをこちらへ放り投げて、私が片手でパシリと一気に受け取る。
「弾丸?」
「それがあんたの武器」
「この弾丸が? 何か、特別製なのか?」
「もちろんっ。あんたの銃に合うように造ったの」
「私の?」
「施設にあんたの銃の資料があったからね、それを参考に。その銃って、彼らの宇宙で最強クラスの兵器みたいよ」
「最強……そういえば、バルドゥルを相手にしていた時、似たようなことを百合さんが言っていた」
「ま、さすがの私もそのスペックをいかんなく発揮というわけにはいかないけど、なるべく発揮できるように弾丸を複製してみた」
「その力の中身は?」
「まず、弾丸は六発だけど、発砲しても薬莢は落ちない。発砲した瞬間に弾丸が複製されて元に戻るから」
「ほ~、実質、無限というわけか」
「まぁね。で、威力そのものはカインと同じ。撃つ瞬間に念じて」
「わかった」
「それとカインの銃と違う部分があって、その銃は対ナノマシン兵器であることと、基本不可避であること」
「うん?」
「強力な電気や冷気を浴びせる必要もなく、ナノマシンの機能を阻害し再生能力を封じることができる。さらに、あんたの銀眼と銃のグリップに仕込まれているクリスタルが共鳴すれば、誰にも避けることができない弾丸になる」
彼女の話を聞き、私は血の流れた瞳を思い出して、そっと目頭を二本の指で押さえる。
この動作に気づいたフィナが話をつけ足す。
「大丈夫。百合の弾丸のように、あんたの目にあらゆる世界が映ることはないから。あくまでも弾丸だけに力が宿り、敵の生体エネルギーを感知し、異空間を通り道として自動的に目標を補足して穿つってこと。まず、これらを避けることはできないから基本不可避。でも、レイやアイリクラスになるとよけられるかも」
「なるほど、わかった」
武器を配り終えた彼女はざっと皆を見回して、遺跡のシステムを操ることのできる指輪を見せつつ、自分の装備について語る。
「私の装備も親父たちに渡した物と変わらない。自分の身体能力を上げるものね。あとは、錬金の道具類を強化してる。さて、一時間あげるから、みんなは適当な部屋で試運転でもしてね。んで、一時間後にここに戻ってきて。そしたら、王都オバディアへ向かうよ!」
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彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。
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