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第三章
第148話 まだ成長するの?
しおりを挟む依頼を受けて目的の場所を目指す。
最近では街の近くに魔物が寄り付かなくなったおかげで茶畑の見回りが楽になったと耳にしたが、一歩森に足を踏み入れば強力な魔物が我が物顔で徘徊していた。
私とブロンは立ちふさがる魔物を次々と倒しながら森を進んでいく。
「ふぅ……。以前と比べて数が減ったとはいえ、まだまだ多いなぁ……。これだけの魔物、一体どこから現れているのだろう?」
上位の冒険者たちが魔物の討伐を毎日頑張っているというのに、あまり魔物の数が減った気がしない。
その原因を突き止めない限りはこの状態が続くのではないだろうか。
森を歩くこと体感にして三時間あまり。
高い木々から低い背丈の草が増えてきた。
だいぶ見晴らしは良いが、身を隠す場所が少ないため自然と足が速くなる。
きっとここから先は高山植物ばかりになってしまうのだろう。
隣を歩くブロンに視線を向けて声をかける。
「ここから先は隠れる場所がなさそうだし、ちょっと休憩しようか」
『うん!』
ブロンの元気な声を聞いてふと顔を上げる。
鬱蒼とした木々の向こうに見慣れた街並みが視界に飛び込んできた。
「わぁ……街が小さい。背丈のある木が少なくなってきたってことは、結構標高が高いのかな?傾斜が緩やかだったから気がつかなかったなぁ……」
きっとそれだけではない気がするが、今はここから眺める景色をホージ茶を飲みながら堪能しておきたい。
ちょうど座れそうな石があったので、そこに腰を下ろして亜空間からホージ茶を取り出して口に運ぶ。
「ほぉ……あったかい。魔物の討伐で昂っていた気持ちが収まっていく。やっぱりホージ茶は鎮静作用があるのかな?ん~、この香ばしい香りが堪らん」
同じようにホージ茶を飲んでいたブロンが顔を上げて言った。
『ホージ茶いいにおい!たまらん!おねえちゃん、おかわり!』
私の言葉を真似て口にしたブロンだが、その言葉の意味をちゃんと理解しているのだろうか?
でも、可愛いからどうでもいいや。
私はくすくすと笑ってホージ茶を皿につぎ足しながら考える。
ここから先は隠れる場所もない上に、もっと強力な魔物が現れるかもしれない。
ブロンに元の大きさに戻ってもらっておいた方が良いだろう。
それに、段々と瘴気が濃くなってきている気がする。
私は万が一に備えて装備を確認すると、ブロンに声をかけた。
「ブロン。瘴気が濃くなってきたし、ここまで来たなら人目を気にすることもないと思う。元の大きさに戻って大丈夫だよ」
『いいの?わーい!』
その言葉を聞いたブロンは、全身で喜びを表すと一瞬で元の大きさに戻る。
久しぶりに元の大きさに戻ったブロンを目にして首を傾げる。
以前は馬位の大きさだったはずだが、目の前のブロンはその頃よりひと回り大きく見える。
成長期というやつだろうか?
……え?
まだ成長するの?
不意にブロンと出会った頃を思い出して身震いする。
例え本人に悪意がなくてもちょっとしたことで地面が揺れたり、尻尾を勢いよく振って風を巻き起こして大変だったことは記憶に新しい。
私はブロンのふわふわな毛並みに触れて尋ねた。
「ねぇ、ブロン。その大きさだと歩く度に地面が揺れるんじゃない?周りに人が居たら気をつけてね」
『うん!魔法でおもくならないように出来るからだいじょうぶだよ。おにいちゃんに言われてがんばって覚えたんだ!』
ブロンたらいつの間に……。
そうか、ヒデさんに言われて頑張って習得したのか。
えっへん!と得意げに胸を張るブロンに笑みを浮かべる。
「そっか。頑張って覚えたんだ。偉い偉い」
頭を撫でる代わりに、胸元に抱きついて両手でわしゃわしゃと首を撫でる。
『えへへ』
褒められて嬉しかったのか、ブロンは尻尾を振って私に身を任せていた。
一頻りもふもふを堪能すると、私達は瘴気が濃くなっている場所へ向かうことにした。
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