137 / 180
第三章
第137話 領主様からの呼び出し
しおりを挟む
ポーション作りから更に数週間が経ったある日のこと。
私達は再び領主様のお屋敷に呼ばれることとなった。
応接室にはすでに領主様が待ち構えており、心なしか顔色が青白いように見受けられた。
領主様は私達に席に着くように促すと口を開いた。
「急な呼び出しに応じてもらったこと感謝する。早速で申し訳ないのだが、実は随分と前からホーリー草の採取依頼を出しているのだが、如何せん希少な薬草ということもあり目標の本数に至っておらんのだ。そこで、ユーリ殿たちにも採取を頼みたいと思ってな。出来れば急ぎでお願いしたいのだが……この依頼、受けてはもらえないだろうか?」
領主様の真剣な眼差しを受けて只事ではないと感じた私は、失礼ながら質問をさせてもらうことにした。
「あの、領主様。質問してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。何だね?」
その問いかけに、領主様は訝しむ様子もなく頷いた。
「ホーリー草はいくつ必要なのですか?そのご様子だとお急ぎではありませんか?ご家族のどなたかに何かあったのですか?」
矢継ぎ早に質問をされた領主様は一瞬目を見開いたあと、辛そうに唇を嚙み締めると目を伏せてポツリポツリと語り始めた。
「……実は末の息子のことなのだが、あの子は生まれつき病弱で医師からは成人まで生きられないだろうと告げられた。だが、あの子も私の大事な息子だ。このまま指を咥えて何もせずにはいられなかった。書物を漁り調べた結果、ホーリー草があの子を救えるのではないかと考えた」
私は医師が居ることに安堵したものの、領主様の口ぶりから経過はあまり良くなさそうだと感じて話しの続きを待った。
「王都の高名な医師によると、ホーリー草であれば改善するかもしれないと告げられた。だが、問題は数だ。冒険者ギルドに常時依頼を出してはいるがホーリー草は希少な薬草でな、月に一本手に入れば良い方で中々難航しておる。冒険者の皆は快く引き受けてくれたのだが、熟練の冒険者でも探し出すのが難しい上に、これ以上ホーリー草の採取だけに時間を割いてもらうのは偲びなくてな」
領主様はそこで一旦話しを区切ると、真剣な眼差しを私達に向けて深々と頭を下げた。
「そこでユーリ殿たちにもホーリー草を探してほしいのだ。月に一本でも構わない。そうすればあの子は生きながらえるのだ。難しいことは百も承知。だが、どうかこの依頼受けてはもらえないだろうか」
切々と訴えかける領主様の姿は、領主というよりも、ただ子供の無事を願う父親だった。
その姿に胸を打たれた私は、数週間前に作っておいたポーションがあったのを思い出した。
あのポーションであれば、病弱だという末の息子さんは健康になるかもしれない。
漠然とだが、なぜか確信していた。
そして、頭を下げたままの領主様に話しを切り出した。
「どうか頭を上げてください。僕から大事なお話しがあります。これから話す内容を誰にも話さないと約束していただけますか?」
この場には領主様と私達のみ。
すでに人払いをしてあるため、他所に情報が洩れる心配はないだろう。
それに、領主様はお母様の身内ともいえる存在で、その為人はこの数週間で理解したつもりだ。
領主様はきっと約束を守ってくれる。
頭を上げた領主様に、斜め掛けのバッグから虹色の液体入りのガラス瓶を取り出してテーブルに置くと告げた。
「これはホーリー草で作ったポーションです。一口飲めば瞬時に怪我や病気を治してくれます。ただ、病弱ということですので、どこまで効果があるのかはわかりませんが……」
鑑定では、一口で四肢欠損や不治の病に効果があると書かれていた。
ただし、病弱というだけではどこまで効果があるのか分からないが、試すだけの価値はありそうだ。
領主様は、テーブルに置かれた虹色の液体入りのガラス瓶を凝視したあとポツリと呟いた。
「……これがホーリー草で作ったポーションだというのか?もっと透明な色をしていたと思うが、このような綺麗な色は初めて見た……」
透明?
確かに、煮出している間は透明だった気がするけど、冷ましたら綺麗な淡い虹色に変化したよ?
