転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第三章

第154話 和やかな朝の光景

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 翌朝、早く休んだおかげで日の出と共に爽快な気分で目が覚めた。

 すでに目が覚めていたブロンが、もふもふの頭をすり寄せて甘えてきた。

『おねえちゃん、おはよう!』

 朝からブロンは元気だ。
 思わず小さな体を抱きしめて、もふもふの毛並みを堪能する。
 ん~!
 相変わらず爽やかなお日様の香りで心が癒されるぅ~。

 スリスリされてくすぐったかったのか、ブロンが身を捩って笑い声をあげる。

『あはは!おねえちゃん、くすぐったいよぉ』

 そんなブロンに抱きついたまま、私は暫しこのまったりとした時間を楽しんだ。







 身支度を整えてブロンと階下に降りる。
 まだ早朝ということもあり、リビングは静寂に包まれていた。
 ふと台所に視線を向けると、真っ先に視界に飛び込んできたのは白い冷蔵庫だった。

「……見慣れていたはずなのに、なんだか不思議な気分。冷蔵庫だけ妙に浮いちゃってるような……」

 そう呟きつつ冷蔵庫の扉を開ける。
 中にはヒデさんがつくってくれたコーラの他に、今まで亜空間に仕舞ったままだった食糧が多く入っていた。
 これだけの量の食糧が整然と並べられていることに呆気に取られてしまったが、やはりメイスの魔法はさすがとしか言いようがない。
 中を覗きながら感嘆の声が漏れた。

「はぁ~……。すごい量。数か月は買い出ししなくても生活出来そう」

 私も亜空間魔法を使えるのだけど、はっきり言って未だに仕組みを理解しきれていない。
 魔法とはそんなものと割り切るしかないのだが、前世の記憶が蘇ってからというもの、妙に小難しく考えてしまうのは私の悪い癖だろう。

 気持ちを切り替えて朝食の準備に取り掛かる。
 野菜を刻み、魔物肉は薄くスライスしておく。
 食パンの代わりにいつものパンを使用する。
 パンを半分に切り具材を載せて、その上にたっぷりとマヨネーズをかける。
 見た目はバーガーぽいけど仕方ない。

「あ、ちょっとマヨネーズの量が多かったかな?」

 はみ出したマヨネーズを指で掬い舐める。

「うん、美味しい」

 大量に作り置きしていたマヨネーズは皆に大好評で、すでに半分近くに減っていた。
 このペースでいくと、一週間ももたないかもしれない。
 昨日の遠出で疲れたし当分はのんびりしようと考えていた私は、その時間を使ってマヨネーズを作っておこうと決めた。

 朝食を済ませてマヨネーズ作りに精を出していると、二階からヒデさんが眠い目を擦りながら降りてきた。

「おはよう」

 私が声をかけると、まだ眠いのか寝ぐせをつけたままヒデさんが挨拶を返す。

「……おはよう」

 ヒデさんの肩に乗っていたメイスが私を見て口を開く。

『おはよう。もう起きていたのか』

 それから、仕舞い忘れていた皿の上のサンドイッチもどきを見て尋ねてきた。

『それはサンドイッチか?何やら美味そうな匂いがするな』

 鼻をヒクヒクさせる姿が可愛らしい。
 正確にはサンドイッチもどきなんだけどね。
 一方、朝食を食べ終えたばかりだというのに、ブロンが落ち着きなく足元をグルグルと歩いて強請ってきた。

『おねえちゃん。サンドイッチもっと食べたい。……だめ?』

 つぶらな瞳を向けられたら駄目なんて言えるわけがない。
 やはり元の体が大きいから、あれだけでは足りなかったのだろう。
 仕舞い忘れていた皿を床に置いて微笑む。

「食べていいよ。でも、食べ過ぎには気をつけてね」

 その言葉に瞳を輝かせたブロンは、元気に返事をするとサンドイッチもどきに齧りついた。
 美味しそうにサンドイッチに齧りつくブロンを見て、テーブルに飛び移ったメイスが話しかけてきた。

『ユーリ、俺にもサンドイッチを出してくれ。あと、キンキンに冷えたコーラも』

 メイスのもっぱらのお気に入りはキンキンに冷えたコーラである。
 肌寒くなってきたというのに、お腹は大丈夫なのだろうか?
 そんな私の心配を余所に、メイスはテーブルにきちんと座って待っている。

「ふふ。すぐ用意するから待ってて」

 まだ半分寝ぼけ眼のヒデさんに椅子に座るよう促して、朝食の準備を整えていく。


 和やかな朝の光景に私は笑みを浮かべた。
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