136 / 180
第三章
第136話 ポーション作り
しおりを挟むポーションを作る工程として、先ず綺麗な水を沸かす。
そこに薬の元となる草を投入して煮出すらしい。
煮出したあと魔力を注入したらポーションの完成だそうだ。
話しを聞いた限りでは簡単そうだ。
しかし、魔力や属性によって品質の良いポーションかそうでないかが決まるとのことで、一概にも簡単だとは言えないようだ。
メイス曰く、魔力量と使用する属性が重要とのことで、水属性でもある程度の回復は見込めるが、怪我や病気の度合いでは完治するとは限らないらしい。
しかも、完治させようとするのなら膨大な量の魔力が必要になるのだとか。
その点、光属性であればより質の良いポーションが作れるらしく、四肢欠損や不治の病でもない限り大抵の怪我や病気は治せるのだとか。
いやはや魔法って本当に凄いね。
「は~……。魔法って凄いんだねぇ。じゃあさ、光属性でポーションを作れば良いってこと?」
『普通はそうだな。だが、お前は聖属性魔法が使えるだろう?ホーリー草の効果を高めたいのなら聖属性魔法を使え。ホーリー草と聖属性は相性が良い上にお前の膨大な魔力量とくれば、きっともの凄い薬が出来るはずだ』
へぇ……ホーリー草と聖属性ってそんなに相性が良いんだ。
もしかしたら、万能薬が作れるんじゃない?
この世界にも癌やウィルスによる病が無いとも限らない。
科学技術が発達した元の世界とは違い、何でも魔法で治癒させるため医療が発達していないであろうことは容易に想像出来る。
だけど、魔力を持たない人達は一体どうやって病を治しているのだろうか?
まさか、ポーション頼みなんてことはないよね?
……薬師が医師の役割を果たしているから医師そのものが存在しない……とか?
いや、今はそんなことよりもポーションを作ることに専念しよう。
頭をふるふると振って気持ちを切り替えると、ポーション作りに取りかかった。
亜空間から大鍋を取り出して、そこに水魔法で出した水をたっぷりと注ぐ。
当然、十歳児の私では大鍋を覗き込めないから、椅子を脚立代わりにしての作業になる。
竃に火をつけて沸騰したら、細かく刻んだホーリー草を大鍋に投入して煮出す。
火を中火にしてクツクツと煮出すと、甘い香りが漂い始めた。
「ん~。甘い香り。もっと草っぽい匂いがすると思っていたんだけど、これは予想外だったわ」
これならきっと幼い子でも飲めるだろう。
火を止めて冷ますと、甘い香りはそのままに透明だった液体が虹色へと変化していく。
「っ!?色が変化したぁ!?」
虹色という有り得ない色に驚いた私に、大鍋を覗き込んでメイスは淡々と告げた。
『……ふむ。上手くいったようだな。あとは魔力を注げば完成だ』
どうやらこれで正解のようだ。
再び大鍋に視線を向けて、淡い虹色に変化した液体を眺める。
綺麗な色だけど、飲めと言われたら素直に飲めるだろうか。
そんな不安を余所にメイスが話しを続ける。
『お前はまだ魔法の扱いが雑だからな。意識を大鍋だけに集中しろ。俺が良いと言うまで魔力を注ぐのだ。わかったな』
雑ってあんまりじゃない?
まぁ、否定はしないけど……。
「……わかった」
そう返事をして大鍋に手を翳すと意識を集中させる。
温かい魔力が腹の底から溢れて手のひらへと流れていくのを感じた。
この薬を飲んだ人達が健康になりますように。
そして、苦痛を感じることもなく治りますように。
そんな祈りにも似た想いを込めて、私は一心に大鍋に魔力を流した。
『もう十分だろう』
その声を聞いて、流していた魔力を止める。
大鍋をジッと見つめていたメイスが、やがて感心した様子で口を開いた。
『ほぉ……。これはまた……珍しい薬が出来上がったな。もはや神の薬と言っても過言ではない』
は?
神の薬?
とんでもない言葉を聞いて、一気に冷や汗が流れ出す。
「……え?神の薬?どういうこと?」
私の質問にメイスは少しだけ考える素振りを見せたあと、例えを用いて説明をし始めた。
『そうだな……例えば、四肢欠損した者が居たとする。その者に一口この薬を与えたとしよう。その者はたちまちにして失くした腕や足を再生するということだ。簡単に言うと完全回復するということだ』
完全回復!?
だったら、病も完治させることが可能ってこと?
万病に効く草だと聞いていたけど、そこまでいくと万能薬みたいなものじゃない!
どうりで希少な草のはずだ。
その当時の私はホーリー草が凄い草だということに囚われて、私自身が持つ聖属性魔法が稀少なことすら忘れていた。
すっかりテンションが上がった私は亜空間に仕舞っていたガラス瓶に出来上がった薬を注ぐと、淡い虹色の液体を恍惚とした眼差しでいつまでも眺めていた。
51
あなたにおすすめの小説
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第2巻発売中です!】
逞しく成長したリューク、そしてジーナ、ユフィオ、キスティーが大活躍します!
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【書籍第3巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。アニスもレムも超カワで、表紙もカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【2024年10月23日コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる