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第三章
第147話 ブロンとお出掛け
しおりを挟むメイスの協力の下、冷蔵庫造りは着々と進んでいく。
メイスもヒデさんも冷蔵庫造りが楽しいのか、毎日飽きもせず朝から晩まで部屋に籠りっきりの様子。
見かねた私が声をかけても、冷蔵庫造りに集中しているためその声は耳に届いていないようだ。
テーブルに食事を置いて部屋を出た私は、リビングで寛いでいたブロンに話しかけた。
「ブロン。しばらく二人は部屋から出てきそうにないから私と一緒に居ようね」
『うん!おねえちゃん、今日は何してあそぶ?』
久しぶりに私と過ごせるのが嬉しいのか、ブロンは尻尾を勢いよく振って足に纏わりついてきた。
か、可愛い!
ここのところメイスと行動を共にすることが多かったため、ブロンの素直な感情表現は正直言って新鮮だ。
ころころと足に纏わりつくブロンを抱きかかえて匂いを嗅ぐ。
はぁ~癒される。
冷蔵庫造りに夢中の二人を置いて出掛ける準備をする。
「さて、出掛けようか」
『うん!おでかけ~!』
ここ三、四日外出していなかったこともあり、ブロンは嬉しそうだ。
ブロンを床に降ろしバッグを手に取ると家を後にした。
冒険者ギルドに足を踏み入れると、見知った人たちから声をかけられた。
「ユーリ。今日はいつもの従魔と一緒じゃねぇのか?珍しいな」
彼は銀級冒険者のケルヴィンさん。
三年前にこの街に移り住み、金級冒険者を目指しているんだって。
平民の彼は、田舎に残してきた弟妹のためにお金を稼ぎたいと言っていた。
だからなのか、私にはとても優しい。
厳つい顔をしているから初対面の人には怖がられているみたいだけど、彼が良い人なのはすでに知っている。
私が銀級冒険者だと知ると凄く驚いていたっけ。
「ケルヴィンさん。おはようございます。今日はブロンと出掛けようかと思いまして」
「そうか。気をつけて行けよ」
ぽんぽんと軽く頭に手を置いたケルヴィンさんは、それだけ言うと笑顔で去って行った。
「おぉ、ユーリじゃねぇか!今日は犬っころと一緒か?あまり無茶すんじゃねぇぞ」
次に話しかけてきたのは、金級冒険者のショーンさん。
普段は穏やかで、どこにでも居るおじさんといった感じだ。
穏やかな笑みを浮かべるショーンさんに返事をする。
「おはようございます、ショーンさん。無茶しませんよ」
「はははっ!そうか。冒険者は命懸けの仕事だ。いくらユーリが銀級冒険者といえども決して油断すんじゃねぇぞ。またな」
去り際に頭をぽんと軽く叩くと、手をひらひらと振って去って行った。
この街に来て約二か月。
随分と知り合いが出来た。
最初の頃は見た目が子供のせいで心配されたけど、銀級冒険者と知ってからは皆私を対等に扱ってくれる。
それがとても嬉しい。
私は壁に貼られた依頼書を眺めて呟いた。
「さて、今日はどの依頼を受けようかな」
常時依頼だったホーリー草の採取依頼は、今は出ていない。
だが、万が一のために採取しておいた方が良いだろう。
他に採取依頼がないか探すも、一足先に誰かが依頼を受けたようで採取系の依頼書は一枚も見つからなかった。
「無いかぁ。だったら今日は魔物の討伐依頼にしよう」
私の呟きを耳にした途端、ブロンの声が弾む。
『まもの?まもの狩るの?』
そうだった。
今日はブロンと遊ぶって決めたんだっけ。
ブロンの目線に合わせてしゃがみ頭を撫でる。
「そうだよ。魔物を狩るからブロンも手伝ってね」
『うん!ぼく、おてつだいする――!』
尻尾を振って全身で喜びを表すブロンが可愛くて頬が緩む。
その様子に周囲の冒険者たちの頬が緩んでいるが、私もブロンも気がついていなかった。
「よし。じゃあ、どの依頼にしようかな」
立ち上がって壁に貼られた依頼書に目を向ける。
この街の魔物は下位の魔物でも強い。
単体ならともかく、群れとなると私一人では荷が重すぎる。
でもまぁ、ブロンが一緒なら何とかなるだろう。
壁に貼られた一枚の依頼書を手に取るとカウンターへと向かった。
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