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第三章
第153話 光属性と聖属性
しおりを挟む早めの夕食を摂り、ゆっくりと湯船に浸かって疲れを癒した私はベッドに大の字になって寝転ぶ。
メイスが用意してくれた豪華なベッドは弾力性があってふかふかで、煌びやかな装飾さえなければ文句なしだ。
装飾が施された天蓋を見つめて一日を振り返る。
瘴気があんな風に溜まるなんて考えたこともなかった。
あのまま知らずに放置していたら、もっと瘴気が溜まって街に何らかの影響が出ていたかもしれない。
もしかして、ここの魔物が桁違いに強いのもそれが関係しているのだろうか?
魔力量が膨大だと言われた私でも、あれだけの瘴気を浄化するのは骨が折れた。
本来なら冒険者ギルドのギルドマスターか領主様に報告するべきなのだろうけど、私でも手こずったというのに他の人に任せても良いのか迷ってしまう。
以前、チラッと小耳に挟んだ話しの内容を思い出して独り言ちる。
「ん~……。光属性を持つ人は少ないって言うし、ましてや聖属性となると神殿にでも行かないかぎり難しいかぁ……」
光属性を持つ者は、少ないながらも見かけたことがあった。
そのうちの一人と会話を交わしたのだが、彼曰く、軽い怪我や病気は癒せるが、重傷者や重病人に対して症状を軽減させるだけで精一杯らしい。
当然、そこには魔力量も関係するとのこと。
聖属性は怪我や病気を癒せるのはもちろんのことだが、光属性と決定的に違うのは浄化の力を持っていることらしい。
しかし、彼はそれ以上の事は分からないと言っていた。
なぜなら、聖属性魔法を使える者は神殿が強引に引き取って行くからだそう。
神殿が非人道的な行為を平然と行うなんて驚きだよ!
「はぁ……神殿とは関わり合いになりたくないなぁ……」
この国の王都にある大聖堂に寄ったことはあるが、神殿には一度も足を運んでいない。
だから、神殿がどのような所なのか私には分からない。
それでも、彼等の話しぶりから、神殿があまり良い場所のように思えなかった。
もし、神殿側に私が聖属性魔法を持っていると知られたらと想像するだけで背筋が凍る思いがした。
天蓋を見つめながらポツリと零す。
「今まで通りなるべく目立たずに過ごす。それしかなさそうね」
ユーリ的には目立つことをしたつもりはなかったが、本人の気持ちとは裏腹に無自覚にやっていたことをユーリ自身気がついていない。
ロージス家を逃げるように出てからというもの、ユーリはメイスに守られてきた。
その規格外な力に守られて無事カミール領に着くことが出来たユーリは、きっと今後もそのことに気づくことはないだろう。
隣で寝息を立てているブロンの背中を撫でながら、重くなってきた瞼を擦る。
「ふぁああ……。色々と悩んでも仕方ない。今日は疲れたしさっさと寝よう」
この街に来て久しぶりの遠出ということもあり、少し張り切りすぎたようだ。
初めてブロンの背中に乗って走ったあの感覚が忘れられない。
ビュンビュンと流れる景色に目が追い付かなくて大変だったけど、風を切って走る爽快感は堪らなかった。
私自身、絶叫系が得意なわけではないけど、相手がブロンだからかそこまで怖くはなかった。
とりあえず、今まで通り目立たず皆と楽しく暮らしていければそれで良い。
瘴気を放置しておくわけにはいかないから浄化するけど、それには魔力を効率良く使えるようにならなくちゃ。
浄化にもの凄い魔力量を必要とするなんて、思ってもみなかった。
「……もっと効率良く使えるようにならないと……ふぁあ」
睡魔に襲われて思考能力が段々と低下してきた私は、とうとう抗いきれずに深い眠りに落ちた。
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