まぁ、十本もホーリー草を使ったからねぇ。
一本や二本じゃ変化しないんだろうね。
「そうなんですか?きっと使用した本数とかで変わるんじゃないですかねぇ……」
そう返事をしてすぐに話しを付け加える。
「あっ。もし、お疑いであれば調べていただいても構いませんよ」
初めて見たのなら信用してもらえないのも分かる。
そう思って言ったのだが、領主様はポーション入りのガラス瓶を手にすると勢いよく立ち上がった。
「今から息子の部屋に向かう。ユーリ殿ついて来てはもらえないだろうか」
いきなりのことに呆気に取られた私は、足早に扉に向かう領主様を追いかけるようにして後に続いた。
私達は再び領主様のお屋敷に呼ばれることとなった。
応接室にはすでに領主様が待ち構えており、心なしか顔色が青白いように見受けられた。
領主様は私達に席に着くように促すと口を開いた。
「急な呼び出しに応じてもらったこと感謝する。早速で申し訳ないのだが、実は随分と前からホーリー草の採取依頼を出しているのだが、如何せん希少な薬草ということもあり目標の本数に至っておらんのだ。そこで、ユーリ殿たちにも採取を頼みたいと思ってな。出来れば急ぎでお願いしたいのだが……この依頼、受けてはもらえないだろうか?」
領主様の真剣な眼差しを受けて只事ではないと感じた私は、失礼ながら質問をさせてもらうことにした。
「あの、領主様。質問してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。何だね?」
その問いかけに、領主様は訝しむ様子もなく頷いた。
「ホーリー草はいくつ必要なのですか?そのご様子だとお急ぎではありませんか?ご家族のどなたかに何かあったのですか?」
矢継ぎ早に質問をされた領主様は一瞬目を見開いたあと、辛そうに唇を嚙み締めると目を伏せてポツリポツリと語り始めた。
「……実は末の息子のことなのだが、あの子は生まれつき病弱で医師からは成人まで生きられないだろうと告げられた。だが、あの子も私の大事な息子だ。このまま指を咥えて何もせずにはいられなかった。書物を漁り調べた結果、ホーリー草があの子を救えるのではないかと考えた」
私は医師が居ることに安堵したものの、領主様の口ぶりから経過はあまり良くなさそうだと感じて話しの続きを待った。
「王都の高名な医師によると、ホーリー草であれば改善するかもしれないと告げられた。だが、問題は数だ。冒険者ギルドに常時依頼を出してはいるがホーリー草は希少な薬草でな、月に一本手に入れば良い方で中々難航しておる。冒険者の皆は快く引き受けてくれたのだが、熟練の冒険者でも探し出すのが難しい上に、これ以上ホーリー草の採取だけに時間を割いてもらうのは偲びなくてな」
領主様はそこで一旦話しを区切ると、真剣な眼差しを私達に向けて深々と頭を下げた。
「そこでユーリ殿たちにもホーリー草を探してほしいのだ。月に一本でも構わない。そうすればあの子は生きながらえるのだ。難しいことは百も承知。だが、どうかこの依頼受けてはもらえないだろうか」
切々と訴えかける領主様の姿は、領主というよりも、ただ子供の無事を願う父親だった。
その姿に胸を打たれた私は、数週間前に作っておいたポーションがあったのを思い出した。
あのポーションであれば、病弱だという末の息子さんは健康になるかもしれない。
漠然とだが、なぜか確信していた。
そして、頭を下げたままの領主様に話しを切り出した。
「どうか頭を上げてください。僕から大事なお話しがあります。これから話す内容を誰にも話さないと約束していただけますか?」
この場には領主様と私達のみ。
すでに人払いをしてあるため、他所に情報が洩れる心配はないだろう。
それに、領主様はお母様の身内ともいえる存在で、その為人はこの数週間で理解したつもりだ。
領主様はきっと約束を守ってくれる。
頭を上げた領主様に、斜め掛けのバッグから虹色の液体入りのガラス瓶を取り出してテーブルに置くと告げた。
「これはホーリー草で作ったポーションです。一口飲めば瞬時に怪我や病気を治してくれます。ただ、病弱ということですので、どこまで効果があるのかはわかりませんが……」
鑑定では、一口で四肢欠損や不治の病に効果があると書かれていた。
ただし、病弱というだけではどこまで効果があるのか分からないが、試すだけの価値はありそうだ。
領主様は、テーブルに置かれた虹色の液体入りのガラス瓶を凝視したあとポツリと呟いた。
「……これがホーリー草で作ったポーションだというのか?もっと透明な色をしていたと思うが、このような綺麗な色は初めて見た……」
透明?
確かに、煮出している間は透明だった気がするけど、冷ましたら綺麗な淡い虹色に変化したよ?
まぁ、十本もホーリー草を使ったからねぇ。
一本や二本じゃ変化しないんだろうね。
「そうなんですか?きっと使用した本数とかで変わるんじゃないですかねぇ……」
そう返事をしてすぐに話しを付け加える。
「あっ。もし、お疑いであれば調べていただいても構いませんよ」
初めて見たのなら信用してもらえないのも分かる。
そう思って言ったのだが、領主様はポーション入りのガラス瓶を手にすると勢いよく立ち上がった。
「今から息子の部屋に向かう。ユーリ殿ついて来てはもらえないだろうか」
いきなりのことに呆気に取られた私は、足早に扉に向かう領主様を追いかけるようにして後に続いた。
62
あなたにおすすめの小説
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
底無しポーターは端倪すべからざる
さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。
ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。
攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。
そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。
※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。
※ごくまれに残酷描写を含みます。
※【小説家になろう】様にも掲載しています。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
魔王と噂されていますが、ただ好きなものに囲まれて生活しているだけです。
ソラリアル
ファンタジー
※本作は改題・改稿をして場所を移動しました。
現在は
『従魔と異世界スローライフのはずが、魔王と噂されていく日々』
として連載中です。2026.1.31
どうして、魔獣と呼ばれる存在は悪者扱いされてしまうんだろう。
あんなに癒しをくれる、優しい子たちなのに。
そんな思いを抱いていた俺は、ある日突然、命を落とした――はずだった。
だけど、目を開けるとそこには女神さまがいて、俺は転生を勧められる。
そして与えられた力は、【嫌われ者とされる子たちを助けられる力】。
異世界で目覚めた俺は、頼りになる魔獣たちに囲まれて穏やかな暮らしを始めた。
畑を耕し、一緒にごはんを食べて、笑い合う日々。
……なのに、人々の噂はこうだ。
「森に魔王がいる」
「強大な魔物を従えている」
「街を襲う準備をしている」
――なんでそうなるの?
俺はただ、みんなと平和に暮らしたいだけなのに。
これは、嫌われ者と呼ばれるもふもふな魔獣たちと過ごす、
のんびり?ドタバタ?異世界スローライフの物語。
■小説家になろう、カクヨムでも同時連載中です■
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる