転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第三章

第136話 ポーション作り

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 ポーションを作る工程として、先ず綺麗な水を沸かす。
 そこに薬の元となる草を投入して煮出すらしい。
 煮出したあと魔力を注入したらポーションの完成だそうだ。

 話しを聞いた限りでは簡単そうだ。
 しかし、魔力や属性によって品質の良いポーションかそうでないかが決まるとのことで、一概にも簡単だとは言えないようだ。
 メイス曰く、魔力量と使用する属性が重要とのことで、水属性でもある程度の回復は見込めるが、怪我や病気の度合いでは完治するとは限らないらしい。
 しかも、完治させようとするのなら膨大な量の魔力が必要になるのだとか。

 その点、光属性であればより質の良いポーションが作れるらしく、四肢欠損や不治の病でもない限り大抵の怪我や病気は治せるのだとか。

 いやはや魔法って本当に凄いね。

「は~……。魔法って凄いんだねぇ。じゃあさ、光属性でポーションを作れば良いってこと?」

『普通はそうだな。だが、お前は聖属性魔法が使えるだろう?ホーリー草の効果を高めたいのなら聖属性魔法を使え。ホーリー草と聖属性は相性が良い上にお前の膨大な魔力量とくれば、きっともの凄い薬が出来るはずだ』

 へぇ……ホーリー草と聖属性ってそんなに相性が良いんだ。
 もしかしたら、万能薬が作れるんじゃない?
 
 この世界にも癌やウィルスによる病が無いとも限らない。
 科学技術が発達した元の世界とは違い、何でも魔法で治癒させるため医療が発達していないであろうことは容易に想像出来る。
 
 だけど、魔力を持たない人達は一体どうやって病を治しているのだろうか?
 まさか、ポーション頼みなんてことはないよね?
 ……薬師が医師の役割を果たしているから医師そのものが存在しない……とか?

 いや、今はそんなことよりもポーションを作ることに専念しよう。
 頭をふるふると振って気持ちを切り替えると、ポーション作りに取りかかった。

 亜空間から大鍋を取り出して、そこに水魔法で出した水をたっぷりと注ぐ。
 当然、十歳児の私では大鍋を覗き込めないから、椅子を脚立代わりにしての作業になる。
 竃に火をつけて沸騰したら、細かく刻んだホーリー草を大鍋に投入して煮出す。
 火を中火にしてクツクツと煮出すと、甘い香りが漂い始めた。

「ん~。甘い香り。もっと草っぽい匂いがすると思っていたんだけど、これは予想外だったわ」

 これならきっと幼い子でも飲めるだろう。
 火を止めて冷ますと、甘い香りはそのままに透明だった液体が虹色へと変化していく。

「っ!?色が変化したぁ!?」

 虹色という有り得ない色に驚いた私に、大鍋を覗き込んでメイスは淡々と告げた。

『……ふむ。上手くいったようだな。あとは魔力を注げば完成だ』

 どうやらこれで正解のようだ。
 再び大鍋に視線を向けて、淡い虹色に変化した液体を眺める。
 綺麗な色だけど、飲めと言われたら素直に飲めるだろうか。
 そんな不安を余所にメイスが話しを続ける。

『お前はまだ魔法の扱いが雑だからな。意識を大鍋だけに集中しろ。俺が良いと言うまで魔力を注ぐのだ。わかったな』

 雑ってあんまりじゃない?
 まぁ、否定はしないけど……。

「……わかった」

 そう返事をして大鍋に手を翳すと意識を集中させる。
 温かい魔力が腹の底から溢れて手のひらへと流れていくのを感じた。

 この薬を飲んだ人達が健康になりますように。
 そして、苦痛を感じることもなく治りますように。

 そんな祈りにも似た想いを込めて、私は一心に大鍋に魔力を流した。

『もう十分だろう』

 その声を聞いて、流していた魔力を止める。
 大鍋をジッと見つめていたメイスが、やがて感心した様子で口を開いた。

『ほぉ……。これはまた……珍しい薬が出来上がったな。もはや神の薬と言っても過言ではない』

 は?
 神の薬?
 とんでもない言葉を聞いて、一気に冷や汗が流れ出す。

「……え?神の薬?どういうこと?」

 私の質問にメイスは少しだけ考える素振りを見せたあと、例えを用いて説明をし始めた。

『そうだな……例えば、四肢欠損した者が居たとする。その者に一口この薬を与えたとしよう。その者はたちまちにして失くした腕や足を再生するということだ。簡単に言うと完全回復するということだ』

 完全回復!?
 だったら、病も完治させることが可能ってこと?
 万病に効く草だと聞いていたけど、そこまでいくと万能薬みたいなものじゃない!
 どうりで希少な草のはずだ。


 その当時の私はホーリー草が凄い草だということに囚われて、私自身が持つ聖属性魔法が稀少なことすら忘れていた。

 すっかりテンションが上がった私は亜空間に仕舞っていたガラス瓶に出来上がった薬を注ぐと、淡い虹色の液体を恍惚とした眼差しでいつまでも眺めていた。
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